
一発チョーキングをかましてみたら、濃密な毛羽立ちと荒々しい倍音の奔流!
鳥肌とともに「これよ、これ!」と、思わず口に出てニヤついてしまいました(笑)
1960年代末、ロンドンのスタジオで録音されたであろう、あの荒々しくも艶やかなファズトーン。ジミ・ヘンドリックスが「Electric Ladyland」で聴かせた、野性的でありながら繊細にコントロール可能な歪み。それが、目の前のペダルから溢れ出してくれるのです。
Fulltoneの創始者であるマイク・フラー―エフェクター業界の伝説的職人―が、30年以上にわたる研究と実験の末にたどり着いた絶品ファズ。それがこの「70 PEDAL-BC」(BC-108C)です。
キャラクターの違うシリコントランジスタを2つも使用して、現代の演奏環境で真に使える「進化したクラシック」として再構築された、世界中のファズマニアを唸らせた傑作。リファレンスになったファズ・フェイス(Fuzz Face)という不朽の名機も到達し得なかった頂点の爆発力を紐解いていきましょう!
使用レビュー:設定次第でカメレオンのようにファズ音が変化
まず、FULLTONE 70 PEDAL-BC(’70 BC-108C)は、ヴィンテージロック愛好家にとって「買い一択」の傑作だと自信を持ってオススメできます。ファズマニアにこそ試して欲しい一品!厳選されたBC108Cシリコン・トランジスタが生む、60〜70年代ブリティッシュロック特有の爆発的なパワーと粘り強いサステインは圧巻。
そして何より、本機は設定次第でカメレオンのようにファズ音が変化するのが最大の旨味!
MIDノブを操作すれば、ミッドスクープのクラシックな枯れたトーンから、バンドアンサンブルで突き抜ける極太リードまで瞬時に変幻自在。もちろん、優秀なファズペダル特有の、ギターのボリュームを絞ればチャイミーなクリーンまで回帰する驚異的な追従性も持ち合わせています。
BC108Cシリコン・トランジスタの厳選とマッチング
FULLTONE ’70の心臓部は、伝説的なファズ・フェイスに使用されていたBC108Cシリコン・トランジスタです。この「C」が付くモデルは、標準的なBC108やBC108Bよりもハイゲインで、よりタイトな低域と、アグレッシブな高域を提供します。しかし、重要なのは型番だけではありません。
マイク・フラー氏は、膨大な数のトランジスタの中から、特定のHfe(直流電流増幅率)値を持つペアを厳選し、手作業でマッチングさせています。この徹底的な選別工程こそが、量産品では決して得られない、圧倒的なダイナミクスと、ギターのボリュームに対するレスポンスの妙を生み出す根源です。指先の強弱一つで、クリーンからフルゲインまでを滑らかに行き来できる操作性は、このマッチング技術の賜物と言えます。
MIDコントロールによる音響的景色の可変域
ヴィンテージ・ファズ・フェイスの回路はシンプルである故に、ミッドレンジが削られやすいという特性がありました。バンドアンサンブルの中で音が埋もれてしまう「ファズの宿命」を、’70 BC-108Cは見事に克服しています。
このペダルに搭載されたMIDコントロールは、単なるトーンスタックではありません。内部のバイアス回路に介入することで、ファズの周波数スペクトルを動的に再構築します。ノブを絞れば、クラシックな「ミッドスクープ」ファズ、上げれば、リードプレイで抜けるモダンで分厚いミッドレンジを生成。これにより、アンプやギター、ジャンルを選ばず、常に「雰囲気の良い」ファズトーンを瞬時に作り出すことが可能です。
BIASトリマーの調整によるサウンドの最適化
多くのファズペダルは、ギターからの信号をそのまま受け入れるため、ハイパワーなハムバッカーやアクティブ回路を持つギターと相性が悪いという問題がありました。FULLTONE ’70は、筐体内部にBIASトリマーを搭載しています。
この内部トリムポットを調整することで、ファズ回路に入力される信号レベルやコンプレッションを細かく制御できます。これにより、どんなピックアップでも、ヴィンテージ・ファズ・フェイスと同じ「スイートスポット」のゲイン構造で駆動させることが可能になりました。ユーザーの環境に依存せず、常に最高のファズサウンドを引き出すための「マスターキー」となる機能です。
圧倒的なサステインと音像のコンプレッション
70 PEDAL-BC(’70 BC-108C)の最大の特徴の一つは、その「粘りつくような」サステインです。これは、ハイゲインなBC108Cトランジスタを適切なバイアスと電圧で駆動させることで実現しています。
音の立ち上がり(アタック)はシャープでありながら、すぐに磁気的なコンプレッションがかかり、ピッキングの直後に音が太く膨らむ感覚があります。そして、その音が永遠に続くかのように、自然に減衰していく—。この「生きたコンプレッション」は、特にブルースやサイケデリックなリードプレイにおいて、感情の機微を余すところなく伝える表現力に直結します。
トゥルーバイパスと徹底的なノイズ対策
ヴィンテージファズは、その設計上、バイパス時に音色変化(トーンカラレーション)が生じたり、ノイズフロアが高くなりがちでした。’70 BC-108Cは、3PDTスイッチ・トゥルーバイパスを採用し、オフ時の信号劣化を完全に排除しています。
さらに、内部の配線やグラウンド処理には細心の注意が払われており、シリコン・ファズ特有の不要なヒスノイズを極限まで抑え込んでいます。スタジオ録音やライブの静寂パートでも、安心して使用できるプロフェッショナルな品質が確保されています。
アメリカ製ブティックペダルの堅牢性と美学
FULLTONEのペダルは、カリフォルニアの工房で一つ一つ手作業で組み立てられています。堅牢なダイキャスト筐体、スムーズなトルクを持つカスタムポット、そして精密に組まれた内部回路。
「道具としての信頼性」は、プロの現場では音質と同じくらい重要です。特にライブやツアーでは、過酷な環境にも耐えうる耐久性が求められます。’70 BC-108Cのミリタリーグレードのパーツ選定と、妥協のない組み込みは、その要求に完璧に応えるものです。ブラッシュド・アルミニウムの質感と、シンプルながら存在感のあるデザインは、所有する喜びをも満たしてくれます。
ヴィンテージファズのDNAを受け継ぐ設計思想
70年代ブリティッシュロックの黄金比:シリコン vs ゲルマニウム
ファズ・エフェクトの歴史は、大きくゲルマニウム・トランジスタとシリコン・トランジスタの二つの時代に分けられます。
- ゲルマニウム・ファズ(60年代初期):温かく、粘りがあり、タッチセンシティブ。しかし、温度変化に弱く、安定性に欠ける。
- シリコン・ファズ(60年代後半~70年代):ハイゲインで音量が大きく、アグレッシブな高域と長いサステインを持つ。温度変化に強く安定している。
ジミ・ヘンドリックスがキャリアの後半に愛用したのが、このシリコン・ファズです。FULLTONE ’70 BC-108Cは、その中でも最もポピュラーなBC108Cを採用することで、ハイゲインでタイト、そしてレンジの広いシリコン・ファズの特性を最大限に引き出しています。ゲルマニウムの持つ不安定な「魔力」ではなく、シリコンの持つ「爆発的なパワーと安定性」を追求した設計哲学がここにあります。
入力インピーダンスへの配慮とトーンの関係
ファズペダルは、ギターのピックアップから直接来る高インピーダンス信号を、その回路設計の一部として利用します。そのため、バッファードバイパスのペダルの後段にファズを置くと、音が著しく劣化したり、ファズらしい挙動を示さなくなるという現象が起こります。
’70 BC-108Cは、オリジナルに忠実な超高インピーダンスの入力段を持っています。これは、「ギター → ’70 BC-108C → その他エフェクト」という配置順序を強く推奨することを意味します。この繊細なインピーダンスの関係性を尊重することで、初めてギターのボリュームを絞った時の「クリーントーンへの回帰」という、ファズの最も魅力的な特性が機能します。
Class Aトランジスタ回路のダイナミックレンジ
このペダルは、トランジスタによるClass A動作のアンプ回路をシミュレートしています。Class A動作は、信号の全領域でトランジスタを動作させるため、電力効率は悪いものの、歪みが音楽的で、ダイナミックレンジが広いという特徴があります。
DRIVEノブを上げるだけでなく、ギターのボリュームを上げるだけでも、このClass Aアンプ回路がより強く飽和し、倍音構成が豊かに変化します。この「生きた反応」こそが、’70 BC-108Cを単なるエフェクターではなく、ギターの一部として感じさせる決定的な理由です。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | FULLTONE ’70 BC-108C(70 PEDAL-BC) |
| タイプ | アナログ・シリコン・ファズ |
| トランジスタ | BC108C(厳選&マッチング) |
| 電源 | 9〜18V DC(センターマイナス)/ 9V電池 |
| コントロール | VOLUME, FUZZ, MIDS |
| 内部調整 | バイアストリマー |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス(3PDTスイッチ) |
| 製造国 | アメリカ(USA) |
| 参考価格 | ¥36,000前後 |
コントロール配置の機能美と直感性
筐体上部には、視覚的に訴えかける3つの大型ノブが配置されています。
- VOLUME:全体の出力音量を調整。ファズ特有の音量低下を防ぐための十分なブースト能力を持ちます。
- FUZZ:ゲイン量を調整。最小設定でもクランチに近い歪みがあり、最大にすると暴力的な飽和が得られます。
- MIDS:ミッドレンジの強調・スクープを調整。「アンサンブルでの存在感」を決定づける最も重要なノブです。
ブティックブランドらしい気持ち良いノブの操作感。適度な抵抗感(トルク)があり、慣れればライブ中の足での操作や、繊細なセッティングの微調整も可能です。クラシックなファズ・フェイスの形状をモダンに解釈した、角の取れたスクエアなデザインは、ペダルボード内での視認性も抜群。
周波数特性の徹底分析:MIDSノブの威力
MIDSノブ最小設定(7時方向)
特性:
- 典型的なヴィンテージ・ファズ・フェイスの特性
- 中域が大きく削られ(スクープ)、低域と高域が強調される
- リードプレイでは音が細くなりやすいが、バッキングでの輪郭の明確さが増す
- サイケデリックやガレージロックで求められる「枯れた」トーン
この設定は、アンプのセッティングで中域を稼げる環境(例:マーシャル系アンプ)や、ソロではなくバッキングでファズを使用する際に威力を発揮します。
MIDノブ最大設定(5時方向)
特性:
- 中域が積極的にブーストされ、サウンド全体が前へ押し出される
- リードプレイでの圧倒的な存在感と音抜けの良さ
- ゲインが高く、サステインが長く、現代的な「壁のような」ファズトーン
- ジミ・ヘンドリックスがライブ後半に見せたような、アグレッシブなリードトーンを生成
この設定は、クリーンアンプやミッドレンジが弱いアンプ(例:一部のFender系)で、ファズトーンを際立たせたい場合に理想的です。「ファズの音抜け問題」に対する、FULLTONEからの明確なソリューションと言えます。
ジャンル別完全攻略セッティング集
サイケデリック・ブルース:ジミヘン・トーン
設定:
- FUZZ:3時
- VOLUME:12時(ユニティゲイン付近)
- MID:10時
- 推奨楽曲:Jimi Hendrix「Foxy Lady」「Voodoo Child (Slight Return)」
- テクニック:ギターのボリュームノブを7~8に絞ると、クリーンなクランチトーンに変化。フルテンで爆発。ワウペダルを前段に配置。
このセッティングは、BC108Cの持つ高ゲインを活かしつつ、MIDをわずかにカットすることで、クラシックなファズの咆哮を再現します。弾き始めの鋭いアタック感と、その後の豊かな倍音のサステインが、ブルースの情感を深めます。
70's ハードロック:轟音のリフ・トーン
設定:
- FUZZ:5時(フルテン)
- VOLUME:2時(アンプをプッシュ)
- MID:2時
- 推奨楽曲:Led Zeppelin「Whole Lotta Love」、Jeff Beck「Superstition」
- テクニック:MIDを積極的にブーストすることで、分厚いリフがバンドアンサンブルを切り裂いて前に出てきます。タイトな低域が、モダンなハードロックのリフにも対応。
FUZZをフルテンにすることで得られる強烈なコンプレッションと飽和感が、ギターの音を「壁」のように感じさせます。このセッティングは、文字通り他の楽器を圧倒します(笑)
ネオ・サイケ/ドリームポップ:現代的なテクスチャー
設定:
- FUZZ:10時
- VOLUME:1時
- MID:12時(フラット)
- 推奨楽曲:Tame Impala「Elephant」、My Bloody Valentine「Only Shallow」
- テクニック:ファズのゲインを控えめにし、後段のディレイやリバーブで空間処理を施します。FUZZを下げた際の独特なゲート感とザラついた質感が、現代的な「シューゲイザー」や「ドリームポップ」のテクスチャーとして機能します。
MIDをフラット付近に保つことで、サウンド全体を均一なバランスに保ち、複雑な空間エフェクトと組み合わせても破綻しにくい、芸術的なノイズとしてファズを利用します。
ガレージ・パンク:初期衝動と荒々しさ
設定:
- FUZZ:4時
- VOLUME:5時(最大限の音量)
- MID:9時
- 推奨楽曲:The Stooges「I Wanna Be Your Dog」、The White Stripes「Seven Nation Army」
- テクニック:MIDをカットし、FUZZを上げることで、アグレッシブな高域と荒々しいゲート感を強調します。「ファズが壊れているかのような」サウンドが、初期パンクの初期衝動を表現します。
VOLUMEを最大付近にすることで、アンプのプリアンプを叩き、さらなる歪みと荒廃した音色を付加します。このペダルが持つ「暴力的」な一面を引き出すセッティングです。
知人プロが語る:70 PEDAL-BCとの出会い
スタジオ・ミュージシャン K氏の証言
「ファズは好きなんですが、正直、ライブでの安定性と音抜けの悪さがネックでした。特にゲルマニウムの不安定さは、シビアな現場では使えません。
FULLTONE ’70を導入して、その概念が完全に覆されました。まず、MIDノブが魔法です。これのおかげで、どのアンプに繋いでも、瞬時に自分のトーンをアンサンブルの前面に配置できます。
そして、何よりもギターのボリュームに対する反応の速さ。手元でクリーンに戻せるファズは他にもありますが、’70 BC-108Cはクリーンへの変化が非常に音楽的で、トーンが痩せないんです。これは、レコーディングで音の表情を豊かにする上で、決定的なアドバンテージになります。」
サウンド・デザイナー S氏の体験談
「私はファズを、ギターだけでなくシンセサイザーやドラムマシンにも通して、テクスチャー作りをします。その際、ヴィンテージ・ファズ・フェイスでは入力インピーダンスの問題で、音がペラペラになってしまうことが多々ありました。
’70 BC-108Cは、内部トリムで、どんな音源でも最適な入力レベルに調整できるのが画期的です。シンセに通すと、まるで真空管が赤熱しているかのような、有機的な飽和感が得られます。」
ライバル機との徹底比較分析
vs Electro-Harmonix Big Muff Pi:歪みのテクスチャー比較
| 項目 | FULLTONE ’70 BC-108C | EHX Big Muff Pi |
| 価格帯 | ¥36,000前後 | ¥18,000前後 |
| トーンの核 | シリコン・ファズ・フェイス系 | ディストーション/ファズ系 |
| サステイン | 粘り気があり、音像が圧縮される | ノコギリ波的で、音が層状に広がる |
| ゲイン調整 | ギターVolumeで可能(高い追従性) | ギターVolumeでの変化は少ない |
| ミッドレンジ | MIDノブで可変、音抜けが良い | ミッドスクープ(一般的に音が埋もれやすい) |
| 用途 | ブルース、サイケ、クラシックロック | ドゥーム、シューゲイザー、ハードロック |
Big Muffは「壁のような」ファズ/ディストーションですが、’70 BC-108Cは「生きたトランジスタ」の挙動を再現しています。表現力とタッチレスポンスにおいて、’70 BC-108Cが優位です。
vs Analog Man Sun Face :ブティックファズ頂上決戦
| 項目 | FULLTONE ’70 BC-108C | Analog Man Sun Face |
| 価格帯 | ¥36,000前後 | ¥80,000前後(オプションによる) |
| トランジスタ | BC108C(ハイゲイン) | BC108/BC109など選択肢が豊富 |
| コントロール | VOLUME, FUZZ, MID | VOLUME, FUZZ, BIAS(オプション) |
| 機能性 | BIASノブによる音色補正が強力 | BIASノブによるファズの質感調整が強力 |
| 実用性 | MIDでアンサンブルでの実用性確保 | BIASで単音でのサウンドの追求 |
両者ともハイエンドなブティックファズですが、Sun Faceが「ファズの音色の深み」を追求するのに対し、’70 BC-108CはMIDノブで「アンサンブルでの使いやすさ」という現代的な実用性を高めています。
vs Dunlop Fuzz Face Mini Silicon:オリジナル・クローンとの対決
| 項目 | FULLTONE ’70 BC-108C | Dunlop Fuzz Face Mini |
| 価格帯 | ¥36,000前後 | ¥34,000前後 |
| トランジスタ | BC108C(厳選マッチング) | BC108(標準品) |
| コントロール | VOLUME, FUZZ, MID | VOLUME, FUZZ |
| 特徴 | MIDノブ、内部トリム、厳選パーツ | 小型化、クラシック回路の再現 |
DunlopのMiniはオリジナル回路への忠実性とコンパクトさが魅力ですが、’70 BC-108CはMIDコントロールや厳選されたトランジスタといった「音質向上と実用性のための改良」が施されており、「オリジナルを超越したファズ・クローン」と呼ぶにふさわしい仕上がりです。
まとめ:エレキギターが一番野性的になる瞬間を体験せよ
エレキギターが最も荒々しく、制御不能な野性を曝け出す瞬間。それが、この'70 BC-108Cの真骨頂です。
BC108Cシリコンの怒涛のゲインは、アンプを猛烈にプッシュし、まるで吠えるような唸りと、ガラスが砕けるような鋭いハーモニクスをリードトーンにもたらします。
ヴィンテージの不確実性と、MIDノブによる現代的な調整能力を両立した本機は、「Jimi Hendrix」や「Eric Johnson」の魂を現代に呼び覚まします。ボリュームノブひとつで、クリーンから混沌へと自在に行き来する、最も本能的なファズ体験がここにあり!


