
僕の中でFulldrive 3は、いろんなオーバードライブペダルを弾くけど「やっぱり定期的にコレに帰って来たくなる」という安心感と居心地の良さがピカイチなODペダルのひとつです。
それもそのはず、オーバードライブ界の重鎮「Fulldrive」シリーズの第三世代にして、Mike Fuller氏の音響哲学の集大成とも言える孤高のドライブユニットですからね〜。
Fulldrive 3の内部に息づくのは、JFETを用いたトランスペアレント(透明感のある)ブーストと、伝説的なMOSFETクリッピングによる有機的なコンプレッション。これらの要素が織りなすサウンドは、プレイヤーのピッキングニュアンスを増幅し、変質させることなく、(特にチューブ)アンプのポテンシャルを最大限に引き出します。それは、まるでギターの表現力に新しいレイヤー(層)を加えるような感覚です。
演奏を格上げしてくれるような安心感と居心地の良さ
数多くのODペダルを試しても、結局この「ぶっ太くてウォームな重鎮トーン」が恋しくなる。
Comp-Cutのトランスペアレントな土台から、90'sモードの粘りのあるクランチまで、どの設定も一貫して弾き手の感情を優しく増幅してくれる。ピッキングの強弱に忠実に応答し、自分の演奏を格上げしてくれるような安心感と居心地の良さは、他の追随を許しません。
初代から僕のボードの不動のアンカーです。(特に、ブルース〜ハードロック系のライブセッションに行くときや海外アーティストとの共演の際はFulldrive使用率が高いです)
独立したブースト回路が生む「二層の表現力」
FD3の最も画期的な特徴は、オーバードライブ回路とは完全に独立した、クラスA JFETクリーンブーストを搭載している点です。
※JFETインプット+オペアンプにバージョンアップされています!
- JFETブーストは、真空管(チューブ)的な動作を模倣しており、音色を濁らせることなく、信号の純度を保ったまま音量を持ち上げます。
- このブーストはオーバードライブの前段(Pre-Drive)または後段(Post-Drive)のどちらにも配置可能。
- Pre-Drive: オーバードライブ回路を激しくドライブさせ、サチュレーション(飽和)とコンプレッションを深める用途に。リードトーンのゲインブーストに最適です。
- Post-Drive: オーバードライブで作り上げたトーンの音量のみを増強し、アンプ側で音圧を稼ぐ、ソロの音量アップに最適な設定です。この切り替え一つで、ペダルの役割が「ゲインブースター」から「レベルブースター」へと劇的に変化します。
歴史を内包する3wayのクリッピングモード
FD3の心臓部にある3ポジション・トグルスイッチは、Fulldriveの歴史そのものです。
- 90'sモード: 先代Fulldrive 2 (FD2) のクラシックな対称クリッピングを再現。ミッドレンジに豊かな膨らみがあり、ブルースやクラシックロックの王道トーンを生み出します。
- Comp-Cutモード: クリッピングダイオードをバイパス(迂回)し、FD3を純粋なオーバードライブブースターとして機能させます。極めて高いヘッドルームとレスポンスを持ち、アンプのクリーンチャンネルをプッシュして、ナチュラルなチューブドライブを引き出すのに最適です。
- Wide Asymモード: ワイドレンジな非対称クリッピングを採用。Vintageモードよりもヘッドルームが広く、コンプレッションが抑えられています。非対称クリッピング特有の偶数次倍音による豊かな倍音とオープンな響きを持ちながら、FD2では得られなかったよりモダンでダイナミックなドライブトーンを実現します。
DYNAMICSノブの恩恵:ピッキングへの追従性を司る「感度」コントロール
FD3のコントロール群において、従来のFulldriveシリーズには存在しなかったDYNAMICSノブは、ジューシーさと応答性を決定づける重要な要素です。このノブは、特にComp-CutモードやVintageモードで使用した際に、オーバードライブ回路の入力感度とコンプレッションの特性を緻密に調整します。
DYNAMICSノブの機能とメカニズム
DYNAMICSノブは、主にオーバードライブ回路のヘッドルームとクリーン/クランチのブレイクアップポイント(歪み始める閾値)をコントロールします。これは、あたかも真空管アンプの内部バイアスやプリアンプの電圧を調整するような効果をもたらします。
- ノブを時計回りに回す(最大値へ):
- ヘッドルームの増大: より大きなインプットレベルでも歪みにくくなり、クリーンなトーンが得やすくなります。
- 感度の低下: 歪み始めるポイントが高くなり、ピッキングの強弱に対する歪み量の変化が穏やかになります。よりトランスペアレントでオープンなサウンドになります。
- ノブを反時計回りに回す(最小値へ):
- ヘッドルームの圧縮: 歪み始めるポイントが低くなり、より小さなインプットレベルでもすぐに歪みが生じます。
- 感度の増大: ピッキングの僅かな変化にも敏感に反応し、よりコンプレッションが強く、粘りのあるトーンになります。まるでヴィンテージアンプをフルアップしたような、**「枯れた」**レスポンスが得られます。
実践的な活用法:感性を音色に反映
このノブは、単に音色を調整するだけでなく、プレイヤーの演奏スタイルとペダルの相性を最適化するために使用されます。
| 設定 | 特徴的な音色と用途 |
| 最小(7時~10時) | 高感度、コンプレッション強。ブルースやスライドギターでの「粘り」や「サステイン」を強調。ピッキングの弱いタッチでもクランチを維持したい場合に最適。 |
| 中央(11時~1時) | 標準的なレスポンス。バランスの取れた、FDシリーズの伝統的なトーンの核心。多くのロック、ポップスでの万能設定。 |
| 最大(2時~5時) | 低感度、トランスペアレント。フュージョンやカントリーでのクリーンブーストや、アンプライクなダイナミクスを求める場合に最適。繊細なタッチを強調したい時に。 |
オーバードライブを支える「非対称クリッピング」
FD3のオーバードライブセクションは、フルレンジの非対称MOSFETクリッピングを採用しています。非対称クリッピングは、信号の上側と下側の波形を意図的に非対称に歪ませることで、真空管アンプ特有の偶数次倍音を豊富に含んだ、音楽的なコンプレッションとハーモニクスを生み出します。デジタルモデリングでは再現しにくい、この「有機的な歪み」こそが、FD3の音質の核です。
9V/18V駆動による「ダイナミックレンジの可変性」
FD3は、一般的な9V DC電源に加え、18V DC駆動にも対応しています。
- 9V: 暖かみがあり、コンプレッションが強く、ヴィンテージ感の強いトーン。
- 18V: ヘッドルームが劇的に増大し、よりクリーンでトランスペアレントな、オープンなサウンドに。ピッキングへの追従性(ダイナミクス)が向上し、アンプライクな応答性を実現します。
FulldriveのDNAを受け継ぐ設計思想
Fulldriveシリーズは、1990年代初頭に登場して以来、オーバードライブの「基準」を確立してきました。FD3は、その30年近い歴史の中で培われた音響哲学を、現代の演奏環境に合わせて洗練させた結果です。
オーバードライブ vs. 真空管アンプ:サウンドの「有機性」
Mike Fuller氏は、常に「真空管アンプの応答性をペダルで再現すること」を目指してきました。FD3が目指すのは、ソリッドステート(トランジスタ)アンプでは得られない、「有機的なサチュレーション」です。
真空管アンプは、大音量で駆動すると、信号全体が飽和し、倍音の豊かなコンプレッション(圧縮)が生じます。FD3のMOSFETクリッピングは、この現象をミミック(模倣)することで、ノイズとしての歪みではなく、音楽的な響きを伴う歪みを実現しています。ピッキングの強弱に対する歪み量の変化、ギターボリュームへの追従性、これらは全て、真空管アンプのDNAをペダルに移植する試みの結実です。
JFETブーストの役割:トーンの「透明性」
従来のブースターは、信号を増幅する際に音色に変化(カラレーション)を加えるものが多かったのですが、FD3のJFETブーストは「トランスペアレント(透明)」であることを極めています。これは、信号経路に余計なフィルターを通さない回路設計によるものです。
ブースターが透明であるからこそ、オーバードライブの前段に置いても、歪みの質のみを深くし、音色自体を不必要に変えることがありません。また後段に置いた際も、オーバードライブで作り込んだトーンキャラクターを崩さずに、純粋に音量のみを増強できるのです。この透明性が、FD3を「トーンエンハンサー(音色向上装置)」としても機能させています。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | FULLTONE Fulldrive 3 (FD3) |
| タイプ | 2-in-1 オーバードライブ/ブースト |
| 回路方式 | アナログ(MOSFET非対称クリッピング/JFETブースト) |
| 電源 | 9V DC or 18V DC(センターマイナス) |
| 寸法 | 約123mm × 102mm × 55mm (FD2より2割程度の小型化) |
| 重量 | 約594g |
| 製造国 | アメリカ(カリフォルニア州) |
| 参考価格 | ¥40,000前後 |
複雑さと合理性を両立したコントロール配置
FD3のフェイスプレートは、一見すると複雑に見えますが、その配置は極めて合理的です。
- メインセクション(オーバードライブ): 大きなノブで操作するVolume, Tone, OverDrive。これはエフェクターの基本であり、ステージでも視認性・操作性が高い配置。
- ブーストセクション: 右側に独立したBoostノブと専用フットスイッチ。演奏中に直感的に操作できるように配置されています。
- クリッピングモードスイッチ: 90's〜カット〜モダンスタイルまでのトグルスイッチ。これらは一度設定するとあまり変更しないため、本体上部にコンパクトに配置されています。
特に注目すべきは、左側のフットスイッチがオーバードライブのON/OFF、右側のフットスイッチがブーストのON/OFFに明確に分離された点です。FD2では一つのフットスイッチに集約されていたため、この分離はライブパフォーマンスにおける操作の確実性を飛躍的に高めました。
ジャンル別完全攻略セッティング集
ブルースロック:ミッドレンジの「熱」と「粘り」
Stevie Ray VaughanやJoe Bonamassaに代表される、熱量のあるトーンを追求。
- Mode: 90's
- Drive: 12時~1時(中程度)
- Tone: 11時(やや絞り気味)
- Boost: Pre-Drive (0-9時)
- 電源: 9V DC推奨
ポイント: 90'sモードの自然なミッドレンジの膨らみを活かし、9V駆動でコンプレッションを深めます。BoostをPre-Driveで少し加えることで、ピッキングの強弱でクリーンとクランチを行き来する、指弾きへの追従性が高いトーンが得られます。
ハードロック/クラシックロック:タイトな「輪郭」と「サステイン」
Led ZeppelinやAC/DCのような、アンプ直結の轟音を思わせるトーン。
- Mode: 90's
- Drive: 2時~3時(高め)
- Tone: 1時~2時(明るめ)
- Boost: Pre-Drive (12時以降)
- 電源: 18V DC推奨
ポイント: 18Vでヘッドルームを確保しつつ、Driveを高めに設定。Toneで輪郭を強調し、タイトなリフでも音が潰れるのを防ぎます。リード時にはBoostを最大限に活用し、サステインを極限まで引き伸ばします。
カントリー/フュージョン:トランスペアレントな「チューブクリーン」
Robben FordやLarry Carltonのような、繊細なニュアンスを伝えるクリーンブースト。
- Mode: Comp-Cut
- Drive: 9時以下(最小限)
- Tone: 12時(フラット)
- Boost: Post-Drive (10時~12時)
- 電源: 18V DC推奨
ポイント: Comp-Cutモードは、FD3を純粋なトランスペアレントブースターに変貌させます。18V駆動で極めてクリーンなトーンを保ち、Post-DriveのBoostでソロ時の音量アップを担います。Driveノブは、ごくわずかにエッジを加えたい時のみ使用します。
モダン/オルタナティブロック:突き抜ける「リードトーン」
現代的な高解像度なサウンドの中で、リードギターを際立たせるトーン。
- Mode: Comp-Cut
- Drive: 10時~12時(クランチ)
- Tone: 1時~3時(ハイを強調)
- Boost: Pre-Drive (10時~12時)
- 電源: 9V DC推奨
ポイント: クランチに設定したComp-Cutモードに、Pre-Driveでブーストをかけ、ダイナミクスを圧縮しつつゲインを稼ぎます。ミッドハイを強調することで、ハイゲインなバッキングの中でも埋もれない、鋭いリードトーンを実現します。
Fulltone Fulldrive 3:主な使用アーティスト
| アーティスト名 | バンド名 |
| James Valentine | Maroon 5 |
| Francisco Durán | Los Bunkers |
| Álvaro López | Los Bunkers |
| Taylor Madison | Superheaven / Webbed Wing |
| Ronan Crix | Basement |
| Zac Sokolow | LA LOM |
| Kody Havoc | (ソロ/セッション) |
愛用者が語る:Fulldrive 3の真髄
スタジオミュージシャン I氏の証言:「歪みの『位相』が違う」
「FD3は、他のペダルと比べて音像の『立ち位置』が違うんです。特にレコーディングで顕著なんですが、FD3で歪ませたギターは、ミックスの中で立体的な奥行きを持って『鎮座する』。これは、非対称クリッピングが生み出す偶数次倍音の自然さと、位相的なバランスが崩れないことに起因するんだと思います。
Comp-Cutモードをアンプのクリーンチャンネルで使うと、プリアンプのグレードが数段上がったような感覚。単なる音量アップではなく、トーン自体にハリと艶が出る。その音色をPost-DriveのBoostで持ち上げれば、もうそれだけで完結したリードトーンが出来上がります。」
プロギタリスト T氏の体験談:「ライブの信頼度が別格」
「これはペダルボードの実用性において革命的です。特に、Pre-Drive/Post-Driveの切り替えは、楽曲のダイナミクス設計を一変させました。
バッキングはPost-Driveでクリーンに音量アップ、リードはPre-Driveでゲインを深めてサチュレートさせる。曲の展開に合わせて瞬時にペダルの役割を再定義できる。この信頼性と柔軟性があるから、私はFD3をボードの『心臓部』として固定しています。」
ライバル機との徹底比較分析
| 項目 | FULLTONE Fulldrive 3 | Ibanez Tube Screamer (TS9/TS808) | Klon Centaur (クローン含む) |
| トーン傾向 | フルレンジ、アンプライク | ミッドブースト、コンプレッション強 | トランスペアレント、ミッド強調 |
| ブースト機能 | 独立JFETブースト (Pre/Post切替可) | なし (ゲインをブーストとして使用) | なし (クリーンブースト効果が主) |
| クリッピング | MOSFET非対称 | 対称シリコンダイオード | ゲルマニウム(ダイオード/クリッピング) |
| モード切替 | 3モード | なし (機種による) | なし |
| ヘッドルーム | 9V/18Vで可変、広範囲 | 比較的狭い(ミッドブースト効果のため) | 広い(バッファ回路による) |
| 用途 | 万能、アンプ直系トーン | ブルース、ミッドレンジを強調 | クリーンブースト、アンプの補強 |
vs. Tube Screamer: チューブスクリーマーがミッドレンジを強調することで「トーンを再構築」するのに対し、FD3は「トーンを増幅・補強」し、よりアンプのキャラクターを尊重します。FD3はよりオープンでフルレンジなサウンドです。
vs. Klon Centaur: Klonクローンが主にクリーンブーストとして使用されるのに対し、FD3は本格的なオーバードライブと高品位なブーストを両立させています。FD3のComp-CutモードはKlon的なトーンに非常に近いですが、ブーストの柔軟性で勝ります。
最終評価:正当進化した実戦派ドライブユニットの決定版
FULLTONE Fulldrive 3は、オーバードライブペダルの歴史を背負いながら、ライブ使用を想定した現代のプレイヤーが求める機能性を見事に統合した、実戦派ドライブユニットです。
伝説のFulldriveサウンドを決定づけたMOSFETクリッピングの有機的な歪み。完全に独立し、用途を選べるJFETクリーンブーストの柔軟性。そして、9V/18V駆動とダイナミクス(ジューシーさ)を選択できる、環境適応能力の高さ。これら全てが、FD3をプロの現場に耐えうる「オーバードライブの重鎮」へと昇華させています。
最終評価:★★★★★(5.0/5.0)
推奨度:
- ブルース/クラシックロック:100%
- カントリー/フュージョン(ブースト活用):95%
- モダンロック/ポップス:80%
- アンプライクなトーン追求者:100%
こんな人に特におすすめ:
- ピッキングニュアンスを殺さずに歪ませたいギタリスト
- クリーンブーストとオーバードライブを一台で完璧に賄いたい人
- アンプのチャンネル切り替えのような感覚で足元を制御したい人
- Fulldriveの歴史的なサウンドを最も実用的な形で手に入れたい人
伝説の血統を受け継いだFD3は、あなたのボードに歴史と未来のサウンドを刻み込むでしょう!




