オーバードライブ ディストーション

MXR「EVH5150 Overdrive」レビュー:エディーが愛したシルキーな飽和感!

MXR EVH5150 Overdrive のイメージ画像

1978年、デビューアルバム『炎の導火線』で世界を震撼させたエディ・ヴァン・ヘイレン。彼のトレードマークである「ブラウンサウンド」と呼ばれる、あのシルキーでいて破壊的、温かいのに鋭い究極のドライブサウンド。

数々のシグネチャーモデルが存在する中で、このEVH5150 Overdriveは特別な意味を持ちます。なぜなら、これはエディ本人が「自分のアンプの音だ」と認め、細部に至るまで監修に関わった、いわば「アンプヘッドの特性を宿したペダル」だからです。

ロック史上最も革新的なギタリスト、エドワード・ヴァン・ヘイレンが生涯をかけて追求した究極のドライブトーンの魅力を深掘りしていくましょう!

使用レビュー:唯一無二の瑞々しい歪みと輝き

「ただ歪むのではない、音が内側から発光している」――MXR EVH5150 Overdriveを鳴らした瞬間、そんな錯覚に陥りました。特筆すべきは、ハイゲインの荒々しさの奥に潜む、驚くほど「瑞々しい」トーンの透明感です。

多段MOSFET回路による「真空管の振る舞い」の再現

EVH5150の心臓部には、多段のMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が採用されています。これは一般的なオーバードライブがクリッピングダイオードで音を潰すのとは異なり、真空管アンプの各増幅段が過負荷になっていくプロセスを擬似的に再現する設計です。

その結果、ピッキングの強弱に対する反応、ボリュームを絞った時のクランチ〜クリーンへの収束のニュアンスが、驚くほど「アンプライク」なのです。デジタルプラグインでは決して再現できない、指先に伝わる「粘り」と「弾力」がここにあります。

3バンドEQがもたらす圧倒的な音作り

多くのドライブペダルが「Tone」ノブ一つで済ませてしまう中、EVH5150はBass、Mid、Trebleの独立した3バンドEQを搭載しています。

  • Bass: 4x12キャビネットが鳴るような、腹に響く低域をコントロール。
  • Mid: ギターの美味しい帯域を司り、アンサンブルでの抜けを決定。
  • Treble: エディ特有の「高域の煌めき(Sizzle感)」を微調整。このEQの効きが非常に音楽的で、どのようなアンプに繋いでも「5150サウンド」へ強制的に引き込むパワーを持っています。

スマートなノイズゲート機能を内蔵

ハイゲイン設定時の宿命である「サー」というノイズ。EVH5150には、MXRの銘機「Smart Gate」の回路をベースにしたノイズゲートが標準装備されています。

特筆すべきは、減衰(サステイン)の自然さです。音がブツ切れになることなく、最後の一音まで美しく消えていく設計は、ライブパフォーマンスにおいて大きな武器となります。

「BOOST」スイッチによるゲインの爆発

右側のBoostボタンを押すと、ゲインとコンプレッションが一段階引き上げられます。

バッキングではオフにしてクリアなコード感を保ち、ソロになった瞬間にオンにする――。これだけで、エディのような伸びやかなサステインと、タッピングが面白いように決まるバイト感が得られます。まさに「一人二役」をこなすペダルです。

驚異の「Output」パワー

このペダル、出力レベルが非常に高いのも特徴です。Outputノブを上げていくと、アンプのプリアンプセクションを強力にプッシュできます。単なる歪み成分の付加だけでなく、アンプそのものを「鳴らす」ブースターとしての側面も持っています。

伝説の「5150」ロゴを冠した堅牢な筐体

EVH GearとMXRの共同開発の証であるロゴ。そして、エディの「フランケンシュタイン」ギターを彷彿とさせるストライプが施されたブラックアルマイトの筐体。足元にあるだけでモチベーションが上がるルックスは、プレイヤーにとって最高のスパイスです。

ジャンルを選ばない「モダン・ブラウン」

「エディ専用機」だと思ったら大間違いです。ゲインを下げれば極上のクランチサウンドに、上げれば現代的なモダンメタルまで対応可能。その汎用性の高さこそが、世界中のプロがこのペダルをボードに入れる理由です。

伝説の「ブラウンサウンド」とエディの哲学

5150アンプのDNAを継承して

1990年代初頭、エディ・ヴァン・ヘイレンとピーヴィー(Peavey)の協力によって誕生した「5150」アンプ。それはハードロック界のゲームチェンジャーでした。それまでのMarshallサウンドをより分厚く、よりハイゲインに進化させたその音は、ヘヴィメタルの歴史を変えました。

MXR EVH5150 Overdriveは、そのアンプの「歪みチャンネル」を抽出することに情熱を注いでいます。エディ本人がスタジオで実機のアンプと比較試聴を繰り返し、最終的に「YES」を出した製品なのです。

「ブラウンサウンド」の正体とは?

よく誤解されますが、ブラウンサウンドとは単に「歪んだ音」ではありません。それは、

  1. 高域の輝きがありながら耳に痛くない。
  2. 低域がタイトで、コードの分離感が良い。
  3. 中域がジューシーで、歌うようなサステインがある。これらが完璧なバランスで成立した状態を指します。EVH5150は、この「矛盾する要素の共存」をアナログ回路で見事に解決しています。

詳細スペック

基本仕様

項目詳細
製品名MXR EVH5150 Overdrive
タイプオーバードライブ/ディストーション
電源9V DC(センターマイナス)/ 9V電池
寸法W125 x D93 x H55 mm
重量約500g
主な機能3バンドEQ、Boost、Smart Gate、

音響分析:帯域ごとのキャラクター

低域 (Bass):タイトな衝撃

EVH5150のBassは、100Hz付近を強力にコントロールします。上げれば大型キャビネットの箱鳴りを再現し、下げればミュートプレイが小気味よく決まるタイトなサウンドになります。多弦ギターの「Low-B」も余裕で受け止める懐の深さがあります。

中域 (Mid):ブラウンサウンドの核

このペダルの真骨頂はMidノブにあります。600Hz〜800Hz付近の「ギターの美味しいところ」を押し出します。ここの設定次第で、80年代のLAメタル的なサウンドから、90年代以降のモダンハイゲインまで自在に変化します。

高域 (Treble):シルキーな飽和感

3kHz以上の帯域をコントロール。ここを上げても音が「チリチリ」と安っぽくならないのがMXRの技術力です。エディのあの「空気を切り裂くような、でも温かい」高域を再現するための鍵となります。

ジャンル別完全攻略セッティング集

1. 1978 Early Eddie:初期の衝動

  • Gain: 11時
  • Output: 12時
  • Bass: 11時
  • Mid: 2時
  • Treble: 1時
  • Boost: OFF
  • Gate: OFFエディのデビュー当時のサウンドを狙うなら、ゲインを上げすぎないのがコツです。ピッキングのニュアンスで歪みをコントロールできるギリギリのラインを攻めましょう。Midを強調することで、シングルコイルでも太い音が得られます。

2. 5150 High Gain Era:1984以降の爆発

  • Gain: 2時
  • Output: 11時
  • Bass: 1時
  • Mid: 12時
  • Treble: 2時
  • Boost: ON
  • Gate: 9時スタジアムロックに最適な、壁のような歪み。Boostをオンにすることで、ハーモニクスが面白いように飛び出します。ここではGateを薄くかけ、休符のキレを強調するのがモダンな弾き方です。

3. Modern Metalcore:現代的な重低音

  • Gain: 3時
  • Output: 10時
  • Bass: 3時
  • Mid: 9時(少し削る)
  • Treble: 3時
  • Boost: ON
  • Gate: 12時意外かもしれませんが、EVH5150はドンシャリ設定も得意です。Midを少しカットし、BassとTrebleを盛ることで、Djent系やメタルコアに必要な「ザクザク」とした刻みが可能になります。

4. Bluesy Crunch:意外な一面

  • Gain: 8時(最小付近)
  • Output: 2時
  • Bass: 12時
  • Mid: 1時
  • Treble: 11時
  • Boost: OFF
  • Gate: OFFGainを最小まで絞ると、非常にリッチなクランチサウンドになります。ギターのボリューム操作に忠実に反応するため、ブルースやフュージョンでも十分に「使える」トーンを提供してくれます。

MXR EVH5150 Overdrive:主な使用アーティスト

「エディのフォロワー」に留まらず、モダンメタル、パンク、プログレッシブ・インストゥルメンタルといった幅広いジャンルの第一線で活躍するギタリストたちが、このペダルを「本物のプロツール」として信頼していることが分かります。

アーティスト名バンド / 活動ジャンル詳細
Matthew Bellamy
(マシュー・ベラミー)
Muse
(オルタナティブ・ロック)
巨大なライブ用システム内に組み込み済み
Misha Mansoor
(ミーシャ・マンソー)
Periphery
(ジェント / プログ・メタル)
自身のブランドのペダルと組み合わせて使用。
Matt Heafy
(マット・ヒーフィー)
Trivium
(メタルコア / ヘヴィメタル)
公式に機材紹介。
Plini
(プリニ)
Solo Artist
(プログレッシブ・インスト)
ステージでの実演機材として何度も登場。
Doug Aldrich
(ダグ・アルドリッチ)
Whitesnake / Dio
(ハードロック)
「最高の5150トーンだ」と公式にコメント。
Doyle Wolfgang
(ドイル)
Misfits
(ホラー・パンク)
彼の暴力的なトーンを支える核として採用。
Nick Johnston
(ニック・ジョンストン)
Solo Artist
(テクニカル・フュージョン)
独特な「瑞々しいクランチ」を作るために使用。
Ola Englund
(オーラ・イングランド)
The Haunted / YouTuber
(メタル)
モダンメタルの刻みにおける完成度を保証。
Tyler Larson
(タイラー・ラーソン)
Music is Win
(YouTuber)
「究極のドライブペダル」の一つとして紹介。

専門家が語る:EVH5150の真実

ギターテック S氏の視点

「現場で重宝するのは、その『適応力』です。ツアーで地方のライブハウスのアンプがボロボロのJCM900だったとしても、このEVH5150をクリーンチャンネルに繋げば、一瞬で一線級のハイゲインサウンドに化けます。アンプを選ばない、いわば『ポータブルな5150アンプ』ですね」

スタジオミュージシャン Y氏の体験

「一番驚いたのは、リードを弾いている時のサステインの『質感』です。デジタルな不自然さがなく、フィードバックに移行する際も、まるで大音量のアンプの前に立っているかのような感覚に陥ります。ピッキングハーモニクスの出やすさは、今まで触ったペダルの中で群を抜いています」

ライバル機との徹底比較分析

項目MXR EVH5150Friedman BE-ODBOSS ST-2 Power Stack
音の傾向ブラウン/モダンハイゲインブリティッシュ/改造マーシャルデジタルシミュレート
EQ3バンド独立2バンド+内部トリマ2バンド
ノイズ対策ゲート内蔵なしなし
ブーストありなしなし
一言解説王道の5150サウンド非常に深い歪みと高級感手軽なスタックサウンド

まとめ:ロックの領域を端から端まで優雅に泳ぐ

MXR EVH5150 Overdriveは、シグネチャーペダルとしてのプレミアム感だけでなく、現代のハイゲインペダルの「基準点」となった傑作です。

エディ・ヴァン・ヘイレンが追い求めた、あの「ブラウンサウンド」。それは、ギタリストにとっての聖杯のようなものです。このペダルは、その聖杯へ至るための最も確実で、最もエキサイティングな近道を提供してくれます。

一度、この怒涛の倍音に包まれてしまえば、もう後戻りはできません!
「クランチからエクストリームメタルまで」、一台でロックの領域を端から端まで優雅に泳げるドライブペダルとして、あなたの一生の愛機になることでしょう。

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