オーバードライブ ブースター

WARM AUDIO 「Tube Squealer」レビュー:大満足!TS系のハッピーセット

WARM AUDIO Tube Squealer のイメージ画像

「そう、これだ。音が抜けて線ではなく面で鳴る感覚」

スティーヴィー・レイ・ヴォーンが、ジョン・メイヤーが、そして数多のギターヒーローたちが愛した「鼻にかかったような、甘く力強いミッドレンジ」。それが、ヴィンテージの実機でも、安価なコピーモデルでもなく、圧倒的なクオリティを持つ「TS系のハッピーセット」として爆誕!

世界で最も愛され、同時に最も多くのギタリストを悩ませてきた「どの時代のスクリーマーが最高か?」という究極の問い。Tube Squealerは、その答えを「すべて手に入れる」という驚くべき方法で提示してくれました。

テキサス州オースティンの音響マニア集団、WARM AUDIO。彼らが次に狙いを定めたのは、オーバードライブの王道中の王道。しかし、彼らが作り上げたのは単なるクローンではありません。80年代初頭の伝説TS808、ロックの象徴TS9、そして今やカルト的な人気を誇るTS10。この3つの異なる魂を一筐体に封じ込めた、まさに「チューブスクリーマーのハッピーセット」なのです。

なぜ今、我々は数ある緑のペダルの中からTube Squealerを選ぶべきなのか。その深淵に迫ります。

WARM AUDIO Tube Squealer
created by Rinker

使用レビュー:贅沢すぎ!チューブスクリーマー全部入れの「1台3役

スイッチ一つで「歴史を跨ぐ」3モード・ボイシング

Tube Squealerの最大かつ最強の武器は、本体中央に配置された3段階のトグルスイッチです。

  • 808モード:元祖TS808の、あの滑らかで太いミッドレンジとローゲインな質感。
  • TS9モード:少しエッジが立ち、よりアグレッシブにアンプをプッシュする80年代ロックの象徴。
  • TS10モード:スティーヴィー・レイ・ヴォーンが愛用し、ジョン・メイヤーのトーンの核となった、解像度が高く引き締まった低域を持つ「第3の選択」。 これらをリアルタイムで切り替えられる利便性は、他のどの単体機にも真似できません。

革新の「Mix」コントロール:ヴィンテージの咆哮に「解像度」という魔法をかける

Tube Squealer(WA-TS)が、並み居るヴィンテージ・クローンたちを置き去りにし、現代のマスターピースとして君臨する最大の理由。それこそが「Mix」ノブの存在です。

オリジナルのTS808やTS9には存在しなかったこの機能は、「おまけ」ではありません。それは、スタジオ・レコーディングにおける「パラレル・コンプレッション(並列処理)」というプロの技法を、ペダル一台で完結させるための革命的なデバイスなのです。

1. 原音の「芯」と「歪み」を黄金比でブレンドする

通常のオーバードライブは、入力された信号のすべてを回路に通して歪ませます。しかし、WA-TSのMixノブを使えば、「ピュアなギターのクリーン信号」と「JRC4558Dが生み出す極上の歪み」を自由な比率で混ぜ合わせることが可能です。

  • Mix 0%:完全なバッファード・クリーン。
  • Mix 50%:クリーンなアタック音の背後に、チューブ・スクリーミーな倍音が纏わりつく「立体的なトーン」。
  • Mix 100%:伝統的なスクリーマー特有のフル・エフェクト・サウンド。

2. 失われた「低域」と「アタック」の完全なる奪還

Tube Screamer系の宿命とも言える「低域のロールオフ」。アンサンブルでの抜けを重視した結果、どうしても音が細く感じてしまうことがありました。しかし、Mixノブで原音をわずかに足すだけで、ギター本来の太いローエンドと、ピッキング時の鋭い「カチッ」としたアタック音が蘇ります。 これにより、SRVのような太いブルーストーンから、モダンなネオソウルで求められる「クリーンなのに歪んでいる」という矛盾した美学を、完璧な形で体現できるのです。

3. ベーシストや多弦ギタリストへの最終回答

このMixノブの搭載により、WA-TSはギタリストだけでなくベーシストにとっても「究極の歪み」となりました。ベースの心臓部である低音域をクリーンで維持しつつ、中高域だけにスクリーマーのドライブを乗せることで、アンサンブルの屋台骨を支えながら、歪みによって音を前に押し出すという芸当が可能になります。

4. 空間系エフェクトとの親和性が飛躍的に向上

リバーブやディレイなどの空間系エフェクトを多用する場合、歪みが深すぎると音がぼやけてしまうことが多々あります。ここでMixノブを8時〜10時方向に設定してみると、驚くべき変化が起こります。歪みの「艶」はありながらも、原音の輪郭がはっきりしているため、ディレイの残響が埋もれず、美しく響き渡るのです。

革新の「ピックアップ・ボイシング・セレクター」:あらゆるギターとの完璧な融和

WA-TSに搭載されたこのスイッチは、入力インピーダンスと周波数特性を瞬時に最適化する画期的な機能です。シングルコイル特有の鋭さを活かしつつ中域に厚みを加える設定と、ハムバッカーの重厚な低域をタイトに引き締め、明瞭度を高める設定を切り替え可能。使用するギターを選ばず、常に「最高においしい帯域」を逃さないこの機能は、現場での即戦力を求めるプロギタリストにとって究極の武器となります。

伝説の「JRC4558D」ICチップを心臓部に採用

サウンドの核となるオペアンプには、ヴィンテージ・スクリーマーを神格化させた伝説の「JRC4558D」を採用。これにより、デジタルシミュレーターや安価な現行品では決して出せない、滑らかで音楽的なコンプレッション感と、シルキーな高域のロールオフを実現しています。3つのモードそれぞれが、この名チップのポテンシャルを最大限に引き出すよう設計されています。

TS10回路を「完璧に」再現した唯一無二の価値

今、ヴィンテージ市場で最も高騰しているのがTS10です。その理由は、独特の「透明感」と「ピッキングに対する鋭い反応」。Tube SquealerはこのTS10の回路構成を精密に分析し、その「枯れた」ニュアンスを見事に再現しました。もはや数万円、数十万円を投じて壊れやすいプラスチック筐体のヴィンテージを探す必要はありません。

贅沢すぎるプレミアム・コンポーネントの選定

WARM AUDIOの真骨頂は、中身の「贅沢さ」にあります。

  • WIMA製コンデンサ:ハイエンドオーディオでも使用される信頼のパーツ。
  • MKTコンデンサ:ヴィンテージ特有の有機的な倍音を形成。
  • カーボン抵抗:ノイズを抑えつつ、暖かみのあるトーンを約束。 これらの選定により、単に歪むだけでなく、指先のニュアンスに「呼吸するように」反応するレスポンスを手に入れました。

「Clean Boost」としての圧倒的な解像度

多くのギタリストがTube Screamer系を「ドライブ」ではなく「ブースター」として使う理由。それは、低域を適度にカットし、中域を押し上げることでアンサンブルの中での「抜け」を確保するためです。WA-TSはこの機能が極めて優秀。特にTS10モードでのクリーンブーストは、音が一切濁らず、アンプのポテンシャルを120%引き出す「奇跡のスパイス」となります。

現代的な耐久性とクラシックな様式美の融合

ヴィンテージのスクリーマーは、スイッチの耐久性やプラスチック部品の劣化が弱点でした。WA-TSは、プロの過酷なツアーに耐えうる頑丈な金属筐体と、信頼性の高いフットスイッチを採用。鮮やかながらも深みのあるグリーン・パウダーコート仕上げは、ボード内で圧倒的な存在感を放ち、プレイヤーの所有欲を満たしてくれます。

驚異的なコストパフォーマンス

ヴィンテージの808、TS9、TS10をすべて揃えようと思えば、軽自動車が一台買えるほどの出費を覚悟しなければなりません。しかしWARM AUDIOは、これら3つの音色を最高級のパーツでまとめ上げながら、驚くほど現実的な価格設定を実現しました。これは「良い音をすべてのミュージシャンに」という彼らの哲学が具現化した結果です。企業努力が凄すぎるよ...。

オーバードライブの聖杯:3つのモードが描く孤高のトーン

TS808モード:ベルベットのようなミッド・ハンプ

1979年に誕生した元祖808。Tube Squealerの「808モード」は、中音域がこんもりと盛り上がり、高域が心地よくロールオフされた、あの「歌うような」トーンを完璧に再現します。ストラトキャスターのリアピックアップでさえ、耳に痛くない甘いリードトーンへと変貌させます。

TS9モード:ロックンロール・エッジ

1982年、よりモダンなサウンドを求めて進化したTS9。808よりも出力インピーダンスが変更され、少し明るく、突き抜けるような「バイト感」が加わりました。WA-TSの「TS9モード」は、ハードロックやパンクなど、よりアグレッシブにアンプを歪ませたい時に最適。リフのキレが劇的に向上します。

TS10モード:モダン・ブルースの最終回答

80年代半ば、回路設計の合理化の中で生まれたTS10。しかし、そのパーツ構成が生み出した奇跡的な「タイトなローエンド」と「高い解像度」が、後にジョン・メイヤーらによって再発見されました。WA-TSの「TS10モード」は、3つのモードの中で最も現代的で、煌びやかなクリーントーンを保ったまま「艶」だけを加えることができます。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

WARM AUDIO Tube Squealer
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基本仕様

項目詳細
製品名WARM AUDIO Tube Squealer
タイプマルチボイシング・アナログ・オーバードライブ
モード3種(808 / TS9 / TS10)切り替え可能
主要パーツJRC4558D IC, WIMA製コンデンサ, MKTコンデンサ
電源9V DC(センターマイナス)/ 9V電池対応
コントロールDrive, Tone, Level, Mix, Mode Switch, Voice Switch
バイパスバッファード・トゥルーを切り替え可能
参考価格¥24,000前後

デザインの機能美

Tube Squealerの外観は、伝統への深いリスペクトが感じられます。グリップ感の良いポインター・ノブは、繊細な微調整も容易。トグルスイッチは指に馴染む位置に配置され、プレイスタイルに合わせた瞬時の切り替えをサポートします。

ヴィンテージ感の高い「Warm Audio」のロゴ刻印、そして重厚な金属筐体。手に取った瞬間に「これは一生モノの楽器だ」と確信させる質感が備わっています。

音響分析:3つの「緑」が描く周波数特性

808モード:中域への集中投下

このモードでは、700Hz〜1kHz付近の中域が強調され、低域と高域が緩やかにカットされます。これにより、アンサンブルの中でボーカルを邪魔せず、ギターが主役として「歌う」帯域を確保します。

TS9モード:プレゼンスの強調

808と比較して、高域のプレゼンス成分がより強調されます。音の立ち上がりが速くなり、ピッキングの瞬間に「カチッ」とした明瞭な輪郭が加わります。歪ませたアンプの前段に置くことで、歪みの密度を高めるのに最適です。

TS10モード:ワイドレンジな透明感

他の2モードよりも低域のカットが控えめで、全体的にフラットに近い特性を持ちます。それでいてスクリーマー特有のコンプレッション感は健在。歪みを上げても音が潰れすぎず、コードの分離感が最も優れているのがこのモードです。

ジャンル別完全攻略セッティング集

伝説のテキサス・サウンド:SRVスタイル

設定:

  • Mode: 808
  • Drive: 9時
  • Level: 3時
  • Tone: 12時 推奨楽曲: Stevie Ray Vaughan「Pride and Joy」 アンプをクリーンから少しプッシュした状態で使用。808モードの太い中域が、ストラトのセンターピックアップに魔法のような粘りを与えます。

現代のブルース・マスター:Mayerスタイル

設定:

  • Mode: TS10
  • Drive: 8時(低め)
  • Level: 2時
  • Tone: 1時 推奨楽曲: John Mayer「Gravity」「Slow Dancing in a Burning Room」 TS10モード特有の解像度を活かしたセッティング。クリーンなアンプに通すだけで、音が立体的になり、指先の細かなニュアンスがすべて音になります。

80's アリーナ・ロック:スタジアム・トーン

設定:

  • Mode: TS9
  • Drive: 2時
  • Level: 10時
  • Tone: 3時 推奨楽曲: Van Halen, U2, early 80's Rock TS9モードの攻撃的なエッジを強調。歪みをしっかり上げることで、豊かな倍音を伴った心地よいリードトーンが手に入ります。ディレイとの相性は抜群です。

モダン・メタル:タイトな刻みの門番

設定:

  • Mode: TS9
  • Drive: 7時(ゼロ)
  • Level: 最大
  • Tone: 4時 推奨楽曲: Periphery, Meshuggah, Modern Metal ハイゲインアンプを「引き締める」ためのセッティング。低域の余計なモヤつきをカットし、高速なリフの立ち上がりを極限まで鋭くします。

プロフェッショナルが語る:Tube Squealerとの対面

レコーディング・ギタリスト H氏の証言

「これまでTS808とTS10のヴィンテージを2台ボードに入れていたんですが、WA-TSが来てからその必要がなくなりました。驚いたのは、単に回路を似せているだけでなく、ピッキングをした時の『コンプ感の戻り方』がヴィンテージそのものだったこと。特にTS10モードの解像度は、ブラインドテストをされたら分からないレベルです。」

スタジオエンジニア M氏の視点

「ミックスの際、ギターが抜けてこない時にWA-TSをインサート代わりに使うことがあります。特に808モードの中域の出方は、EQで調整するよりも遥かに音楽的。音が『面』で聴こえるようになるので、厚みを出したいトラックには最高のソリューションです。」

ライバル機との徹底比較分析

項目Tube Squealer (WA-TS)Ibanez TS808 (現行)JHS Bonsai
再現モード数3種(主要な3代)1種のみ9種
音の質感オーガニック/プレミアムクリーン/標準的万能/ハイファイ
価格¥24,000前後¥20,000前後¥40,000前後
パーツ品質厳選されたディスクリート量産パーツ高品質
特徴TS10再現度が極めて高いオリジナルの安心感全モード網羅の利便性
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Ibanez(アイバニーズ)

Bonsaiは多機能で素晴らしいですが、Tube Squealerは「最も重要な3つ」に絞り込み、それぞれの回路のパーツ選定に徹底的に拘っています。特にTS10の「あの音」を求めているなら、WA-TS一択と言っても過言ではありません。

まとめ:今からチューブスクリーマー買うなら、ナンバーワン候補

WARM AUDIO 「Tube Squealer (WA-TS)」は、TS808の温もり、TS9の輝き、そしてTS10の知性。この3つの異なるDNAを、最高級のパーツと熟練のエンジニアリングで統合した一台。今からチューブスクリーマー買うなら、あなたのギターサウンドに「正解」をもたらします。

「あの名盤の音を出したい」という憧れから、「自分だけのトーンを確立したい」という探求心。Tube Squealerは、そのすべてにおいて、最も信頼できる一生のパートナーになるでしょう。

ヴィンテージ・トーン追求者、ジョン・メイヤー/SRV愛好家、一台で何でもこなしたい実戦派まで、大満足の3in1ペダルであること間違いなし!

WARM AUDIO Tube Squealer
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