
「これ一台あれば、他の歪みはいらないのではないか?」
このペダルに出会うと、長年探し求めていた「理想のドライブサウンドの終着点」を見つけることになるかもしれません。
JHS Pedalsの創始者ジョシュ・スコットの類稀なるセンスが凝縮されたこのペダルは、JHSを代表する2つの名機――Moonshine V2とAngry Charlie V3――を一つの筐体に収めた、まさにドリーム・チームのような一台です。繊細なタッチに反応する極上のクリーンドライブから、スタックアンプが悲鳴を上げるようなハイゲイン・ディストーションまで。Sweet Tea V3は、ギタリストが描くあらゆる歪みのキャンバスを、最高の色彩で塗り替えてくれます。
この、盆と正月が一緒に来たような贅沢な1台。そこには、歪みのレイヤー(重なり)が生み出す深淵な美学と、ライブパフォーマンスにおける圧倒的な実用性が共存しています。
使用レビュー:極めてワイドレンジなスタッキングを実現
Sweet Tea V3の醍醐味は、「歪みの足し算」に留まらない、解像度を保ったままのダイナミックなスタッキングにあります。
Moonshine V2の「Clean」ノブで原音の芯を巧みに残しつつ、Angry Charlie V3の強力な3バンドEQで低域から高域までを緻密にビルドアップできる。この「2階建て構造」が、飽和感の中でも濁りのない圧倒的なレンジの広さを生むのです。
中央のスイッチで接続順を入れ替えれば、リードを突き抜けさせる「縦のブースト」から、音の壁を厚くする「横の広がり」まで自由自在。繊細なタッチに寄り添うクランチから、地響きのようなハイゲインまで、この一台で描き出せない歪みの風景はもはや存在しないと思えるほど。
「Moonshine V2」と「Angry Charlie V3」という最強の布陣
Sweet Tea V3の心臓部は、JHSのラインナップの中でも特に評価の高い2つの回路で構成されています。
左側には、伝説のチューブスクリーマー(TS)系をJHS流に進化させたMoonshine V2。右側には、マーシャルJCM800のサウンドをコンパクトペダルで再現することに心血を注いだAngry Charlie V3。
この2つが並んでいるという事実だけで、ヴィンテージ・ロックからモダン・メタル、極上のブルースまで、対応できないジャンルは存在しません。
「Clean」ノブがもたらす、Moonshine側の圧倒的な解像度
Moonshine V2セクションに搭載された「Clean」コントロール。これがSweet Tea V3の魔法の鍵の一つです。歪んだ信号に原音(クリーン)をミックスできるこの機能により、ハイゲイン設定にしても音の芯がボヤけず、ピッキングのニュアンスが鮮明に残ります。
「歪んでいるのに、一音一音がはっきりと聴こえる」。この矛盾するような心地よさは、一度体験すると病みつきになります。
本物のJCM800を彷彿とさせる、3バンドEQの精密さ
Angry Charlie V3セクションには、Bass、Mids、Trebleの3バンドEQが搭載されています。実機のアンプと同じように、それぞれの帯域が相互に影響し合いながら、理想のブラウン・サウンドを形作っていきます。
アンプ側のセッティングを変えることなく、ペダル側だけで「箱鳴り感」や「中域の押し出し」を自在にコントロールできる快感は、他のペダルではなかなか味わえません。
「Order Switch」が解き放つ、歪みの上下関係
筐体中央に鎮座する「Order Switch(順序切り替えスイッチ)」。これがSweet Tea V3を真のモンスター・マシンに変えます。
- Moonshine → Angry Charlie: Moonshineをブースターとして使い、Angry Charlieの歪みをさらにプッシュする。リード演奏に最適な、サステイン豊かなサウンド。
- Angry Charlie → Moonshine: ディストーションの後にTS系を置くことで、音量を持ち上げつつ全体のトーンをスムーズに整える。この「接続順の魔法」が、スイッチ一つで完結するのです。
あらゆるアンプとの高い親和性
フェンダー系のクリーンなコンボアンプから、マーシャル系のスタックアンプ、さらにはデジタル・モデリング・アンプまで。Sweet Tea V3はその高いEQ調整能力とCleanミックス機能により、接続先のアンプを選びません。「自分の音」をどこの現場でも再現できる、信頼できる相棒となります。
JHS Pedalsならではの「遊び心」と「堅牢さ」
ミズーリ州カンザスシティで一つひとつ丁寧に組み立てられるJHSのペダル。ポップな紅茶のイラストとカラーリングからは想像もつかないほど、プロの過酷なツアーにも耐えうる頑丈な設計が施されています。スイッチの踏み心地、ノブの適度なトルク感、すべてが「本物」としての完成度を高めています。
JHS PedalsのDNA:モディファイから始まった「歪みの探求者」
ジョシュ・スコットが描いた「究極の2-in-1」
JHS Pedalsの歴史は、既存のエフェクターの弱点を克服する「モディファイ(改造)」から始まりました。ジョシュ・スコットは、ギタリストがライブ中に何を求め、どんなストレスを感じているかを熟知しています。
Sweet Teaは、もともと「JHS 808」と「Angry Charlie」を組み合わせたV1から始まりましたが、V3へと進化する過程で、それぞれの回路がブラッシュアップされ、現代の音楽シーンに最もマッチする形へと昇華されました。
チューブスクリーマーの「その先」へ
Moonshine V2は、単なるTSコピーではありません。オリジナルのTSが持つ「低域の削れ」や「コンプレッションの強すぎ」を解消し、よりオープンでパワフル、そして「クリーンミックス」という現代的な武器を手に入れた進化系です。
プレキシからJCM800へ、マーシャル・トーンの象徴
Angry Charlieは、マーシャルの「ガバナー」へのオマージュから始まり、最終的にはJCM800そのものの質感を追い求めた回路です。JHSの「歪みへの執着」が最も色濃く反映されたこのセクションは、ペダルという概念を超え、もはや「プリアンプ」と呼ぶにふさわしい重厚感を持っています。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | JHS Pedals Sweet Tea V3 |
| タイプ | オーバードライブ / ディストーション (2-in-1) |
| 回路 A (左) | Moonshine V2 (TS系 / クリーンミックス搭載) |
| 回路 B (右) | Angry Charlie V3 (JCM800系 / 3バンドEQ搭載) |
| コントロール | Volume, Drive, Tone, Clean (Moonshine側) / Volume, Drive, Bass, Mids, Treble (Angry Charlie側) |
| スイッチ | 2フットスイッチ, Order Switch, Gain Toggle (Moonshine側) |
| 電源 | 9V DC (センターマイナス) |
| 寸法 | 約119mm × 94mm × 30mm |
| 製造国 | アメリカ合衆国 |
デザインの美学:機能美と視認性
Sweet Tea V3の筐体は、その名の通り「紅茶」をイメージした絶妙な色合いのブラウン。ボードの中でも一際存在感を放ちつつ、落ち着いた気品を感じさせます。
2つのセクションに分かれたノブの配置は非常に論理的で、暗いステージでも迷うことなく操作が可能です。各フットスイッチの横にあるLEDは、それぞれのON/OFF状態を明確に示します。また、トップマウントのジャックを採用しているため、限られたペダルボードのスペースを有効に活用できるのも、実戦派のJHSらしい配慮です。
音響分析:2つの顔が生み出す「歪みのスペクトラム」
Moonshine V2セクション:青い月光のごとき透明感と力強さ
Moonshine V2は、TS系特有の「中域のコブ(ミッドハンプ)」を持ちつつも、圧倒的なレンジの広さを誇ります。
- 特性: 2ポジションのGainスイッチにより、ローゲインから驚くほどのハイゲインまで対応。
- Cleanノブの効果: 歪み成分とクリーン信号をブレンドすることで、ピッキングアタックの速さを損なわず、コードの分離感を劇的に向上させます。
- 用途: クリーンブースト、ブルージーなリード、メインのオーバードライブ。
Angry Charlie V3セクション:咆哮するブリティッシュ・スタック
Angry Charlie V3は、まさに「箱鳴り」をシミュレートしたディストーションです。
- 特性: 非常にリッチな倍音と、タイトな低域。JCM800が持つ、あのジャリっとした高域の質感まで再現されています。
- 3バンドEQの威力: Bassを上げれば4x12キャビネットの迫力が、Midsを調整すればアンサンブルの中での立ち位置が決まります。
- 用途: ハードロックのリフ、ハイゲインなソロ、アンプを別のキャラクターに変える「アンプ・イン・ア・ボックス」。
ジャンル別完全攻略セッティング集
1. モダン・ブルース:テキサス・スワン・サウンド
設定(Moonshine V2中心):
- Drive: 10時
- Clean: 2時
- Tone: 1時
- Gain SW: 下(ローゲイン)
- Order: どちらでも可
Moonshine側のCleanを多めにミックスすることで、ストラトキャスターのフロントピックアップでの「鈴鳴り」を活かしたまま、粘りのあるドライブを追加できます。ピッキングの強弱に敏感に反応する、プロフェッショナルなセッティングです。
2. 80's ハードロック:ブラウン・サウンドの再来
設定(Angry Charlie V3中心):
- Drive: 2時
- Bass: 1時
- Mids: 2時
- Treble: 11時
- Order: Moonshine → Angry Charlie
Angry Charlieの3バンドEQを活かした王道のセッティング。Midsを少し強調することで、ギターの美味しい帯域を前に出します。ソロ時にはMoonshineを薄くかけ、Orderスイッチで前段に配置することで、音の太さとサステインをさらに増強させます。
3. オルタナティブ/インディー・ロック:壁のようなディストーション
設定(両方ON):
- Moonshine: Drive 3時 / Clean 9時 / Gain SW 上(ハイゲイン)
- Angry Charlie: Drive 12時 / Bass 2時 / Mids 10時 / Treble 1時
- Order: Angry Charlie → Moonshine
Angry Charlieで作った激しい歪みを、後段のMoonshineで包み込むセッティング。MoonshineのToneを少し絞ることで、高域の痛い部分を丸め、太く巨大な音の壁を作ることができます。
4. フュージョン/ジャズ・ロック:シルキーなリードトーン
設定(Moonshine V2):
- Drive: 12時
- Clean: 12時
- Tone: 10時
- Gain SW: 下
- Order: 任意
甘く、滑らかなトーン。セミアコやフルアコでの使用でも、低域が潰れすぎず、都会的な響きを維持します。Cleanノブをセンター付近に置くことで、コードソロでの音の分離感も確保できます。
プロの現場から:Sweet Tea V3が選ばれる理由
スタジオミュージシャン Y氏の証言
「現場に持ち込む機材を最小限にしたい時、迷わず選ぶのがSweet Tea V3です。これ一台で、カッティング用のクリーンブーストから、スタックアンプが必要なハードなソロまで全て完結します。特に、現場のアンプが想定と違った場合でも、Angry Charlieの3バンドEQがあれば瞬時に補正できる。この安心感は代えがたいですね。」
レコーディング・エンジニア K氏の視点
「ミックスの段階で、Sweet Tea V3を通したギターの音は非常に扱いやすいと感じます。おそらく、Moonshineのクリーンミックス機能のおかげで、歪みの奥にしっかりとした芯(アタック)が残っているからでしょう。EQの効きも音楽的な帯域に設定されており、無駄なローエンドや耳に刺さる高域をペダル側でカットできているのが素晴らしい。」
ライバル機との徹底比較分析
| 項目 | JHS Sweet Tea V3 | Strymon Sunset | Browne Amplification Protein |
| コンセプト | TS + JCM800 | 6種類のハイブリッド歪み | ODR-1 + Bluesbreaker |
| 回路 | 完全アナログ | アナログ + DSP | 完全アナログ |
| 操作性 | 直感的、アナログ的 | 多機能、プリセット可能 | シンプル、アンプライク |
| 歪みの幅 | 極めて広い (ハイゲイン得意) | 広い (汎用的) | ミディアムゲイン中心 |
| 推奨ジャンル | ロック、ブルース、メタル | 全ジャンル | ブルース、ポップス、カントリー |
Sweet Tea V3の強みは、何と言っても「ハイゲインへの対応力」と「アナログならではのレスポンス」です。Strymon Sunsetが多機能さで勝る一方で、Sweet Tea V3は「本物の真空管アンプの挙動」を求めるギタリストにとっての正解となります。
JHS Pedals Sweet Tea V3:主な使用アーティスト
| アーティスト名 | バンド / 肩書き |
| 高橋 國光 | the cabs / österreich |
| Taylor York | Paramore |
| Theresa Wayman | Warpaint |
| Rich Good | The Psychedelic Furs |
| Emmett Miller | Diarrhea Planet |
| Dave Depper | Death Cab for Cutie |
| Max Michael Helyer | You Me At Six |
| Brendan Lukens | Modern Baseball |
| Tommy Gleeson | Feeder |
| Paco Ayala | Molotov |
| Will Taylor | Hovvdy |
| Bobby Pook | blanket |
まとめ:「歪みのジレンマ」を解消できる優秀ペダル
JHS Pedals Sweet Tea V3は、ギタリストが長年抱えてきた「歪みのジレンマ」――太さを取れば抜けが悪くなり、抜けを求めれば音が細くなる――という問題を、クリーンミックスと精密なEQによって解決した、一つの完成形です。
この一台をボードに置くことは、あなたの足元に「マーシャルのスタックアンプ」と「極上のヴィンテージTS」を同時に、そして完璧な連携状態で所有することを意味します。
¥60,000前後という価格は、決して安い買い物ではありません。しかし、個別にMoonshineとAngry Charlieを購入し、それらを繋ぐパッチケーブルの質に悩み、電源を2つ確保することを考えれば、この2-in-1パッケージが提供する価値とコストパフォーマンスは圧倒的です。
人気商品のため、本国では新品がメーカーでソールドアウトになっております。気になる人は、日本で入手可能なうちに早めに手に入れておくほうが良いでしょう!



