オーバードライブ ブースター

Ibanez「NTS "NU TUBESCREAMER"」レビュー:即買い推奨!の旨味成分

Ibanez NTS NU TUBESCREAMER のイメージ画像

「エレキギターの旨味成分を、極限まで引き出したい?」

40年以上の歴史を誇るオーバードライブの王道「チューブスクリーマー」。その完成された様式美に、コルグとノリタケ伊勢電子が共同開発した新世代真空管「Nutube」が新たな魂を吹き込んだ―。それはマイナーチェンジではなく、エフェクター史における「シン・進化」でした。

TS特有の、クリーミーなミッドレンジ、ピッキングの強弱にどこまでも忠実なレスポンス。

そんな世界で最も愛され、最もコピーされたグリーンペダルが、21世紀の最新技術と出会い、全く新しい生命体へと生まれ変わりました。
それが、Ibanez NTS "NU TUBESCREAMER"(以下、NTS)。

生産終了になってしまったのが惜しすぎる、今ではプレミアムがついており貴重な一台となっているこのアイテムの特性と使い所をじっくり解説していきます。

使用レビュー:あと一歩の説得力を華麗に肉付け!

色んなTS系ペダルを使ってきましたが、こいつは「これぞギタートーンの熟成された旨味!」と叫びたくなる逸品です。

Nutubeという本物の真空管を心臓部に持ったNTSは、従来のペダルにはない「音の密度」が段違い。弾いた瞬間に溢れ出す濃密な倍音と、真空管特有の体温を持った挙動は、まさに「旨味成分」そのものです。

他のTS系との明らかな違いは、中高音域に纏う圧倒的な色気。単なる歪みではなく、ピッキングの強弱に機敏に反応し、ソロのフレーズに「あと一歩の説得力」を華麗に肉付けしてくれます。さらにMIXノブを使えば、原音の芯を保ったまま真空管の艶を纏わせることも可能。

デジタル全盛の今だからこそ、この「生きた呼吸」の重要度。ボードに加えた瞬間、ギターが主役として歌い始めるのです。

物理的な「真空管」が内蔵されているという圧倒的事実

NTSの心臓部には、新世代真空管「Nutube」が搭載されています。これはデジタル回路や演算による「真空管サウンドの模倣」ではありません。アノード・グリッド・フィラメント構造を持つ、正真正銘の真空管です。

従来の真空管(12AX7など)は駆動に高電圧が必要で、発熱や寿命といった課題がありましたが、Nutubeはわずかな電力で、真空管特有の「豊かな倍音」と「コンプレッション感」を生み出します。この物理現象としての歪みが、弾き手のニュアンスを一切スポイルすることなく、オーガニックなトーンへと変換してくれるのです。

革命的な「MIX」コントロールの搭載

歴代のチューブスクリーマー愛好家が待ち望んでいた機能、それが「MIX」ノブです。

これは、歪んだ回路を通った音(Wet)と、入力されたクリーンな音(Dry)を混ぜ合わせる機能。従来のTSはオンにするとどうしても低域が痩せたり、音の芯が歪みの中に埋もれたりしがちでした。

しかし、NTSではクリーントーンを混ぜることで、ピッキングのアタックを鮮明に残したまま、周囲を真空管の歪みで包み込むような音作りが可能です。この「音の芯の太さ」は、これまでのTSでは決して到達できなかった領域です。

9Vから18Vまで対応するワイドなヘッドルーム

NTSは内部昇圧ではなく、供給される電源(9V〜18V)によって動作キャラクターが劇的に変化します。

18Vで駆動させた時のサウンドは、まさに「別格」。ヘッドルームが広がり、クリーントーンの解像度が跳ね上がると同時に、歪みの質感がより滑らかでシルキーになります。

ダイナミックレンジが拡大するため、ピッキングの強弱だけで「完全なクリーン」から「咆哮するドライブ」までを自由自在に行き来できる。この追従性は、最高級のブティックペダルに匹敵します。

「中音域の魔法」を維持しつつ、レンジを現代化

チューブスクリーマーの代名詞といえば、あの「ミッドブースト」です。NTSもその伝統をしっかりと継承していますが、その質感はより洗練されています。

Nutubeのおかげで、中域が「モコモコ」することなく、密度が高く、かつ「透き通った」響きを持っています。高域の伸びも従来のTS808やTS9より格段に向上しており、現代的なアンサンブルの中でも埋もれない、輪郭のハッキリしたサウンドを実現しています。

驚異的な低ノイズ設計

真空管を搭載しているにもかかわらず、NTSのノイズフロアは驚くほど低く抑えられています。

ハイゲイン設定にしても、耳障りなヒスノイズが立ち上がってくることはありません。これはNutubeの特性と、Ibanezが長年培ってきた回路設計技術の賜物。スタジオでのレコーディングや、静寂を重んじるクリーン・ブーストとしての使用においても、プロフェッショナルな品質を約束します。

伝説の「TS808」へのリスペクトと革新

NTSの回路は、名機TS808をベースに設計されています。

トーンの基本骨格は誰もが知る「あの音」ですが、Nutubeによる第2高調波の付加が、音に圧倒的な奥行きを与えています。

「伝統を守るために、進化を恐れない」。その姿勢が、筐体のデザイン(TS808を彷彿とさせる)と、Nutubeが発光する青白い光のコントラストによく現れています。

国内生産(日本製)の信頼性

NTSは、日本国内の厳格な品質管理のもとで製造されています。

ツアーでの過酷な使用に耐える頑丈なダイキャスト筐体、確実な踏み心地のスイッチ、スムーズなトルクのノブ。

手にした瞬間に伝わる「道具としての良さ」は、メイド・イン・ジャパンならでは。長く愛用し、自分だけのヴィンテージへと育てていく楽しみを教えてくれます。

中古市場のプレミアム価格は上昇中。見つけたら即買い推奨!

惜しまれつつも生産終了がアナウンスされた今、NTSを巡る状況は一変しました。

その唯一無二の真空管サウンドが改めて渇望され、中古市場でのプレミアム価格は現在進行形で上昇を続けています。「いつでも買える」と思っていた名機が、今や「出会えたら奇跡」の希少モデルへと変貌を遂げつつあるのです。

Nutubeという歴史的デバイスを搭載したこの一台は、今後さらに価値が高まることは間違いありません。もし楽器店のショーケースや中古サイトで、手の届く価格の個体を見つけたら、それは運命の合図。迷わず「即買い」することを強く推奨します。二度と手に入らなくなる前に、至高の旨味成分をその手に収めてください。

Nutubeが切り拓く、オーバードライブの新機軸

半世紀の歴史を塗り替える「真空管」の再定義

1970年代に誕生したチューブスクリーマーは、当初「真空管アンプの音をシミュレートする」ことを目的としていました。ダイオードによるクリッピング回路を用いて、あの独特のサウンドを作り出したのです。

しかし、40数年の時を経て、NTSは「本物の真空管」をその内部に取り込みました。

これは単なる先祖返りではなく、アナログ・イノベーションです。Nutubeは、従来の真空管よりも圧倒的に高速なレスポンスを持ち、なおかつ真空管特有の非線形な増幅特性を完全に備えています。

「歪み」ではなく「飽和」を奏でる

一般的なオーバードライブが音を「削って」歪ませるのに対し、NTSはNutubeを過大入力させることで音を「飽和」させます。

この違いは、弾き手の指先にダイレクトに伝わります。弦を弾いた瞬間の「コンッ」というアタックの後に、音がむわっと膨らんで持続する。このサステインの美しさは、本物の真空管にしか出せない魔力です。

あらゆるアンプを「チューブアンプ」に変貌させる

たとえスタジオの常設アンプがトランジスタ(JC-120など)であったとしても、NTSを接続すれば、その音色はチューブアンプのような温もりを帯びます。

NTSを「歪みペダル」としてではなく、「プリアンプの一部」として捉える。そうすることで、どんな環境でも一貫した「自分のトーン」を構築できるようになるのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名Ibanez NTS "NU TUBESCREAMER"
タイプオーバードライブ(Nutube搭載)
真空管KORG Nutube 6P1
電源9V〜18VDC(センターマイナス)/ 9V電池
寸法71mm(W) x 124mm(D) x 53mm(H)
重量約580g
製造国日本
中古プレミアム価格¥50,000前後〜

デザインと機能美

NTSの外観は、一目で「チューブスクリーマー」と分かるアイコニックなデザインですが、細部にはモダンな意匠が施されています。

注目すべきは、中央に配置された小窓。ここからNutubeが作動時に放つ青い光が透けて見えます。この光の強さはピッキングの強弱に連動しており、視覚的にも「今、真空管をドライブさせている」という実感をプレイヤーに与えてくれます。

4つのコントロール(DRIVE、TONE、LEVEL、MIX)は、バランス良く配置されており、暗いステージでの視認性も良好。特に新設されたMIXノブは少し小さめに設計されており、メインの音作りを邪魔しない絶妙な配慮がなされています。

インプット・アウトプットジャックは、耐久性の高い金属製パーツを採用。長年のライブ活動にもビクともしない堅牢性が確保されています。

音響分析:Nutubeがもたらす倍音の魔法

第2高調波の豊かさ

NTSを計測器にかけると、一般的なトランジスタ・ペダルには見られない「第2高調波」が非常に強く出ていることが分かります。

これは人間の耳に「心地よい」「温かい」「太い」と感じさせる成分。この倍音成分がクリーントーンに重なることで、音に立体感が生まれます。

MIXコントロールによる周波数特性の変化

  • MIX 0%(Dryのみ): ギター本来のレンジを維持したクリーン。
  • MIX 50%(Blend): クリーンの芯とNutubeの歪みが共存。分離感が良く、コード弾きでも1弦1弦の音が濁らない。
  • MIX 100%(Wetのみ): 伝統的なチューブスクリーマー・サウンド。Nutube特有の濃密なミッドレンジが炸裂する。

このMIX比率を微調整することで、シングルコイルの繊細さを生かしたり、ハムバッカーのパワーをコントロールしたりといった、高度なトーンメイキングが可能になります。

ジャンル別完全攻略セッティング集

テキサス・ブルース:SRVスタイルの咆哮

  • DRIVE: 9時
  • TONE: 2時
  • LEVEL: 3時(高め)
  • MIX: 11時
  • 推奨ギター: ストラトキャスター(フロントPU)伝説のレイ・ヴォーン・サウンドを目指すなら、DRIVEを抑えめにしてLEVELを上げる「ブースター的」な使い方が基本。ここにMIXを半分程度混ぜることで、ストラトのパキッとしたアタックを残しつつ、Nutubeの粘りを加えます。18V駆動にすれば、よりダイナミックなブルーストーンが得られます。

モダン・メダル:タイトなハイゲイン・ブースト

  • DRIVE: 7時(最小)
  • TONE: 3時
  • LEVEL: 最大
  • MIX: 100% (Wet)
  • 推奨ギター: 多弦ギター、EMG搭載機ハイゲインアンプの前段に配置し、低域をタイトに引き締める「TSブースト」の王道設定。NTSは従来のTSよりも解像度が高いため、ダウンチューニングの重低音も潰れることなく、鋭いエッジを付加できます。

フュージョン/ネオソウル:歌うようなロングサステイン

  • DRIVE: 2時
  • TONE: 12時
  • LEVEL: 12時
  • MIX: 9時(Dry多め)
  • 推奨楽曲: Polyphia、Mateus Asato風クリーントーンに極薄く歪みを載せるセッティング。MIXをDry寄りにすることで、一見クリーンに聞こえるのに、弾くと無限にサステインが伸びるような「マジカルなトーン」が作れます。ピッキングのニュアンスが全て出るため、表現力が問われるジャンルに最適です。

クラシック・ロック:ヴィンテージスタックの再現

  • DRIVE: 12時
  • TONE: 10時
  • LEVEL: 1時
  • MIX: 3時
  • 推奨楽曲: Led Zeppelin、AC/DCマーシャル系アンプのクランチチャンネルと組み合わせることで、70年代のスタックアンプのような「壁」のようなサウンドが完成。MIXを少し戻すことで、複雑なコードを弾いても音が分離し、アンサンブルの中で抜けてくる音が手に入ります。

知人プロが語る:NU TUBESCREAMERとの日々

スタジオギタリスト K氏の証言

「仕事現場では、アンプを選べないことも多いんです。でもNTSを一台持っていれば安心。

特に18Vで使った時の『弾力』は、他のペダルでは代えがたい。MIXノブのおかげで、カッティングからリードまでこれ一個で完結できるようになりました。デジタルシミュレーターの後に繋いで『アナログの温かさ』を足すという使い方も重宝しています」

ライブ職人 H氏の体験談

「Nutubeって最初は『本当に真空管なの?』って半信半疑だったんですよ。でもライブで爆音で鳴らした瞬間、笑っちゃいましたね。

フィードバックの出方が完全に真空管のそれなんです。音が消えかかる時の『じわっ』という減衰がとにかく綺麗。もうTS808をヴィンテージ市場で探す必要はなくなりました。これが今の僕のメイン・オーバードライブです」

ライバル機との徹底比較分析

vs Ibanez TS808:伝統との対決

created by Rinker
Ibanez(アイバニーズ)
項目NU TUBESCREAMERTS808
歪みの源泉Nutube (真空管)ダイオードクリップ
レンジ感ワイド・モダンミッド寄り・ナロー
調整の幅MIXノブにより無限3ノブ
解像度非常に高い良い意味で荒い

TS808は「あの時代」の音を再現するための完成形。対してNTSは、TS808の良さを引き継ぎつつ、現代のハイファイな録音環境や多種多様なギターに対応するための「万能機」です。

vs Vemuram Jan Ray:ブティックペダルとの対決

項目NU TUBESCREAMERJan Ray
サウンドの核真空管のサチュレーション60'sブラックフェイス風
コンプレッション自然な真空管の弾力タイトでリニア
価格¥50,000前後〜¥50,000前後

Jan Rayが「極上のクリーン〜クランチ」を追求するのに対し、NTSは「ミッドレンジの歌わせ方」に重きを置いています。よりロック的で、エモーショナルなリードを弾きたいならNTSに軍配が上がります。

まとめ:「クリーンと歪みの境界線の美学」は加速する。

例えばジョン・メイヤーが奏でる、あの「クリーンと歪みの境界線」にある極上のエッジ・トーン

あの質感を追い求めるギタリストにとって、NTSはまさに夢の一台と言えるでしょう。特に真空管アンプのポテンシャルを極限まで引き出し、一音一音に宿る感情を豊かに増幅させるその様は、現代のTSにおける最高到達点です。

この豊かな表現力は、繊細なダイナミクスとグルーヴを命とするソウルやR&Bといった音楽スタイルにも完璧にマッチします。指先のタッチ一つで音色が万華鏡のように変化し、甘く太いサステインの中にも、キレのあるカッティングの輪郭を一切損なわない。新世代真空管Nutubeと革新的なMIXコントロールの恩恵により、オールドスクールな温かみと現代的な高解像度が見事に同居しているのです。

ソウルフルなフレーズに「あと一歩の説得力」を加え、聴き手の感情を震わせるサウンドをアウトプットする。生産終了によりその希少価値は高まる一方ですが、一度でもこの音を体験すれば、なぜ世界中のプレイヤーがこの緑色のペダルを血眼になって探し回るのか、その理由が痛いほどわかるはずです。伝説が神話へと変わる前に、まだ手が届く価格帯のうちに、「本物の鼓動」を手に入れてはいかがでしょうか。

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