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VEMURAM「Myriad Fuzz」レビュー:フェロモンがダダ漏れ!孤高の音色

VEMURAM Myriad Fuzz のイメージ画像

なんだ、この「無敵感」「全知全能感」は...。

現代のギターヒーロー、ジョシュ・スミス(Josh Smith)との共同開発によって誕生したこのペダルは、ヴィンテージファズが持つ「短所」を一切排除しつつ、その「長所」だけを極限まで高めることに見事に成功しています。

甘く歌うようなリードトーンから、すべてをなぎ倒すような暴力的な壁まで。Myriad Fuzzは、まさに「無数の(Myriad)」音色を宿した、音の万華鏡!

今回は、そんなVEMURAM Myriad Fuzz(ミリアド・ファズ)の、シリコンとゲルマニウムという二つの魂が共鳴して生み出す、底知れない音の深みを徹底的にご紹介しましょう。

使用レビュー:まるで複数のファズペダルを内包したかのような表現力

Myriad Fuzzを踏み込んだ瞬間、脳内を駆け巡るのは「甘美な毒」に侵されるような背徳感です。

たった一台の中に「理性を奪うほど『荒々しい衝動』から、教会のステンドグラスを透かす光のような『神々しいまでの透明感』まで」、無数の人格が同居しているかのような圧倒的な表現幅
※上記の動画を後半部分までチェックしてみてください。ディストーションのような発音までバッチリカバーしてますよ〜

中央のFeelノブを操れば、1960年代のジリジリとした飢餓感のあるヴィンテージトーンから、現代的な壁のような重厚サウンドまで、まるで複数の名機をシームレスに切り替えているかのような錯覚に陥ります。

そして、絞り出したトーンから漂うのは、本能で感じる「ダダ漏れのフェロモン」。艶やかで湿り気を帯びた倍音は、一音鳴らすだけで空間の空気を一変させる圧倒的な色気を放ちます。ギター側のボリュームを絞れば、クリスタルより美しいクリーンが顔を出し、その劇的な変化に弾き手はただ陶酔するのみ。

この「孤高の音色」は、一度手にしたら二度と手放したくなくなるでしょう。

シリコンとゲルマニウムの「ハイブリッド構造」が生む奇跡

Myriad Fuzzの核となるのは、シリコン・トランジスタとヴィンテージのゲルマニウム・トランジスタを組み合わせたハイブリッド回路です。

一般的に、シリコンは「ハイゲインで安定しているが硬い」、ゲルマニウムは「温かく音楽的だが不安定」という特性がありますが、VEMURAMはこの相反する二者を完璧なバランスで共存させました。ゲルマニウム特有の有機的な質感と、シリコンの力強いプッシュ感。この両者が溶け合うことで、既存のファズでは到達できなかった「太さとキレ」の両立を実現しています。

「Feel」ノブがもたらす、指先と回路の対話

このペダルの真骨頂は、「Feel」ノブにあります。これは単なるトーン調整ではありません。ファズの反応性、つまり「コンプレッション感」や「サステインの粘り」を自在にコントロールする魔法のツマミです。

左に回せば、ヴィンテージライクなザラついた質感に。右に回せば、よりモダンでスムーズな、歌うようなバイオリン・トーンへ。ギタリストのタッチに回路がどう反応するかを設計できるこの機能こそ、Myriadが「楽器」として評価される最大の理由です。

驚異的なボリューム・フォロワー特性

「良いファズはギターのボリュームを絞った時に真価を発揮する」と言われます。Myriad Fuzzはこの点において、右に出るものがいません。

フルボリュームでの狂暴な咆哮から、ボリュームを「2」程度まで絞った時の鈴鳴りのようなクリーン〜クランチへの移行は、あまりに滑らかで音楽的です。手元の操作だけで、一曲の中でクリーン、オーバードライブ、ファズを使い分ける。そんなプロフェッショナルなプレイスタイルが、この一台で完結します。

緻密なトーンシェイピングを可能にする「Tone」と「Fuzz」

MyriadのFuzzコントロールは、可変幅が極めて広く設計されています。最小付近では上質なオーバードライブとして機能し、最大に上げれば空間を埋め尽くす濃厚な歪みへと変化します。

また、Toneノブは特定の帯域を削るのではなく、音楽的な重心を移動させるような感覚。どのポジションに設定しても「使える音」にしかならないという、VEMURAM独自のチューニングの妙が光ります。

トリマーによる「沼」のようなカスタマイズ性

筐体上部の小窓トリマー(ゲルマニウム・バイアス調整)。ここを調整することで、ファズの「ゲート感」や「出力キャラクター」をさらに追い込むことが可能です。

自分だけの「黄金比」を見つけ出した時、このペダルは世界に一つだけの、あなた専用のシグネチャーモデルへと昇華します。

徹底した低ノイズ設計とブラス筐体

ファズの宿命とも言える「ノイズ」を、VEMURAMは独自のオールブラス(真鍮)筐体によって極限まで抑え込んでいます。ブラス筐体は電磁波シールド効果が高いだけでなく、その重量によって不要な振動を抑制し、音に独特の「重厚な艶」を与えます。

ハイゲイン設定時でも、静寂の中に音の芯がはっきりと存在し続ける安心感は、他のペダルでは味わえません。

プロの現場に耐えうる「信頼」のメイド・イン・ジャパン

東京の工房で一つひとつ丁寧にハンドメイドされるVEMURAM製品。そのビルドクオリティは世界中のトッププロを魅了しています。堅牢なスイッチ、滑らかなポットのトルク感、そして所有欲を満たしてやまない美しい仕上げ。Myriad Fuzzは、一生モノの相棒としてあなたの足元を支え続けます。

次世代のトーン・マイスター、ジョシュ・スミスの理想

現代最高のブルースギタリストとの邂逅

ジョシュ・スミスは、トラディショナルなブルースを基盤にしながら、ジャズやロックの要素を高度に融合させた、現代を代表するプレイヤーの一人です。彼が求めたのは、「ヴィンテージの魂を持ちながら、現代のステージで完璧に機能するファズ」でした。

VEMURAMのエンジニアとジョシュが数年の歳月をかけて試作を繰り返し、辿り着いた答え。それがMyriad Fuzzです。彼のシグネチャーサウンドである、あの厚みのあるクリーミーなリードは、このペダルなくしては語れません。

シリコンとゲルマニウムの歴史的相克の解消

ギターエフェクターの歴史の中で、ファズは常に「進化」と「退化」の間で揺れてきました。1960年代のゲルマニウム・ファズ(Fuzz Face等)は素晴らしい音色でしたが、気温によって音が変わる、接続順にうるさい、ノイズが多いといった弱点がありました。

Myriad Fuzzは、VEMURAMの高度な技術力によってこれらの問題を克服。ヴィンテージの「美味しい部分」だけを、現代の安定した回路構成で再現することに成功したのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名VEMURAM Myriad Fuzz
タイプシリコン/ゲルマニウム・ハイブリッド・ファズ
電源9V DC(センターマイナス)/ 9V電池対応
寸法約70mm(W) x 113mm(D) x 50mm(H)
重量約425g
製造国日本
参考プレミアム価格¥80,000 ~ ¥100,000 前後

黄金のブラス筐体が放つオーラ

Myriad Fuzzを手にした時、まず驚くのはその「重み」です。400gを超えるブラス製の筐体は、プラスチックやアルミ合金のペダルとは一線を画す重厚感を放ちます。

落ち着いたゴールドに輝くヘアライン仕上げの筐体は、使い込むほどに酸化し、アンティークのような味わい深い表情(エイジング)へと変化していきます。これはまさに、弾き手と共に歴史を刻む「楽器」そのものです。

トップパネルには「Level」「Fuzz」「Feel」「Tone」の4つのノブが整然と並び、視認性も抜群。LEDは視認性の高い赤色を採用しており、オン/オフの状態を瞬時に判別できます。

資産価値すら宿す黄金のファズ:手に入れるなら「今」しかない

このペダルの凄まじさは、音色だけではありません。現在、Myriad Fuzzに使用されている希少なヴィンテージ・ゲルマニウム・トランジスタの枯渇に伴い、事実上の生産終了。生産再開は極めて困難な状況にあります。

その影響で、中古市場におけるプレミアム価格はまさに「爆上がり」(8万〜10万程度)しており、もはや一種の投資対象のような価値すら持ち始めています。

供給が止まった名機が辿る道は一つ。今後も当たり前のように高騰を続け、数年後には「あの時買っておけばよかった」と後悔する伝説のアイテムとなるでしょう。もし、あなたがこの唯一無二のトーンに少しでも心を動かされたなら、迷わず「今」手に入れることを強く推奨します。市場から姿を消し、手が届かない高嶺の花になってしまう前に、この黄金の輝きをその手に収めておくべきでしょう。

ジャンル別・究極のセッティング・ガイド

モダン・ブルース:ジョシュ・スミス・トーン

設定:

  • Level: 2時
  • Fuzz: 10時
  • Feel: 1時
  • Tone: 12時
  • Guitar Vol: 7〜8

ジョシュ・スミスの代名詞である、太く、粘りがあり、それでいてクリアなサウンド。Fuzzを抑えめにし、Feelをやや右に振ることで、ピッキングの食いつきを良くします。ギター側のボリュームを少し絞ることで、最高にジューシーな「クランチ・ファズ」が手に入ります。

ヴィンテージ・ロック:ジミ・ヘンドリックス風・咆哮

設定:

  • Level: 1時
  • Fuzz: 3時
  • Feel: 9時
  • Tone: 10時
  • Guitar Vol: 10

1960年代後半のサイケデリックな熱狂を再現。Feelを左に回すことで、ゲルマニウムらしい「ルーズで飽和感のある」質感を引き出します。Toneを少し絞ることで、ストラトのリアピックアップでも耳に痛くない、野太いサウンドを構築できます。

ヘヴィ・オルタナティブ:破壊的な壁

設定:

  • Level: 12時
  • Fuzz: MAX
  • Feel: 3時
  • Tone: 2時

すべてをなぎ倒すような、圧倒的なゲイン。Feelを右に振り切ることでサステインを稼ぎ、Toneを上げることでアンサンブルを突き抜けるエッジを加えます。低域が潰れすぎないため、ダウンチューニングや7弦ギターでも輪郭を失いません。

ネオ・ソウル/ジャズ:クリスタル・クリーン

設定:

  • Level: 3時
  • Fuzz: 9〜12時
  • Feel: 12時
  • Tone: 1時
  • Guitar Vol: 1〜3

「ファズでクリーンを作る」という贅沢な使い方。Myriadをオンにしたままギターのボリュームを極限まで絞ると、通常のクリーンチャンネルでは得られない、「鈴が鳴るような」煌びやかな倍音を含んだクリーンが得られます。カッティングや繊細なアルペジオに最適です。

現場のプロが語る:Myriad Fuzzの衝撃

スタジオミュージシャン A氏の証言

「現場に持っていくファズを一つ選べと言われたら、迷わずMyriadです。最大の理由は『調整の幅』。

アンプの種類やその日の湿度、求められる楽曲のニュアンスに対して、Feelノブ一つでアジャストできる。こんなにストレスのないファズは初めてです。」

セッションギタリスト K氏の体験談

「僕はこれまで、用途に応じて3〜4種類のファズペダルを使い分けていました。ヴィンテージライクな曲には古いゲルマニウムファズ、モダンロックには シリコンファズ、という具合に。

しかしMyriad Fuzzを手に入れてから、状況が一変しました。このペダル一台で、かつて複数のペダルで対応していた音色バリエーションがすべてカバーできるんです。特にBiasコントロールの威力は絶大で、曲ごとに微調整することで、完璧にマッチした質感が得られます。

ライブでのペダルボードが大幅に軽量化され、セッティングも簡素化されました。『引き算の美学』とでも言うべきでしょうか。最高品質の一台があれば、あとは不要だと気づかされました」

ライバル機との徹底比較:Myriad Fuzzの立ち位置

項目VEMURAM Myriad FuzzAnalogman Sun FaceElectro-Harmonix Big Muff
キャラクターハイブリッド/万能ゲルマニウム/ヴィンテージシリコン/壁系
操作性非常に高い(Feelノブが優秀)気難しさがある(個体差大)シンプル(大味)
ノイズ極めて低いやや多い多い
価格帯ハイエンド(10万円前後)入手難(65万前後)エントリー(1.8万円前後)
総評現代の最高傑作伝統の守護者永遠のスタンダード

まとめ:あなたのギターサウンドに「無限」の彩りを

VEMURAM Myriad Fuzzは、表現のための精密機器です。

ハイブリッド回路による無限に近い音色バリエーション。Biasコントロールがもたらすファズキャラクターの自在な変化。ギターボリュームへの驚異的な追従性。そして日本の職人技が生み出す、工芸品としての佇まい。

「クリーンブーストから破壊的ディストーションまで」、一台で全てのゲインステージをカバーする守備範囲の広さ。「ヴィンテージの温もりとモダンな明瞭さ」を両立させた、究極のトーン。

世の中には素晴らしいファズペダルが他にも数多く存在しますが、もし「一生に一台だけファズを選べ」と言われたら、僕は迷わずこのMyriad Fuzzを選ぶでしょう。

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