
この「パキッ」と乾きと「プリッ」とした弾力性こそ、ブリティッシュドライブの天上サウンド!
デンマークが生んだ、玄人向けハイエンド・エフェクター・ブランド、Carl Martin(カール・マーティン)。彼らが「プレキシ・サウンドの決定版」として世に送り出したこのPlexiRangerには、「伝統への敬意」と「現代的な機能性」が完璧なバランスで共存しています。
Plexi(オーバードライブ)セクションの生々しさはもちろん、個人的にはトレブルブースター的な使い方が出来るレンジブースターセクションの出来栄えに度肝を抜かれました。
守備範囲も広く、完成度が高すぎて、マーシャルの実機アンプを何台も所有しているのに、しばらくこのペダルばかり使ってしまった筆者です...本物より本物っぽいってどういうこと!?(笑)
使用レビュー:弾けるようなブリティッシュ・トーンの決定版
まずビンビンに感じるのは「弾ける」ような圧倒的な活きの良さです。
実がパンパンに膨らんだ果実のような感触!
サウンドの肝は歪みの前段に配置された独自のレンジブースター。音量を上げるだけのブースターとは一線を画し、「どの帯域をプッシュして歪ませるか」をFreqノブで緻密にコントロールできます。
高域を突けば、耳を突き抜けるような鋭いトレブル・ブーストがカッティングを輝かせ、ミッドを押し上げれば、粘りつくようなリード・トーンがソロを支配します。まるで、ヴィンテージ・マーシャルの入力感度を自在に操っているかのような感覚。
内部12V昇圧による広いヘッドルームが、然るべき「反応」を返し、あなたのギタートーンをブリティッシュ・モンスターへと変貌させます。
伝統の「プレキシ」に「ブースト」を融合させた2-in-1設計
PlexiRangerの最大の強みは、独立したPlexi(オーバードライブ)セクションとBoost(ブースター)セクションを一台に凝縮している点です。
単に2つのペダルを並べただけではありません。特筆すべきは、ブーストセクションがプレキシセクションの「前段」に配置されていること。これにより、歪みの深さをさらに押し広げ、ソロ演奏時に必要なサステインと粘りを意図的に作り出すことができるのです。
「Freq」ノブが魔法をかける、緻密なレンジ・ブースト
多くのブースターが単に音量を上げるだけなのに対し、PlexiRangerはブーストする周波数(Frequency)を任意で選択できます。
これが凄まじく良い!というか、むしろこの部分の方が良い仕事をしてくれている感すらある。
250Hzから5kHzまでの範囲で、どの帯域を強調するかを「Freq」ノブでコントロール。さらに「Range」ノブでブースト量を決定します。これにより、中域を盛り上げてリードを際立たせることも、高域を突いてエッジの効いたカッティングを作ることも思いのままです。
DC/DCコンバーターによる内部12V動作の余裕
本体の電源入力は標準的な9Vですが、内部に搭載されたDC/DCコンバーターによって電圧を12Vに昇圧して動作させています。
この3Vの差が、音の「ヘッドルーム」に劇的な違いをもたらします。ピッキングに対するレスポンスが極めて速く、強弱が指先一つで表現できる。まるで本物のアンプのように、ギター側のボリュームを絞れば鈴鳴りのようなクリーンまで戻る……この「生きた反応」こそがCarl Martinの真骨頂です。
独自の「Lo-Cut」スイッチによる低域のコントロール
プレキシ系ペダルの弱点として、低域が膨らみすぎて音がボヤけることがよくあります。
PlexiRangerにはOFFを含めた3段階のLow Cutスイッチが搭載されており、使用するアンプやキャビネットの特性に合わせて、タイトな低域を瞬時に設定可能。多弦ギターやダウンチューニングでも、音が濁ることなく明瞭なドライブが得られます。
リモートスイッチ端子によるプロ仕様のシステム構築
背面には「Remote」ジャックを装備。外部のスイッチャー等からPlexiセクションとBoostセクションを個別にオン/オフ制御できます。
これにより、エフェクターボードの奥に配置しても、足元のプログラマブル・スイッチャーで集中管理が可能。ライブ志向のプロフェッショナルなニーズにも完璧に応えています。
ブリティッシュ・ロックなギターサウンドのお手本
1970年代のスタックアンプ・トーンへの回帰
かつて、ジミー・ペイジやアンガス・ヤング、エディ・ヴァン・ヘイレンらが愛した「プレキシ」アンプ。それは、ボリュームをフルアップにしなければ得られない、暴力的なまでのエネルギーを秘めたサウンドでした。
PlexiRangerは、その「アンプが限界を超えて鳴り響く瞬間」を、音量に関わらず再現することを目指して設計されました。
ブーストという「伝統的な手法」の現代的解釈
ブライアン・メイをはじめとした往年のギタリストたちは、ブリティッシュアンプの前段にトレブルブースター(Range Masterなど)を繋ぎ、さらに音を追い込んでいました。PlexiRangerの「ブースト+プレキシ」という構成は、まさにその歴史的セットアップを一台で再現したものです。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | CARL MARTIN PlexiRanger |
| タイプ | オーバードライブ / ブースター |
| 電源 | 9V DC (センターマイナス) / 内部12V昇圧 |
| 消費電流 | 最大 100mA |
| 寸法 | 120(W) x 95(D) x 56(H) mm |
| 重量 | 約 420g |
| 製造国 | デンマーク(デザイン・開発) |
| 参考価格 | ¥24,000前後 |
直感的なコントロール・レイアウト
- Gain: 歪みの深さを調整。クランチからハイゲインなハードロックまでカバー。
- Tone: 全体的な明るさを調整。
- Level: プレキシセクションの出力音量。
- Boost: ブーストセクションの音量(最大+15dB)。
- Freq: ブーストしたい中心周波数を選択。
- Range: ブーストの強さを調整。
- Lo-Cut: 0(フラット)、1(適度なカット)、2(大幅なカット)の3モード。
音響分析:Plexiらしさを作る秘密
Plexiセクション:歪みの質
非常にキメが細かく、かつザラついた「ブリティッシュ・バイト(噛みつき)」を感じさせる歪みです。
- 低域: どっしりとしていながら、Lo-Cutスイッチでタイトに引き締め可能。
- 中域: プレキシ特有の「コンッ」という乾いたアタック感。
- 高域: 突き抜けるような倍音。耳に痛くない、音楽的な煌めき。
Boostセクション:音色補正の極致
このペダルの真価はブースト側にあります。
「Freq」ノブを右に回すと、トレブルブースターのように高域が強調され、カッティングが際立ちます。逆に左に回すと、ローミッドが押し出され、ストラトキャスターの細い音をレスポールのような太さに変えることさえ可能です。
ジャンル別完全攻略セッティング集
クラシックハードロック:70's トーン
- Plexi Section: Gain 2時 / Tone 1時 / Level 12時
- Boost Section: Boost 11時 / Freq 12時 / Range 1時
- Lo-Cut: Position 1
伝説的なハードロック・サウンド。Gainを深めに設定し、Boostで中域を少し足すことで、壁のような迫力あるリフが完成します。
ブルース・ロック:質量感のあるクランチ
- Plexi Section: Gain 10時 / Tone 11時 / Level 1時
- Boost Section: Boost Off (または薄く) / Freq 9時
- Lo-Cut: Position 0
ギターのボリューム操作に敏感に反応する設定。ピッキングを弱めればクリーン、強く弾けば歪む、弾き手のニュアンスがダイレクトに伝わります。
ヘヴィ・ロック:モダン・プレキシ
- Plexi Section: Gain MAX / Tone 2時 / Level 11時
- Boost Section: Boost 2時 / Freq 1時 / Range 3時
- Lo-Cut: Position 2
ブーストをフル活用し、低域をカット。歪みの飽和感を最大にしつつも、音の芯を残した現代的なリードサウンドです。
知人プロが語る:PlexiRangerの現場力
スタジオ・ミュージシャン K氏の証言
「仕事でいろんなアンプを使うけど、どんなアンプでも『自分の音』にするために、PlexiRangerは手放せません。特にFreqノブ。現場のアンプがモコモコしていても、これで特定の帯域を突けば一瞬で解決する。これほど現場対応力の高いドライブペダルは他にないですね。」
ライバル機との徹底比較分析
| 項目 | PlexiRanger | Xotic SL Drive | Friedman BE-OD |
| 歪みの傾向 | 伝統的プレキシ | 枯れたヴィンテージ | モダン・ハイゲイン |
| ブースター | 独立搭載 (Freq選択可) | なし | なし |
| 操作性 | 非常に多彩 | シンプル | 深い調整が可能 |
| サイズ | やや大きめ | ミニサイズ | 標準 |
Xotic SL DriveやFriedman BE-ODも、素晴らしいマーシャル系ペダルですが、PlexiRangerは、ブースターを内蔵している点で圧倒的な利便性を誇ります。単体での完結力が違います。
まとめ:極限まで音作りを追い込めるマーシャル系ペダル
数あるマーシャル系ペダルの中でも、PlexiRangerほど深く、かつ直感的に音色を追い込める一台は他にありません。多くのペダルが「アンプの音」を模倣する一方で、これは「アンプを鳴らし切るためのシステム」そのものをペダルボードに再現してしまいます。
特に、独立したレンジブースターセクションの完成度は圧巻!
周波数を選択して歪みの質感を再構築できるこの機能は、おまけではなく、もはやこのセクションのためだけに手に入れる価値があると言っても過言ではありません。
現場の環境や使用ギターの特性に合わせて、理想の「鳴り」をミリ単位で調整できる快感。これがあれば、どんなアンプを前にしても、歪みを完全に支配下に置くことができるでしょう。




