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FENDER「The Pelt Fuzz」レビュー:野生の狂気と洗練さを併せ持つファズ

FENDER The Pelt Fuzz のイメージ画像

ギター界の帝王、Fenderオリジナル回路のファズと聞いて、興味をそそられないギタリストはいないでしょう!

そもそも、ファズといえば、気難しくて制御不能な「暴れ馬」というイメージが先行しがちですが、このペダルから溢れ出すのは、圧倒的な破壊力と、驚くほど緻密な音楽的コントロールの両立なのです。

ひとことで言い表すなら、「制御された混沌」
粗野でありながら音楽的、攻撃的でありながら美しい、「知性を持った野獣」のような存在!

1946年の創業以来、エレキギター史やロックカルチャーそのものを創り上げてきた Fender。レオ・フェンダーのDNAを受け継ぐエンジニアたちが、現代のプレイヤーのためにゼロベースで設計したオリジナル回路。それがこの「The Pelt Fuzz」なのです。

ここでは、このペダルに込められた、「ロックンロールの原初衝動」にスポットを当てていきましょう。

使用レビュー:伝統と革新が衝突し、華やかなファズトーンが開花する

FENDER The Pelt Fuzzのスイッチを踏むことは、レオ・フェンダーが築いた「伝統」の安心感に身を委ねつつ、現代のエンジニアが仕掛けた「革新」という名の雷鳴に打たれるような体験です。

シリコン・トランジスタを心臓部に持ちながら、そのトーン生成や挙動は驚くほど秩序立っています。伝統的なファズが持つ、鼻をつまんだような強烈なコンプレッションはそのままに、独自の「Bloom」コントロールを回せば、音の粒子が霧のように立ち込め、まるで大輪の華が開くような「倍音の飽和」を味わわせてくれるのです。

さらに、現代的なMid/Thickスイッチがアンサンブルでの「埋もれ」を完璧に解消。ヴィンテージの気難しさを最新の設計で飼いならし、破壊的な轟音とベルベットのような艶やかさを両立させたこの一台は、まさに温故知新を体現した現代ファズのマスターピース!

シリコン・トランジスタの限界を突破した柔軟性

The Pelt Fuzzの心臓部には、安定した動作とエッジの効いたサウンドが特徴のシリコントランジスタが採用されています。しかし、その音色は決して冷たい印象ではない!

肝心の持ち味としては、後述する多彩なコントロールによって、ゲルマニウム・ファズのような温かみのある「ベルベットな質感」から、シリコン特有の「切り裂くようなバイオレンスな歪み」までを、この一台でシームレスに行き来できる点にあります。

サウンドの輪郭を司る「Bloom」コントロール

一般的なファズにある「Sustain」や「Fuzz」ノブとは一線を画すのが、このBloom(ブルーム)コントロールです。

これは単に歪みの量を増やすだけでなく、音の「咲き方」を調整します。ノブを回していくと、音が壁のように迫り来る圧縮感が増し、音の輪郭がじわじわと滲み出すような、ファズ特有のダイナミズムを自由に操ることができます。

音の層を切り裂く「Mid」スイッチ

アンサンブルの中でファズが埋もれてしまう――。そんな多くのギタリストが抱える悩みを、フェンダーはMidスイッチという直感的な回答で解決しました。

中音域をブーストすることで、ベースやドラムの轟音の中でもギターの存在感を際立たせ、ソロパートで一気にフロントへ躍り出ることが可能です。逆にカットすれば、伝統的なスクープサウンドによる、重厚な壁のようなリフを刻めます。

低域の解像度を保つ「Thick」スイッチ

「ファズをかけると音が潰れて低音がボヤける」という弱点を克服するため、Thickスイッチが搭載されています。

これをオンにすると、サウンドの重心がグッと下がり、ローエンドに圧倒的な厚みが加わります。感動したのは、厚みを増しても音の芯がボヤけないこと。ダウンチューニングや7弦ギター、さらにはベースでの使用時も、そのパンチ力を失うことはありません。

ピッキングニュアンスへの異常なまでの追従性

The Pelt Fuzzのオーディオ的優な秀さは、そのダイナミックレンジにあります。

ファズをフルアップに設定していても、ギター側のボリュームを絞れば、簡単に絶品クリーン〜クランチサウンドへと変化します。手元のボリューム一つで、狂暴な咆哮からフェンダー・アンプのような煌めきまでを操れる快感は、一度味わうとクセになりますよ〜。

視認性と操作性を極めたプロダクトデザイン

軽量かつ堅牢なアルマイト加工のアルミニウム筐体は、ツアーの過酷な環境にも耐えうる信頼性を持っています。

さらに、フェンダーのこだわりが光るのが「LEDバックライト付きノブ」です。暗転したステージ上でも、各コントロールのセッティングが一目で把握でき、操作ミスを防ぎます。背面のスイッチでバックライトをオフにできる点も、ユーザーへの細やかな配慮が感じられます。

画期的なマグネット式9V電池ドア

多くのペダルがドライバーを必要とする中、The Pelt Fuzzはマグネット式の電池コンパートメントを採用しています。

工具なしで、わずか数秒で電池交換が可能。ボードに固定した状態でもストレスなくメンテナンスができるこの仕様は、現場を理解しているフェンダーならではの革新的な発明と言えるでしょう。他のメーカーも採用して欲しいくらい、めちゃくちゃ楽です!

現代のプレイヤーに捧げる設計思想

ファズの歴史を現代の技術で再定義

ファズの歴史は、1960年代の「偶然の産物」から始まりました。不完全な回路が産み出す、ある種「壊れた音」こそがロックの衝動を象徴していたのです。

しかし、現代の音楽制作において、その不完全さは時に「扱いにくさ」へと繋がります...。Fender The Pelt Fuzzは、ヴィンテージ・ファズが持つ「ロマン」を損なうことなく、現代の録音環境やライブハウスでの「実用性」を極限まで高めるという、野心的な試みから誕生しました。

ジャンルを選ばない「万能な歪み」

かつてのファズは「特定のジャンル専用」の道具でした。でも、The Pelt Fuzzはその圧倒的な音作り幅によって、サイケデリック・ロックはもちろん、現代のポップス、シューゲイザー、ガレージロック、さらにはインダストリアルなメタルまでをもカバーし得るレンジの広さ!

「歪み」という現象を多角的に捉え、それを緻密なコントロール(Tone、Bloom、Mid、Thick)に落とし込んだ結果、ファズというカテゴリながら、あらゆるプレイヤーの足元に馴染む「万能性」を手に入れたのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名FENDER The Pelt Fuzz
タイプシリコン・ファズ(アナログ回路)
電源9VDC(センターマイナス) / 9V電池
消費電流約50mA
筐体素材アルマイト加工アルミニウム
機能LEDバックライト付きノブ、マグネット式電池ドア
参考価格¥14,000前後

官能的なまでの造形美

The Pelt Fuzzを手に取ると、まずその軽量さと高級感のある質感に驚かされます。パープルがかった深みのあるメタリックな塗装は、見る角度によって神秘的な輝きを放ち、ボードの中で圧倒的な存在感を放ちます。う、美しい!

ノブの回転トルクは適度に重く、演奏中に足が当たっても簡単にはズレない安心感があり。スイッチの踏み心地も滑らかで、確実なオン/オフの切り替えを足裏に伝えてくれます。

音響分析:BloomとToneによる周波数制御

Bloom:サチュレーションの深層

Bloomコントロールは、単純な歪みの深さ調整ではありません。

  • 低設定: ギターの原音の質感を残した、ザラついたオーバードライブに近い質感。
  • 高設定: 飽和した倍音が何層にも重なり、バイオリンのような無限のサステインを発生。ピッキング後の音の立ち上がりが、文字通り「開花(Bloom)」するように膨らみます。

Tone:キャラクターの決定

このペダルのToneは非常に強力です。

  • 反時計回り: 低域が強調された、いわゆる「ウーマントーン」的なダークでスモーキーな響き。
  • 時計回り: 超高域まで伸び切った、ガラスが砕けるような鋭利なサウンド。しかも、Mid/Thickスイッチと組み合わせることで、特定の周波数帯域をピンポイントで強調・カットでき、ミックス内でのギターの「居場所」を正確にデザインできます。

ジャンル別完全攻略セッティング集

ガレージ・ロック:荒々しい衝動

  • Level: 12時
  • Tone: 2時
  • Bloom: 10時
  • Mid: OFF
  • Thick: OFF
  • 推奨アーティスト: The White Stripes, The Stooges

    余分な厚みを削ぎ落とし、カサついたエッジを強調する設定。低めのBloom設定が、コード弾きでも音の分離感を保ちつつ、攻撃的なパンチを生み出します。

シューゲイザー:漆黒の轟音

  • Level: 2時
  • Tone: 11時
  • Bloom: 4時
  • Mid: ON
  • Thick: ON
  • 推奨アーティスト: My Bloody Valentine, Slowdive

    MidとThickを両方オンにすることで、全帯域を覆い尽くす圧倒的な音の壁を構築。Bloomを深めに設定し、長いディレイやリバーブと併用することで、空間が歪むような幻想的なテクスチャーが得られます。

ブルース・ロック:歌うファズ・トーン

  • Level: 3時
  • Tone: 12時
  • Bloom: 2時
  • Mid: ON
  • Thick: OFF
  • 推奨アーティスト: Gary Clark Jr., Jack White

    ソロ演奏に最適な設定。Midスイッチがリードギターの旋律を際立たせ、Bloomが生み出す豊かな倍音がチョーキングやビブラートに生命を吹き込みます。

ストーナー/ドゥーム:地底からの咆哮

  • Level: 1時
  • Tone: 9時
  • Bloom: 最大
  • Mid: OFF
  • Thick: ON
  • 推奨アーティスト: Queens of the Stone Age, Sleep

    意図的に高域を抑え、Thickスイッチで重低音をブースト。Bloomを最大にすることで、泥濘(ぬかるみ)のような重厚でスローなリフを奏でるための究極のサウンドになります。

知人プロが語る:The Pelt Fuzzの衝撃

レコーディングエンジニア T氏の証言

「最近の現場で、ファズの指定があればまずこれを出します。理由は明確で、『EQのノリが異常に良い』からです。

従来のファズは、録音した後に特定の帯域を削ると音がスカスカになりがちですが、The Pelt Fuzzは元の情報量が多いので、大胆なエディットにも耐えうる。特にThickスイッチによる低域の安定感は、エンジニアとしてミックスが非常に楽になります。デジタルシミュレーターでは絶対に出せない『空気の震え』が録れる数少ない現行ペダルですね」

スタジオミュージシャン Y氏の体験談

「ツアーで使うボードには、常に『不測の事態』に対応できる柔軟性が求められます。会場のアンプがRoland JC-120だろうが真空管のMarshallだろうが、The Pelt Fuzzは常に一貫した『使えるファズサウンド』を作らせてくれる。

特に驚いたのは、ボリュームを絞った時のクリーンアップの美しさ。もはや別のペダルを踏んだかと思うほどの透明感です。曲のセクションごとにペダルを何個も踏み替える必要がなくなり、より演奏そのものに集中できるようになりました」

The Pelt Fuzz:主な使用アーティスト

created by Rinker
ABRAXAN HYMNS

Gina Gleason (Baroness)

プログレッシブ・メタル/ハードロック・バンド「Baroness」のギタリスト、ジーナ・グリーソン。

  • 活用法: 彼女はメタルの文脈に、ファズ特有の有機的なテクスチャーを融合させるために使用。

Jacob Agee

セッションギタリストとして知られるジェイコブ・アジーは、10年以上のキャリアの中で「ファズ派」に転向した理由としてThe Pelt Fuzzを挙げています。

  • 活用法: Bloom機能を駆使し、アタックの強弱だけでクリーンから激しい歪みをコントロールするダイナミックなプレイが特徴。

ライバル機との徹底比較分析

vs Electro-Harmonix Big Muff Pi

項目The Pelt FuzzBig Muff Pi
歪みの質多彩(繊細〜狂暴)伝統的(マフ特有の壁)
ミッドレンジ自在に制御可能基本的にスクープ(中抜き)
操作性現代的(LED、電池蓋)無骨なヴィンテージ仕様
サイズコンパクト大型(ナノサイズもあり)

Big Muffが「特定の音色」を愛する人のための聖典であるならば、The Pelt Fuzzは「あらゆるファズサウンドを掌中に収めたい」人のためのツールです。

vs Z.Vex Fuzz Factory

項目The Pelt FuzzFuzz Factory
安定性極めて高い非常に不安定(それが魅力)
サウンドの方向性音楽的な歪み実験的・発振系
難易度初心者でも即戦力職人芸的なノブ調整が必要

Fuzz Factoryが予測不能な「カオス」を求める機材だとすれば、The Pelt Fuzzは「制御された狂気」を具現化する機材です。

まとめ:反逆精神、実験主義、そして現代の洗練

  • 創造性を刺激する: これまで避けていたファズというジャンルが、一気に身近な表現手段になります。
  • 表現の幅を広げる: 手元のボリューム操作一つで、楽曲にドラマチックなダイナミクスをもたらします。

60年代のガレージで産まれたあの剥き出しの反逆精神を、鋭いシリコンの咆哮として継承しつつ、70年代のプログレッシブな実験主義が求めた「音の壁」や変幻自在のテクスチャーを、緻密なコントロールで見事に再現しています。

しかし、このペダルの真価は、それらを現代の洗練された技術で「制御可能」にした点にあります。ノイズを抑え、アンサンブルでの輪郭を保ち、ステージでの実用性を極めた設計は、過去の熱狂を現代の解像度で再定義し、未来のトーンを切り拓く。これこそが、Fenderが導き出したファズの最終回答なのでしょう。

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