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DSM & Humboldt「SIMPLIFIER X」レビュー:アンプをデザインする全能感

DSM & Humboldt SIMPLIFIER X のイメージ画像

「これが、アンプ部にデジタルを一切介さない『本物』の応答速度」

昨今のギターシーンは、強力なDSPを搭載したデジタル・プロセッサーが席巻していますし、実際便利でハイクオリティ。
しかし、どれほど解像度が上がろうとも、アナログ回路特有の「電圧が躍動する感覚」を渇望するギタリストは少なくありません。

SIMPLIFIER Xは、そんなアナログ至上主義者への、ラテンアメリカらしさに溢れたチリのDSM & Humboldt社からの最高に熱い回答です!

2つの独立した完全アナログ・アンプ・チャンネル、ステレオ入出力、そして直感的な操作性。これは、あなたのペダルボードを、最高級のレコーディング・スタジオに変貌させる「アンプデザイン・コンソール」です。

使用レビュー:プリ・パワー・キャビをカスタムする贅沢

SIMPLIFIER Xのノブを回す時間は、「理想のアンプをゼロから設計する」という背徳的なまでの全能感に満ちています。

左側で英国の伝統的なブリティッシュ・プリを選び、右側ではアメリカンのパワー段をシミュレートする。そこに、スタックキャビネットの重厚な箱鳴りを物理フィルターで重ね合わせる――。

デジタル・プリセットを切り替える受動的な作業ではなく、電圧の挙動を指先で支配し、回路の深部まで踏み込んで自分だけの「究極の一台」をビルドアップしていく贅沢がここにあります。

完成したトーンに指を這わせれば、アナログ回路だけが許すゼロ・レイテンシーのレスポンスが、プレイヤーの魂を揺さぶります。これは、ボードに収まるサイズで手に入れた、世界で唯一無二のプライベート・アンプ・ファクトリーなのです。

完全アナログ・シグナルパス

SIMPLIFIER Xの最大の武器は、アンプ部分においてA/D、D/A変換を一切行わない「フルアナログ」であることです。

1ミリ秒の遅延すら許されないライブ演奏において、弦を弾いた瞬間に音がスピーカー(あるいはヘッドホン)から飛び出してくるスピード感。デジタル特有の「薄い膜」を一枚剥ぎ取ったような、生々しいプレゼンス。この「触感」こそが、ギタリストのインスピレーションを加速させます。

「2つのアンプを同時に鳴らす」という贅沢:完全独立2チャンネル

本機は「Side A」と「Side B」という、完全に独立した2つのプリアンプ・セクションを持っています。

単なるクリーンとドライブの切り替えではありません。例えば、「Side AでAC30系のクリーンを鳴らし、Side BでPlexi系の歪みを重ねる」といったパラレル・アンプ設定が可能です。これにより、音の芯を保ったまま深い歪みを得る、ハイエンドなレコーディング手法が足元で完結します。

世界を代表する「6つのアンプ・ボイシング」

各チャンネルに3つずつ、計6つの伝説的アンプのキャラクターが凝縮されています。

  • AC BRIT: 鈴鳴りのようなトップエンドが美しい英国の誇り(VOXスタイル)。
  • USA: 透明感あふれるワイドレンジなクリーン(Fenderスタイル)。
  • MS BRIT: ロックの歴史を作った力強いミッドレンジ(Marshallスタイル)。

物理的な空気感を作る「アナログ・キャビネット・シミュレート」

IR(インパルス・レスポンス)を使用せず、アナログフィルターのみでスピーカーの挙動を再現しています。

Combo(1x12)、Twin(2x12)、Stack(4x12)の3タイプをスイッチ一つで切り替え可能。さらに、スピーカーのキャラクターをノブで無段階に調整できます。デジタルのIRにある「固定された音」ではなく、その場で空気を動かして音を作る感覚は、まさにエンジニアリングそのものです。

ステレオ接続の可能性を広げる「ステレオ・リターン」

エフェクト・ループがステレオに対応しているため、空間系ペダルのポテンシャルを100%引き出せます。

ステレオのディレイやリバーブをSIMPLIFIER Xのリターンに戻せば、左右に広がる圧倒的な音響空間を構築できます。宅録においても、オーディオインターフェースに繋ぐだけでプロクオリティのステレオ・ギタートラックが完成します。

3つのモードによる柔軟なルーティング

  • FULL PARALLEL: 2つのアンプを左右に振り分け、ステレオで出力。
  • A/B AMP: フットスイッチで2つのアンプを切り替え。
  • DUAL-MONO: 2系統でのモノラル出力。これ一台で、ライブから練習、レコーディングまであらゆるシナリオに対応します。

驚異のパワーアンプ・シミュレーション

プリアンプだけでなく、パワーアンプの挙動までアナログでエミュレートしています。

PresenceResonanceノブにより、パワーチューブがスピーカーをドライブさせる際の「低域の押し出し」や「高域の煌めき」を微調整可能。EL34や6L6といった真空管の違いによるダイナミクスを、指先でコントロールできます。

充実のI/Oセクション

XLRバランス出力(DIアウト)を備えているため、PAシステムへ直接信号を送ることが可能です。

重いアンプを持ち運ぶ必要はありません。ペダルボードから直接PAへ。エンジニアが喜ぶほどのクリアで太いラインサウンドを提供します。もちろん、ヘッドホン端子とAUX INも装備しており、深夜の練習も最高のトーンで行えます。

堅牢かつ機能的なデザイン

航空機グレードのアルミニウム筐体に、確かなクリック感のスイッチ類。

複雑な機能を持ちながら、全てのコントロールがトップパネルに配置されているため、メニュー階層を潜る必要はありません。「音を聴きながらノブを回す」という、楽器本来の直感的な操作が守られています。

プロ・クオリティをデスクに:究極のデスクトップ・リグ

そのコンパクトさゆえ、DTM作業のデスクトップでも邪魔になりません。

お気に入りのコンパクトエフェクターをSIMPLIFIER Xの前に並べるだけで、世界最高峰のアンプを鳴らしているかのような環境が手に入ります。PCへの負荷を一切気にすることなく、最高のアナログトーンでトラッキングが可能です。

空間に命を吹き込む、高品位なステレオ・リバーブ

SIMPLIFIER Xの利便性を決定づけているのが、最終段に搭載された高品位なデジタル・リバーブの存在です。

アナログの純度を極めながらも、あえてこのセクションにデジタル技術を投入した点に、設計者の実利的な美学が光ります。「Room」「Ether」「Plate」という、キャラクターの異なる3つのモードを搭載。繊細な残響から、宇宙空間を漂うようなアンビエントな広がりまで、ノブ一つでシームレスにコントロール可能です。

特筆すべきは、これが完全なステレオ仕様であること。ステレオ出力時にこのリバーブを介せば、アナログ回路が生成した濃密なトーンが左右に鮮やかに分離し、ヘッドホンやモニター越しでも、まるで巨大なホールでアンプを鳴らしているかのような圧倒的な没入感をもたらします。別途リバーブペダルを用意せずとも、これ一台で「完成されたサウンド」をアウトプットできる完結の美しさが、ミニマルなシステム構築を強力にサポートしてくれます。

徹底解説:アナログ・エミュレーションの醍醐味

真空管のご機嫌サウンドを再現

SIMPLIFIER Xは、単なるアンプモデリングではありません。真空管アンプの各ステージ(プリアンプ、パワーアンプ、出力トランス)で起こる物理現象を、複雑なアナログ回路網でシミュレートしています。

特に、ピッキングの強弱に対する「歪みの乗り方」や「サステインの減衰」といった非線形な挙動は、アナログ回路だからこそ実現できる音楽的なレスポンスです。

「箱鳴り」を作るスピーカー・シミュレーション

デジタルIRは「ある瞬間の音のキャプチャ」ですが、SIMPLIFIER Xのアナログフィルターは、物理的なスピーカーコーンの振動特性をシミュレートしています。

そのため、EQを動かした際の音の変化が非常に自然で、アンプのトーンコントロールとスピーカーの特性が有機的に絡み合います。これが「デジタル臭さ」を感じさせない、耳が幸せなサウンドの秘密です。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様表

項目詳細
製品名DSM & Humboldt SIMPLIFIER X
タイプ2ch フルアナログ・アンプシミュレーター / DI
ボイシング6種類(各チャンネル3×2)
パワーアンプ制御Presence, Resonance, Power Drive
キャビネット1x12, 2x12, 4x12
入出力1/4" Mono/Stereo In, XLR Out, FX Loop, Headphone, AUX IN
電源9V DC (センターマイナス)
外形寸法125 x 105 x 65 mm
重量約 490g

芸術的なコントロール配置

SIMPLIFIER Xの筐体は、エンジニアのコンソールを思わせる機能美に溢れています。

各サイド面に配置された入出力ジャックは、ペダルボードの配線をスッキリとまとめるために最適化されています。

ジャンル別:SIMPLIFIER X 活用セッティング案

モダン・クリーン (Side A)

  • Mode: USA ROD
  • Cab: 2x12 (Twin)
  • Resonance: 11時
  • Presence: 2時

透明感がありつつ、芯の太いFender系サウンド。コーラスやリバーブを深くかけても音がぼやけず、ネオソウルやポップスに最適です。

70s クラシック・ロック (Side B)

  • Mode: MS BRIT
  • Cab: 4x12 (Stack)
  • Gain: 2時
  • Presence: 1時
  • Resonance: 3時

Marshall特有の「壁のように迫る低域」と「噛みつくような高域」を再現。ギターのボリュームを絞った時のクリーンアップの仕方は、まさにチューブアンプそのものです。

至高のパラレル・トーン (Both Channels)

  • Side A: AC BRIT TB (クリーン設定)
  • Side B: MS BRIT (深めのドライブ)
  • Output: Stereo Parallel

Side Bで歪みのガッツを出しつつ、Side Aでクリーンなアタック感を残す設定。どれだけ歪ませてもコード感が失われない、現代的なリードサウンドが手に入ります。

プロが語る:SIMPLIFIER Xの実力

レコーディング・エンジニア K氏の視点

「ミックスの現場で、SIMPLIFIER Xの音を聴いて驚いたのは、その『抜けの良さ』です。

デジタルシミュレーターは、時に高域が不自然に強調されたり、中域がスカスカになったりしますが、これは楽器本来の帯域がしっかりと詰まっている。EQで補正する必要がほとんどないんです。特にステレオ・キャビネット・シミュレートの位相の良さは、アナログ設計の賜物でしょう。」

ツアーギタリスト T氏の体験

「海外ツアーでは、重いアンプを持ち運ぶのは現実的ではありません。以前はデジタルプロセッサーを使っていましたが、どうしても足元の感覚に違和感がありました。

SIMPLIFIER Xに変えてからは、アンプを鳴らしている時と同じ『自分らしい演奏』ができます。PAから返ってくる音も太く、ライブでの信頼性は抜群です。何より、ACアダプター一つで動くのが最高ですね。」

ライバル機との徹底比較

特徴SIMPLIFIER XStrymon IridiumUniversal Audio Dream '65
回路フルアナログデジタル (DSP)デジタル (DSP)
チャンネル数2 (完全独立)11
FXループあり (ステレオ)なしなし
レイテンシーゼロ極低 (デジタル処理)極低 (デジタル処理)
操作性全ノブ直結プリセット式プリセット/アプリ式

SIMPLIFIER Xは、「アナログの質感」と「ルーティングの自由度」において、競合他社を圧倒しています。

まとめ:わがままなギタリストの理想が、この一台に結実

かつて、大きなアンプをスタジオに持ち込み、汗をかきながらマイクの位置を1ミリ単位で調整し、ようやく「これだ!」という音を見つけた時の、あの震えるような喜び。

SIMPLIFIER Xは、その純粋な感動をギグバッグサイズに収めてくれました。それは、効率化という名のデジタル処理で削ぎ落とされてしまった、ギターという楽器が持つ「体温」を取り戻す作業に近いかもしれません。

「もう重いアンプはいらない。でも、あの音だけは譲れない」 そんなわがままなギタリストの理想が、この一台に結実しているのです!

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