フェイザー

MXR「EVH90」レビュー:エディの魂を宿した、至高のフェイザー

MXR EVH90 のイメージ画像

この象徴的な「ストライプ」を視界に入れた瞬間、心拍数が跳ね上がりますよね!

まさに稲妻のように。ギター史を塗り替えた革命児、エディ・ヴァン・ヘイレン。彼の指先から溢れ出す、あのうねるような、時に火を吹くようなフェイズサウンドが解き放たれる――。それはギターヒーローの魂に触れる儀式のような時間。

1970年代、MXRのPhase 90はエディの手に渡り、ロックギタープレイの概念を根底から変えました。そして現代、MXRとエディの共同開発によって誕生したのが、この「EVH90」です。

ヴィンテージの「スクリプトロゴ」時代の甘く有機的なトーンと、現代的な「ブロックロゴ」の力強いエッジ。その両方を兼ね備えたこのペダルには、全ギタリストが追い求める「究極のフェイズ」といっても過言ではないのです。

使用レビュー:かつてない力強さを発揮するフェイザー

「Script」スイッチがもたらす、二つの時代の往来

EVH90の最大の武器は、筐体左側に配置された小さな「Script」スイッチです。これをオフにすれば、現行の「ブロックロゴ」モデルの骨太で深いフェイズ効果が得られ、オンにすれば、70年代の「スクリプトロゴ」モデルを彷彿とさせる、より滑らかで繊細なヴィンテージサウンドへと変貌します。

一つの筐体に、フェイザーの歴史の頂点とも言える二つのキャラクターが共存している。この贅沢さこそが、EVH90を選ぶ最大の理由になります。

歪みと共鳴する「ブラウンサウンド」の核心

多くのフェイザーが歪みの後段で「音を揺らす」ことに終始する中、EVH90は歪みの前段(ギター側)に配置することで、その真価を発揮します。エディのようにアンプをフルアップさせた状態でも、音が潰れることなく、むしろ歪みの倍音を美しく整理し、立体的な奥行きを与えてくれるのです。

デジタルシミュレーションでは決して得られない、アナログならではの「重心の低さ」と「音の食いつき」。これがEVH90の音色の核です。

究極の「ワンノブ」操作が約束する直感性

コントロールは「Speed」ノブ一つだけ。しかし、このシンプルさこそが芸術です。ノブを回すだけで、ゆっくりとした宇宙的な揺らぎから、レスリースピーカーのような高速回転まで、音楽的な「スイートスポット」を外すことなく調整できます。

演奏中に迷う余地を与えない。ギタリストが「弾くこと」に集中できる設計思想は、ライブパフォーマンスにおいて最強の武器となります。

驚異的なヘッドルームと低ノイズ設計

ヴィンテージのフェイザーにありがちな「オンにすると音量が極端に下がる」「ノイズが乗る」といったストレスが、EVH90には皆無です。現代の回路設計により、バイパス時とオン時の音量バランスが完璧に整えられており、ハイゲインセッティングでも静寂を保ちます。

高品質な内部コンポーネントにより、エフェクトオン時の透明感が維持され、不要なヒスノイズが増えることもありません。

唯一無二の「フランケンシュタイン」デザイン

エディ・ヴァン・ヘイレンの代名詞である、赤・白・黒のストライプ模様。このデザインが施されたエンクロージャーは、もはやアートピースです。ボードに組み込むだけで、その場が「ロックの聖地」へと変わるような圧倒的な存在感。

ルックスが良い機材は、自ずと演奏を熱くさせます。このペダルは、手に取るたびに新しいフレーズを呼び起こしてくれるインスピレーションの源なのです。

伝説のトーンを受け継ぐ設計思想

ハードロックの黄金時代を築いた「揺らぎ」

1978年、Van Halenのデビューアルバムが世界を震撼させたとき、人々は聴いたこともないようなギターの質感に驚きました。それが、フェイザーを「隠し味」ではなく「主役」として扱った新しいサウンドでした。

エディは、フェイザーを歪んだアンプの前段に置くことで、リードプレイに独特の「歌わせるような質感」を持たせました。それは単に音が回っているのではなく、ギターという楽器が「呼吸」しているかのような有機的な響きだったのです。

フェイザーとフランジャーの境界を超えて

音楽史において、エディはフェイザーとフランジャー(EVH117)を巧みに使い分けましたが、その「基本のうねり」を作っていたのは常にPhase 90でした。

EVH90は、この歴史的文脈を踏まえつつ、スクリプト(浅く滑らか)とブロック(深く鋭い)という2つのモードを提供します。これにより、初期の「Eruption」で聴けるような淡いうねりから、後のより深いフェイズサウンドまでを網羅しているのです。

現代の機材環境に最適化された回路

EVH90は「ヴィンテージの完全再現」に留まらず、「現代のステージ環境での使いやすさ」を重視しています。インピーダンスの整合性や、電源ノイズへの耐性など、細部まで現代的にブラッシュアップされています。

結果として、単なる「復刻品」ではなく、「エディが現代のライブで使うための、アップデートされたマスターピース」が誕生したのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名MXR EVH90 Phase 90
タイプアナログ・フェイザー
電源9VDC(センターマイナス)/ 9V電池
寸法約112mm × 61mm × 52mm
製造国アメリカ合衆国
参考価格¥28,000前後

コントロール配置の美学

EVH90の外観は、単なるエフェクターという枠を超えた美術品のような佇まいです。エディが自らの手でテープを貼り、スプレーを吹き付けて作り上げた「フランケンシュタイン」ギターのパターンが、高精細な塗装で再現されています。

一つの大きな「Speed」ノブは、MXR伝統のラバーカバー(スピードノブ)が装着可能で、演奏中でも足の側面で速度を調整できるようになっています。これはエディ自身がライブ中に行っていた手法へのオマージュです。

筐体左側の「Script」スイッチは、小さいながらも確実なクリック感があり、音色のキャラクターを一瞬で切り替えます。青色LEDは視認性が高く、オン/オフの状態を迷うことはありません。底面のゴム足やバッテリーへのアクセスなど、実用面でもMXRの長年のノウハウが詰まっています。

音響分析:二つのモードの特性

Scriptモード:ヴィンテージ・スクリプトサウンド

スイッチをオン(押し込んだ状態)にすると、1974年前後の「スクリプトロゴ」期の仕様をエミュレートします。

  • 特性: 帰還(フィードバック)回路が抑えられており、揺れが非常に滑らか。
  • 周波数変化: 中域が強調されすぎず、高域まで透き通るようなナチュラルな響き。
  • 音楽的効果: ギター本来のトーンを壊さず、上品な奥行きを付加。クリーンやライトドライブに最適。

Standardモード:ブロックロゴ・モダンサウンド

スイッチをオフ(戻した状態)にすると、現行の「ブロックロゴ」仕様になります。

  • 特性: フィードバックが強く、フェイズの山と谷が明確に強調される。
  • 周波数変化: 中域に独特の粘りがあり、歪ませた際にも音が埋もれない。
  • 音楽的効果: 強烈なスイープ感(「シュワーッ」という音)が得られ、リードソロで圧倒的な存在感を発揮。

ジャンル別完全攻略セッティング集

ハードロック:1978 ブラウンサウンド

  • Speed: 9時~10時
  • Script: ON
  • 推奨楽曲: Van Halen「Eruption」「Ain't Talkin' 'Bout Love」

    初期エディのトーン。歪みの前に繋ぐのが鉄則です。Scriptモードにすることで、タッピング時の倍音が美しくうねり、音が「火を吹く」ような質感に。速度を遅めに設定することで、フレーズに命を吹き込みます。

ファンク/カッティング:70's グルーヴ

  • Speed: 11時~1時
  • Script: OFF
  • 推奨楽曲: Isley Brothers「That Lady」、Prince作品などクリーンなカッティングに。

    Standardモード(OFF)の深い揺れが、パーカッシブなリズムに立体的な表情を与えます。ワウペダルと組み合わせることで、より情熱的な「しゃべるギター」を演出できます。

サイケデリック/スペースロック:幻想的アンビエント

  • Speed: 最小(7時~8時)
  • Script: ON
  • 推奨楽曲: Pink Floyd「Breathe」、Tame Impala作品など極限までスピードを落とした設定。

    Scriptモードの淡いうねりが、音を横方向に広げるのではなく、時間的な奥行きを生み出します。ディレイやリバーブを深めにかければ、宇宙空間を漂うようなトーンが得られます。

ブルース:レスリー・スピーカー・エミュレート

  • Speed: 3時~最大
  • Script: OFF
  • 推奨楽曲: Stevie Ray Vaughan風

    高速ロータリースピードを上げることで、オルガンの回転スピーカーのような効果が得られます。Standardモードの深いエグみが、スローブルースのクライマックスで音を激しく震わせ、感情を爆発させるのに役立ちます。

ポップス:モダン・クリーン

  • Speed: 12時
  • Script: ON
  • 推奨楽曲: 現代的なJ-POPや歌ものバッキングで薄くかける設定。

    Scriptモードにすることで、ボーカルの帯域を邪魔せずにギターを奥の方で揺らすことができます。音の粒立ちを整え、アンサンブルに「隙間」を作る効果があります。

知人プロが語る:MXR EVH90

プロギタリスト(知人) K氏の体験談

「以前は現行のオレンジ色のPhase 90を使っていましたが、EVH90に乗り換えてから表現の幅が劇的に広がりました。

一番の驚きは、ハイゲインアンプとの親和性です。普通、歪みが深いとフェイザーは音が潰れてしまいがちですが、EVH90は芯が残る。エディがなぜこのペダルを自らの名で出したのか、一音出しただけで理解できました。ライブでこの青いLEDが光っているのを見るだけで、不思議と『今日は良いソロが弾ける』という自信が湧いてくるんですよ」

ライバル機との徹底比較分析

vs MXR Phase 90(現行モデル):定番との比較

項目EVH90Phase 90
価格約¥28,000前後約¥15,000前後
モード数2(Script/Block)1(Blockのみ)
LED青(高輝度)赤(標準)
ルックスEVHストライプオレンジ
結論万能・プロ仕様コスパ・入門用

現行品も優秀ですが、Scriptモードが選べるEVH90の方が圧倒的に守備範囲が広いです。価格差以上の価値が「Scriptスイッチ」にはあります。

vs MXR Phase 95:ミニサイズとの対決

項目EVH90Phase 95
サイズ標準(フルサイズ)ミニサイズ
種類90ベース45/90の2種
操作性ノブが大きく操作しやすいノブが小さく微調整が難しい
重量安定感がある軽すぎて動きやすい
結論ステージでの信頼性ボードの省スペース化

Phase 95は多機能ですが、フルサイズのEVH90には「筐体の鳴り」と「踏みやすさ」があります。ライブでの安定感を求めるならEVH90一択です。

MXR EVH90:主な使用アーティスト

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LEGACY RECORDINGS

伝説的なレジェンド・プレイヤー

  • Eddie Van Halen(エディ・ヴァン・ヘイレン)
    • ソース: Van Halen公式サイト、Dunlop公式コラボレーション。
    • 説明:開発者本人であり、全キャリアを通じてPhase 90を愛用。このペダルは彼の「ブラウンサウンド」を再現するために作られた究極のソースです。
  • Slash(スラッシュ / Guns N' Roses)
    • ソース: Equipboard(Verified via YouTube)、自身のRig Rundown動画。
    • 説明:オレンジ色の現行品だけでなく、EVH90をボードに組み込んでいる姿が何度も確認されています。リードソロに厚みを加えるために使用。
  • Steve Vai(スティーヴ・ヴァイ)
    • ソース: Equipboard(Verified via Vai.com / 公式機材リスト)。
    • 説明:テクニカルなプレイに独創的なテクスチャーを加えるため、高品質なモジュレーションとしてEVH90を選択しています。

モダン・ロック / メタル界の巨匠

  • John Petrucci(ジョン・ペトルーシ / Dream Theater)
    • ソース: 公式機材紹介動画、Equipboard(Verified via johnpetrucci.com)。
    • 説明:緻密に構築された彼のシステムにおいて、クリーンからハイゲインまで対応できるフェイザーとしてEVH90が採用されています。
  • Zakk Wylde(ザック・ワイルド / Black Label Society, Pantera)
    • ソース: Guitarist Magazine インタビュー動画(3:05付近で「EVH PhaseとEVH Flangerを持っている」と発言)。
    • 説明:エディを尊敬する彼にとって、このペダルは自身の「ワイルド」なトーンを彩る欠かせないピースとなっています。
  • Mark Morton(マーク・モートン / Lamb of God)
    • ソース: Premier Guitar「Rig Rundown」、YouTubeの機材解説動画。
    • 説明:モダン・メタルの重厚なリフの中に、有機的な揺らぎを加えるためにScriptモードを活用しています。
  • Stephen Carpenter(ステファン・カーペンター / Deftones)
    • ソース: Premier Guitar「Rig Rundown」動画。
    • 説明:ヘヴィなサウンドスケープに浮遊感を与えるため、EVH90を使用していることが明言されています。

オルタナティブ / ポップ・ロックの実力者

  • John Mayer(ジョン・メイヤー)
    • ソース: Equipboard(Verified via YouTubeライブ映像)。
    • 説明:ヴィンテージトーンに造詣が深い彼が、あえてシグネチャーモデルであるEVH90をチョイス。Scriptモードの滑らかな揺らぎを評価しています。
  • Josh Klinghoffer(ジョシュ・クリングホッファー / 元Red Hot Chili Peppers)
    • ソース: 2019年 エジプト・ギザのピラミッド公演ライブ映像(17:02付近でボード上のEVH90を確認)。
    • 説明:「The Zephyr Song」などの幻想的な楽曲で、その美しい揺らぎを響かせています。
  • Chris Shiflett(クリス・シフレット / Foo Fighters)
    • ソース: 公式Instagramおよび機材写真。
    • 説明:スタジアム・ロックの太いサウンドの中でも埋もれないフェイズサウンドとして重宝されています。
  • Frank Iero(フランク・アイイロ / My Chemical Romance)
    • ソース: 2022年2月 本人Instagramストーリーでのペダルボード公開。
    • 説明:パンク/エモの枠を超えた多彩なサウンドメイクにおいて、EVH90を中央に配置しています。

まとめ:攻めのフェイザーならコレ一択

もしあなたが「無難なエフェクター」ではなく、踏んだ瞬間に空気を掌握し、オーディエンスの視線を釘付けにする「攻めのフェイザー」を探しているなら、このEVH90こそが唯一無二の正解!

エディ・ヴァン・ヘイレンが愛したあの「ブラウンサウンド」の核を成すのは、音を濁らせず、むしろ歪みを研ぎ澄ませるようなアグレッシブなうねり

Scriptスイッチ一つでヴィンテージの艶と現代的な鋭さを使い分けられる柔軟性は、シグネチャーモデルの枠を完全に超えています。ボードに置かれたそのストライプ模様は、攻めの姿勢を貫くギタリストの証。この一撃で、あなたのプレイに伝説の火花を散らしてみませんか?

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