
ボス MT-2は、その強烈なディストーションサウンドで知られる、30年以上のロングセラーモデルとして多くのギタリストに愛用されてきたエフェクターです。
通称「メタルゾーン」、愛称「メタゾネ」として親しまれ、その名の通り、特にメタルやハードロックのジャンルで威力を発揮します。従来のロック系ディストーションとは完全に一線を画した、発売当時は珍しかったメタル専用機として設計されたBOSSの野心作であり、メタルの攻撃的なハイゲインサウンドを、コンパクトペダル一台で実現した偉業の結晶―それがBOSS MT-2 Metal Zoneです。
しかし、単なるハイゲインペダルとして片付けるにはあまりにも奥深く、その真価は国内外で様々な文脈で再評価されているんですよね〜。
このレビューでは、MT-2の核心に迫り、その魅力と多様な可能性を多角的に探求します。
使用レビュー:筋肉バカ的に強烈な歪みで、ユニークなキャラクター
MT-2を初めて踏んだとき、多くの人がその圧倒的な歪み量に驚かされます。一般的なオーバードライブやディストーションペダルが持つ「ギターの音を歪ませる」という感覚とは異なり、MT-2はまるで音そのものを再構築するかのような、極めてコンプレッションの強い、壁のようなサウンドを生み出します。その音色は、単にゲインを上げただけのものではなく、中域が独特のカーブで強調され、高域は鋭く、そして低域はタイトに引き締まっています。このユニークなキャラクターこそが、MT-2が他のどのペダルとも異なる存在感を放つ所以です。
この独特な音色は、特にドロップチューニングや7弦ギターのような、低音域を多用するプレイにおいて、その輪郭を損なうことなく、強烈な存在感を維持します。例えば、ドロップDチューニングでのリフは、一般的なディストーションでは音がボヤけてしまいがちですが、MT-2では一音一音が明瞭に分離し、凶悪なまでの迫力を持ったサウンドとなります。これは、MT-2が持つデュアルステージ・ゲイン回路と3バンド・イコライザーの組み合わせによるものです。
この回路は、入力された信号を二段階で増幅することで、極めて高いゲインとコンプレッションを実現しています。そして、さらに重要なのが3バンド・イコライザーです。単なるトーンコントロールではなく、LOW、MIDDLE、HIGHの3つのノブに加え、MID FREQ(ミドル・フリーケンシー)という、中域の周波数帯域を調整するノブが搭載されています。これにより、単にミドルをブースト/カットするだけでなく、どの帯域を操作するかを細かく設定できるため、サウンドメイクの自由度が飛躍的に高まります。
このMID FREQノブの存在こそが、MT-2が単なる「メタル用ペダル」ではないことを示唆しています。例えば、中域を絞り込むことで、いわゆるドンシャリサウンドを作り出し、ヘヴィなリフを際立たせることができます。一方で、MID FREQを上げて中域をブーストすることで、粘りのあるリードトーンを作り出すことも可能です。この柔軟なEQセクションこそが、MT-2を単なるディストーションペダル以上の存在にしているのです。
史上最強のハイゲイン設計
「MT-2は他のディストーションペダルとは次元が違うハイゲインを誇る」というのは決して誇張ではありません。GAINノブを上げきった時のサスティーン量は、他のペダルでは到達不可能なレベル。まるでスタックアンプを大音量で鳴らしているかのような、圧倒的な歪み量を実現しています。
この驚異的なゲイン量により、速いパッセージでも音が途切れることなく、メタルに必要な分厚い「音の壁」を構築することが可能です。
完璧なローエンド処理
「メタルにとって重要な低域の処理が秀逸」と多くのプロが評価するように、MT-2の低域制御は特筆すべきものがあります。単純に低音をブーストするのではなく、タイトで歯切れの良い低音を提供することで、ダウンチューニングでも明瞭なリフワークが可能です。
特に、ハムバッカーピックアップとの相性はバツグン!!
デジタル時代を先取りした音響設計
1991年という時代を考えれば、MT-2の音響設計は明らかに時代を先取りしていましたね。デジタルレコーディングが普及する前から、録音映えする音響特性を持っていたのです。その結果、90年代以降のメタル作品において、MT-2は欠かせない存在となりました。
僕の周りのギタリストも、特にHR/HM系が好きな人は必ず一度は所有していました(笑)
MT-2の隠された可能性を探る
MT-2の表面的なイメージは「メタル」に限定されがちですが、その内側に秘められた可能性は計り知れません。
「メタル」というキーワードに拒否反応が出る人も、ぜひ先入観を捨てて試してほしいアイデアをご紹介!
MT-2とファズの接点
MT-2のサウンドは、時にファズと比較されることがあります。ファズは、ギターの信号をクリップさせ、サスティーンの長い、毛羽立ったようなサウンドを生み出すエフェクターです。MT-2の持つコンプレッションの強さや、サスティーンの伸びは、確かにファズ的な要素を内包しています。特にゲインを最大まで上げたときの、飽和したようなサウンドは、ファズのそれと共通する質感を持っています。
この類似性を利用し、MT-2をファズとして使用するというアプローチも可能です。例えば、クランチ気味のクリーンアンプにMT-2を接続し、ゲインを抑えめに設定することで、ファジーでグランジ感のあるオーバードライブサウンドを作り出すことができます。さらに、MID FREQを調整することで、ファズフェイスのような中域にピークを持つサウンドや、ビッグマフのようなスクープされたサウンドなど、様々なファズのニュアンスを再現することも不可能ではありません。
MT-2とブースターとしての役割
MT-2は、単体で歪みを作り出すだけでなく、ブースターとして他の歪みペダルやアンプと組み合わせることで、全く新しいサウンドを生み出します。MT-2のイコライザーをフラット気味にし、ゲインを最小限に設定して、既に歪んでいるアンプの前に繋いでみてください。すると、アンプの歪みがよりタイトでコンプレッションの強いサウンドに変貌し、リードトーンに最適な粘りやサスティーンが付加されます。
特に、MID FREQを調整して中域をブーストすることで、アンプの歪みを持ち上げ、より前に出るサウンドを作り出すことができます。これは、ソロパートで一気に音量を上げたいときや、バンドアンサンブルの中で自分の音を目立たせたいときに非常に有効な手段です。MT-2が持つ豊富なイコライザーセクションは、単なる歪みペダルとしてではなく、サウンドのシェイパーとしての役割も担っているのです。
MT-2と空間系エフェクターの融合
MT-2の強烈なサウンドは、空間系エフェクターとの組み合わせで、さらにその表現力を拡張します。例えば、MT-2の後にディレイを繋いでみましょう。一般的なディストーションでは、ディレイの音が歪みに埋もれてしまいがちですが、MT-2のタイトなサウンドは、ディレイの音を明瞭に際立たせます。特に、ロングディレイやリバースディレイとの組み合わせは、ノイズミュージックやアンビエントなサウンドスケープを作り出すのに適しています。
これ、ありかも!MT-2の意外な使い方
MT-2を「メタル用ディストーション」という枠組みから解放し、その真の価値を探求してみましょう。
ギター以外の楽器にMT-2を使う
MT-2はギター用エフェクターとして設計されていますが、その強烈なサウンドは、他の楽器にも応用できます。例えば、ベースにMT-2を使ってみましょう。ベースにディストーションをかけると、低音がボヤけたり、輪郭が失われたりすることが多いですが、MT-2のタイトな低音と、中域の調整機能は、ベースのサウンドに凶悪なまでのサスティーンと存在感を与えます。特に、スリーピースバンドなどで、ベースがより前に出るサウンドを求められる場合に有効です。
また、シンセサイザーにMT-2を使うというアプローチも面白いです。シンセのクリーンなサウンドにMT-2を通すことで、歪みやコンプレッションが付加され、アナログシンセのような温かみのある、あるいはグリッチ感のあるサウンドを作り出すことができます。特に、ドラムマシンやシーケンサーのリズムパートにMT-2をかければ、サウンドにノイズや歪みを加えることができ、よりエッジの効いたグルーヴを生み出すことが可能です。
MT-2をノイズジェネレーターとして使う
MT-2は、単に音を歪ませるだけでなく、その強烈なコンプレッションとゲインを活かして、ノイズジェネレーターとして使うこともできます。例えば、MT-2の前にワウペダルやボリュームペダルを接続し、ワウの踏み込みやボリュームの上げ下げでノイズをコントロールしてみてください。MT-2の強烈な歪みが、ワウのフィルター効果を増幅させ、まるでジェット機の離陸のような、あるいは電子機器の故障のような、様々なノイズサウンドを作り出すことができます。これは、ノイズミュージックや実験音楽の分野で非常に興味深いアプローチとなるでしょう。
MT-2を楽器の練習ツールとして使う
MT-2のもう一つの意外な使い方は、楽器の練習ツールとしての役割です。MT-2のコンプレッションは非常に強いため、ピッキングの強弱がそのまま音量差に反映されにくいという特徴があります。これにより、自分のピッキングが正確かどうか、リフの一音一音がクリアに鳴っているかを段階的に確認することができます。MT-2をオンにして、ピッキングの正確性を意識しながら練習することで、クリーンサウンドでのピッキング精度も向上します。
また、不要な音が鳴らないように(使用しない弦を)ミュートできているかを確認するのにもとても適していますよ。MT-2は、単なるエフェクターではなく、自分の技術を磨くためのフィードバックツールとしても機能するのです。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
項目 | 詳細 |
---|---|
製品名 | BOSS MT-2 Metal Zone |
タイプ | ディストーション |
電源 | 9VDC(センターマイナス)またはバッテリー |
消費電流 | 約30mA |
入力インピーダンス | 1MΩ |
出力インピーダンス | 1kΩ |
寸法 | 約73mm × 129mm × 59mm |
重量 | 約385g |
製造国 | 日本 |
参考価格 | ¥15,000前後 |
デザイン哲学:機能性の追求
MT-2の外観は、まさに「サウンドイメージと機能性の極致」を表現したデザインです。メタリックブラックの筐体に映える漆黒のコントロールノブ、一目でメタル系ペダルとわかる攻撃的なデザイン要素。このルックスの印象よりも遥かに強烈に歪みますけどね(笑)
6つのコントロールノブは、互いに干渉しない適切な間隔で配置。長時間の演奏でも疲労しないペダルレイアウトを実現しています。フットスイッチは確実な踏み心地で、激しい演奏中でも確実な操作が可能です。
音響分析:周波数特性から見る革新性
低域:メタルに最適化された重低音処理
MT-2の低域処理は、従来のディストーションペダルとは根本的に異なります。BASSコントロールにより、メタルに必要な重厚さを確保しながら、音の分離度を維持する絶妙なバランスを実現。
周波数解析結果:
- 40Hz以下:自然にロールオフ、不要な超低域ノイズをカット
- 40-100Hz:重厚な基音をサポート、楽曲の土台を形成
- 100-250Hz:BASSノブにより可変、リフの迫力を決定する重要な帯域
中域:MID FREQコントロールの革新
MT-2の真価は、この中域処理の革新性にあります。従来のペダルでは固定されていた中域の周波数を可変(パライコ化)にしたことで、楽器個体差や楽曲に応じた最適化が可能になりました。
中域特性:
- 200Hz-1kHz:MID FREQで選択可能、楽器の個性を活かす帯域
- 1kHz-3kHz:アタック感と明瞭度、リフのエッジを決定
- 3kHz-5kHz:MID FREQの上限、高域寄りの中域でブリリアンスを制御
高域:TREBLEコントロールによる精密制御
メタルにとって重要な高域の制御も、MT-2の得意分野です。単純な高域ブーストではなく、美しいブリリアンスを実現。不要なギラつきを抑えながら、必要な明瞭度とアタック感を確保しています。
ジャンル別完全攻略セッティング集
クラシックメタル:80's スラッシュメタル
Level: 12時
Distortion: 2時
High: 1時
Mid Level: 10時
Mid Freq: 11時
Low: 1時
推奨楽曲: Metallica「Master of Puppets」、Slayer「Raining Blood」
この設定では、80年代スラッシュメタルの攻撃的でありながら音楽的なトーンを再現します。Mid Levelを絞ることで、クラシックな鋭さを表現。Mid Freqは中域寄りに設定し、リフの明瞭度を確保します。
モダンメタル:90's ニューメタル
Level: 1時
Distortion: 3時
High: 11時
Mid Level: 1時
Mid Freq: 2時
Low: 2時
推奨楽曲: Korn「Freak on a Leash」、Tool「Schism」
90年代ニューメタルの重厚で暗い質感を再現。Distortionを最大近くまで上げ、Mid Freqを高めに設定することで、現代的な鋭さと重さを両立させます。
プログレッシブメタル:テクニカルサウンド
Level: 11時
Distortion: 1時半
High: 2時
Mid Level: 12時
Mid Freq: 1時
Low: 11時
推奨楽曲: Dream Theater「Pull Me Under」、Opeth「Blackwater Park」
複雑な楽曲構成に対応できる、明瞭で分離度の高いサウンド。Distortionを抑えめにすることで、複雑な和音やフレーズの音分離を確保します。
デスメタル:極限のハイゲイン
Level: 12時
Distortion: 最大
High: 12時
Mid Level: 9時
Mid Freq: 10時
Low: 3時
推奨楽曲: Death「Voice of the Soul」、Cannibal Corpse「Hammer Smashed Face」
極限まで歪ませたハイゲインサウンド。Mid Levelを大胆に下げることで、現代デスメタルの「すくい上げ」サウンドを実現します。
ドゥームメタル:重厚低速
Level: 2時
Distortion: 2時
High: 9時
Mid Level: 2時
Mid Freq: 9時
Low: 最大
推奨楽曲: Black Sabbath「War Pigs」、Electric Wizard「Dopethrone」
超重厚で暗い質感のドゥームサウンド。Bassを最大にし、Trebleを抑えることで、地の底から響くような重低音を表現します。
知人プロが語る:MT-2との30年
レコーディングエンジニア S氏の証言
「1990年代初頭、MT-2が登場した時の衝撃は忘れられません。それまでのディストーションペダルでは表現できなかった『いわゆる現代的な歪み』がそこにありました。
90年代のニューメタル、2000年代のメタルコア、現在のプログレッシブメタルまで、あらゆる時代のメタル作品でMT-2が使用されているのは、その汎用性の高さを物語っています。プロの使用頻度も意外と多いんですよ」
プロギタリスト M氏の体験談
「MT-2を手に入れたのは高校生の時でした。それまで使っていた他のペダルとは別次元のハイゲインに圧倒されましたが、同時に『これがメタルの音なんだ』という確信を得ました。
30年近く使い続けて気づいたのは、MT-2の大は小を兼ねる的な懐の深さです。単なる『激しい歪み』だけでなく、設定次第でブルースからハードロック、そして最新のメタルまで対応できる。これほど長期間愛用できるペダルは他にありません。」
MT-2の進化版:MT-2Wとカスタムモード
MT-2は、その誕生から長い年月を経て、MT-2Wという新たな進化を遂げました。MT-2Wは、MT-2のオリジナルサウンドを継承しつつ、カスタムモードという新たな機能が追加されています。このカスタムモードでは、より広いレンジとタイトなサウンドが得られ、さらに現代的なハイゲインサウンドに対応しています。
オリジナルMT-2のサウンドは、中域が独特のカーブで強調された、言わば「個性的な」サウンドです。これは多くのギタリストに愛される一方で、サウンドメイクが難しいと感じる人も少なくありませんでした。MT-2Wのカスタムモードは、その個性を少し抑えつつ、より汎用性の高いサウンドを提供します。これにより、MT-2が持つポテンシャルを、より幅広いジャンルやプレイスタイルで活用できるようになりました。
MT-2Wの登場は、MT-2というエフェクターが、時代を超えて進化し続ける存在であることを証明しています。オリジナルMT-2が持つキャラクターを愛する人々も、より洗練されたサウンドを求める人々も、それぞれのニーズに合わせてMT-2を選ぶことができるようになったのです。
BOSS MT-2 主な使用アーティスト
- Kurt Ballou (Converge)
- ハードコアバンド、Convergeのギタリストであり、プロデューサーとしても名高いKurt Ballouは、MT-2のヘヴィなトーンを愛用しています。彼はMT-2を単体で使用するだけでなく、アンプのブースターとしてゲインを絞り、EQをフラットにして使うなど、そのポテンシャルを最大限に引き出す達人として知られています。
- Dino Cazares (Fear Factory)
- インダストリアル・メタルのパイオニア、Fear Factoryのギタリスト、Dino CazaresもMT-2のヘビーユーザーとして知られています。彼はMT-2のタイトなサウンドを活かし、マシンガンのようなリフを生み出しました。
- James "Munky" Shaffer (Korn)
- ニューメタルを象徴するKornのギタリスト、MunkyもMT-2を愛用していました。彼はMT-2をローファイなサウンドや、独特のイントロパートのトーン作りに使用していました。
- Dave Mustaine (Megadeth)
- スラッシュ・メタル四天王の一角、Megadethのギタリスト、Dave Mustaineも一時期MT-2を使用していましたね。
- Kirk Windstein (Crowbar)
- ヘヴィなドゥーム・メタルバンド、Crowbarのギタリスト、Kirk WindsteinはMT-2をブースターとして使用していました。ゲインをオフにしてレベルを上げ、EQを調整することで、彼のアンプトーンをよりタイトで重厚なサウンドに変化させていました。
- At the Gates
- メロディック・デスメタルを確立したスウェーデンのバンド、At the GatesもMT-2のユーザーとして知られています。彼らはHM-2とMT-2を組み合わせて、特徴的なサウンドを作り出していました。
- Mark Holcomb (Periphery)
- プログレッシブ・メタルバンド、Peripheryのギタリスト、Mark Holcombは、若かりし頃に初めて手にした歪みペダルがMT-2だったと語っています。当時の彼にとって、MT-2はジェイムズ・ヘットフィールド(Metallica)のようなヘヴィなトーンを得るための重要なペダルでした。
メタル以外のジャンルのアーティスト
- Prince
- MT-2の最も意外なユーザーの一人として知られるのが、伝説的なミュージシャン、Princeです。彼はライブやレコーディングでMT-2をギター・ボードに組み込んでいました。彼の多岐にわたる音楽性の中で、MT-2のユニークなキャラクターが活かされていたと考えられます。
- Simon Neil (Biffy Clyro)
- スコットランド出身のロックバンド、Biffy Clyroのギタリスト、Simon NeilはMT-2の熱狂的なファンとして知られています。彼のサウンドはMT-2に大きく依存しており、特に初期の作品ではその強烈なキャラクターが存分に発揮されています。彼はMT-2のノブを非常に細かく調整することで、自分だけの歪みサウンドを作り出しています。
- Matt Bigland (Dinosaur Pile-Up)
- グランジやオルタナティブロックからの影響を公言しているDinosaur Pile-UpのMatt BiglandもMT-2を愛用しています。彼はMT-2を使って、ニルヴァーナやスマッシング・パンプキンズのような90年代のサウンドを意識した音作りをしていました。
ライバル機との徹底比較分析
vs BOSS HM-2W Heavy Metal:BOSSメタル系の先輩格
項目 | BOSS MT-2 | BOSS HM-2W |
---|---|---|
発売年 | 1991年 | 1983年(先代のHM-2) |
音質特性 | モダン/多様性 | ヴィンテージ/特化型 |
EQ制御 | 3バンド可変 | 2バンド固定 |
汎用性 | 極めて高い | スウェディッシュデス特化 |
現在の入手性 | 容易 | 困難(高価) |
HM-2はスウェディッシュデスメタルの象徴的サウンドを持ちますが、MT-2はより幅広いジャンルに対応可能です。
vs ProCo RAT2:アメリカンディストーションとの対決
項目 | BOSS MT-2 | ProCo RAT2 |
---|---|---|
ゲイン量 | 極めて高い | 中程度 |
音響特性 | デジタル録音対応 | アナログ録音志向 |
EQ制御 | 詳細制御可能 | シンプル |
メタル適性 | 専用設計 | 汎用的 |
RAT2は幅広いジャンルで使用されますが、メタル専用としてはMT-2が圧倒的に優位です。
まとめ:MT-2がもたらす由緒正しいメタルライフ
BOSS MT-2は、ただの「メタル用ディストーション」という狭い枠に収まるエフェクターではありません。その強烈な歪み、柔軟なイコライザー、そしてユニークなキャラクターは、様々な隠された可能性を私たちに示してくれます。ファズ的なサウンドから、ブースター、ノイズジェネレーター、さらには楽器の練習ツールとしてまで、MT-2の使い方は無限に広がっています。
もしあなたがMT-2を「メタルを弾くためのペダル」とだけ思っているなら、ぜひその既成概念を一度捨ててみてください。クリーンアンプに繋いでみたり、他のエフェクターと組み合わせてみたり、ベースやシンセサイザーで試してみたりすることで、MT-2の新たな魅力にきっと気づくはずです。
MT-2は、多くのギタリストにとって、最初に手にする歪みペダルの一つかもしれません。しかし、その真価は、時間をかけて深く探求することで、初めて見えてくるものです。この小さな黒い箱の中には、音楽の無限の可能性が詰まっているのです。