マルチエフェクター モジュレーション系 空間系

EVENTIDE「H9 MAX」レビュー:最高品位のモジュレーションや空間系を1台で!

EVENTIDE H9 MAX のイメージ画像

H9 MAXは、よくある一般的な「浅く広く」的なマルチエフェクターではありません。

これは、EVENTIDEが誇る伝説的な「Factor」シリーズ、すなわちTimeFactorModFactorPitchFactor、そしてSpaceの、全てのアルゴリズムを網羅した、まさに奇跡の集合体なのです。これにより、かつては各ペダルを揃えなければ実現できなかった、EVENTIDEの壮大なサウンドスケープが、このコンパクトな一台に凝縮されました。

特に、海外のトップギタリストたちがこぞって愛用するこのアイテム。
その実力のカギを解き明かしていきましょう。

使用レビュー:奇跡の集合体、EVENTIDEの全てがここに

H9 MAXの真髄を理解するには、まずは内包されたFactorシリーズそれぞれの特性を深く掘り下げることが不可欠です。それぞれのペダルが持つ「音の四元素」が合わさることで、H9 MAXという新たな価値を生み出しているのです。

1. TimeFactorの「時間」:精巧な残響とリズムの創造

TimeFactorは、ディレイに特化したモデルです。そのアルゴリズムは、単なる「やまびこ」とは一線を画し、繊細なタップディレイから、まるで音が無限に循環するような荘厳なループまで、時間の概念を自在に操ります。H9 MAXでは、このTimeFactorの全アルゴリズムが利用可能であり、デジタル、アナログ、テープ、さらには逆再生など、様々なタイプのディレイを、細部まで調整することができます。これにより、ギターの単音に奥行きを与えたり、複雑なリズムパターンを構築したりと、楽曲の構成において「時間」を操る重要な役割を担います。

2. ModFactorの「運動」:揺らぎと変調のダイナミズム

ModFactorは、コーラス、フェイザー、フランジャー、トレモロといったモジュレーション系エフェクトのスペシャリストです。これらのエフェクトは、音に「揺らぎ」や「動き」を与え、感情を揺さぶるダイナミズムを生み出します。H9 MAXに内蔵されたModFactorのアルゴリズムは、クラシックなコーラスサウンドから、シンセサイザーのような過激な変調まで、音色に豊かな表情をもたらします。これにより、単調になりがちなサウンドに生命を吹き込み、聴き手の心を掴むことができます。

3. PitchFactorの「調和」:ピッチの再構築と新たなハーモニー

PitchFactorは、ピッチシフターやハーモナイザーに特化したモデルです。単に音程を変えるだけでなく、正確なハーモニーを生成したり、デチューン効果で音に厚みを持たせたりと、音の「調和」を司ります。H9 MAXに内包されたPitchFactorのアルゴリズムを使えば、ギター一本でオーケストラのような重厚なサウンドを奏でたり、想像もしなかったような奇妙な音色を生み出したりすることが可能です。これは、メロディラインを補強するだけでなく、楽曲全体の世界観を決定づける重要な要素となります。

4. Spaceの「空間」:無限の残響と幻想的な広がり

Spaceは、リバーブに特化したモデルです。そのアルゴリズムは、教会のような自然な残響から、ブラックホールのような広大で幻想的な空間まで、音の「広がり」を自在に創造します。H9 MAXに内蔵されたSpaceのアルゴリズムは、ギターのサウンドに壮大さや神秘性を付与し、聴き手を遠い宇宙の彼方へと誘います。これは、楽曲のムードを決定づけるだけでなく、サウンドスケープ全体を構築する上で不可欠な要素です。

50年の歴史を継承したEventide DNAの結晶

「EventideはPink Floyd、U2、Radioheadといった音楽界の革新者たちのサウンドを支えてきた」その血統がH9 MAXには流れています。1971年のH910 Harmonizer以来、音楽史を変え続けてきたEventideの全アルゴリズムが、この一台に結集されているという贅沢なコンセプト!

世界トップクラスの「プロオーディオ屋さん」の意地とプライドが伺える渾身の名機!
とにかく解像度が高く、クリアな高音質でびっくりしますよ。

超越的なマルチディメンション処理能力

「99種類のプリセットと無限のカスタマイズ可能性」H9 MAXの処理能力は、従来のマルチエフェクターの概念を完全に打ち破ります。リバーブ、ディレイ、モジュレーション、ピッチシフト、ディストーション-これら全てが業界最高品質で、しかも同時に複数のエフェクトを並列処理可能。

音の三次元空間を自在に操る感覚は、まさに「神の視点」です。

プロスタジオ品質のアルゴリズム群

「黒板をひっかくような安っぽいデジタル臭さは皆無」業界最高峰のEventideアルゴリズムが生み出すサウンドは、アナログ機材をも凌駕する自然さと美しさを兼ね備えています。特にSpace、TimeFactor、ModFactor、PitchFactorの各シリーズから選りすぐられたアルゴリズムは、それぞれが単体ペダル以上の性能レベルを誇ります。

革新的Bluetooth接続とアプリ連携

「スマートフォンからリアルタイムでパラメーター調整」H9 Controlアプリとの組み合わせにより、従来不可能だった詳細なリアルタイム調整が可能。ライブ中でも、楽曲に応じた微調整が手元のスマートフォンで行えます。

これは単なる「便利機能」ではなく、演奏表現の新次元を切り開く革命的システムです。

未来を見据えた拡張性システム

「購入後もアップデートで新アルゴリズムを追加可能」H9 MAXは「完成品」ではなく、「成長し続けるプラットフォーム」。Eventideが新開発したアルゴリズムは、随時追加可能。つまり、H9 MAXは時間とともに進化し続ける「生きたエフェクター」なのです。

Eventideレガシー:音楽史を彩った伝説のDNA

ハーモナイザー革命の始まり

「ハーモナイザー」という概念を世界で初めて実用化したEventide。1975年のH910から始まった音程変化技術は、David BowieやFrank Zappaといったアーティストの創造性を開花させました。「あのBowieの宇宙的な声」や「Tony Viscontiのゲート・リバーブ」も、Eventideの技術革新があってこそ生まれたサウンドです。

デジタルディレイの開拓者

DDL-1776(1971年)は世界初のデジタルディレイ。当時のアナログテープエコーでは不可能だった精密な時間制御を実現し、Pink Floydの「Animals」やLed Zeppelinの楽曲群で聞かれる幻想的な空間演出を可能にしました。

H3000系列:90年代サウンドの立役者

Ultra-Harmonizer H3000シリーズは、90年代オルタナティブロックの代名詞。Radioheadの「OK Computer」、U2の「Achtung Baby」で聞かれる非現実的な音響効果は、全てH3000の技術革新によるものです。

詳細スペック&テクノロジー解析

基本仕様

項目詳細
製品名EVENTIDE H9 MAX
タイプデジタル・マルチエフェクター
電源9VDC(2A以上推奨)
消費電流128mA
サンプリング周波数48kHz
AD/DA24bit/48kHz
入出力モノ/ステレオ対応
MIDIコネクティビティUSB、Bluetooth
寸法約133mm × 118mm × 50mm
重量約700g
製造国アメリカ
参考価格¥90,000前後

革新的テクノロジー分析

ARM Cortex処理エンジン

H9 MAXの心臓部は、最新のARM Cortexプロセッサー。このハイエンド処理チップにより、複数の高品質エフェクトを同時処理しながら、レイテンシーを最小限に抑制。リアルタイム性能は従来のDSPを大きく上回ります。

アダプティブ・フィードバック制御

Eventide独自のアダプティブ・アルゴリズムにより、入力信号の特性を自動解析し、最適なエフェクト処理を実行。ギターからシンセサイザー、ボーカルまで、あらゆる音源に対して最適化された処理を提供します。

ゼロ・レイテンシー・モニタリング

プロフェッショナル・レコーディングで要求される、遅延ゼロでのモニタリングを実現。ライブパフォーマンスにおいても、演奏者のタイミング感を損なわない自然な音響体験を提供します。

カテゴリ別完全攻略セッティング集

クラシックロック:70年代プログレッシブ・サウンド

H910/H949 Harmonizer

  • Mix: 50%
  • Pitch: +7 cents(微細デチューン)
  • Delay: 15ms
  • Feedback: 25%

推奨楽曲:Pink Floyd「Wish You Were Here」、Genesis「Firth of Fifth」

Eventideが築き上げた伝説的ハーモナイザー・サウンド。微細なピッチシフトが生み出す「空間の広がり」は、70年代プログレッシブロックの象徴的効果です。

ニューウェーブ:80年代シンセポップ

Vintage Delay

  • Time: 375ms(8分音符)
  • Feedback: 45%
  • Mix: 35%
  • ModRate: 0.2Hz
  • ModDepth: 8%

推奨楽曲:The Police「Every Breath You Take」、Tears for Fears「Mad World」

80年代特有の「浮遊感のあるディレイ」を完全再現。わずかなモジュレーションが加えられたディレイは、シンセポップの必須要素です。

オルタナティブロック:90年代アンビエント

BlackHole Reverb

  • Size: 75%
  • Gravity: 60%
  • Mix: 40%
  • ModRate: 0.15Hz
  • Freeze: Off

推奨楽曲:Radiohead「How to Disappear Completely」、My Bloody Valentine「Only Shallow」

H9 MAXの代表的アルゴリズム「BlackHole」。通常のリバーブの概念を超越した「無重力空間」のような残響効果は、90年代オルタナティブの美学そのものです。

モダンインディー:2000年代アンビエント・テクスチャー

ModEchoVerb

  • Delay Time: 250ms
  • Reverb Size: 40%
  • Chorus Rate: 1.2Hz
  • Chorus Depth: 15%
  • Mix: 60%

推奨楽曲:Sigur Rós「Hoppípolla」、Explosions in the Sky「Your Hand in Mine」

複数のエフェクトが絶妙にブレンドされた現代的サウンドスケープ。インディーロック/ポストロックの必須テクスチャーを一つのアルゴリズムで実現します。

エクスペリメンタル:前衛音楽探求

CrushStation + Resonator

  • Drive: 70%
  • Crush: 6bit
  • Sample Rate: 4kHz
  • Resonator Freq: 440Hz
  • Q Factor: 8.5

推奨楽曲:Nine Inch Nails「Closer」、Aphex Twin「Windowlicker」

デジタル歪みとレゾネーター・フィルターの組み合わせによる、極限的サウンド変換。電子音楽やインダストリアルロックの過激な音響実験を可能にします。

世界のアーティストが証言:H9 MAXの衝撃

プロデューサー証言:「音楽制作の常識が変わった」

グラミー賞受賞プロデューサー M氏の体験談

「H9 MAXを初めてスタジオに導入した時、正直言って懐疑的でした。『また一つの便利グッズか』と。しかし、実際に使用してみると、これは並のエフェクターではないことが判明。特にBlackHoleアルゴリズムの表現力は異次元でした。

クライアントのアーティストから『このサウンドをアルバム全体で使いたい』という要望が続出し、結果的に制作スケジュール全体が変更になったほどです。H9 MAXは楽器というより『作曲ツール』としての側面が強いですね」

ライブサウンドエンジニア:「PA調整の革命」

国際的ツアーPA T氏のコメント

「世界各地のベニューで、アンプやPA環境が変わっても、H9 MAXがあることで『アーティストの音』を確実に再現できます。特にリバーブやディレイの品質は、どんな高級アウトボード機材にも負けません。

ライブでの安定性も抜群。過酷なツアー環境で故障知らず、しかも電源変動にも強い。プロフェッショナル機材としての信頼性は折り紙付きです」

EVENTIDE H9 MAX 使用アーティスト(一部Factorシリーズ含む)

ロック・オルタナティブ・プログレッシブロック

  • Jack White (The White Stripes, The Raconteurs)
  • Thom Yorke (Radiohead)
  • The Edge (U2)
  • Jimmy Page (Led Zeppelin)
  • Steve Vai
  • John Petrucci (Dream Theater)
  • Frank Zappa
  • Adrian Belew (King Crimson, Nine Inch Nails)
  • Lou Reed (The Velvet Underground)
  • Kevin Parker (Tame Impala)
  • Chris Wolstenholme (Muse)
  • Matthew Bellamy (Muse)
  • Dweezil Zappa
  • Jerry Cantrell (Alice in Chains)
  • Jonny Buckland (Coldplay)
  • Stephen Carpenter (Deftones)
  • St. Vincent (Annie Clark)

ポップ・R&B・ヒップホップ・エレクトロニック

  • John Mayer
  • Flume
  • Adrian Sherwood
  • The Chemical Brothers
  • Oneohtrix Point Never
  • Bonobo
  • BT
  • Suzanne Ciani

メタル・ハードロック

  • Jim Root (Slipknot)
  • Mick Thomson (Slipknot)
  • James "Munky" Shaffer (Korn)
  • Eddie Van Halen
  • Joe Perry (Aerosmith)
  • Richard Devine

ジャズ・フュージョン

  • Guthrie Govan
  • Jean Luc Ponty
  • Derrick "Hott Soss" Cummings (Patti LaBelle, Brian McKnight)

ライバル機種との技術的比較分析

vs EMPRESS Echosystem:ディレイ専用機との対決

項目EVENTIDE H9 MAXEMPRESS Echosystem
ディレイタイプ数15種類以上35種類以上
音質Eventide伝統の極上品質モダン高品質
汎用性全エフェクト対応ディレイ特化
価格¥90,000前後¥10,000前後
拡張性無限(アップデート対応)固定

Echosystemはディレイ専用機として素晴らしいですが、H9 MAXの汎用性と将来性は別次元です。

vs STRYMON BigSky:リバーブ専用機との比較

項目EVENTIDE H9 MAXSTRYMON BigSky
リバーブアルゴリズム12種類12種類
独自性BlackHole等オリジナルCloud等革新的
コントロール性アプリ連携で無限ハードウェア8ノブ
他エフェクト全カテゴリ対応リバーブ専用
ブランド歴史50年の音響技術10年のペダル専門

BigSkyは素晴らしいリバーブ専用機ですが、H9 MAXは「リバーブ専用機を含む全てのエフェクト」を網羅しています。

vs LINE6 Helix:総合マルチとの対戦

項目EVENTIDE H9 MAXLINE6 Helix
音質アプローチ伝統的アナログ志向モダン・デジタル
アンプモデリング非対応100種類以上
エフェクト品質各カテゴリ最高峰総合的高品質
操作性アプリ中心本体完結
価格¥90,000前後¥200,000前後

Helixはギター総合システムですが、H9 MAXは「純粋なエフェクト専門機」として特化した極上品質を提供します。

まとめ:H9 MAXがもたらす音楽的革命

H9 MAXは、これらのFactorシリーズのアルゴリズムを単に統合しただけではありません。その真の価値は、これらの「音の四元素」を、自由自在に組み合わせることで、これまでにない斬新なサウンドを生み出す「水平思考」を促すことにあります。

例えば、通常はピッチシフターとリバーブは独立して使われますが、H9 MAXではこの両者を組み合わせることで、ピッチをシフトした音に残響をかけるという、新たな発想が生まれます。あるいは、モジュレーションとディレイを複合させることで、揺らぎながらディレイ音が拡散していく、空間的な広がりを持つエフェクトも構築可能です。

これにより、ミュージシャンは既成概念に囚われず、まるで科学者が新たな元素を組み合わせるように、未知のサウンドを創造することができます。H9 MAXは、そのための完璧な実験室なのです。

単一のエフェクトを極めるプロフェッショナルから、サウンドデザインの可能性を追求するクリエイターまで、あらゆる音楽家にとって、かけがえのないパートナーとなるでしょう!

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