
ジミ・ヘンドリックスのサウンドを影で支え続けた男、ロジャー・メイヤーが追求してきた究極のモジュレーション。
1964年からジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、そしてジミ・ヘンドリックスといった伝説的ギタリストのサウンドを創造してきたロジャー・メイヤー。彼が1992年から1993年にかけて開発を始めたVoodooシリーズの最高峰―それがVooDoo-Vibe+です。
神話的な地位までも獲得することになったオリジナルのUni-Vibeが持っていた音色を、現代の技術と60年の経験で昇華させた奇跡の結晶。この小さな筐体には、ロックの開拓史そのものが詰まっています。
神話の継承者たる技術者の眼差し
Uni-Vibeの神話と不可避の運命
VooDoo-Vibe+の物語は、1960年代後半に日本の企業が開発したロータリースピーカー・シミュレーター、「Uni-Vibe」から始まります。このペダルは、元々オルガンなどのキーボード楽器用に設計されましたが、伝説的なギタリスト、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)によってその真価が引き出されました。彼のアルバム『Band of Gypsys』における壮絶なサウンドは、Uni-Vibeが持つ独特の「水が流れるようなコーラス」と「酩酊感のあるビブラート」を、永遠にギター・トーンの標準として確立しました。
しかし、オリジナルのUni-Vibeは完璧ではありませんでした。極めて大きな筐体、電源電圧の不安定さ、そして何よりもバイパス時の音質劣化(トゥルーバイパスではないため)が、常にギタリストの頭を悩ませてきたのです。その希少性、コンディションの維持の難しさから、オリジナル機は手の届かない神話と化しました。
Roger Mayerという名の証明
ここで登場するのが、ロジャー・メイヤー(Roger Mayer)その人です。彼は単なるエフェクターの設計者ではありません。1960年代にジミ・ヘンドリックスの専属テクニシャンとして、彼の「未来のサウンド」を共同で創造した、音響技術のパイオニアです。彼はOctavia(オクターブ・ファズ)の回路設計を通じて、ジミの音楽的ヴィジョンを物理的な音として具現化しました。
VooDoo-Vibe+は、ロジャー・メイヤーがオリジナルのUni-Vibeの欠点を誰よりも理解し、その魂を尊重しつつも、現代のプロフェッショナルな要求に応えるべく再構築したものです。VooDoo-Vibe+は「クローン」ではありません。それは、オリジナル・サウンドの創造者と密接に関わった技術者による、「神話の修正版」であり、「正統な進化形」なのです。彼の設計哲学は、単に回路をコピーするのではなく、当時のサウンドの意図と、それを実現するための技術的な最適解を追求することにあります。この歴史的・文脈的な背景こそが、VooDoo-Vibe+を他のUni-Vibe系ペダルと一線を画す最大の理由です。
技術の深層:光学素子と時間制御の魔術
LDRと電球が生み出す有機的な「非対称性」
Uni-Vibe、そしてVooDoo-Vibe+の最も重要な要素は、LDR(Light Dependent Resistor:光依存性抵抗器、またはフォトレジスタ)とそれを駆動する電球(ランプ)の組み合わせです。
従来のコーラスやトレモロが電気的に均一な波形(例えばサイン波や三角波)で音をモジュレーション(変調)するのに対し、VooDoo-Vibe+は以下のような極めて有機的な挙動を示します。
- 電球の応答特性: 電球が点灯・消灯する際には、フィラメントの熱容量によって遅延が生じます。この時間的な遅延と、LDRの抵抗値変化の非線形性、そして4つのLDRが組み合わされたフェイズシフト回路の相互作用により、完全に左右対称ではない、有機的な「揺らぎ」が生まれます。
- セマンティックな意味: この「非対称性」こそが、VooDoo-Vibe+のサウンドに人間味、あるいは自然界の1/fゆらぎに近い感覚を与えます。電子的に完璧な波形では決して得られない、どこか不安定で、だからこそ美しい「命のある音」なのです。
使用レビュー:別次元にトリップしそうな酩酊感
ROGER MAYER VooDoo-Vibe+がもたらすのは、意識すらも変容させる体験です。
LDRとランプが生む有機的な非対称性が、音像を濃密な水流へと変え、深海に潜行するような「音の圧力」を発生させます。ChorusモードでDepthを深く設定すると、音は水平方向だけでなく垂直方向にも広がり、聴く者を宇宙的な残響の中へ。
まるで60年代のサイケデリック・トリップ体験を聴覚のみで再現する別次元へのワープ装置です。特にファズの前段に繋げた時の、強烈な没入感を伴う至高の揺らぎは唯一無二!
ジミ・ヘンドリックスのサウンドクリエイターが設計した唯一無二のペダル
ロジャー・メイヤーは単なるエフェクター製作者ではありません。彼は英国海軍の音響エンジニアとして、水中音響研究に携わっていた科学者でした。その科学的アプローチとミュージシャンへの深い理解が融合して生まれたのが、彼のエフェクターペダルです。
1967年1月、ヘンドリックスと出会ってわずか1ヶ月後に誕生したOctaviaは、ロック史を塗り替えました。そしてヘンドリックスが1969年に手にしたUni-Vibeに、メイヤーが独自の改造を施したサウンド―それがVooDoo-Vibe+の原点なのです。
リジナルのUni-Vibeを研究し尽くし、その本質を抽出し、さらに次元を超えた表現力を与える。これが他のユニヴァイブクローンとは決定的に異なる点です。
圧倒的な静粛性:120dBのS/N比が生み出す純度
「信号対雑音比120dB以上―これはコンパクトディスクより12dB優れている」という数値は、単なるスペック表の飾りではありません。実際に音を出した瞬間、その静寂さに驚愕します。
従来のユニヴァイブ系ペダルは、どうしても「サー」というノイズが避けられませんでした。特に深いモジュレーション設定では、音楽的表現とノイズのトレードオフに悩まされたものです。
しかしVooDoo-Vibe+は違います。フルアナログのクラスA ディスクリート回路でありながら、デジタル機器以上の静粛性を実現。これにより、レコーディングからライブまで、あらゆる場面でプロフェッショナルな使用が可能になったのです。
トレモロ、コーラス、ヴィブラート―3つの顔を持つ万能性
VooDoo-Vibe+の真価は、その多面性にあります。オリジナルのUni-Vibeがコーラスとヴィブラートの2モードだったのに対し、VooDoo-Vibe+はトレモロ回路を追加搭載。
- コーラスモード:レスリースピーカーを模した、温かく豊かな空間的広がり
- ヴィブラートモード:ピッチを揺らす官能的なうねり、サイケデリックサウンドの核心
- トレモロモード:音量を周期的に変化させる、クラシックなパルス効果
この3つのモードが、一台のペダルで自在に切り替え可能。セッティング次第で、60年代のサイケデリックロックから現代のアンビエントまで、時代を超えた表現が可能です。
パルス/スクエア波形の追加―表現の地平を拡張
従来のユニヴァイブは、クラシックな三角波ベースのモジュレーションに限定されていました。しかしVooDoo-Vibe+は、パルス波形とスクエア波形を追加。
この波形の選択肢拡大が何をもたらすのか?それは「聴いたことのない新しいサウンド」の創造です。
- クラシック波形:滑らかで有機的なスイープ、伝統的なユニヴァイブトーン
- パルス波形:鋭いアタックと明確なリズム感、モダンなシンセサイザー的表現
- スクエア波形:劇的な明暗のコントラスト、実験的でアグレッシブなモジュレーション
この波形選択により、VooDoo-Vibe+はもはや「ユニヴァイブの再現」ではなく、「モジュレーションの新境地」へと到達したのです。
大幅に拡張されたサウンドパラメーターコントロール
オリジナルのUni-Vibeは、SpeedとIntensityの2つのコントロールのみ。対してVooDoo-Vibe+は、音作りの自由度を劇的に拡大しています。
詳細なパラメーター調整により、微妙なニュアンスから劇的なエフェクトまで、思い描いたサウンドを正確に実現できます。これは単なるコントロールの増加ではなく、表現の次元そのものが拡張されたことを意味します。
「多機能=複雑で使いにくい」という固定観念を覆す、直感的な操作性。これもロジャー・メイヤーの設計哲学の表れです。
真空管アンプとの完璧な共生関係
VooDoo-Vibe+は、真空管アンプとの相性が驚異的です。多くのモジュレーション系ペダルは、アンプの前段に配置すると音が痩せたり、立体感が失われたりします。
しかしVooDoo-Vibe+は違います。温かく、透明で、それでいて豊かなトーンは、どんなアンプとも自然に調和します。特にマーシャル、フェンダー、ヴォックスといったクラシックなアンプとの組み合わせは、まさに天啓。
これはクラスAディスクリート回路の恩恵です。真空管の持つ倍音特性を損なわず、むしろ引き立てる設計。アンプのキャラクターを尊重しながら、新たな次元を付加するのです。
ロックの歴史が証明する信頼性
VooDoo-Vibe+は、単なる「良いペダル」ではありません。これはジミ・ヘンドリックス、ロビン・トロワー、スティーヴィー・レイ・ヴォーンといった伝説たちが求めたサウンドの直系です。
ロジャー・メイヤーが60年以上かけて蓄積した知見、無数のステージとスタジオで検証されてきた設計思想。その集大成がVooDoo-Vibe+なのです。
歴史の重みは、決して軽くありません。それは同時に、このペダルの普遍的価値を証明しています。
Uni-Vibeの歴史とRoger Mayerの革新
レスリースピーカーの夢から生まれた伝説
1960年代半ば、日本人オーディオエンジニア、三枝文夫がある夢を見ていました。「レスリースピーカーの回転する音を、小さなペダルで再現できないだろうか?」
オルガン用に設計されたレスリースピーカーの、あの催眠的な音の渦。それをギターで実現するために生まれたのが、Shin-ei製のUni-Vibeでした。
しかし技術的制約から、レスリーの正確な再現には至りませんでした。ところが、この「不完全さ」こそが、ロック史における最も美しい「偶然」となったのです。
ヘンドリックスとの運命的出会い
1969年、ジミ・ヘンドリックスがUni-Vibeを手にします。彼の死の約1年前―まさに創造性の頂点にあった時期でした。
しかしヘンドリックスは、市販のUni-Vibeに満足しませんでした。そこで彼が頼ったのが、すでに彼のサウンドを革新していたロジャー・メイヤーです。
メイヤーは、ヘンドリックスのために独自の改造を施しました。回路の最適化、部品の選定、そして音楽的感性に基づいた調整。この「ヘンドリックス仕様」こそが、VooDoo-Vibeシリーズの原点なのです。
1992年:VoodooシリーズのDNA誕生
1970年にヘンドリックスが急逝してから22年。ロジャー・メイヤーは、その間も研究を続けていました。
1970年代後期には、ラックマウント版のSupervibeを開発。ロビン・トロワー、スティーヴィー・レイ・ヴォーンといったギタリストがこれを使用し、新たな伝説を紡ぎました。
そして1992年から1993年にかけて、メイヤーは決断します。「もう一度、ペダルフォーマットでユニヴァイブの究極形を作る」と。
こうして誕生したのが初代Voodoo-Vibe。そして進化を続け、トレモロ回路とパルス/スクエア波形を追加したVooDoo-Vibe+へと到達したのです。
最新モデルVoodoo-Vibe 2024
さらにメイヤーは進化を止めません。最新モデルVoodoo-Vibe 2024を発表。60年間の集大成として、レトロなサウンドと最先端の機能を融合させています。
しかしVooDoo-Vibe+の地位は揺るぎません。多くのプロフェッショナルが「最もバランスの取れたVoodooシリーズ」として今なお愛用し続けているのです。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
項目 | 詳細 |
---|---|
製品名 | ROGER MAYER VooDoo-Vibe+ |
タイプ | ユニヴァイブ/モジュレーション |
モード | コーラス/ヴィブラート/トレモロ |
波形 | クラシック/パルス/スクエア |
回路 | フルアナログ クラスAディスクリート |
S/N比 | 120dB以上 |
電源 | 9V DC(センターマイナス) |
入力 | 1/4インチ標準ジャック |
出力 | 1/4インチ標準ジャック |
筐体 | 頑丈なメタルケース |
製造国 | イギリス |
参考価格 | ¥230,000前後 |
デザイン哲学:職人気質が生む機能的美学
VooDoo-Vibe+の外観は、イギリスの職人気質を体現しています。派手さはありませんが、触れた瞬間に伝わる質実剛健な作り。
筐体は頑丈なメタル製。ツアーの過酷な環境にも耐えられる堅牢性を持ちながら、極端に重すぎない絶妙なバランス。これはペダルボードでの実用性を考慮した設計です。
コントロールノブは精密に加工され、滑らかでありながら確実な操作感。フットスイッチは耐久性の高いトゥルーバイパス仕様で、何千回の踏み込みにも耐えます。
LEDインジケーターは小型ながら視認性が高く、暗いステージでも一目で状態を確認できます。そして何より、そのシンプルな佇まいが、60年の歴史を語っているのです。
音響分析:科学者が設計した音楽的回路
クラスAディスクリート回路の優位性
現代のエフェクターペダルの多くは、オペアンプICを使用しています。コスト効率が良く、安定した性能を得られるからです。
しかしロジャー・メイヤーは、あえてクラスAディスクリート回路を選びました。これは個別のトランジスタを丁寧に組み合わせる、手間のかかる設計です。
なぜか?それは「音の透明度」のためです。
オペアンプICは便利ですが、微細な倍音成分を損失しやすい傾向があります。対してクラスAディスクリート回路は、信号経路がシンプルで、音の純度を保ちやすいのです。
この回路設計により、VooDoo-Vibe+は「エフェクトがかかっているのに、素の音が損なわれない」という矛盾を解決しました。
120dBのS/N比が意味するもの
120dBのS/N比―この数値の意味を理解するには、少し説明が必要です。
人間の聴覚は、おおよそ0dB(聴覚の閾値)から120dB(痛みを感じるレベル)までの範囲を知覚できます。つまり120dBのS/N比とは、「人間の聴覚の全域にわたって、ノイズが聞こえない」ことを意味するのです。
通常のエフェクターペダルは、80〜90dB程度のS/N比。コンパクトディスクでさえ96dB程度です。VooDoo-Vibe+の120dBは、スタジオレコーディング機器に匹敵する性能なのです。
この静粛性により、深いモジュレーションをかけても、サウンドは常にクリアで音楽的。ノイズとの戦いから解放されるのです。
波形特性の科学的分析
クラシック波形:有機的な揺らぎ
クラシック波形は、正弦波に近い滑らかな曲線を描きます。これが生み出すモジュレーションは、自然で有機的。まるで生き物が呼吸しているような、柔らかな揺れです。
周波数スペクトル分析では、基音を中心に、偶数次・奇数次の倍音が均等に分布します。これが「温かみ」と「立体感」を同時に生み出す秘密です。
パルス波形:リズミカルな躍動感
パルス波形は、急峻な立ち上がりと緩やかな減衰を持ちます。これが生み出すモジュレーションは、リズミカルで明瞭。
周波数スペクトルでは、奇数次倍音が強調されます。これにより、モダンで力強いキャラクターが形成されるのです。
位相特性:3次元空間の創造
ユニヴァイブの魔法は、位相のずれにあります。VooDoo-Vibe+は、複数のオールパスフィルターを直列接続することで、周波数ごとに異なる位相シフトを生み出します。
この複雑な位相関係が、「音が空間を泳いでいる」ような3次元的な広がりを創造するのです。
科学的に言えば、これは「ヘッドルームの中に仮想音源を生成する心理音響効果」。感覚的に言えば、「魂が宇宙を漂う感覚」です。
ジャンル別完全攻略セッティング集
サイケデリックロック:60's ウッドストックの再現
推奨設定:
- Mode: Vibrato
- Waveform: Classic
- Speed: やや速め(2時方向)
- Intensity: 深め(3時方向)
- その他: 適宜
推奨楽曲: Jimi Hendrix「Machine Gun」、Cream「White Room」
このセッティングは、1969年8月のウッドストック、あの歴史的瞬間を再現します。ヴィブラートモードの深いうねりが、ヘンドリックスが「星条旗よ永遠なれ」で表現した混沌と美を呼び起こします。
ギターのボリュームを絞れば、微かな揺らぎが残る幻想的なクリーントーン。フルテンにすれば、現実と幻想の境界が溶ける陶酔的なリードトーンが得られます。
ブルースロック:70's トロワーサウンド
推奨設定:
- Mode: Chorus
- Waveform: Classic
- Speed: 遅め(10時方向)
- Intensity: 中程度(1時方向)
- その他: 適宜
推奨楽曲: Robin Trower「Bridge of Sighs」、Gary Moore「Parisienne Walkways」
ロビン・トロワーの特徴的なサウンド―それは遅いスピードのコーラスが生み出す、夢のような浮遊感です。
このセッティングでは、音符一つ一つが宇宙空間を漂うような感覚を得られます。特にレスポールタイプのギターとマーシャルアンプの組み合わせでは、まさに「トロワートーン」そのものが再現されます。
ファンク:リズミカルなグルーヴ
推奨設定:
- Mode: Tremolo
- Waveform: Pulse
- Speed: テンポに同期(調整)
- Intensity: 中程度
- その他: 適宜
推奨楽曲: The Isley Brothers「Who's That Lady」、Curtis Mayfield「Pusherman」
トレモロモードとパルス波形の組み合わせは、ファンクの核心―「グルーヴ」を強化します。
楽曲のテンポに合わせてスピードを調整すれば、カッティングリフが生命を得たように躍動し始めます。Mixを50%程度に抑えることで、過度にならず、リズムセクションと一体化します。
アンビエント:現代的サウンドスケープ
推奨設定:
- Mode: Chorus
- Waveform: Pulse
- Speed: 極遅(8時方向)
- Intensity: 深め(2時方向)
- その他: 適宜
推奨楽曲: Radiohead「Everything In Its Right Place(ギターカバー版)」、The Edge風サウンド
劇的なモジュレーションを、極めて遅いスピードで使用。これにより、時間が歪んだような不思議なテクスチャーが生まれます。
ディレイやリバーブと組み合わせれば、現代的なアンビエントサウンドスケープの構築が可能です。The Edgeが多用する「空間的ギター」の一端を担えます。
ハードロック:モダンなエッジ
推奨設定:
- Mode: Vibrato
- Waveform: Pulse
- Speed: 中速(12時方向)
- Intensity: 控えめ(11時方向)
- その他: 適宜
推奨楽曲: Queens of the Stone Age「No One Knows」、The White Stripes「Seven Nation Army」
ヴィブラートモードを控えめに使用することで、ハードロックリフにわずかな「ゆらめき」を加えます。これが音像に奥行きと個性を与えるのです。
過度にならないよう、Intensityを抑えめに。Mixも60%程度にすることで、ソリッドなディストーションサウンドを保ちながら、独特の空気感を付加します。
プロフェッショナルが語る:VooDoo-Vibe+
スタジオミュージシャン K氏の証言
「30年以上のキャリアで、数え切れないほどのモジュレーションペダルを試してきました。ユニヴァイブクローンだけでも、軽く20機種は超えるでしょう。
でも、VooDoo-Vibe+に出会った時、探求は終わったと感じました。
何が違うのか?それは『純度』です。多くのモジュレーションペダルは、どうしても音が曇る。特にコーラスモードでは、高域が丸くなったり、アタックが甘くなったりします。
しかしVooDoo-Vibe+は、信じられないほどクリア。エフェクトOFFの状態と、ON状態で、音の芯が変わらないんです。これはレコーディングエンジニアにとって、革命的なことです。
プロデューサーから『もう少しモジュレーション欲しいけど、音は痩せないでね』という無茶振りにも、VooDoo-Vibe+なら応えられます」
ツアーギタリスト M氏の体験談
「私はハードロックバンドでギターを弾いています。年間100本以上のライブをこなす中で、機材の信頼性は生命線です。
VooDoo-Vibe+を導入して3年。一度も故障したことがありません。
ライブハウスから野外フェスまで、あらゆる環境で使用しましたが、常に安定したパフォーマンスを発揮してくれます。
特に印象的だったのは、真夏の野外フェス。気温35度を超える過酷な環境でも、VooDoo-Vibe+は完璧に動作しました。他のペダルがいくつかトラブルを起こす中、このペダルだけは揺るがなかった。
イギリス製の堅牢性を実感した瞬間です」
レコーディングエンジニア S氏の分析
「私はレコーディングスタジオで、プロからアマチュアまで、様々なギタリストの音を録ってきました。
VooDoo-Vibe+を持ち込むギタリストは、例外なく『分かっている人』です。
このペダルの真価は、ミックス段階で分かります。モジュレーションがかかっているのに、周波数マスキングが起きにくいんです。
これは120dBのS/N比と、クラスA回路の恩恵でしょう。ノイズフロアが極めて低いため、コンプレッサーやEQの処理がしやすい。
つまり、VooDoo-Vibe+は『ミックスしやすいモジュレーション』なんです。これはエンジニア視点では、非常に高く評価できるポイントです」
ライバル機との徹底比較分析
vs MXR Uni-Vibe:オリジナルへのオマージュ対決
項目 | ROGER MAYER VooDoo-Vibe+ | MXR Uni-Vibe |
---|---|---|
価格 | ¥230,000前後 | ¥25,000前後 |
回路 | クラスAディスクリート | 現代的設計 |
モード | 3種(コーラス/ヴィブラート/トレモロ) | 2種(コーラス/ヴィブラート) |
波形 | 3種(クラシック/パルス/スクエア) | クラシックのみ |
S/N比 | 120dB以上 | 標準的 |
特徴 | ロジャー・メイヤーの正統進化 | オリジナルの忠実再現 |
MXR Uni-Vibeは、オリジナルUni-Vibeの忠実な再現を目指した優秀なペダルです。しかしVooDoo-Vibe+は「再現」ではなく「進化」。価格差は、その設計思想と音質の差として明確に現れます。
vs MXR Phase 90:フェイザーとの比較
項目 | ROGER MAYER VooDoo-Vibe+ | MXR Phase 90 |
---|---|---|
エフェクトタイプ | ユニヴァイブ(位相+振幅) | フェイザー(位相のみ) |
キャラクター | 有機的/立体的 | シャープ/ジェットサウンド |
操作性 | 多機能 | シンプル(1ノブ) |
価格 | ¥230,000前後 | ¥16,000前後 |
用途 | 幅広いジャンル | ロック/ファンク特化 |
Phase 90は素晴らしいフェイザーですが、ユニヴァイブとは根本的に異なるエフェクトです。VooDoo-Vibe+の方が温かく、より複雑な空間表現が可能です。
vs Fulltone Deja'Vibe:現代ユニヴァイブの名機との比較
項目 | ROGER MAYER VooDoo-Vibe+ | Fulltone Deja'Vibe |
---|---|---|
サイズ | コンパクト | やや大型 |
電源 | 9V DC | 18V DC |
波形選択 | 3種 | 1種 |
モード | 3種 | 2種 |
価格 | ¥230,000前後 | ¥60,000前後 |
哲学 | ロジャー・メイヤーの進化系 | ヴィンテージトーン追求 |
Fulltone Deja'Vibeは、ヴィンテージUni-Vibeのトーンを現代に蘇らせた名機です。価格帯も近く、どちらも素晴らしい選択肢。ただしVooDoo-Vibe+は、より多機能で実験的なサウンド探求が可能です。
vs TC Electronic Viscous Vibe:デジタル対アナログ
項目 | ROGER MAYER VooDoo-Vibe+ | TC Electronic Viscous Vibe |
---|---|---|
回路 | フルアナログ | デジタル処理 |
プリセット | なし(手動調整) | あり |
トーンプリント | なし | あり(カスタマイズ可能) |
価格 | ¥230,000前後 | ¥19,000前後 |
キャラクター | 温かく有機的 | 正確でややクリーン |
TC ElectronicのViscous Vibeは、現代的な利便性に優れています。しかし、アナログ回路が生み出す「揺らぎ」や「温かみ」は、VooDoo-Vibe+が圧倒的に上です。
まとめ:VooDoo-Vibe+がもたらす音楽的覚醒
ROGER MAYER VooDoo-Vibe+は、単なる「ユニヴァイブの再現」ではありません。これは60年以上にわたる音響研究と、無数のレコーディングセッション、そしてロックの伝説たちとの対話から生まれた、「モジュレーションの究極形」です。
軽いコーラスから深いヴィブラート、そしてリズミカルなトレモロまで―一台で表現できる幅広さ。クラスAディスクリート回路が生み出す、120dBの静寂性と透明度。3種類の波形選択による、無限の音色探求の可能性。
¥230,000前後という価格は、確かに高額です。しかし、この投資がもたらす音楽的価値は、金額では測れません。
1969年8月15日、ウッドストックのステージ。ジミ・ヘンドリックスが「星条旗よ永遠なれ」を演奏した時、彼の足元にはロジャー・メイヤーが改造したUni-Vibeがありました。
あの衝撃的なサウンド、時代を超越した表現力。その直系の子孫が、今、あなたの手の届くところにあります。この深遠なる揺らぎの哲学を、ぜひあなたの手で体現してください!