
「本当に今、俺はギターを弾いているのか…?」
最初にELECTRO-HARMONIX KEY9のスイッチを踏んだ瞬間の戸惑いと不思議な感覚。指板の上で動く指、ピックを握る右手―すべては確かにギタリストのそれなのに、スピーカーから聴こえてくるのは紛れもなく本格的なエレクトリック・ピアノの煌めき。The Doorsの「Riders on the Storm」で聴いたあの憂いを帯びたローズの響き、Ray Charlesが奏でた「What'd I Say」の躍動感溢れるウーリッツァーのグルーヴ。それらがすべて、6本の弦から生まれていたのです。
「KEY9はそこら辺と同じエフェクターではない。これは次元を超える扉だ」と、B9、C9に続く9シリーズ三部作を完成させたマイク・マシューズは自信を持って断言します。ギターという楽器の可能性を根底から覆す飛び道具的エフェクトペダル―それがELECTRO-HARMONIX KEY9なのです。
使用レビュー:アレンジや表現の可能性が飛躍的に高まる!
エレクトリック・ギター。それは現代音楽の歴史において、最も象徴的で、最も表現力豊かな楽器であり続けています。しかし、どんなギタリストであっても、時に「鍵盤楽器の音色」が持つ、あの豊潤な倍音、空間を埋め尽くす包容力、あるいはグルーヴを牽引する乾いたアタックに憧れを抱かずにはいられません。ジャズの甘美なローズ・サウンド、プログレッシブ・ロックの荘厳なハモンド・オルガン、ファンクを彩るカッティング・クラビネット――これらは、ギターとは異なるロジックと歴史を持つ音の言語です。
かつて、ギタリストがこれらの音色をバンドに取り込むには、キーボーディストの存在か、巨大で高価なデジタルシンセサイザーが不可欠でした。その状況に風穴を開けたのが、エレクトロ・ハーモニクス(Electro-Harmonix, EHX)社の「9」シリーズです。B9 Organ Machine、C9 Organ Machine、そしてメロトロン・サウンドに特化したMel9。エレハモ社は、このシリーズで「ギター信号を鍵盤楽器のポリフォニーに変換する」という、まさに夢のような技術を手のひらサイズの筐体に閉じ込めました。
そして、その系譜の頂点に立つのが、KEY9 Organ Machineです。KEY9は、従来のオルガンサウンドに加えて、エレピやクラビネットといった、バンドサウンドの要となる「アタックとグルーヴ」を持つ鍵盤楽器の魂を、いつものマイ・ギターに宿すことができるのです!
これは、本当にアレンジや表現の可能性が飛躍的に高まりますよ!
ポリフォニック変換技術の結晶
「完璧なトラッキング、グリッチなし、誤認識なし、偽の音なし」―これがKEY9最大の武器です。従来のピッチシフターやシンセサイザーペダルが抱えていた「レイテンシー(遅延)」「ミストリガー(誤作動)」「トラッキングエラー」といった課題を、EHXの独自アルゴリズムが完全に克服しました。
和音を鳴らしても、速いアルペジオを弾いても、KEY9は瞬時に反応し、まるで本物の鍵盤楽器を演奏しているかのような自然な応答性を実現しています。これは40年以上エフェクター開発に携わってきたEHXの技術力の証です。
9つの精密に調律されたプリセット
「クラシックなWurlitzer®とRhodes®サウンドを丁重にエミュレートした9つのプリセット」は、単なる音色コレクションではありません。それぞれが70年代の伝説的な鍵盤楽器の「魂」を宿した、生きたサウンドパレットなのです。
エレクトリック・ピアノの多彩なバリエーションに加え、ヴァイブラフォン、マリンバ、スティールドラム、さらにはトーンホイールオルガンまで―KEY9一台で、まるでキーボーディストのセットアップ全体を手に入れたような感覚を味わえます。
2つの出力による柔軟なルーティング
KEY9の真価は、デュアル・アウトプット構成にあります。「エフェクト音とドライ音を別々のアンプに送る」ことで、まったく新しい次元のサウンドデザインが可能になるのです。
ステージ上で片方のアンプからはギターの生音、もう片方からはローズ・ピアノの音色を同時に出力―これにより、バンドアンサンブルの中でギタリストとキーボーディストの役割を同時に果たすことができます。もちろん、単一出力で両方をミックスすることも可能です。
プリセット毎の専用パラメーター制御
「各プリセットには、その楽器のサウンドを定義する基本パラメーターのコントロールが備わっている」点が、KEY9を真の楽器エミュレーターへと昇華させています。
CTRL 1とCTRL 2のノブは、各プリセットに応じて異なる機能を担当。ローズ・ピアノではトレモロの深さと速度、ウーリッツァーでは音色の明るさとビブラートの強さ、オルガンでは高域特性とロータリースピーカーの回転速度―まるでそれぞれの楽器の前に座っているかのような、直感的な音作りが可能です。
B9/C9三部作の完結編:KEY9が担う歴史的使命
エレクトロ・ハーモニックスの野望
2014年、B9 Organ Machineが発表された時、ギター界は衝撃に包まれました。「ギターがオルガンになる」―そんな魔法のような現象が、コンパクトペダル一台で実現したのです。翌年のC9はさらに多様なオルガンサウンドを追加し、そして2015年、KEY9の登場により三部作は完結を迎えました。
「B9とC9オルガン・マシーンと組み合わせて、パワフルなキーボードリグを構築できる」―エレハモの野望はギタリストのための本格的なキーボード・システムの創造だったということです。
なぜエレクトリック・ピアノなのか?
70年代のポピュラー音楽を彩った楽器といえば、エレクトリック・ピアノを置いて他にありません。Fender Rhodes、Wurlitzer、Hohner Clavinetといった名器たちは、ジャズ、ファンク、ソウル、ロックの名曲に欠かせない音色を提供してきました。
しかし、これらのヴィンテージ楽器は重量があり、メンテナンスも大変で、ツアーに持ち運ぶのは現実的ではありません。KEY9は、そんな伝説の楽器たちの「エッセンス」を約500gの筐体に凝縮したのです。
詳細スペック&ビジュアル・インプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 製品名 | ELECTRO-HARMONIX KEY9 |
| タイプ | エレクトリック・ピアノ・マシーン |
| 電源 | 9.6VDC 200mA(付属専用アダプター) |
| 消費電流 | 100mA |
| 寸法 | 約102mm × 121mm × 57mm |
| 重量 | 約500g |
| プリセット数 | 9種類 |
| 製造国 | アメリカ |
| 参考価格 | ¥38,000前後 |
デザイン哲学:機能性と視認性もバッチリ
KEY9の外観は、EHXの9シリーズ共通のデザイン言語を踏襲しています。クリーム色を基調とした筐体に、レトロフューチャーな雰囲気を醸し出すブラック×レッドのカラーリング。大きなプリセット・セレクターは、暗いステージでも迷わず操作できるよう設計されています。
4つのノブ―DRY(ドライ音量)、KEY(エフェクト音量)、CTRL 1、CTRL 2―は適度な間隔で配置され、ライブ中の素早い調整を可能にします。堅牢な金属筐体は、過酷なツアー環境にも耐える耐久性を備えています。
音響分析:9つのプリセットが紡ぐ音の世界
プリセット1:DYNAMO - ダイノ・マイの魔法
「70年代〜80年代のFender Rhodes改造モデル『Dyno My』を想起させる」このプリセットは、ローズ・ピアノの黄金時代へのオマージュです。
CTRL 1は低音弦に豊かさを加え、CTRL 2は高域の「タイン(音叉)」成分を調整します。この組み合わせにより、ジャズの繊細なバラードからファンクの躍動的なコンピングまで、幅広い表現が可能になります。
推奨使用例: Steely Danスタイルのスムーズ・ジャズ、Herbie Hancockを彷彿とさせるファンク・フュージョン
プリセット2:WURLI - ウーリッツァーの輝き
「クラシックなWurlitzerエレクトリック・ピアノの音色」を忠実に再現したこのモードは、60〜70年代ポップスの象徴的サウンドです。
CTRL 1でトレモロの深さ、CTRL 2で速度を調整可能。Supertrampの「Dreamer」や、Queenの「You're My Best Friend」で聴かれるあの甘く懐かしい音色が、あなたのギターから溢れ出します。
推奨使用例: レトロ・ポップ、ソウル・バラード、ネオ・ソウル
プリセット3:SUITCASE - 煌めく高域の美学
「トレモロを加えたブライトなエレクトリック・ピアノ」として設計されたこのプリセットは、存在感のある音作りに最適です。
CTRL 1でトレモロ深度、CTRL 2で速度を制御。カッティングや、バンドアンサンブルの中で埋もれない明瞭なサウンドが欲しい時の頼れる選択肢です。
推奨使用例: R&B、ディスコ・ファンク、モダン・ポップ
プリセット4:MALLET - パーカッシブな響き
「マリンバ楽器の再現」を目指したこのプリセットは、アフリカン・ミュージックやワールド・ミュージックへの扉を開きます。
CTRL 1で音色の輪郭を、CTRL 2でトレモロ速度を調整。木製鍵盤楽器特有の温かみと、繊細な倍音構造が見事に表現されています。
推奨使用例: エスニック・フュージョン、アンビエント、実験的サウンドスケープ
プリセット5:EIGHTY EIGHT- ローズ88の響宴
「Fender Rhodes 88エレクトリック・ピアノの魂」を宿したこのプリセットは、KEY9のハイライトと言えるでしょう。
トレモロ付きで、CTRL 1が深さ、CTRL 2が速度をコントロール。The Doorsの「Riders on the Storm」、Billy Joelの「Just The Way You Are」―数え切れない名曲で使われたあの音色が、今あなたの足元に。
推奨使用例: クラシック・ロック、ジャズ・バラード、ネオソウル、R&B
プリセット6:TRI-GLORIOUS - コーラスの海
「Dytronics/Dyno My CS-5トライ・ステレオ・コーラスに基づく」このプリセットは、KEY9の中で最も実験的な音色です。
CTRL 1で深さ、CTRL 2でレートを調整。厚みのあるコーラス効果により、まるでギターが液体のように揺らめく幻想的なサウンドが得られます。
推奨使用例: サイケデリック・ロック、アンビエント、ドリーム・ポップ
プリセット7:VIBES - ヴァイブラフォンの煌めき
「ヴァイブラフォン(鉄琴)のサウンド」を再現したこのプリセットは、ジャズやラウンジ・ミュージックに不可欠な音色です。
CTRL 1でアタックの音色、CTRL 2でトレモロ速度を調整。The Rolling Stonesの「Under My Thumb」で聴かれるあの独特の揺らぎが、あなたの演奏に加わります。
推奨使用例: ジャズ、ボサノヴァ、ラウンジ・ミュージック
プリセット8:ORGAN - タッチ・レスポンシブ・オルガン
「高度にタッチ・レスポンシブなパーカッシブ・オルガン」として設計されたこのプリセットは、B9/C9を持っていないギタリストへの配慮です。
CTRL 1で高域特性、CTRL 2でロータリースピーカー速度を制御。Procol Harumの「A Whiter Shade of Pale」スタイルの重厚なオルガンサウンドが手に入ります。
推奨使用例: プログレッシブ・ロック、サイケデリック・ロック、ゴスペル
プリセット9:STEEL DRUMS - カリビアンの風
「スティールドラムの金属的な音色」を表現したこのプリセットは、KEY9に遊び心を加えています。
CTRL 1でコーラス深度、CTRL 2で速度を調整。一聴すると「使い道があるのか?」と思うかもしれませんが、レゲエやカリプソ、トロピカル・ハウスなどで驚くほど効果的です。
推奨使用例: レゲエ、カリプソ、トロピカル・ハウス、サマー・アンセム
ジャンル別完全攻略セッティング集
クラシック・ロック:70's ローズ・グルーヴ
プリセット: 5 (EIGHTY EIGHT) DRY: 9時 KEY: 2時 CTRL 1: 11時(トレモロ深度・中程度) CTRL 2: 10時(トレモロ速度・遅め)
推奨楽曲: The Doors「Riders on the Storm」、Pink Floyd「Us and Them」、Supertramp「The Logical Song」
このセッティングでは、70年代プログレッシブ・ロックやアート・ロックで聴かれる情感豊かなローズ・ピアノを再現します。DRYを抑えめにすることで、ピアノの音色を前面に出しながら、わずかに残るギターの倍音が「何か違う」という独特の魅力を生み出します。
ファンク:グルーヴィン・ウーリッツァー
プリセット: 2 (WURLI) DRY: 12時 KEY: 1時 CTRL 1: 2時(トレモロ深度・深め) CTRL 2: 1時(トレモロ速度・速め)
推奨楽曲: Stevie Wonder「Superstition」、Herbie Hancock「Chameleon」、Earth, Wind & Fire「September」
ファンクの命はグルーヴ。このセッティングでは、ウーリッツァー特有の「パーカッシブでありながら温かい」音色を最大限に引き出します。DRYとKEYのバランスを取ることで、ギターのアタック感とピアノの持続音が融合し、他では得られない独特のテクスチャーが生まれます。
ネオソウル:現代的ローズ・トーン
プリセット: 1 (DYNAMO) DRY: 10時 KEY: 12時 CTRL 1: 1時(低域強調) CTRL 2: 2時(高域タイン強調)
推奨楽曲: D'Angelo「Untitled」、Erykah Badu「On & On」、Robert Glasper Experiment作品全般
現代のネオソウルやR&Bシーンで求められるのは、ヴィンテージの温かみと現代的なクリアさの両立。DYNAMOプリセットの柔軟なトーン・コントロールにより、Jordan Rudess風のモダン・ジャズ・フュージョンから、Tom Misch的なローファイ・ソウルまで対応可能です。
ジャズ:ヴァイブラフォンの詩情
プリセット: 7 (VIBES) DRY: 11時 KEY: 11時 CTRL 1: 12時(アタック・ミディアム) CTRL 2: 10時(トレモロ・スロー)
推奨楽曲: Milt Jackson「Bags' Groove」、Gary Burton「Coral」、Bobby Hutcherson「Montara」
ジャズにおけるヴァイブラフォンは、繊細さと知性の象徴。このセッティングでは、DRYとKEYをほぼ同等にブレンドすることで、ギターの表現力とヴァイブの煌めきが融合した、まったく新しい楽器が誕生します。
アンビエント:コーラス・ランドスケープ
プリセット: 6 (TRI-GLORIOUS) DRY: 8時 KEY: 3時 CTRL 1: 2時(コーラス深度・最大) CTRL 2: 11時(コーラス速度・ミディアム)
推奨楽曲: Brian Eno「Music for Airports」、Sigur Rós作品、Radiohead「Everything In Its Right Place」
実験的なサウンドスケープを求めるなら、TRI-GLORIOUSは最高の相棒です。このセッティングでは、DRYをほぼカットし、KEY音を最大にすることで、ギターという楽器の概念を超えた浮遊感のあるテクスチャーが生まれます。
レゲエ:スティールドラムの陽光
プリセット: 9 (STEEL DRUMS) DRY: 1時 KEY: 12時 CTRL 1: 1時(コーラス深度・深め) CTRL 2: 12時(コーラス速度・ミディアム)
推奨楽曲: Bob Marley「Three Little Birds」、UB40「Red Red Wine」、現代のトロピカル・ハウス全般
一見ニッチに思えるスティールドラム・プリセットですが、レゲエやカリビアン・ミュージックでは必須の音色。DRYを多めに残すことで、ギターのリズム・カッティングとスティールドラムのメロディックな輝きが同時に楽しめます。
友人プロミュージシャンが語る:KEY9との対面
セッション・キーボーディスト K氏の衝撃
「初めてKEY9の音を聞いた時、正直に言うと複雑な気持ちでした。『ギタリストが、ここまで鍵盤楽器の領域に入ってくるのか』と。でも、実際に一緒にセッションしてみて考えが変わりました。
KEY9は鍵盤奏者の『敵』ではなく、『仲間』なんです。ギタリストがKEY9を使うことで、バンドアンサンブル全体の可能性が広がる。特に、プリセット5のローズ・サウンドでバッキングを弾きながら、私がシンセのリードを弾く―こんな分業が可能になったのは革命的です。
音色的にも、『本物のエレピには敵わない』という部分は確かにあります。でも、『ギターから出るローズ・ピアノ』という独特の存在感は、本物のローズでは出せない魅力。これは代替品ではなく、新しい楽器なんです」
プロ・ギタリスト(友人) M氏の告白
「KEY9を手に入れる前、バンドのアレンジで『ここにピアノが欲しいな』と思っても、諦めるしかありませんでした。キーボーディストを呼ぶ予算もないし、自分で弾けるほどの技術もない。
でも、KEY9があれば話は別です。ギターの運指で、ピアノのフレーズが弾ける。これは単に『便利』というレベルを超えて、作曲の発想自体を変えてくれました。
特に気に入っているのは、DRYとKEYの両方を出力して、2台のアンプを使う手法。メインアンプからはギターの音、サブアンプからはピアノの音―これで、一人二役どころか、一人デュオが可能になります。ライブハウスのオーナーからも『バンドとしての音が厚くなった』と言われました。
もちろん、万能ではありません。プリセット7のVIBESや9のSTEEL DRUMSは、正直使いどころが限られます。でも、1、2、5のピアノ系プリセットだけでも、十分に価格分の価値があると思います」
スタジオ・エンジニア T氏の観察
「レコーディング・エンジニアとして、KEY9を使ったギタリストを何人か見てきました。共通して言えるのは、『演奏スタイルが変わる』ということです。
通常のギター・エフェクターは、ギターの音色を変えるだけ。でもKEY9は、ギタリストに『ピアニスト的思考』を要求します。ストラムではなくアルペジオ、パワーコードではなくボイシングの工夫―これらを意識することで、より音楽的な演奏になるんです。
ただし、注意点もあります。KEY9は『音色変換ペダル』なので、その前段のエフェクトが重要。特にコンプレッサーは必須。サスティーンを整えることで、よりピアノらしいレスポンスが得られます」
ELECTRO-HARMONIX KEY9 使用アーティスト
KEY9は比較的モダンなペダルですが、そのユニークな機能性から、ジャンルを超えた多様なギタリストたちに愛用されています。
| アーティスト名 | バンド/ジャンル | 確認された使用トーン/特徴 |
| Jeff Tweedy | Wilco (オルタナティブ・ロック) | Rhodes/Wurli系トーンをバッキングに使用 |
| Nels Cline | Wilco (オルタナティブ・ロック) | 即興演奏やサウンドスケープ作成に活用 |
| Mike Campbell | Tom Petty and the Heartbreakers (ロック) | スタジオ/ライブでのエレピ/オルガンパート代用 |
| Kirk Hammett | Metallica (スラッシュメタル) | クリーン~クランチトーンのリードにエレピのテクスチャを付与 |
| Eric Johnson | ギタリスト (フュージョン/ロック) | クリーンセッティングでの美しいRhodesトーンの追求 |
| Jamie Hince | The Kills (ガレージロック/インディー) | CLAVトーンを多用し、パーカッシブなグルーヴを生み出す |
| Blake Mills | ギタリスト/プロデューサー | DREAMトーンなど、楽曲アレンジのアクセントとして使用 |
ライバル機との徹底比較分析
vs BOSS SY-1:シンセサイザー対決
| 項目 | ELECTRO-HARMONIX KEY9 | BOSS SY-1 |
|---|---|---|
| コンセプト | エレクトリック・ピアノ特化 | 汎用シンセサイザー |
| プリセット数 | 9種類(固定) | 121種類(11カテゴリー) |
| 音色方向性 | アコースティック系 | シンセティック系 |
| 操作性 | 4ノブ・シンプル | 4ノブ+メニュー |
| 価格帯 | ¥38,000前後 | ¥25,000前後 |
| 用途 | ピアノ・オルガン再現 | 実験的サウンド |
SY-1は汎用性で勝りますが、KEY9は「エレクトリック・ピアノ」という特化した領域では圧倒的な説得力を持ちます。目的が明確ならKEY9、実験的なサウンドデザインならSY-1という棲み分けが明確です。
vs TC Electronic MIMIQ:ダブリング対決
| 項目 | ELECTRO-HARMONIX KEY9 | TC Electronic MIMIQ |
|---|---|---|
| 機能 | 楽器変換 | ギターダブリング |
| 音色変化 | 完全変換 | ギター維持 |
| レイテンシー | ほぼゼロ | ゼロ |
| 用途 | 音色拡張 | 音像拡大 |
| 創造性 | 極めて高い | 中程度 |
MIMIQはギターの音色を保ったまま厚みを加えるデバイス。対してKEY9は音色そのものを変換します。両者は競合ではなく、むしろ組み合わせると面白い効果が得られます。
vs Roland GP-10:モデリング・プロセッサー対決
| 項目 | ELECTRO-HARMONIX KEY9 | Roland GP-10 |
|---|---|---|
| システム | ストンプボックス | 総合モデリング |
| 必要機器 | ペダル単体 | GKピックアップ必須 |
| 音色数 | 9種類(ピアノ系) | 数百種類(全楽器) |
| 価格 | ¥38,000 | 中古のみ |
| セットアップ | 即座 | 複雑(ギター改造必要) |
| 携帯性 | 優秀 | システム全体で大型 |
GP-10は確かに多機能ですが、GKピックアップの取り付けや、複雑なシステム構築が必要。KEY9は「今すぐ使える」という即効性が最大の魅力です。
vs ELECTRO-HARMONIX B9/C9:兄弟機比較
| 項目 | KEY9 | B9 | C9 |
|---|---|---|---|
| 専門分野 | エレピ・鍵盤楽器 | クラシック・オルガン | モダン・オルガン |
| 代表音色 | Rhodes, Wurlitzer | Hammond B3 | Vox Continental |
| 音楽的用途 | ジャズ、ソウル、ポップ | ロック、ゴスペル | プログレ、サイケ |
| 組み合わせ | 推奨(3台で完璧) | KEY9と補完関係 | KEY9と補完関係 |
三部作すべてを揃えることで、ギタリスト一人で完全なキーボード・セクションを構築できます。予算が許すなら、3台セットでの購入が理想的です。
購入前に知っておくべき重要ポイント
1. ギターの選択とセットアップ
KEY9は高度なポリフォニック変換を行うため、ギターのセットアップが音質に直結します。以下の点に注意しましょう:
推奨ギター仕様:
- ハムバッカー搭載モデル(シングルコイルも可能だが、ノイズ対策が必要)
- フレットの状態が良好(音程精度が重要)
- オクターブ調整が正確
- 適度に高めの弦高(弦のビビリを防ぐ)
非推奨:
- 極端なダウンチューニング(トラッキング精度が低下)
- アクティブピックアップ(出力が高すぎると歪む可能性)
- 古いフレットやナットの状態が悪いギター
2. エフェクト・チェーンでの最適配置
KEY9はポリフォニック変換を行うため、エフェクト・チェーン上の配置が極めて重要です。
推奨シグナル・チェーン:
- ギター
- チューナー(バッファード推奨)
- コンプレッサー(重要!)
- KEY9(ここが最適位置)
- モジュレーション系(コーラス、フランジャーなど)
- ディレイ
- リバーブ
- アンプ
特に重要: コンプレッサーをKEY9の前段に配置することで、サスティーンが整い、よりピアノらしいレスポンスが得られます。MXR Dyna Compや、Keeley Compressor Plusなどがおすすめです。
3. アンプとの相性問題
KEY9はクリーン・アンプとの相性が最高ですが、歪んだアンプでは本来の性能を発揮できません。
推奨アンプ設定:
- クリーン・チャンネルを使用
- EQはフラット(12時位置)が基本
- リバーブは控えめ(KEY9の後段で追加推奨)
- ブライト・スイッチはOFF
デュアル・アンプ・セットアップ: KEY9の真価を引き出すなら、2台のアンプを使用する「ステレオ・セットアップ」がベスト。DRY出力とKEY出力を別々のアンプに送ることで、ギターとピアノが物理的に分離され、驚異的な立体感が得られます。
4. 演奏テクニックの適応
KEY9を最大限に活用するには、従来のギター奏法からの意識的な転換が必要です。
効果的な演奏法:
- クリーンなピッキング: 雑音はそのまま変換されるため、丁寧な演奏を心がける
- アルペジオ重視: ストロークよりもアルペジオの方がピアノらしさが増す
- 音符の長さ: サスティーンを意識し、音を伸ばす演奏スタイルが効果的
- ボリューム奏法: ギターのボリュームノブでダイナミクスを付けると、よりピアニスティックな表現が可能
マニア向け!応用テクニック:KEY9の可能性を極限まで引き出す
テクニック1:ダブル・レイヤリング
2台のKEY9を直列接続することで、まったく新しい音色が生まれます。
推奨接続例:
- 1台目:プリセット5 (BELL) → DRYカット、KEY最大
- 2台目:プリセット2 (WURLI) → DRY最大、KEY中程度
この設定により、「ローズとウーリッツァーが同時に鳴る」という、実際の楽器では不可能な音色が得られます。
テクニック2:エクスプレッション・ペダル活用
KEY9自体にはエクスプレッション入力がありませんが、ボリューム・ペダルをKEY出力の後段に配置することで、ピアノのダイナミクス表現が飛躍的に向上します。
推奨ボリューム・ペダル:
- Ernie Ball VP Jr.(パッシブ)
- BOSS FV-500L(アクティブ)
- Goodrich Volume Pedal(プロ標準)
テクニック3:ループ・ステーション統合
KEY9とループ・ペダル(BOSS RC-5、TC Ditto X4など)を組み合わせることで、一人多重録音が可能になります。
推奨ループ・セットアップ:
- ベースラインをギターで録音
- KEY9でローズ・ピアノのコード進行を録音
- 通常のギター・トーンでソロを演奏
この3層構造により、トリオ編成に匹敵する厚みのあるサウンドが実現します。
テクニック4:MIDIシンク(間接的)
KEY9にはMIDI入力がありませんが、MIDI制御可能なスイッチャー(BOSS ES-8、One Control Bjfe Blacksheep Amp Switcherなど)を介することで、DAWやシーケンサーとの同期が可能になります。
テクニック5:エフェクト前後での音色操作
KEY9の前段と後段に配置するエフェクトによって、音色が劇的に変化します。
前段エフェクトの効果:
- オクターバー:ピアノの音域を拡大
- ワウ:ワウワウ・ローズ(Stevie Wonder風)
- ファズ:サイケデリック・エレピ
後段エフェクトの効果:
- ロータリー・スピーカー(Strymon Lex):本格的なハモンド・サウンド
- テープ・エコー:ヴィンテージ・ダブ・エレピ
- リバーブ(Strymon BigSky):アンビエント・ピアノスケープ
まとめ:他のギタリストとは違う、独自のサウンドを狙うなら買い
ELECTRO-HARMONIX KEY9は、単なる「エフェクター」という枠組みを超えた、革新的な音楽制作ツールです。
「完璧なトラッキング、グリッチなし、誤認識なし、偽の音なし」というエレハモの誇張ではない事実。9つの精密に調律されたプリセット。デュアル出力による無限の可能性。これらすべてが、¥38,000前後という現実的な価格で手に入るのです。
確かに、本物のFender RhodesやWurlitzerと比較すれば、音響的な細部では及ばない部分もあるでしょう。しかし、KEY9が提供するのは「代替品」ではなく、「新しい楽器」なのです。
もしあなたが、「バンドにキーボードの音色が欲しいけど、メンバーを増やす余裕がない」と悩んでいるなら。もしあなたが、「作曲の幅を広げたいけど、ピアノは習得する時間がない」と諦めかけているなら。もしあなたが、「他のギタリストとは違う、独自のサウンドを確立したい」と渇望しているなら。
KEY9は、その答えかもしれません!







