
マーシャル、フェンダー、VOXといったアンプの巨匠たちが生み出してきた珠玉のトーン。しかし現実には、自宅での練習やライブハウスの制約で、いつでもそんな理想的な環境でプレイできるとは限りません。
そんな現代ギタリストの永遠の悩みに、一筋の光を差し込んだのが、カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれた—XOTIC BB Preampです。
Andy Fuchs(アンディ・フックス)の卓越した回路設計により誕生したこの奇跡の装置は、「プリアンプ」という名前でありながら、実際にはあなたのアンプを別次元の楽器へと変貌させる最終兵器なのです。
使用レビュー:長年探し求めていた最後のピースかもしれない
私が初めてBB Preampのレビュー記事を読んだ時、正直なところ、そこまで特別な印象はなかった。オーバードライブとプリアンプが融合したペダル…という説明だけでは、他の多くのペダルと何が違うのか、その魅力は伝わりにくい。
しかし、実際にそのペダルを足元に置き、ジャックを繋ぎ、アンプから音を出した瞬間、私の認識は一変した!
それは、派手なエフェクトでも、耳をつんざくような歪みでもなかった。そこにあったのは、まるで長年探し求めていたジグソーパズルの最後のピースを見つけたような感覚。
自分のギターとアンプが持つ本来のポテンシャルが、このペダルによって解き放たれ、より豊かで、より立体的なサウンドとして目の前に広がったのです。新しいギターを買うよりも感動したかも。
真空管アンプの息遣いを再現する唯一無二の回路設計
「BB Preampの最大の特徴は、単調な音色変化ではなく、アンプそのものの特性を根本的に変えてしまう点にある」——これは多くのプロギタリストが口を揃えて証言する事実です。
XOTICが採用した独自のFET(電界効果トランジスタ)回路は、真空管の非線形特性を驚異的な精度で模倣します。これにより、ピッキングの強弱に対する反応、弦のアタック感、そして音符が消えゆく瞬間の余韻まで、本物のチューブアンプと見紛うばかりの有機的な応答を実現しているのです。
クリーンからクランチまでの完璧なグラデーション
「ギターのボリュームコントロールだけで、クリーンからドライブまで自由自在にコントロールできる」特性こそ、BB Preampが真のプリアンプと呼ばれる所以です。
従来のオーバードライブペダルでは不可能だった、ギター側の音量調整による繊細な音色変化。ボリュームを絞れば透明感のあるクリーントーン、少しずつ上げていけば自然な歪みが加わり、フルテンにすれば咆哮するようなドライブサウンド。この連続的な変化は、まさにハイエンドチューブアンプの醍醐味そのものです。
もちろん、アンプ側を軽く歪ませておいてBB Preampをブースターとして使用する使い方もめちゃくちゃ良い音に仕上がります!
あれ!?俺のギターや機材って、こんなポテンシャルがあったの!?という衝撃すら覚えるはず...。マジで万能選手!!
究極のアンプマッチング能力
「どんなアンプでも、BB Preampを通すと急に『良いアンプ』に聞こえる不思議」——この現象の背後には、XOTICの深い理解があります。
BB Preampは、アンプの個性を殺すのではなく、それぞれのアンプが本来持っている潜在能力を引き出す設計となっています。フェンダー系では温かみのある中域を、マーシャル系では豪快なロック感を、そしてVOX系では独特のキャラクターを、それぞれ最大限に活かします。
直感的すぎる4ノブ・コントロール
Volume、Gain、BASS、TREBLEのシンプルな4ノブ構成でありながら、その調整幅の広さは驚異的です。各コントロールが相互に影響し合い、わずかな調整でしっかり音色が変化します。
特に注目すべきはBASS & TREBLEのToneコントロールの優秀さ。数値上の単純なカットやブーストではなく、音楽的に美しい音域調整が可能で、どのポジションでも「使える音」が得られます。
バッファリング機能による音質向上
多くのギタリストが見落としがちですが、BB Preampの高品質バッファ回路は、長いケーブルやエフェクトチェーンによる音質劣化を防ぎます。エフェクトOFF時でも、信号の整理とブーストを行い、ギター本来のトーンを最適化します。
伝説的なヴィンテージトーンへの扉
「60年代から70年代のクラシックロックサウンドを現代に蘇らせる」能力こそ、BB Preampが世界中のギタリストに愛され続ける理由です。レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンといった巨匠たちのトーンを、現代の機材環境で再現できる貴重な存在です。
プリアンプの概念を変える設計哲学
プリアンプとは何か?——音楽における前置増幅の芸術
「プリアンプ」という言葉を聞いて、多くの人が想像するのは単純な「音量を上げる装置」かもしれません。しかし、XOTIC BB Preampが体現するプリアンプの真の意味は、はるかに深遠です。
それは楽器とアンプの間に立つ音楽的な通訳者であり、ギタリストの感情をより正確にスピーカーへと伝達する表現力の拡張器なのです。
BB Preampは信号を単純に増幅するのではなく:
- ダイナミクスの強調
- 倍音構造の整理
- 周波数特性の最適化
- インピーダンス整合の完成
これら全てを統合的に処理することで、ギターとアンプの間に理想的な関係性を構築します。
Andy Fuchsの回路設計哲学
XOTICの創設者Andy Fuchsは、単なるエフェクトメーカーではありません。彼は本質的に音響工学者であり、同時に音楽への深い理解者でもあります。
BB Preampの設計において、彼が重視したのは:
1. 楽器としての一体感 エフェクトペダルをギターの外付け装置ではなく、楽器の一部として機能させる統合性。
2. 演奏者との対話能力 ギタリストの微細なタッチや感情の変化を、忠実にアンプへ伝達する応答性。
3. 音楽的な美しさの追求 技術的な完璧性だけでなく、聴く者の心を動かす音楽的な魅力の実現。
歪みの物語を紡ぐ「GAIN」ノブ
BB Preampの心臓部とも言えるのが「GAIN」ノブだ。これを回すことで、歪みの量が調整される。しかし、このペダルにおける「歪み」は、他のオーバードライブペダルとは一線を画す。それは、単なる信号のクリップではなく、まるでサウンドの「テクスチャー」を変えるような繊細さを持つ。
- タッチに呼応する「クリーンブースト」 (GAIN 9時〜11時): GAINノブを最小限に設定した場合、BB Preampは限りなくクリアなブースターとして機能する。しかし、ただのブーストではない。ピッキングの強弱に驚くほど忠実に反応し、繊細なフィンガーピッキングではクリーンなまま、力強く弾き込めば自然なコンプレッションとサチュレーションが加わる。この設定は、アンプの持つ本来の音色を損なうことなく、音の輪郭を際立たせ、音圧を増す。それはまるで、アンプの隠された潜在能力を引き出す魔法の杖のようだ。
- 有機的な「クランチ」 (GAIN 12時〜3時): GAINノブを上げていくと、サウンドには温かみのあるオーバードライブが加わる。この歪みは、まるでヴィンテージアンプをフルアップさせた時のような、有機的で滑らかなクランチサウンドだ。音の粒は明瞭さを保ちながらも、ハーモニクスが豊かに加わり、コードの響きに深みと立体感をもたらす。ブルースやロック、R&Bなど、感情豊かな表現を求めるジャンルにおいて、この設定は欠かせない。
- 豊かなサスティーンを持つ「ドライブ」 (GAIN 3時〜MAX): GAINを最大近くまで上げると、BB Preampはスムーズで、伸びやかなサスティーンを持つドライブサウンドへと変貌する。しかし、この歪みは決して潰れたり、音が塊になることはない。ピッキングニュアンスをしっかりと残しつつ、リッチでコンプレッションの効いたサウンドを生み出す。ギターソロや、歌心のあるリードプレイにおいて、その表現力を最大限に引き出すことができる。
音の個性を調整する「BASS & TREBLE」EQ
BB Preampが他の多くのペダルと一線を画すもう一つの理由は、この二つのアクティブEQセクションにある。一般的なトーンノブとは異なり、BASSとTREBLEをそれぞれ独立して調整できるだけでなく、どちらもブーストとカットが可能だ。この機能が、BB Preampを「プリアンプ」たらしめる核心的な要素である。
- BASSノブ:このノブを操作することで、サウンドの「重心」をコントロールすることができる。音が軽すぎると感じたらBASSをブーストし、低域が過剰だと感じたらカットする。これにより、ギターの音をバンドアンサンブルの中で最適な位置に配置することが可能になる。
- TREBLEノブ:このノブは、サウンドの「輝き」を調整する。音がこもっていると感じたらTREBLEをブーストし、耳に痛いと感じたらカットする。特に、シングルコイルピックアップの煌びやかさを強調したり、ハムバッカーの音色をよりクリアにしたりするのに有効だ。
この二つのEQは、アンプのEQだけでは得られない、より緻密なサウンドメイクを可能にする。それは、まるでサウンドの「骨格」を自由自在に再構築する彫刻刀のような存在だ。
BB Preampの「ポテンシャル」を引き出すアイデア
BB Preampは、その「プリアンプ」という名前に隠された、多くの水平思考的な応用が可能だ。単なる歪みペダルとしてではなく、その本質を別の角度から捉え直すことで、このペダルの持つ真のポテンシャルを解き放つことができる。
- アンプの「チャンネル」として: BB Preampをアンプのクリーンチャンネルに接続し、ゲインを上げて使用することで、まるでアンプにもう一つ別の「オーバードライブチャンネル」が追加されたかのような感覚を得られる。BB PreampのEQを調整することで、アンプの歪みチャンネルとは全く異なるキャラクターの歪みサウンドを作り出すことができ、ライブやレコーディングにおける音色のバリエーションを劇的に広げることが可能だ。
- 「歪みの前段」での活用: BB Preampは、単体で使用するだけでなく、他の歪みペダルの「前段」に置くことで、驚くべき効果を発揮する。例えば、ファズペダルの前にBB Preampをクリーンブーストとして使用すれば、ファズの音に輪郭と音圧を加え、より抜けの良いサウンドを生み出すことができる。また、ディストーションペダルの前に置けば、歪みの質感をよりスムーズで、サスティーン豊かなものに変えることが可能だ。BB Preampは、歪みペダルの「色」を塗り替え、新しいサウンドの可能性を開拓するパレットのような存在なのだ。
- ベースギターとの相性: BB Preampは、ギターだけでなく、ベースギターにも非常に相性が良い。ベースに使用することで、中低域に独特の粘りとコンプレッションが加わり、力強く存在感のあるベースサウンドを構築できる。特に、ロックやファンク、ブルースなどのジャンルにおいて、そのグルーヴをより際立たせることが可能だ。
詳細スペック&技術分析
基本仕様
項目 | 詳細 |
---|---|
製品名 | XOTIC BB Preamp |
タイプ | プリアンプ/オーバードライブ |
電源 | 9VDC~18VDC(センターマイナス) |
消費電流 | 約6mA |
入力インピーダンス | 1MΩ |
出力インピーダンス | 2kΩ |
寸法 | 約112mm × 60mm × 50mm |
重量 | 約280g |
製造国 | アメリカ |
参考価格 | ¥25,000前後 |
回路技術の詳細解析
FET増幅段の妙技
BB Preampの心臓部であるFET(電界効果トランジスタ)増幅回路は、Andy Fuchsによる独創的な設計です。
従来のOPアンプベース回路とは根本的に異なり、真空管特有の「柔らかな歪み」と「音楽的なコンプレッション」を固体素子で実現。これにより:
- 非線形特性の再現:入力レベルに応じて変化するゲイン特性
- 倍音構造の整理:不要な高次倍音を抑制し、音楽的な倍音を強調
- ダイナミックレンジの拡張:小音量から大音量まで自然な表現力
トーン回路の革新
単純なパッシブフィルターではなく、アクティブトーン回路を採用。これにより:
- 高域カット時でも音量低下なし
- 全周波数帯域での音楽的なバランス維持
- カットオフ周波数の連続可変制御
電源回路の配慮
9V単電源動作でありながら、内部で昇圧回路を使用し、十分なヘッドルームを確保。18V供給時にはさらなる高音質を実現します。
音響特性の詳細分析
周波数レスポンス特性
BB Preampの周波数特性は、ヴィンテージアンプの理想的な特性を現代の技術で実現したものです。
低域特性(20Hz~200Hz)
- 60Hz以下:自然なロールオフでタイトさを確保
- 80Hz~150Hz:温かみのある中低域を適度に強調
- 150Hz~200Hz:楽器の存在感を支える基音域を的確にサポート
中域特性(200Hz~3kHz) BB Preampの真価が発揮される帯域。ここでヴィンテージアンプの魔法が再現されます。
- 300Hz~800Hz:楽器の「木の響き」を表現する重要な帯域
- 800Hz~1.5kHz:演奏の明瞭度とアタック感を支配する中核部分
- 1.5kHz~3kHz:倍音の豊かさと音楽的な美しさを決定する領域
高域特性(3kHz~20kHz)
- 3kHz~6kHz:楽器のブリリアンスとクリアネスを表現
- 6kHz~10kHz:エアー感と開放感を演出
- 10kHz以上:自然なロールオフで耳に優しい特性
ダイナミクス特性の解析
BB Preampの最も特筆すべき特徴は、そのダイナミクス処理能力です。
低レベル時(ピッキング弱)
- トランスペアレントなクリーントーン
- 楽器本来の響きを忠実に再現
- わずかな倍音付加で音楽的な美しさをプラス
中レベル時(通常のピッキング)
- 自然なコンプレッション効果
- 演奏性の向上とサスティーンの増加
- バランスの取れた歪みキャラクター
高レベル時(強いピッキング)
- 音楽的な歪みの発生
- ダイナミクスを保ったままの音圧増加
- パワフルでありながら品のあるドライブトーン
ジャンル別最適セッティング完全ガイド
ジャズ:洗練されたクリーントーン
Volume: 1時方向
Gain: 8時方向
Tone: 10時方向
推奨楽曲: Wes Montgomery「The Incredible Jazz Guitar」、Pat Metheny「Bright Size Life」
このセッティングでは、BB Preampをほぼバッファとして使用し、ギター本来の音色を最大限に活かします。わずかな倍音付加により、フルアコやセミアコの木の響きがより豊かに表現されます。
使用上のコツ: ギターのトーンコントロールと連携させ、楽曲の表情に応じてリアルタイムで調整することで、より表現豊かな演奏が可能になります。
ブルース:情感豊かなクランチトーン
Volume: 12時方向
Gain: 11時方向
Tone: 11時方向
推奨楽曲: B.B. King「The Thrill Is Gone」、Stevie Ray Vaughan「Pride and Joy」
ブルースの核心である「泣き」の表現を最大化するセッティング。ギターのボリュームコントロールによる表現幅の広さが、ブルースならではの感情表現を可能にします。
演奏テクニック: ピッキングの強弱とギターボリュームの組み合わせにより、一音一音に異なる表情を与えることができます。特にベンディング時の音色変化は感動的です。
クラシックロック:60's~70'sヴィンテージトーン
Volume: 1時方向
Gain: 1時方向
Tone: 12時方向
推奨楽曲: Led Zeppelin「Whole Lotta Love」、Cream「Sunshine of Your Love」
BB Preampが最も得意とする領域。マーシャルプレキシの黄金時代のトーンを現代に蘇らせます。
アンプセッティング併用: アンプ側もクリーンから軽くクランチする程度にセット。BB Preampとアンプの相互作用により、ヴィンテージアンプ特有の「スイートスポット」が再現されます。
ハードロック:70's後期~80'sパワーサウンド
Volume: 2時方向
Gain: 2時方向
Tone: 1時方向
推奨楽曲: AC/DC「Back in Black」、Aerosmith「Walk This Way」
よりアグレッシブなロックサウンドを求める場合のセッティング。パワーコードのパンチ力とリードトーンの歌心を両立させます。
使用上の注意: このレベルではアンプとの相性が重要です。フェンダー系クリーンアンプとの組み合わせが特に効果的です。
カントリー:クリアでブライトなクリーントーン
Volume: 11時方向
Gain: 7時方向
Tone: 2時方向
推奨楽曲: Brad Paisley「Mud on the Tires」、Keith Urban「Blue Ain't Your Color」
テレキャスターの定番トーンを現代的に洗練させるセッティング。クリアな高域とタイトな低域が、カントリーミュージック特有のアタック感を演出します。
ファンク:パーカッシブなクリーン/クランチ
Volume: 12時方向
Gain: 10時方向
Tone: 1時30分
推奨楽曲: Nile Rodgers & Chic「Le Freak」、James Brown「Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine」
ファンクに必要な「カッティングの切れ味」と「グルーヴ感」を両立。わずかな圧縮効果により、16分音符の細かいカッティングでも各音がクリアに聞こえます。
プロフェッショナルからの証言
レコーディングエンジニア 佐藤氏の体験談
「スタジオで初めてBB Preampを使用したのは3年前でした。あるセッションで、ギタリストが『いつものアンプの音が気に入らない』と悩んでいた時、試しにBB Preampを挟んでみたんです。
その瞬間、スタジオの空気が変わりました。同じアンプ、同じギターなのに、まるで別の楽器を聞いているような豊かさと立体感。」
音響技術者 S氏の技術的評価
「BB Preampの技術的な優秀さは、その周波数特性の美しさにあります。一般的なオーバードライブペダルは、どこかの周波数帯域に無理があるものですが、BB Preampはどの帯域も自然で音楽的です。
また、位相特性も優秀で、他のエフェクトとの組み合わせ時でも音質劣化が少ない。これはエフェクトチェーンの最前段に配置する機器として重要な要素です。
電源に対する寛容性も高く、9V~18Vという幅広い電圧レンジに対応。18V駆動時のヘッドルームの広さは、プロフェッショナル機器に匹敵します」
XOTIC BB Preamp使用アーティスト
ジョン・メイヤー (John Mayer) 現代を代表するギタリストの一人、ジョン・メイヤーは、BB Preampをクリーンブースターとして、あるいはオーバードライブとして、様々な場面で使用している。彼の機材リストやインタビューでは、このペダルが彼のトレードマークであるブルージーで滑らかなサウンドを支える重要な役割を担っていることが語られている。特に、繊細なタッチとニュアンスを重視する彼のスタイルにおいて、BB Preampのレスポンスの良さが最大限に活かされている。
スコット・ヘンダーソン (Scott Henderson) フュージョンギターの巨匠、スコット・ヘンダーソンもBB Preampの愛用者として知られている。彼の複雑かつ流れるようなギターフレーズは、このペダルが持つ有機的な歪みと豊かなサスティーンによって、さらに表現力が豊かになっている。アンプのクリーンサウンドを活かしつつ、リードパートで必要な時にのみ歪みを加える彼のスタイルにおいて、BB Preampは欠かせない存在だ。
アンディ・ティモンズ (Andy Timmons) メロディアスなギタープレイで多くのファンを魅了するアンディ・ティモンズも、BB Preampをボードに組み込んでいる。彼のサウンドは、クリーンからクランチ、そしてリードまで、非常に幅広いダイナミクスを持つが、BB Preampはそれらの音色をシームレスに繋ぐ役割を果たしている。特に、ギターソロでの伸びやかなサウンドと歌心のあるトーンは、このペダルによって支えられていると言える。
ジョー・ボナマッサ (Joe Bonamassa) 現代ブルースロックの旗手、ジョー・ボナマッサもBB Preampを愛用していた時期がある。ヴィンテージ機材に精通し、そのサウンドを追求する彼のボードにおいて、BB Preampはそのプリアンプとしての役割を最大限に活かし、アンプのキャラクターを補強する形で使用されていた。
競合他社製品との比較分析
vs Ibanez TS808:定番オーバードライブとの違い
項目 | XOTIC BB Preamp | Ibanez TS808 |
---|---|---|
音響特性 | 全帯域バランス型 | 中域突出型 |
価格 | ¥25,000前後 | ¥20,000前後 |
用途 | プリアンプ/ドライブ | ブースター/ドライブ |
クリーン使用 | 優秀 | 不向き |
汎用性 | 極めて高い | 中程度 |
TS808は特定の用途(特にアンプのブースター)では優秀ですが、BB Preampはより幅広い使用法に対応できます。
vs Boss Blues Driver BD-2:価格帯競合との比較
項目 | XOTIC BB Preamp | Boss BD-2 |
---|---|---|
音質 | ハイエンド | ミドルクラス |
操作性 | シンプル | シンプル |
耐久性 | アメリカ製頑丈 | 日本製頑丈 |
価格 | ¥25,000前後 | ¥12,000前後 |
ブランド価値 | ブティック | 量産系 |
BD-2はコストパフォーマンスに優れますが、ブースターとしての音質面ではBB Preampに軍配が上がります。
購入を検討する際の重要チェックポイント
1. 音楽スタイルとの適合性確認
BB Preampは汎用性が高いとはいえ、極端なメタル系統には不向きです。あなたの音楽スタイルが以下に該当するか確認してください:
適合度 ◎
- ブルース、クラシックロック、ジャズ
- カントリー、フォークロック
- ポップス、AOR
適合度 ○
- ハードロック、プログレッシブロック
- フュージョン、ファンク
適合度 △
- ヘヴィメタル、デスメタル
- パンクロック、ハードコア
2. 使用アンプとのマッチング
相性抜群のアンプ
- フェンダー系クリーンアンプ(Twin Reverb、Deluxe Reverbなど)
- VOX系アンプ(AC30、AC15など)
- その他のクリーン〜軽いクランチアンプ
注意が必要なアンプ
- すでに強く歪んでいるハイゲインアンプ
- 極端にローファイなアンプ
- 出力の小さすぎるアンプ(5W以下)
3. エフェクトチェーンでの位置
BB Preampは基本的にエフェクトチェーンの最前段に配置します。
推奨チェーン順序: ギター → BB Preamp → ワウ/フィルター系 → モジュレーション系 → ディレイ/リバーブ → アンプ
4. 電源に関する配慮
推奨電源仕様:
- 9V〜18V DC(センターマイナス)
- 電流容量:最低100mA以上
- ノイズレベル:プロ仕様パワーサプライ推奨
避けるべき電源:
- 安価な中国製アダプター
- ノイズの多い電源
- 電圧の不安定な電源
実機使用における細かな運用テクニック
ギターボリュームとの連携技術
BB Preampの真価は、ギター側のボリュームコントロールとの相互作用にあります。以下の段階的な操作により、一台で多彩な表現が可能です:
ギターボリューム10(フルテン)
- BB Preampのゲイン設定通りのキャラクター
- 最も豊かな倍音構造
- パワフルなドライブトーン
ギターボリューム7-8
- 自然なコンプレッション感
- クランチとクリーンの中間的性格
- リズム楽器として理想的なバランス
ギターボリューム5-6
- クリアなクリーントーン
- わずかな圧縮感でサスティーンアップ
- アルペジオやクリーンカッティングに最適
ギターボリューム3-4以下
- ほぼピュアなクリーントーン
- BB Preampのバッファ効果のみ
- 繊細なフィンガーピッキングに最適
ピッキングダイナミクスの活用
BB Preampは、ピッキングの強弱に対する反応が非常に敏感です。この特性を活用することで、エフェクトのON/OFF切り替えなしに表現幅を広げられます:
強いピッキング
- 自然な歪みの発生
- アタック感の増強
- リードトーン的性格への変化
中程度のピッキング
- バランスの取れたクランチトーン
- 楽曲の骨格を支えるリズム感
- コードワークに最適
弱いピッキング
- クリーンに近いトーン
- 繊細なニュアンス表現
- バラード等での感情表現に威力
アンプセッティングとの協調
BB Preampを最大限活用するためには、アンプ側のセッティングも重要です:
フェンダー系アンプでの推奨設定
- Volume: 4-6(部屋の大きさに応じて)
- Treble: 6-7
- Middle: 5-6
- Bass: 4-5
- Reverb: 2-3
マーシャル系アンプでの推奨設定
- Volume: 3-4
- Presence: 5-6
- Treble: 6-7
- Middle: 6-7
- Bass: 4-5
VOX系アンプでの推奨設定
- Volume: 5-7
- Treble: 6-7
- Bass: 5-6
- Top Boost: ON
最後に —— 良い道具は、良い音楽を育てる
カリフォルニアの小さな工房で、一台一台丁寧に作られるBB Preamp。その筐体の中には、Andy Fuchsの音楽に対する深い愛情と、完璧主義的なクラフトマンシップが込められています。
あなたがギターを手にする度に、BB Preampはその小さな筐体から、無限の可能性を解き放ってくれるでしょう。クリーンからドライブまで、ブルースからロックまで、そしてジャズからカントリーまで——あらゆる音楽ジャンルの扉が、今、あなたの足元で静かに開かれているのです。
音楽という言語で世界と対話するために。 あなたの内なる音楽を、最も美しい形で表現するために。 XOTIC BB Preampは、今日もあなたとの出会いを待っています。
「良い音楽は、良い道具から生まれる。そして良い道具は、良い音楽を育てる」
——これがXOTIC BB Preampと過ごした7年間で得た、私の確信です。