
スタジオの扉を開けた瞬間、空気が震えた...
「これが本物のブラウンサウンドか…」
初めてFRIEDMAN BE-100の前に立った時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。マーシャルアンプを改造し続けて30年、数多くの伝説的ギタリストのサウンドを手がけてきたデイブ・フリードマンが到達した究極の歪み。ただの「ラウドでワイルドな音」ではなく、琴線を揺さぶる「生きた音」でした。
「BE(Brown Eye)という名の通り、ブラウン・サウンドを意識して一台一台丁寧にハンドワイヤリングで作られるFRIEDMANのフラッグシップモデル」であるBE-100。その極上のトーンを、なんとコンパクトペダル一台で再現してしまった奇跡の産物―それがFRIEDMAN BE-ODです。
使用レビュー:なぜBE-ODなのか?他とは違う5つの理由
1. 本物のアンプ設計者が作った唯一のペダル
「Dave Friedmanはハードロックやメタルの本場LAで数多くの著名なギタリストのテクニカルエンジニアを行ってきた」経験から生まれたBE-OD。エディ・ヴァン・ヘイレン、スティーブ・スティーブンス、ジェリー・カントレルといった伝説的ギタリストの音作りに携わってきた男が、その集大成として世に送り出した傑作です。
思想や設計コンセプトが「アンプ・シミュレーター」ではありません。これはほぼ「アンプそのもの」なのです。
2. 驚異のノイズレス性能
「歪みまくる上にノイズが本当に少ない、というかほぼ無いのでヘヴィーロック〜メタルにも最適」色んなギタリストが口を揃えて評するように、BE-ODの静粛性は他の追随を許しません。ハイゲインでありながら、まるでスタジオクオリティの録音のような静けさ。これは回路設計の緻密さの証明でしょう。
3. 真空管アンプのような音量反応性
「ギターのボリュームに対する反応も早く」、まさに真空管アンプを操作している感覚。ギターのボリュームを絞れば自然なクリーントーン、フルテンにすれば咆哮するハイゲイン。この有機的な反応こそが、BE-ODが他のペダルと一線を画す理由です。
4. アンプライクな6ノブ・コントロール
「本当にマーシャルアンプの操作をしているような感覚で音作りができる」点にも感動。Volume、Gain、Tight、Bass、Treble、Presenceの6つのコントロールは、まさにアンプヘッドのそれ。エフェクターでありながら、アンプチャンネルを増設したような感覚で使用できます。
5. プロフェッショナルグレードの音質
単なる「良い音のペダル」ではなく、「プロのレコーディングに使える音質」。これがBE-ODの最大の特徴です。宅録からツアーまで、あらゆる場面でプロクオリティのサウンドを提供します。実際私も、ロック〜ハードロック、アニソンなどのレコーディングやセッションには必ず持っていきます。
特に、Tightコントロールは、サウンドの低域のタイトさをバッチリ調整してくれます。ダウンチューニングでのリフワークや、速いパッセージを弾く際に、低域がボワつかず、より引き締まったアタックを得たい場合に非常に効果的です。このコントロールノブ一つで、サウンドに更なるエッジとキレを加えることができる安心感は凄いです。
BE-100(実機アンプ)のDNAを受け継ぐ設計思想
ブラウンサウンドとは何か?
「ブラウンサウンド」―この魔法の言葉に魅了されたギタリストは数知れません。「60年代後期プレキシ〜80年代JCM800系のサウンドをベース」としながらも、単なるヴィンテージサウンドの再現に留まらない、現代的な解釈を加えたトーン。
それは:
- 乾いているのに艶やか
- 激しいのに音楽的
- パワフルなのに繊細
- モダンなのにオーガニック
この相反する要素を高次元で融合させた奇跡のサウンドなのです。
BE-100からBE-ODへ:小さなボディに込められた技術
100Wアンプヘッドのサウンドを、わずか9V駆動のコンパクトペダルに収める―これは単純な「ミニチュア化」では実現不可能です。フリードマンが採用したのは、アンプの「音色の核心部分」を抽出し、それをペダル用回路で再構築するという革新的アプローチ。
結果として生まれたBE-ODは、BE-100の「魂」を宿したペダルとなったのです。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
項目 | 詳細 |
---|---|
製品名 | FRIEDMAN BE-OD |
タイプ | オーバードライブ/ディストーション |
電源 | 9VDC(センターマイナス) |
消費電流 | 約30mA |
入力インピーダンス | 500kΩ |
出力インピーダンス | 10kΩ |
寸法 | 約121mm × 66mm × 39mm |
重量 | 約280g |
製造国 | アメリカ |
参考価格 | ¥28,000〜35,000 |
デザイン哲学:機能美の極致
BE-ODの外観は、まさに「機能美」の体現です。マットブラックの筐体に映えるゴールドのロゴ、直感的に操作できるコントロール配置。これは単なる「見た目の良さ」ではなく、ライブでの操作性を考慮した実用的デザインなのです。
6つのノブは適度な間隔で配置され、暗いステージでも手探りで操作可能。フットスイッチは確実なクリック感で、ON/OFFの状態を明確に伝えます。LEDインジケーターは視認性に優れ、遠くからでもエフェクトの状態が確認できます。
音響分析:周波数特性から見る真の実力
低域:タイトコントロールによる現代的解釈
BE-ODの低域処理は、従来のディストーションペダルとは一線を画します。「TIGHT」コントロールにより、低域のコンプレッション具合を調整可能。最小設定では豊かな低音が、最大設定ではタイトで歯切れの良い低音が得られます。
周波数解析結果:
- 80Hz以下:適度にカット、不要な超低域をクリーンアップ
- 80-200Hz:TIGHTノブにより可変、現代的なタイト感を実現
- 200-400Hz:中低域の芯を適度に強調、存在感のあるサウンド
中域:ブラウンサウンドの核心部
BE-ODの真価は、この中域処理にあります。「ミッドの倍音豊かな憧れの至高のゲイントーン」を実現する秘密は、複数の中域を絶妙にブレンドした処理にあります。
中域特性:
- 400Hz-1kHz:温かみのある中低域、楽器の存在感を支える
- 1kHz-3kHz:音楽的な歪みの核心、ここでブラウンサウンドが生まれる
- 3kHz-5kHz:切れ味とアタック感、リフの歯切れ良さを演出
高域:PRESENCEコントロールの魔法
単純なトレブルブーストではない、音楽的な高域処理。PRESENCEコントロールにより、ギラつかない自然な高域特性を実現しています。オーディオ的な特性としても非常に優秀です。
ジャンル別完全攻略セッティング集
クラシックロック:70's プレキシトーン
Volume: 12時
Gain: 10時
Tight: 9時
Bass: 11時
Treble: 1時
Presence: 11時
推奨楽曲: Led Zeppelin「Rock and Roll」、Deep Purple「Smoke on the Water」
この設定では、「60年代後期プレキシ〜80年代JCM800系のサウンド」の再現を目指します。Gainを抑え気味にすることで、ピッキングニュアンスが活きる有機的なクランチトーンが得られます。
ハードロック:80's パワーサウンド
Volume: 1時
Gain: 1時
Tight: 11時
Bass: 12時
Treble: 2時
Presence: 1時
推奨楽曲: Van Halen「Jump」、Def Leppard「Pour Some Sugar on Me」
80年代ハードロックの象徴的なサウンド。適度なコンプレッション感とサスティーンで、パワーコードの迫力とリードトーンの歌心を両立させます。
モダンハイゲイン:現代メタル
Volume: 12時
Gain: 3時
Tight: 2時
Bass: 10時
Treble: 1時
Presence: 12時
推奨楽曲: Metallica「Master of Puppets」、Pantera「Cowboys from Hell」
「メタルには最適」と評されるBE-ODの真骨頂。TIGHTを上げることで、ダウンチューニングでもクリアなリフワークが可能です。
ブルース:エモーショナルトーン
Volume: 11時
Gain: 9時
Tight: 8時
Bass: 1時
Treble: 11時
Presence: 10時
推奨楽曲: Eric Clapton「Layla」、Gary Moore「Still Got the Blues」
意外に思われるかもしれませんが、BE-ODはブルースにも優秀です。低Gainで使用することで、泣きのあるリードトーンが得られます。
オルタナティブ:90's グランジ
Volume: 1時
Gain: 2時
Tight: 1時
Bass: 2時
Treble: 12時
Presence: 11時
推奨楽曲: Soundgarden「Black Hole Sun」、Alice in Chains「Man in the Box」
90年代の重厚で暗い質感を再現。中域を豊かにすることで、オルタナティブロック特有の重苦しさを表現します。
知人プロが語る:BE-ODとの出会い
レコーディングエンジニア T氏の証言
「初めてBE-ODの音を聞いた時、正直言って信じられませんでした。『これ、本当にペダルの音?』と。通常、ペダルでハイゲインを作ると、どこかデジタル臭さや薄さが残るものですが、BE-ODは違いました。まるでスタジオのBE-100を遠隔操作しているような感覚です。
特に印象的だったのは、録音時の『座り具合』の良さ。他の楽器との分離も良く、ミックス時に『ギターだけ浮いている』という現象が起こりません。これはプロダクション用途では非常に重要な要素です」
プロギタリスト(友人) Y氏の体験談
「BE-ODを手に入れてから、アンプの選択肢が一気に広がりました。以前は『このライブハウスのアンプじゃ、自分の音は出せないな』と諦めることが多かったのですが、今ではわりとどんなアンプでもBE-ODがあれば安心です。
特にクリーンアンプとの相性は抜群。JC-120でも、まるで高級アンプヘッドを使っているかのようなサウンドが得られます。これは他のペダルでは体験できない感動でした」
FRIEDMAN BE-OD 主な使用アーティスト
FRIEDMAN BE-ODは、そのアンプライクな本物のチューブトーン、潰れない明瞭なハイゲイン、そして圧倒的なサウンドの密度から、世界中のトップギタリストに愛用されています。
Jerry Cantrell(ジェリー・カントレル)
グランジ/オルタナティブロックの伝説的バンド、アリス・イン・チェインズのギタリストであり、様々なライブ機材のレポートやインタビューでもFriedmanブランドとの関連性が語られることが多いです。
Steve Stevens(スティーヴ・スティーヴンス)
ビリー・アイドルのギタリストとして世界的に有名であり、Friedmanアンプの主要な使用者としても知られ、Friedmanの公式デモやインタビューでも度々BE-ODの素晴らしさについて言及しています。
Bill Kelliher(ビル・ケリハー)
プログレッシブ・メタルバンドMastodonのギタリストの一人であり、彼の重厚なサウンドは、Friedmanのアンプやペダルに大きく依存していることが、インタビューや機材紹介動画で語られています。
Mark Tremonti(マーク・トレモンティ)
アルター・ブリッジやクリードといったバンドで活躍するギタリストであり、彼のソロ作品やAlter Bridgeでのライブ機材紹介などで、Friedman製品の使用が確認されています。
Phil Collen(フィル・コリン)
伝説的なハードロックバンドDef Leppardのギタリスト。モダンなハイゲインサウンドを追求しており、Friedmanのアンプやペダルは彼のロックサウンドの一部となっています。
ライバル機との徹底比較分析
vs BOSS DS-1:定番との比較
項目 | FRIEDMAN BE-OD | BOSS DS-1 |
---|---|---|
価格 | ¥30,000前後 | ¥6,600前後 |
音質 | アンプライク | ペダル的 |
ノイズ | ほぼゼロ | やや多い |
コントロール | 6ノブ(詳細) | 3ノブ(シンプル) |
用途 | プロ仕様 | 入門用・アンプブースター |
DS-1は入門用・アンプブースターとしては優秀ですが、BE-ODは完全に別次元の製品です。価格差は確実に音質差として現れます。
vs ProCo RAT2:ヴィンテージとの対決
項目 | FRIEDMAN BE-OD | ProCo RAT2 |
---|---|---|
キャラクター | モダン/クリーン | ヴィンテージ/ファジー |
低域処理 | タイトコントロール | 自然な太さ |
高域 | 音楽的 | やや鋭い |
汎用性 | 極めて高い | 中程度 |
RAT2は独特の個性がありますが、汎用性ではBE-ODに軍配が上がります。
vs Suhr Riot:現代ライバルとの比較
項目 | FRIEDMAN BE-OD | Suhr Riot |
---|---|---|
サウンドキャラ | マーシャル系 | より汎用的 |
操作性 | 6ノブ(詳細) | 3ノブ+3モード |
価格 | ¥33,000前後 | ¥40,000前後 |
特徴 | BE-100再現 | 3つの異なるヴォイスモード |
両者ともハイエンドペダルですが、BE-ODはより特化型、Riotはより汎用型といえるでしょう。
購入前に知っておくべきポイント
1. 電源への配慮
BE-ODは一般的なペダルより消費電流が多めです(約30mA)。安価な電源では性能を発揮できない場合があります。推奨は専用パワーサプライです。
2. アンプとの相性
クリーンアンプとの相性は抜群ですが、すでに歪んでいるアンプとは注意が必要。プリアンプ的使用法を心がけましょう。
3. ギターとの相性
ハムバッカー搭載ギターとの相性が特に優秀。シングルコイルでも使用可能ですが、設定の調整が必要です。
4. 価格対効果の検証
¥30,000〜という価格は決して安くありませんが、同価格帯のアンプヘッドと比較すれば、コストパフォーマンスは優秀です。
5. メンテナンスの必要性
内部回路は複雑ですが、基本的にメンテナンスフリー。ただし、故障時の修理費用は高額になる可能性があります。
6. 将来性の考慮
フリードマンブランドの人気は上昇傾向。リセールバリューも十分に期待できます。
まとめ:BE-ODがもたらす音楽人生の変革
FRIEDMAN BE-ODは、単なる「良いエフェクター」ではありません。これは音楽に対する価値観を変える可能性を秘めた、真の革命的製品です。
「軽いオーバードライブからクランチトーンそしてミッドの倍音豊かな憧れの至高のゲイントーン」まで、一台で表現できる幅広さ。「質の良い歪エフェクターなので非常に音作りがしやすい」という操作性。そして何より、プロフェッショナルレベルの音質。
確かに¥30,000〜という価格は気軽に手を出せる金額ではありません。しかし、この投資がもたらすリターンは計り知れないと自身を持って言えます。
- 創作意欲の向上:良い音は良い演奏を生み、良い楽曲を生みます
- 技術習得の加速:正確な音程感とダイナミクスが演奏技術向上を促進
- プロフェッショナルな制作環境:宅録からライブまで、すべてがワンランク上に
- 長期的な投資価値:リセールバリューと長期使用を考慮すれば、コストパフォーマンスはとても優秀
BE-ODとの出会いは、きっとあなたのギター人生における「Before」と「After」を明確に分ける出来事となるでしょう。
伝説のブラウンサウンドが、今、あなたの足元で待っています。