
ギターの音色が大聖堂の天井へと舞い上がり、無限の残響を描きながら、やがて静寂へと還っていく。
その圧倒的な空間表現力は、まるでスタジオグレードのラックマウントリバーブをそのままペダルボードへ凝縮したかのよう。デジタル技術の粋を集めた演算処理が生み出す、透明感と奥行き。これは「残響効果」を超えた「空間の創造」そのもの!
2008年の初代blueSky発売以来、プロフェッショナルの現場で絶対的な信頼を獲得してきたStrymon。そのフラッグシップリバーブが、2020年代の技術革新を経て完全進化を遂げました。それがblueSky V2です。
この、プロのボードにも入っていることが多いペダルは、あなたとオーディエンスを「芸術的な静寂と昂揚」へと誘います。
使用レビュー:ブルースカイにしか出せない「深さ」と「密度感」
ブルースカイの優位性は、オンにした瞬間に広がる「圧倒的な空間の深度」にあります。他のリバーブが単に音を後ろへ流すだけなのに対し、これは空間そのものを再構築するような感覚です。新世代DSPが叩き出す残響は、粒子一つひとつが緻密に詰まった圧倒的な密度感を誇り、どれだけ深くかけても音が痩せたりボヤけたりすることがありません。
まるでクリスタルのレイヤーを重ねたような透明感と、キメ細やかなシルクのように滑らかな減衰。この「濃密なのに濁らない」という矛盾した美しさが、弾き手のタッチに神聖なまでの説得力を与えます。ただの残響ではなく、静寂の中に「生命を宿した響き」を求めるなら、このペダル以外に選択肢はありません。
三位一体のアルゴリズム:Room、Plate、Springの完璧な再現
blueSky V2の核心は、3つの独立したリバーブアルゴリズムにあります。これらは、それぞれが異なる物理空間や機械装置の音響特性を、驚異的な精度でモデリングしています。
Roomモードは、実在する部屋の残響特性を再現。小さなライブハウスから中規模ホールまで、Pre-DelayとDecayの調整により、想像できるあらゆる空間を召喚できます。初期反射音から後期残響まで、自然な音響物理学に基づいた精密な時系列展開。
Plateモードは、1960年代から高級スタジオで使用されてきた、巨大な金属板を用いた機械式リバーブを完全エミュレート。ヴォーカルやギターソロに纏わりつく、あの独特の煌めきと密度感。デジタルでありながら、アナログ機材特有の「個性」まで再現しています。
Springモードは、Fenderアンプに搭載された伝説的スプリングリバーブの響きを、現代的な拡張性とともに提供。サーフロックからロカビリーまで、アメリカンルーツミュージックに不可欠な、あの金属的な煌めきと「ボヨン」という特徴的な挙動まで忠実に。
96kHz/24bitの超高解像度処理:聴感上の「質感」の違い
多くのデジタルペダルが44.1kHz処理である中、blueSky V2は96kHz/24bitという、プロオーディオ規格の演算を採用。
サンプリングレートが高いことで、高域の質感―シンバルの煌めき、ギターの倍音、空気感―が圧倒的にリアルになります。また、量子化ビット深度が24bitであることで、微細なダイナミクスと、消え入るような残響の尾まで、克明に表現されるのです。
結果として、「デジタル臭さ」が皆無。むしろ、高級スタジオのラックマウント機材を思わせる、極めてシルキーで立体的な空間表現が実現しています。
ステレオ入出力とTrue Stereo処理:音場の立体感
blueSky V2は、完全なステレオ入出力を装備。そして重要なのは、単に「左右に音を振り分ける」のではなく、True Stereoアルゴリズム―左右チャンネルで独立した残響処理―を行っている点です。
ステレオアンプやDAWレコーディングで使用すると、その威力が明白になります。リバーブ空間が立体的に広がり、音像が三次元的に配置される感覚。モノラル信号を入力しても、出力は豊かなステレオ空間へと変換されます。
さらに、ステレオ入力時には、左右の位相関係まで考慮した精密な処理により、まるでその空間に実際に立っているかのような360度での臨場感が得られるのです。
Pre-Delayコントロール:リバーブと原音の時間的分離
多くのリバーブペダルが省略するPre-Delay機能を、blueSky V2は独立したノブとして装備。これは「原音が鳴ってから、リバーブが始まるまでの時間」を調整する機能です。
Pre-Delayを適切に設定することで、原音の明瞭度を保ちながら、豊かな残響を付加できます。特にボーカル的なフレーズや、速いパッセージを弾く際、この機能が音の輪郭をクリアに保ちます。
0msから150msまで可変可能で、楽曲のテンポやフレーズの密度に応じた、最適な時間配置が実現します。
Modulation機能:リバーブに生命を吹き込む揺らぎ
blueSky V2のリバーブテールには、微細なモジュレーション―ピッチの揺らぎ―を加えることができます。これは、自然な空間の「生きた感じ」を再現する重要な要素です。
実際の部屋や空間では、空気の対流、温度変化、反射面の微細な振動により、残響は完全に静止していません。この「動き」を加えることで、リバーブが機械的ではなく、有機的で自然な印象を持つようになります。
Modulation量は可変式で、完全にオフから、はっきりと認識できるコーラス的効果まで調整可能。特にPlateモードとの相性が抜群で、80年代のスタジオサウンドを彷彿とさせる、夢幻的な響きが得られます。
Shimmerモード:天上へ昇華する倍音生成
blueSky V2の隠れた機能として、Shimmerエフェクトがあります。これは、リバーブテールにオクターブ上の倍音を加える機能で、まるで天使の合唱のような、神秘的で超越的な響きを生み出します。
アンビエント、ポストロック、映画音楽的なサウンドスケープを構築する際、Shimmerは必須の武器。単音を弾くだけで、壮大な音響の大伽藍が立ち上がります。
Favorite機能を使えば、通常モードとShimmer設定を瞬時に切り替えられるため、楽曲の展開に応じたドラマティックな演出が可能です。
MIDI対応とプリセット機能:現代的な拡張性
blueSky V2は、別売のStrymon MIDIケーブルを使用することで、完全なMIDI制御が可能。全パラメータをMIDI経由で操作でき、300のプリセットを保存・呼び出しできます。
これは、複雑なライブセットや、楽曲ごとに異なるリバーブ設定が必要なプロフェッショナルにとって、決定的なアドバンテージ。MIDI対応のスイッチャーと組み合わせることで、完全に統合されたリグが構築できます。
Favoriteスイッチ:瞬時のA/B切り替え
左側のフットスイッチは、Favoriteプリセットの呼び出しに使用できます。つまり、2つの異なるリバーブ設定を、演奏中に即座に切り替え可能。
例えば、「ヴァース用の浅いRoomリバーブ」と「コーラス用の深いPlateリバーブ」を登録しておけば、楽曲の展開に応じた的確な空間演出が実現します。
アンビエントの粋:Strymonが追求した「理想の空間」
デジタルリバーブの歴史的文脈
1970年代後半、EMT250というデジタルリバーブが登場するまで、人工的な残響はスプリングや金属板といった物理的装置に依存していました。デジタル技術の導入により、理論上は「あらゆる空間」を再現できる可能性が開かれましたが、初期のデジタルリバーブは「冷たい」「不自然」という評価に苦しみました。
1980年代、LexiconやTC Electronicといった専業メーカーが、数百万円規模のラックマウント機材で、ついに「自然で美しいデジタルリバーブ」を実現。これらは今もスタジオの標準機材です。
Strymonの偉業は、この「スタジオグレードのリバーブ」を、ペダルボードに収まるサイズで、しかも手の届く価格で実現したことにあります。
畳み込み演算とアルゴリズミック処理のハイブリッド
blueSky V2は、畳み込み演算(Convolution)とアルゴリズミック処理を巧みに融合しています。
畳み込み演算は、実際の空間で録音したインパルスレスポンス―空間の「音響的指紋」―を使用し、極めて自然な初期反射音を再現。一方、アルゴリズミック処理は、数学的モデルに基づいた残響生成により、自然な減衰と密度感を生み出します。
この二段階アプローチにより、「リアルな空間感」と「音楽的な美しさ」という、相反しがちな二つの要素が、高次元で統合されているのです。
位相と周波数の精密制御
自然なリバーブでは、周波数帯域ごとに減衰時間が異なります。一般に、高域は速く減衰し、低域は長く残る傾向があります。blueSky V2は、この周波数依存的な減衰特性まで忠実に再現。
さらに、ステレオ処理における左右の位相関係も綿密に制御されており、不自然な位相干渉―いわゆる「デジタル臭さ」―が発生しません。
結果として、長時間聴いても疲れない、自然で心地よい残響空間が実現しているのです。
詳細スペック&外観の美学
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | STRYMON blueSky V2 |
| タイプ | デジタル・リバーブ(ステレオ入出力) |
| DSP / プロセッサ | 高性能ARM DSP搭載 |
| サンプリングレート | 24-bit 96kHz A/D & D/A |
| プリセット数 | 300(MIDI経由)/ 本体にFavorite1つ |
| 入出力端子 | TRS MIDI, USB-C, Stereo In/Out |
| サイズ | 約114mm × 102mm × 44mm |
| 電源 | 9V DC センターマイナス(最小300mA) |
| 製造国 | アメリカ(カリフォルニア州) |
| 参考価格 | ¥62,000前後 |
筐体デザインの哲学
blueSky V2の外観は、Strymon特有の「プロフェッショナルツール」としての品格を体現しています。深みのあるブルーのアルマイト処理が施されたアルミエンクロージャーは、傷に強く、長期使用にも美観を保ちます。
6つの大型ノブは、ステージでも視認性が高く、微調整も粗調整も自在。フットスイッチは、適度な重さとクリック感を持ち、誤動作を防ぎながら確実な操作感を提供します。
トップマウントのジャックは、ペダルボードでの配線を簡潔にし、省スペース設計に貢献。すべてが「プロの現場での使用」を前提とした、考え抜かれた設計です。
ジャンル別完全攻略セッティング集
アンビエント / シューゲイザー:銀河系サウンド
設定:
- Decay: 3時~MAX
- Mix: 2時
- Shimmer: 1時
- Mod: deep
- Type: Plate このセッティングでは、ギターの音が無限に広がる雲海のように変化します。Shimmerをわずかに加えることで、高域に微細な光の粒子が舞い、ボリュームペダルと併用すれば、幻想的なシンセパッド・サウンドを生み出せます。
モダン・ワーシップ:荘厳な大聖堂の響き
設定:
- Decay: 2時
- Mix: 12時
- Shimmer: 10時
- Mod: light
- Type: Room 現代の教会音楽などで求められる「包み込むような深い残響」です。Roomモードで広がりを確保しつつ、控えめなShimmerが神聖な雰囲気を演出。アルペジオを弾くだけで、空間が祈りに満たされるような感覚になります。
ブルース / ロック:ヴィンテージ・スプリングの再定義
設定:
- Decay: 10時
- Mix: 9時
- Shimmer: OFF
- Mod: off
- Type: Spring クリーン~クランチのアンプに隠し味としてかける設定。スプリングリバーブ特有の「ピチャッ」とした質感が、ブルージーなフレーズに説得力を与えます。デジタルであることを忘れるほど、生々しいレスポンスが特徴です。
ジャズ / フュージョン:洗練されたスタジオ・クオリティ
設定:
Type: Plate 音の芯をはっきりと残しつつ、背後に上品な余韻を添える設定。Highを少し上げることで高域を垢抜けさせ、メロウなフルアコのトーンに艶やかな空気感をプラスします。
Decay: 11時
Mix: 10時
Low: 12時
High: 2時
プロフェッショナルが証言:blueSky V2の実力
レコーディングエンジニアの視点 K氏
「blueSky V2を初めてスタジオに持ち込んだギタリストがいて、最初は『ペダルのリバーブなんて...』と半信半疑でした。しかし、実際にトラックを録音して、ミックスに馴染ませてみて驚愕しました。
96kHz処理の恩恵でしょうか、高域の質感が圧倒的に自然で、EQでの補正がほとんど不要。通常、ペダルのリバーブは『後でラックのリバーブに差し替える』ことが多いのですが、blueSkyは『そのまま使える』品質です。
特にPlateモードの密度感と煌めきは、名機Lexicon 224を彷彿とさせます。ステレオ録音時の空間表現も見事で、パンニングとの相性が抜群。ペダルというより、もはやスタジオ機材の一つとして認識しています」
プロギタリスト Y氏の体験
「以前はラックマウントのTC Electronic M350を使っていましたが、機材の軽量化を図る際、blueSky V2に切り替えました。正直、音質面での妥協を覚悟していましたが、実際には『音が良くなった』と感じています。
ペダルボード上に配置できることで、ギター直後の信号経路に組み込めるため、ケーブルの長さや信号劣化が最小限。また、足元で即座にパラメータ調整できることが、ライブでは決定的に便利です。
Favoriteスイッチによる2つのプリセット切り替えは、楽曲の展開に応じた演出に不可欠。アコースティックギターでも使っていますが、ピエゾピックアップの硬さを柔らかくする効果もあり、万能です」
主な使用アーティスト
ジュリアン・ベイカー (Julien Baker)
アルバム『Turn Out The Lights』のサウンドについて、「Strymon BlueSkyの広告のような音にしたかった」と語るほど溺愛しています。
ジェイソン・イズベル (Jason Isbell)
グラミー賞常連のアメリカーナの旗手。2024年の最新リグでも、メインのペダルボードにblueSkyが組み込まれています。
小沼ようすけ (Yosuke Onuma)
日本を代表するジャズギタリスト。空間の「密度感」と「使いやすさ」を高く評価し、長年ボードの核として使用しています。
マシュー・ベラミー (Muse / Matthew Bellamy)
ライブリグのシステム内に組み込まれており、楽曲に合わせた緻密なリバーブ設定に使用されています。
ジェフ・ベック (Jeff Beck)
晩年のソロツアーにおいて、足元の限られたスペースで最高品質の残響を得るために採用されていました。
ライバル機との徹底比較
vs BOSS RV-6(王道のスタンダードとの対決)
| 比較項目 | STRYMON blueSky V2 | BOSS RV-6 |
| 設計思想 | スタジオクオリティの芸術的再現 | 堅実かつ実用的な汎用性 |
| 残響の密度感 | 極めて濃密。音が層を成す | 自然で馴染みが良いが、薄め |
| Shimmer機能 | 独立ノブで「光の量」を微調整可能 | モードの一つとして固定 |
| プリアンプ | クラスA JFET(アナログ質感) | デジタルバッファ |
| プリセット | 300(MIDI)/ 1(本体) | なし(現在の設定のみ) |
| 価格 | ¥62,000前後 | ¥20,000前後 |
分析:実用性か、圧倒的な「空気感」か
BOSS RV-6は、どんなジャンルにも馴染む「外さない音」が魅力です。しかし、blueSky V2と並べると、音の解像度の差は歴然です。RV-6が「綺麗な残響を足す」道具であるのに対し、blueSky V2は「空間そのものの質を変える」楽器です。特に、深くかけた時の音の芯の残り方は、blueSky V2が圧倒的に優れています。
vs TC Electronic Hall of Fame 2(多機能・コスパ機との対決)
| 比較項目 | STRYMON blueSky V2 | TC Electronic Hall of Fame 2 |
| 音作りのアプローチ | 選りすぐりの3種を極める | 多彩なアルゴリズムを使い分ける |
| カスタマイズ性 | ノブ操作のみで完結(直感的) | TonePrint(アプリ)で詳細エディット |
| 物理的インターフェース | 2スイッチ / 6ノブ | 1スイッチ(MASH機能付き) |
| 音の透明度 | ハイエンドオーディオ級のクリアさ | 良好だが、ややデジタル的な質感 |
| 接続性 | MIDI、USB-C、ステレオIn/Out | USB、ステレオIn/Out |
| 価格 | ¥62,000前後 | ¥20,000前後 |
分析:完成された美学か、無限の拡張性か
HoF 2はアプリ連携により、無限の音色をダウンロードできるのが強みです。一方、blueSky V2は「あえてリバーブの種類を絞る」ことで、その一つひとつの質を極限まで高めています。アプリで細かく弄る手間をかけずとも、ノブを回しただけで「プロのレコーディングクオリティ」が得られるのがblueSky V2の真骨頂です。
vs Eventide Space(スタジオ級・音響モンスターとの対決)
| 比較項目 | STRYMON blueSky V2 | Eventide Space |
| 得意なサウンド | 天上的、美しい、調和的 | 宇宙的、実験的、ダーク、巨大 |
| 操作の難易度 | 非常にシンプル(直感的) | 複雑(11個のノブと液晶) |
| ボードの占有面積 | 標準的なコンパクトサイズ | 大型(blueSkyの約2倍) |
| アルゴリズム数 | 3(Plate / Room / Spring) | 12(Blackhole等を含む) |
| シグナルパス | アナログ・ドライ・スルー | アナログ・ドライ・スルー |
| 価格 | ¥62,000 | ¥120,000前後 |
分析:音楽的な「調和」か、異世界の「音響設計」か
Eventide Spaceは、リバーブの枠を超えた「サウンドデザイン・マシン」です。映画のサントラのような異質な空間を作るには最適ですが、ギター本来のトーンを活かしつつ美しく響かせるという点では、blueSky V2の方が音楽的にまとまりやすい傾向にあります。ボードに収まるサイズ感で、Spaceに匹敵する「密度の濃い」残響が得られるのがblueSky V2の強みです。
まとめ:リバーブに美しさを求める全ての人へ
STRYMON blueSky V2は、「残響を加えるペダル」という概念を完全に超越した、音響芸術の結晶です。
96kHz/24bit処理という、プロスタジオ規格の演算品質。Room、Plate、Springという、音楽史を形作った3つの残響特性の完璧な再現。True Stereoアルゴリズムによる、圧倒的な立体感。Pre-Delayという、プロツールに不可欠な時間制御。そしてShimmerモードが開く、天上への扉。
「1960年代の名機の響きから現代スタジオのハイファイさまで」
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