
「あの時代の、あの音色だ…」
一瞬で脳裏によぎったのは、1980年代のJ-POPのきらめき、洗練されたAORのリズム、そして世界中のギタリストのボードに欠かせなかった、ポップスミュージック黄金期の記憶でした。
コーラスエフェクトの始祖として、そして長らく世界標準として君臨してきたBOSS CE-1(1976年)とCE-2(1979年)。CE-2Wは、その伝説的な二つの回路を、現代の技術と情熱で一つのコンパクト筐体に封じ込めた、まさに「名機のタイムカプセル」です。
Waza Craftの技術者は、それぞれのオリジナル機の魂を抽出し、さらに現代の音楽シーンが求める進化を与えました。これは歴史への敬意と、未来への挑戦が結実した、現代のペダルボードにおける「生まれ変わったアナログコーラスの始祖」なのです。
使用レビュー:まさに「歌を邪魔しないコーラス」の決定版
CE-2Wの強みは、その「洗練された揺らぎ」にあります。特にJ-POPや歌もののバッキングギターにおいて、Standard(CE-2)モードは至高の選択です。
オリジナルのCE-2譲りのアナログBBD回路が織りなす揺らぎは、主張しすぎず、主旋律(ボーカル)の邪魔を一切しません。まるでギターのトーンに透明なベールを纏わせたかのような、優美な奥行きと立体感が生まれます。
中域にフォーカスした温かいトーンは、バンドアンサンブルの中で埋もれることなく、しかし他の楽器を尊重しながら存在感を発揮。クリアでHi-Fiな現代のサウンドプロダクションにも完璧に溶け込む、まさに「歌を邪魔しないコーラス」の決定版です。80年代のシティポップから現代のポップスまで、洗練を極めたアナログコーラスの「絶対的な安心感」は抜群!
3つの揺らぎを内包する「元祖コーラスの博物館」
CE-2Wは、トグルスイッチ一つで3つの異なるモードを切り替えられます。この選択肢の豊富さが、CE-2Wを単なるコーラスペダルではなく、「コーラスの歴史そのもの」を体験できるツールに昇華させています。
- Standard (CE-2 Mode): 1979年製、世界標準のCE-2の優美でクラシックなコーラスサウンド。中音域に特化し、アンサンブルに自然に溶け込む揺らぎ。
- CE-1 Mode: 1976年、世界初のコーラスエフェクトCE-1の分厚く官能的なサウンド。さらにCE-1独自のヴィブラート・エフェクトも再現。
- CE-1 Vibrato Mode : エグみのある揺れの代表格=ヴィブラートのモード。とはいえ、深めにかけてもサイケな雰囲気にはならず、空間を広げるコーラス的な役割の範疇なので、キレイめな楽曲でも十分使える音色。
CE-1モードが持つ「プリアンプ」の魔法
CE-1は元々、ローランド社の名機Jazz Chorus 120の回路を独立させたもの。そのため、CE-1モードは単なる揺らぎエフェクトとしてだけでなく、FETを使用したプリアンプとして機能します。
エフェクトオフ時(バッファード・バイパス時)でさえ、入力信号にわずかながら温かみとコンプレッション、そして特有のプレゼンスを付加します。これは音の芯を太くし、ギターのトーンに「ヴィンテージの品格」を与える秘密のスパイスであり、他のコーラスペダルには見られない決定的な差異です。
真のワイドステレオ対応による「無限の空間」の再現
オリジナルのCE-2がモノラル仕様だったのに対し、CE-2WはCE-1モードとWazaモードにおいて、真のステレオ出力に対応しています。
左右チャンネルに揺らぎの位相を反転させた信号を出力することで、音が左右に広がるような圧倒的な音響的奥行き(Width)を生み出します。モノラルで録音されたギターを、あたかも空間録音されたかのように聴かせることが可能であり、現代のHi-Fiなレコーディング環境において、その実用性は計り知れません。
Depth(深さ)とRate(速さ)の拡張されたコントロールレンジ
オリジナルのCE-2はDepthが固定されていましたが、CE-2WではDepthノブが追加され、CE-2モードでも揺らぎの深さを調整可能になりました。
また、WazaモードではLFOの周波数レンジが拡張され、極端に遅い(サブソニックな)揺らぎから、早回しテープのような極端に速い(フランジャーに近い)揺らぎまでカバー。この可変性の拡大こそが、CE-2Wの汎用性と表現力を飛躍的に高めています。
アナログBBD回路の忠実な再現と「自然な溶け込み感」
コーラスサウンドの心臓部であるBBD(Bucket Brigade Device)素子。CE-2Wは、この貴重なアナログ素子の挙動をWaza Craft技術で緻密に再現し、搭載しています。
デジタルモデリングでは決して得られない、ウェット信号とドライ信号が混ざり合った時の「自然な溶け込み感」と、わずかながら発生する心地よいノーンリニアリティ(非線形性)が、音色に「生命感」を与え、音の粒子が踊るような印象をもたらします。
CE-1 Vibratoモードの「揺れる音程」の重厚な再現
CE-1モードのもう一つの特筆すべき魅力は、ヴィブラートエフェクトの搭載です。これは音程を周期的に揺らす効果で、CE-1のそれは非常に分厚く、ロータリースピーカーやシンセサイザーのピッチベンドのような質感を持っています。
ギターソロに劇的な効果を与える、他のコーラスペダルにはない独特の表現力は、特に70年代のファンクやソウルミュージックの鍵盤サウンドをギターで再現する際に威力を発揮します。
Waza Craftによる堅牢なビルドクオリティと信頼性
「技 Waza Craft」シリーズに共通する、BOSSの象徴的なデザインと、細部にまでこだわった高品位なパーツ選定。堅牢な金属筐体、滑りにくいノブ、そして長年にわたり世界中のライブステージで酷使されてきた耐久性。
CE-2Wは、ヴィンテージの持つ脆弱性(例:CE-1の電源問題)を排除し、現代の過酷なツアーにも耐えうる、まさに「一生モノ」のバリューを提供します。
ヴィンテージコーラスのDNAを受け継ぐ設計思想
アメリカンロックと日本のポップスを繋いだコーラスの始祖
コーラスの歴史は、1976年に発表されたBOSS CE-1 Chorus Ensembleに始まります。当時の音楽シーンはディレイやファズが主流でしたが、CE-1は、ウェット信号をBBDで遅延させ、その遅延時間をLFO(低周波発振器)で周期的に変調し、ドライ信号と混ぜることで、厚みのある幻想的な音色を生み出しました。
この原理は、単なる音色の飾りではなく、「音のレイヤー」を生み出し、特にモノラル録音が主流だった時代に、疑似的な多重録音効果やステレオ感を提供した画期的な発明でした。
80年代日本のシティポップのDNA
CE-2の登場と普及は、特に1980年代の日本のポップス、AOR(Adult-Oriented Rock)、フュージョンにおいて、決定的な役割を果たしました。
山下達郎 や高中正義といったアーティストたちが生み出した、洗練され、都会的なギターサウンドには、CE-2の優しくも主張のある揺らぎが不可欠でした。CE-2WのCE-2モードは、まさにあの「日本のシティポップのDNA」を忠実に再現する鍵なのです。この揺らぎは、音楽のジャンルを超えて、多くのリスナーの潜在意識に「あの頃の洗練された音」として深く刻まれています。
Waza Craftの哲学:伝統と革新の二律背反の解消
「Waza Craft」とは、BOSSの高度な技術と日本の伝統的な「技」を融合させたシリーズです。その哲学は、「オリジナルの音色を尊重しつつ、現代的な使いやすさと音響的拡張性を加える」こと。
CE-2Wは、CE-1のヴィンテージらしいトーンカラーを保ちつつ、CE-2Wモードでレンジとステレオ感を拡張。これは、ヴィンテージ機の弱点である「現代のHi-Fiな録音環境での対応力不足」という問題を、エレガントに解決したナイスアプローチです。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 製品名 | BOSS CE-2W Chorus Waza Craft |
| タイプ | アナログ・コーラス/ヴィブラート |
| モード | Standard (CE-2), CE-1, CE-1 Vibrato |
| コントロール | Rate, Depth, Mode(3wayトグルスイッチ) |
| 入出力 | Input, Output A (Mono), Output B (Stereo), DC In |
| 電源 | 9VDC(センターマイナス)/ 9V電池 |
| 寸法 | 73 (W) x 129 (D) x 59 (H) mm |
| 重量 | 約450g |
| 製造国 | 日本(Waza Craft) |
| 参考価格 | ¥26,000前後 |
筐体の美学と操作性 CE-2Wの鮮やかなライトブルーの筐体は、CE-2のアイデンティティを継承しつつ、Waza Craftシリーズ特有の高級感を纏っています。特徴的なのは、CE-2Wでは追加されたDepthノブと、モード切替のトグルスイッチ。 ノブのトルク感はBOSSの伝統通り、ライブの暗闇でも設定がズレにくい適度な重さ。
マウントジャックによるボードの効率化 入出力ジャックがすべて筐体上部ではなく、側面に配置されていることは、歴史的モデルの忠実な再現です。これは現代のペダルボードの密集したレイアウトには一見不便に思えますが、CE-2Wのヴィンテージデザインを損なわないための配慮。また、BOSSの堅牢なジャックは、耐久性の高さを証明しています。
音響分析:3つのモードの周波数特性
CE-2Wの魅力は、単に「揺れる」ことではなく、揺らぎがどの周波数帯域に作用し、どのような音響空間を作り出すか、という点にあります。
1. CE-1 Mode (太く、分厚い、官能的な揺らぎ)
- 特性: 広い周波数帯域、特に中低域に明確な倍音と揺らぎが付加されます。
- 音色: 低域の揺れが非常に深く、まるで音全体が伸縮するかのような感覚を生み出します。ウェット音が非常に分厚く、倍音構成も複雑なため、トーンに「グラマラス」な質感を与えます。
- 用途: ロックやブルースのカッティング、ソウルミュージックの分厚いクリーンサウンド。
2. Standard Mode (CE-2 Mode) (優美で、アンサンブルに馴染む揺らぎ)
- 特性: 主に中音域に焦点を絞った、控えめな揺らぎ。高域と低域の変調が少なく、ドライ音との混ざりが自然で音楽的です。
- 音色: 聴き慣れたクラシックなコーラスサウンド。派手さはありませんが、アンサンブルの中で一歩引いた位置で、ギターのトーンを立体的に彩り、透明なベールを纏わせます。
- 用途: ポップス、ロックのバッキングギター、アルペジオ。
3. CE-1 Mode (Vibrato) (重厚で、劇的な揺れる音程)
- 特性: 音程そのものを周期的に揺らすエフェクト。CE-1譲りの回路特性により、周波数帯域全体が分厚く重厚に変調されます。
- 音色: 揺れが深く、まるでテープのピッチが伸び縮みするかのようなアナログ的な質感。ロータリースピーカーの加速感や、シンセサイザーのピッチベンドのような、劇的で情緒的な表現をギターにもたらします。
- 用途: 70年代ファンクのカッティング、ジャズ・フュージョンのリードソロ、鍵盤楽器的なトーンメイク。
ジャンル別完全攻略セッティング集
1. シティポップ/AOR:80'sの都会的な洗練
- 設定: Mode: Standard (CE-2), Rate: 11時, Depth: 12時
- 推奨楽曲: 山下達郎、TOTO、Steely Dan
- 解説: 中音域に集約されたCE-2の優雅な揺らぎを、RateとDepthを中程度でバランス良く設定。テレキャスターやストラトのフロントPUのクリーントーンに合わせることで、あの時代の都会的で洗練されたカッティングサウンドが完璧に再現されます。コードトーンの粒立ちが損なわれず、和音の響きに奥行きが生まれます。
2. ネオアコ/インディーポップ:透明感と浮遊感
- 設定: Mode: Standard (CE-2), Rate: 1時, Depth: 10時
- 推奨楽曲: The Smiths, The Cure
- 解説: Rateをやや速めに、Depthを浅く設定することで、水面のさざ波のような微細で透明感のある揺らぎをトーンに付加。アルペジオや単音リフのメロディを幻想的に際立たせます。ディレイのタイムを短めに設定し、その前に配置すると、さらに浮遊感が増します。
3. シューゲイザー/ドリームポップ:空間の創造
- 設定: Mode: CE-1: 2時, Depth: 3時, Output: Stereo
- 推奨楽曲: My Bloody Valentine, Cocteau Twins, Tame Impala
- 解説: CE-1モードの真骨頂。Rate/Depthを深めに設定し、ディレイ、リバーブと多段接続。ステレオ出力することで、音が壁のように左右に広がり、巨大なサウンドスケープを構築。深く歪ませたファズ/ディストーションの後段に配置するのが定石です。揺らぎがドライ音全体を包み込み、音の境界線を曖昧にします。
4. ハードロック/メタル:リフの分厚さ
- 設定: Mode: CE-1, Rate: 10時, Depth: 12時
- 推奨楽曲: Randy Rhoads (Ozzy Osbourne), George Lynch (Dokken)
- 解説: 高ゲインなディストーションサウンドの前段にCE-1モードを配置。CE-1のプリアンプ的機能がゲインをわずかに持ち上げ、中低域の倍音を付加。これにより、リフのトーンが分厚くなり、広大な空間を演出。ソロパートでは、さらにDepthを上げることで劇的な効果を得られます。歪みの粒子がコーラスによって再構成されるような独特の質感です。
5. ヴィンテージオルガン/ローズピアノ:鍵盤楽器的な質感
- 設定: Mode: CE-1 (Vibrato), Rate: 12時, Depth: 2時
- 推奨楽曲: 1970年代のソウル、ジャズファンク
- 解説: CE-1モードの隠れた才能、ヴィブラート。ウェット/ドライ信号の混合がないため、純粋に音程が周期的に揺らぎます。ギターのトーンにオルガンのロータリースピーカーのような厚みと動きを与え、特にジャズやファンクのカッティングに唯一無二のグルーヴ感をもたらします。速めのRateで設定すると、ロータリーの加速感を再現できます。
6. アンビエント/ポストロック:テクスチャーとしての揺らぎ
- 設定: Mode: CE-1, Rate: 8時(極遅), Depth: 1時
- 推奨楽曲: Sigur Rós, Explosions in the Sky
- 解説: 非常に遅いRateで、ほとんど揺れを感じさせない微細な変調をトーンに加えます。これは「コーラス」としてではなく、「音のテクスチャー」として機能し、ディレイのリピート音などがわずかに位相を変えながら続くことで、音響の粒子が無限に続くような効果を生み出します。曲のクライマックスでRateを急激に上げると、音の霧が晴れるようなドラマチックな演出が可能です。
知人プロが語る:CE-2Wの印象
トップレコーディングエンジニア T氏の証言
「CE-2Wは、ミックスエンジニアにとって本当にありがたい存在です。CE-2モードはアンサンブルの『真ん中に溶け込んでいく』力が圧倒的に高い。これは中域に絞られた揺らぎの恩恵で、ベースやキックと周波数的に干渉しないんです。
そしてCE-1モードのプリアンプ機能。これはアンプシミュレーターを使う際、最初にインプットとして挿すだけで、トーンに立体感と奥行きが出る。特にデジタルなサウンドにアナログの『血』を通わせるために、私はCE-1モードをバイパス時でも常時オンにしておくことを推奨しています。CE-2Wは音に『質量』を与えるペダルだと感じていますね。」
スタジオ/セッションギタリスト S氏の体験談
「プロの現場では、何よりも信頼性と再現性が求められます。CE-2Wは、あのCE-1のサウンドをノイズレスで提供してくれるという点で、完全に信頼できる相棒です。
私のお気に入りは、CE-1のヴィブラートモード。普通、ヴィブラートペダルというと揺れが安っぽくなりがちですが、CE-1のそれは重厚でオーガニック。速めのRateでアームを使っているかのような劇的な効果が出せ、曲のブリッジ部分での高揚感を一瞬で作り出せます。Wazaモードのステレオ感は、ライブのPAにそのまま送るだけで、サウンドを会場全体に広げられる。
これ一台で、ボード内のコーラス問題を全て解決できます。CE-2Wを手に入れてから、他のコーラスは全て手放しました。」
BOSS CE-2W Waza Craft 主な使用アーティスト
| アーティスト名 | 主なバンド/活動 |
| Mac DeMarco | ソロ (ギタリスト/キーボーディスト) |
| John Petrucci | Dream Theater (ギタリスト) |
| J Mascis | Dinosaur Jr. (ギタリスト/シンガー) |
| Matthew Healy (Matty) | The 1975 (ギタリスト/キーボーディスト) |
| Adam Jones | Tool (ギタリスト) |
| Thomas DeLonge | Blink-182 (ギタリスト/シンガー) |
| Yngwie Malmsteen | ソロ (ギタリスト) |
| Chris Shiflett | Foo Fighters (ギタリスト) |
| Taylor York | Paramore (ギタリスト) |
| John 5 | Marilyn Manson (ギタリスト) |
| Andy Summers | The Police (ギタリスト) |
【補足】BOSS CE-2/CE-1 主な使用アーティスト
元となったCE-1とCE-2は、その登場以来、数え切れないほどの伝説的なギタリストによって使用されてきました。CE-2Wは、彼らのサウンドを現代に蘇らせる鍵となります。
- Andy Summers (The Police): CE-1の代名詞的なユーザーの一人。彼のクリーンでリズミカルなカッティングは、CE-1の分厚いコーラスサウンドによって完成されています。
- David Gilmour (Pink Floyd): 空間系エフェクトの魔術師。CE-2の優雅な揺らぎは、彼の壮大なサウンドスケープ構築において重要な要素です。
- Prince: CE-1のヴィブラート/コーラスは、彼のファンキーでサイケデリックなギターサウンドに不可欠でした。
- Eric Johnson: 1970年代にCE-1を愛用。彼の追求する、純度の高いクリーントーンにもCE-1のプリアンプ効果が貢献していると言われています。
- 国内アーティスト:松本孝弘 (B'z)、布袋寅泰、そして数多くの80年代~90年代のスタジオミュージシャンがCE-2/CE-3を愛用し、日本の音楽の「標準の揺らぎ」を作り上げてきました。
ライバル機との徹底比較分析
| 項目 | BOSS CE-2W | BOSS CE-5 | Strymon Ola |
|---|---|---|---|
| 価格帯 | ハイミドル | エントリー | ハイエンド |
| 回路方式 | フルアナログ (BBD) | デジタル/アナログ混合 | デジタル (DSP) |
| モード数 | 3 (CE-1/CE-2/Vib) | 2 (Chorus/Pitch Shift) | 3 (Chorus/Multi/Vibe) |
| 音色傾向 | ヴィンテージ/有機的 | クリーン/汎用 | Hi-Fi/透明感 |
| ヴィブラート | 独立モードあり | なし | Vibeモードあり |
| ステレオ | 真のワイドステレオ | モノラル/疑似ステレオ | 真のワイドステレオ |
1. vs BOSS CE-5 Chorus Ensemble:現代の汎用機との差
CE-5はコストパフォーマンスに優れ、フィルタリング機能を持つ汎用性の高いペダルです。しかし、CE-2Wが「ヴィンテージのBBD回路の忠実な再現とプリアンプ効果」という音のキャラクター追求に特化しているのに対し、CE-5は「現代の多様なニーズに対応するための機能性」に特化しています。CE-2Wの有機的な音の太さ、特にCE-1モードの音色の飽和感は、CE-5では得られない領域です。
2. vs Strymon Ola/Mobius:デジタルハイエンドとの対決
Ola やMobiusといったデジタルハイエンド機は、究極のクリーンさ、ノイズレス、多機能性を提供します。しかし、CE-2WのアナログBBDが持つわずかな音の劣化やコンプレッション感、そしてCE-1プリアンプのトーンへの色付けは、デジタルでは再現が極めて難しい領域です。CE-2Wは、デジタルな透明感よりも「温かみのある音色」を求めるプレイヤーにとって、音の質感と情緒という点で優位に立ちます。
3. vs MXR/Analogmanなどブティックアナログコーラス:純粋性への探求
ブティック系コーラスの多くは、CE-2やCE-1の回路にインスパイアされていますが、CE-2Wは本家BOSSによるCE-1とCE-2の回路の公式なフュージョンです。
さらに、CE-2W独自のモード、拡張されたDepthコントロールという実用的な進化を遂げています。純粋な歴史的トーンの再現性と、現代のプレイアビリティの融合という点において、CE-2Wは非常にバランスの取れた、総合力の高い勝者と言えます。
購入前に知っておくべき7つのポイント
1. CE-1モードのトーンカラレーション(色付け)の理解
CE-1モードは、エフェクトオフ時でもプリアンプ回路が信号経路に残るバッファード・バイパスです。このプリアンプはギターのトーンをわずかにブーストし、中低域を充実させる「色付け」を行います。完全にクリーンな信号を求める場合は、CE-2モードか他のペダルを検討すべきでしょう。これは**「デメリット」ではなく、「ヴィンテージトーンの付加価値」**です。
2. WazaモードはCE-2の「ステレオ・Hi-Fi進化版」
Wazaモードは、CE-1のような強烈なキャラクターではなく、あくまでCE-2の優美さをベースに、レンジとステレオ感を拡張したものです。Wazaモードはより透明感があり、現代的なミックスに馴染みます。求めるキャラクターに応じて、CE-1モードとWazaモードを使い分ける必要があります。
3. BBD由来の微細なノイズフロア
アナログBBD回路を使用しているため、特にDepthやRateを深く設定し、かつ高ゲインアンプと組み合わせた場合、微細なクロックノイズやヒスノイズが聞こえることがあります。これはアナログコーラスの宿命であり、CE-2Wの「有機的な音」の裏返しでもあります。高品質な電源とノイズゲートで最小限に抑えられますが、デジタルコーラスのような完全な静音性は期待できません。
4. CE-1 Vibratoモードの音量差
CE-1のヴィブラートモードは、オリジナルの回路特性上、コーラスモードに比べてわずかに音量が下がる傾向があります。これは故障ではなく、オリジナルのCE-1の特性を忠実に再現した結果です。この音量差を許容できない場合は、ブースターを併用するか、ヴィブラートモードの使用頻度を検討する必要があります。
5. ギター以外の楽器との相性
CE-2Wは、キーボード(ローズ、シンセ)、ベース、ボーカルなど、ギター以外の楽器にも非常に相性が良いです。特にCE-1モードのプリアンプと分厚い揺らぎは、ベースのトーンにハリと奥行きを与え、アンサンブルでの存在感を際立たせます。
6. エフェクトループでの使用の可能性
CE-2Wは、アンプの歪み(プリアンプ)の後にコーラスをかける、エフェクトループでの使用にも最適です。アンプのクリーンチャンネルの前に挿す場合と、ループに入れる場合とで、音のキャラクターが大きく変わるため、必ず両方試すことを推奨します。
7. ペダルボードでの配置順序の重要性
CE-2Wを歪みの前に置くと、CE-1モードのプリアンプが歪みをブーストし、揺らぎ自体も歪むため、激しいトーンになります。歪みの後に置くと、歪んだ音全体がクリーンに揺らぎ、クリアな空間効果が得られます。ジャンルによって適切な配置順序が異なります。
まとめ:歌もの(特にJ-POP)楽曲に溶け込むコーラスならコレ!
BOSS CE-2W Waza Craftは、復刻ペダルという枠を超越した、「コーラスエフェクトの決定版」です。
これは、時代を超えてヒットチャートを彩ってきたCE-1の「分厚い魂」と、CE-2の「優雅な洗練」を、現代的なステレオの広大さ(Waza)で結びつけた、歴史と未来の融合体です。CE-1のプリアンプがトーンに与える色気、CE-1ヴィブラートがもたらす劇的な音程の揺らぎ、そしてWazaモードが描き出す無限の空間。これらは、デジタルモデリングでは到達し得ない、アナログBBD回路と日本の職人技が織りなす「温度感のある揺らぎ」です。
特に歌モノのバンドをやっているギタリストやコンポーザー&アレンジャーには、ぜひ、この「トーンの成熟」をじっくり味わってみて欲しいです!








