
1960年代後半からロック黄金時代を築き上げた、あの荒々しくも甘美なプレキシトーン。
伝説の100Wフルスタック・アンプが持つ、地響きのような低域と、耳に心地よい倍音の煌めき。
これで脳汁ドバドバ出ないギタリストはいないでしょ!?
今回ご紹介するのは、ユニバーサル・オーディオ(Universal Audio)が放つ、UAFXシリーズの最高傑作のひとつ。ジミ・ヘンドリックス、エディ・ヴァン・ヘイレン、ジミー・ペイジらが愛した「プレキシ」の真髄を、独自のモデリング技術で封じ込めた、このLion '68 Super Lead Ampです。
このユニットには、今あらためて聞くと「ゴージャス」なイメージすら感じる、ヴィンテージ・プレキシトーンの聖杯が宿っています。
使用レビュー:チャイミーな極上クランチから骨太な凶暴性まで
「これがワンペダルで鳴っているなんて、耳が信じようとしない...」
UAFX Lion '68を繋いだ瞬間、部屋の空気が1968年のロンドンへ変貌。まず大きく評価できるポイントは、ボリュームを絞った際の「チャイミーな極上クランチ」。
鈴鳴りのような高域と、フォルテッシモまで完璧に表現する瑞々しいレスポンスは、まさにヴィンテージ・プレキシのクリーンセッティングそのものです。
しかし、ノブを右に回し切れば、状況は一変。スタックアンプをフルテンにした時の、あの「骨太で凶暴な咆哮」が解き放たれます。腹に響くローエンドの押し出しと、有機的に絡み合う倍音の渦。プレイヤーの気合いをそのまま音圧に変えてくれる「奇跡」がここにあります。
UADの誇る「エンドツーエンド」モデリングの極致
Lion '68の最大の特徴は、回路上のあらゆるコンポーネントを個別にモデリングする「エンドツーエンド」手法にあります。これは単にEQのカーブを似せるのではなく、トランスフォーマー、真空管のサグ感(電圧降下)、そしてスピーカーキャビネットの複雑な共鳴までを物理的に演算していることを意味します。
ピッキングの強弱に忠実に反応し、ギターのボリュームを絞れば鈴鳴りのようなクリーンへと変化する。この「楽器としての手応え」こそが、他の追随を許さないLion '68の核です。
3つの伝説的な100Wプレキシ・モードを搭載
本体中央のスイッチ一つで、キャラクターの異なる3つのアンプタイプを切り替えられます。
- Super Lead: 1968年製100Wヘッドの王道。耳を突き抜けるようなブライトさと、攻撃的な歪みが特徴です。
- Super Bass: 本来ベース用ですが、多くのギタリストがその太くウォームな歪みを求めて愛用したモデル。より重心の低い、スワンピーなサウンドが得られます。
- Brown: エディ・ヴァン・ヘイレンに代表される、電圧を下げた(バリアック)状態を再現。スムースでサステイン豊かな、伝説のブラウンサウンドが手に入ります。
歴史的キャビネットとマイクの完璧なエミュレーション
アンプの音作りにおいて、スピーカーとマイクは半分以上の重要性を占めます。Lion '68には、厳選されたヴィンテージ・キャビネットのIR(インパルス・レスポンス)が内蔵されています。
- GB25 (1968年製 4x12 Marshall)
- GB30(V30:4x12 Marshall)
- JBLGB (2x12)
これらに加え、製品登録をすることでさらに3つのボーナス・キャビネット(Two-Rockや1x12 EVM12など)が追加されます。マイクの位置まで計算し尽くされたその空気感は、高級スタジオでのマイキングそのものです。
ブースト回路もビルトイン
実機のプレキシをドライブさせるために不可欠な「ブースト」も内部にシミュレート。
バッキングサウンドだけでなく、ペダル一台で、完璧なリードトーンまでをも完結させることができます。
ステレオ対応による圧倒的な音響空間
ステレオ入出力に対応しており、ステレオ・リバーブやディレイと組み合わせることで、巨大なアリーナで鳴らしているような広大なサウンドスケープを構築できます。特に自宅でのヘッドフォン練習や宅録において、この「空間の広がり」はモチベーションに直結します。
UAFX Controlアプリによる高度なカスタマイズ
Bluetoothでスマートフォンと連携し、詳細な設定が可能。フットスイッチの機能割り当て(ライブモード/プリセットモードの切り替えなど)や、ノイズゲートの微調整、さらには著名ギタリストのプリセットをダウンロードして即座に反映させることができます。
ブリティッシュ・スタックのDNAを現代へ
ロックを定義した「プレキシ」の響き
1960年代後半、ロンドンの楽器店から始まったマーシャル・アンプの歴史。特に1968年製のSuper Leadは、その後のロックギターの音色を決定づけました。大音量で鳴らした際の「壁が震えるような音圧」と、指先のニュアンスがダイレクトに音になる繊細さ。
ジミ・ヘンドリックスがウッドストックで鳴らした咆哮、AC/DCのアングス・ヤングが奏でる骨太なリフ。それらすべての源流が、このLion '68の中に凝縮されています。
「アンプ」を運ぶ時代から「アンプ」を踏む時代へ
かつて、この音を手に入れるには巨大なヘッドと4x12キャビネット、そしてそれらをフルアップできる広大な環境が必要でした。Lion '68は、その物理的な制約をすべて取り払い、ギグバッグのポケットに伝説のアンプを忍ばせることを可能にしました。
PAへダイレクトに送る、あるいはオーディオインターフェースに接続するだけで、数百万のヴィンテージ機材と数千万のスタジオ環境を組み合わせた「あの音」が鳴り響きます。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | UAFX Lion '68 Super Lead Amp |
| タイプ | デジタル・アンプ・エミュレーター(ステレオ) |
| 電源 | 9V DC 400mA(センターマイナス) |
| 入出力 | 2 x 1/4"(ステレオ)、USB-C、Bluetooth |
| 寸法 | 約141mm × 92mm × 65mm |
| 重量 | 約605g |
| 参考価格 | ¥50,000 ~ ¥68,000前後 |
機能美に満ちたコントロール
パネルに整然と並ぶゴールドノブは、ヴィンテージ・マーシャルの美学を継承しています。
- VOLUME I & II: 実機の「チャンネル・リンク」を再現。ブライトなVol Iと太いVol IIを混ぜ合わせることで、無限のトーンシェイピングが可能。
- OUTPUT: 全体の音量を決定。
- TREBLE / MIDDLE / BASS: プレキシ特有の、各帯域が干渉し合うリアルなEQ挙動を再現。
- PRESENCE: 歪みの質感を最終的に整える重要なノブ。
ジャンル別完全攻略セッティング集
1968 Super Lead:黄金のハードロックサウンド
- Model: Super Lead
- Vol I: 2時
- Vol II: 10時
- EQ: All 12時(Presenceのみ1時)
- Cab: GB25
伝説のリフを弾くための設定。鋭い立ち上がりと、コードを弾いた際の一音一音の分離感が抜群です。
The Brown Sound:1980's LAメタルの衝撃
- Model: Brown
- Vol I: Max
- Vol II: 12時
- Boost: 微量
- Cab: GB30
エディのような、コンプレッション感がありつつもクリアな歪み。ライトハンド奏法や速弾きが吸い付くようなレスポンスになります。
Blue-Eyed Soul:スワンピーなクリーントーン
- Model: Super Bass
- Vol I: 9時
- Vol II: 11時
- EQ: Bass 9時、Middle 2時、Treble 10時
- Cab: JBLGB
ストラトキャスターのフロントピックアップに最適な、太く艶やかなクリーン。少しピッキングを強めると「クリン」と歪む絶妙な境界線。
知人プロが語る:Lion '68の恩恵
スタジオミュージシャン S氏の証言
「現場に大きなアンプを持ち込むことが減りました。Lion '68があれば、ライン録りでも『アンプの前に立っている感覚』で演奏できるからです。特にSuper Bassモードのローエンドの出方は、他のシミュレーターでは細くなりがちな部分がしっかり肉厚で、エンジニアからも驚かれます。」
ライブエンジニア T氏の体験談
「外音(PA)の作りやすさが段違いです。不必要なノイズが少なく、それでいてマイクで録ったような空気感が最初から含まれている。ギタリストが足元で音を作り込んでくれるので、EQで補正する必要がほとんどありません。」
ライバル機との徹底比較分析
| 項目 | UAFX Lion '68 | Strymon Iridium | Kemper Profiler |
| 音質の方向性 | 特定アンプの究極の再現 | 汎用性と透明感 | 無限のプロファイリング |
| 操作感 | アナログ・アンプそのもの | シンプルで直感的 | 複雑(デジタル寄り) |
| モデリング対象 | プレキシ(Marshall)に特化 | Fender/Vox/Marshall | あらゆるアンプ |
| 推奨ユーザー | プレキシ愛好家・玄人 | 初めてのアンプペダル | 1台で完結させたいプロ |
ロックの原点へ立ち返る。魂を浄化する「本物」の響き。
Lion '68が教えてくれるのは、小手先のテクニックやエフェクトに頼らない「ロックの原点」です。
ギターのボリューム一つで表情を変え、ピッキングの強弱に魂が宿る。その嘘のつけないストレートな反応は、私たちが初めてエレキギターを手にした時の、あの「一本の弦を弾くだけで世界が変わった」という初心を思い出させてくれます。
多機能な機材が溢れる現代だからこそ、この「プレキシ・サウンド」という聖域に立ち返る意味があるのではないでしょうか?
時代を超えて愛される不変のトーンは、流行に左右されないあなたの音楽的支柱となるはずです。伝説の咆哮を手に入れた時、あなたの身体からは、より純粋で、より情熱的なロックが溢れ出すに違いありません。



