
アンプのドライブチャンネルや他の歪みペダルを踏み込んだ瞬間、「あと一歩、太さと押し出しが欲しい」と感じたことはありませんか?
MXR M115 Distortion IIIの真価が発揮されるのは、まさにその瞬間です。単体のディストーションとして以上に、真空管アンプの歪みを激しくプッシュする「極上のスタッキングブースター」として本領を発揮します。
特筆すべきは、ゲインを極限まで稼いでも決してサウンドの「腰」が抜けない圧倒的な密度の濃さ。
原音の芯と太いミッドレンジを保ったままリード音をバンドの頭上へ解き放つそのレスポンスは、一度味わえば二度と手放せなくなる中毒性を秘めていますよ!
使用レビュー:これぞハードロックサウンドの基準点
70〜80年代の輝かしいロック黄金期から現代まで、ギタリストが追い求め続けてきた「本物のドライブトーン」。
MXR M115 Distortion IIIを繋いでコードを一鳴らしした瞬間、まさに「これぞハードロックサウンドの基準点だ」と確信させられます。
粗野で刺々しいノイズではなく、真空管アンプの延長線上にあるような密度感のある歪み。特にギターのおいしい中音域(ミッドレンジ)がグッと前面に押し出され、ソロでの伸びやかなサステインと、バッキングでのザクザクとした力強い切れ味を見事に両立してくれます。
時代を超えて愛される、余計な添加剤を加えていない「王道のロックトーン」を即座に完結させられる、全ギタリストの原点にして至高の一台です。
「Distortion +」の伝統を継承しつつ極限まで磨き上げた新世代回路
MXR Distortion IIIの最大の特徴は、伝説的ペダル「Distortion +」のスピリットを受け継ぎながら、現代のアンサンブルに最適化された全く新しい回路構成を採用している点です。往年のDistortion +が持っていた無骨でワイルドな歪み特性をベースにしつつも、高域の痛い刺々しさを取り除き、極めてリッチな中音域(ミッドレンジ)を付加することに成功しています。
DSP処理では決して再現できない、物理的なダイオード・クリッピング回路ならではの粘り強い「触感」と「粘り」。これこそがM115の音色の核心です。
オーバードライブからディストーションまでをシームレスに横断する歪み幅
Output、Tone、Distortionというシンプルな3ノブ構成でありながら、Distortionノブの可変幅は余裕ある広さを誇ります。
Gainを最小近くに設定すれば、真空管アンプの初段を心地よく突くマイルドで太いクランチ〜オーバードライブ・サウンド。時計の2時以降まで回し込めば、滑らかで力強いリード・ディストーションへと変化します。歪みの量を増やしても原音のコア(芯)が決して失われず、和音の分離感が保たれ続ける設計は実に見事です。
音圧感を損なわずにトーンを自在に操る「Toneコントロール」
一般的なディストーションペダルにありがちな「Toneを上げると聴覚上どうしても低域がスカスカになり、下げると音がこもって抜けなくなる」というストレスが、M115には一切存在しません。
Distortion IIIのToneノブは、ギター本来の美味しい帯域である800Hz〜2kHz付近の中低域をしっかりと保持したまま、高域の煌びやかさや輪郭だけを滑らかに補正します。どんなアンプと組み合わせても、一瞬でアンサンブルの前面に躍り出るトーンを作り出すことが可能です。
スタッキング(重ね掛け)におけるバッファー/ブースターとしての優位性
M115 Distortion IIIは、単体でのメインドライブとしてはもちろん、他のペダルやアンプのドライブチャンネルを押し上げる「ブースター」としても極めて優秀です。むしろこっちの使い方を強く推奨します!
前段に配置してローゲインで常時オンにしておけば、太い中音域と適度なコンプレッション感を楽曲全体に付与する「トーンエンハンサー」として機能。後段のファズやオーバードライブの粗さを整え、抜けの良い極上サウンドへと昇華させます。
MXRでしか出せない、絶妙な旨味成分を生成

オーバードライブとディストーションの境界線を再定義
ランディ・ローズ、トニー・アイオミ、ジェリー・ガルシア…彼らの足元にはいつもMXRの小箱が存在していましたが、音楽機材の歴史において、「オーバードライブ(歪みの浅いナチュラルな歪み)」と「ディストーション(深く鋭い歪み)」は厳密に区別されがちでした。
しかし、M115 Distortion IIIはこの境界線を心地よく打ち破ります。低ゲイン時には最上級のオーバードライブが持つアンプライクなサチュレーション(甘い飽和感)を提供し、高ゲイン時にはディストーション特有の豊かなサステインとアタック感を叩き出す。
この一台で両者の良いとこ取りができるバランス感覚こそが、M115の最大の旨味と言えます。
ディスクリート回路によるレスポンスの追求
近年の多機能ペダルに多く見られるような複雑なICチップやデジタル処理に依存せず、M115は選び抜かれたアナログコンポーネントによるDiscrite(ディスクリート)ライクな回路設計思想をベースにしています。
信号経路を極力シンプルに保ち、パーツ一つひとつの定数を突き詰めることで、ギタリストの指先の微妙なニュアンスを一切ロスすることなく出力。スピーカーのコーン紙がダイレクトに反応するような「生々しい手応え」を実現しています。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | MXR M115 Distortion III |
| タイプ | アナログ・オーバードライブ/ディストーション |
| 電源 | 9V DC(センターマイナス)/ 9V角型電池(006P) |
| 寸法 | 約111mm(D) × 59mm(W) × 48mm(H) |
| 参考価格 | ¥19,000前後 |
コントロール配置の美学
MXR M115 Distortion IIIの外観は、伝統のMXRスタイルを洗練させたクラシカルな美意識に満ちています。深みのあるメタリック・レッド(赤)で塗装された筐体は、ステージの照明を浴びると妖艶な輝きを放ち、ペダルボード内でも圧倒的な存在感を主張します。
3つの黒いノブ(Output、Tone、Distortion)は、三角形状に整然と配置。視認性に優れており、暗いライブハウスのステージ上でも現在の設定位置が一目で把握できます。ノブの操作感は滑らかでありながら適度な手応えがあり、微細なトーンの微調整も容易です。
中央下部に配置されたレッドLEDインジケーターは、エフェクトのON/OFFを鮮明に伝えます。底面のスクリューを外すことで簡単にバッテリーへアクセスできる伝統の構造も、長年愛され続けるMXRならではの設計です。
音響分析:Distortion IIIの周波数特性とサウンド傾向
ミッドレンジを中心とした豊かな音響バランス
M115 Distortion IIIの周波数レスポンスは、ギターという楽器の魅力が最も引き立つ「中音域(500Hz〜2.5kHz)」に明瞭なピークを持たせています。
特性:
- 低域(Low): アンプの低音を破綻させない程度にスッキリとタイトに引き締められ、ローエンドのボヤつきを排除。
- 中域(Mid): 太く温かみのある倍音成分が集職的に付加され、バンドアンサンブルの中でボーカルやベースとぶつからずにギターの存在感を際立たせる。
- 高域(High): 耳に刺さる超高域(5kHz以上)は自然にロールオフされており、シルキーで滑らかなディストーション特性を実現。
この完璧に計算された周波数特性により、単音でのリードプレイでは太く伸びやかなサステインが得られ、コードワークでは各弦の分離感が際立つクリアな歪みが完成します。
ジャンル別完全攻略セッティング集
クラシック・ロック:70's ブリティッシュ・ハードロックサウンド
設定:
- Output: 1時
- Tone: 11時
- Distortion: 1時〜2時
推奨楽曲: Led Zeppelin「Whole Lotta Love」、Deep Purple「Smoke on the Water」
MarshallやVoxなどの真空管アンプをドライブさせたような、力強く粘りのある伝統的ロックトーンです。Gainを1時以降に設定することで、チョーキング時の伸びやかなサステインと、粘り強い中音域の倍音が溢れ出します。Toneを11時あたりに少し抑えることで、耳に痛くないクラシックな太さを演出できます。
モダン・オルタナティブ:90's インディー&エモサウンド
設定:
- Output: 12時
- Tone: 2時
- Distortion: 3時(深め)
推奨楽曲: Foo Fighters「Learn to Fly」、Jimmy Eat World「The Middle」
Gainを深めに設定しつつ、Toneを2時まで開くことで、モダンなエッジ感とザクザクとしたコードカッティングのレスポンスを獲得します。激しいバッキングでも原音の芯が潰れることなく、パワフルな音圧としてまっすぐストレートに飛び出していきます。
ブルース/ルーツロック:極上クランチ&リード
設定:
- Output: 2時(高め)
- Tone: 12時
- Distortion: 9時〜10時(浅め)
推奨楽曲: Stevie Ray Vaughan「Texas Flood」、Eric Clapton「Crossroads」
M115をローゲイン・オーバードライブとして贅沢に活用するセッティング。Outputを高く押し上げることでアンプ側のナチュラルなドライブを誘発し、極めて太くスモーキーなクランチトーンを作り出します。ピッキングニュアンスでクリーンとドライブを自在に行き来できる、ブルースマン垂涎のレスポンスです。
ポップス/J-ROCK:抜け抜群のカッティング&ソロ
設定:
- Output: 1時
- Tone: 1時
- Distortion: 11時
推奨楽曲: 邦楽ロック全般、クリーン〜クランチ主体のポップス楽曲
歪みの量を控えめに抑え、Toneを1時まで上げることで、チャキッとした立ち上がりの良いカッティングトーンを実現。アンサンブルの邪魔をせず、ボーカルの背景でしっかりとコードの響きを支えることができる万能セッティングです。ギターのボリュームを少し絞れば、美しいクリーンサウンドへも即座に移行できます。
メインドライブをブーストする「リード・イコライザー」
設定:
- Output: 3時
- Tone: 12時
- Distortion: 8時(ほぼ最小)
すでに歪ませているアンプや他のドライブペダルの前段に接続し、ソロパートで一発踏み込むためのブースターセッティング。M115が持っている「太い中音域」が足されることで、音量を劇的に上げることなく、音の太さとサステインだけを跳ね上げてバンドの頭上にリードギターを解き放ちます。
プロの現場が語る:MXR M115 Distortion IIIの真価

レコーディングエンジニア S氏の証言
「スタジオセッションで『歪みペダルで音が引っ込んでしまう』と悩んでいるギタリストがいたら、私は迷わずこのM115 Distortion IIIを試してもらいます。
デジタルプラグインや高価なブティックペダルの多くは、単体で鳴らすと派手でワイドレンジに見えますが、ミックス段階になると低域がベースと被り、高域がシンバルとぶつかって消えてしまうことが多いんです。
その点、M115はギターが最も輝く帯域(ミッドレンジ)を完璧に捉えています。トラックに混ぜた瞬間に『あ、ギターがここにいる』とハッキリ分かりますし、余計なイコライジングをしなくても素直にミックスに収まってくれる。エンジニア目線から見ても非常に扱いやすい、本物のプロ用機材です。」
MXR M115 Distortion III :主な使用アーティスト
主要な使用アーティストと用途など
| アーティスト名 | 担当・所属バンド | 機材の用途・セッティング等の情報 |
| キース・アーバン (Keith Urban) | カントリー/ロック ソロアーティスト | ラックシステムに常時組み込み。「手頃な価格だが、非常に優秀で過小評価されているペダル」とテックが解説。 |
| テイラー・ホーキンス (Taylor Hawkins) | フー・ファイターズ (Foo Fighters) | ドラマーでありながらギター演奏・ソロプロジェクトで愛用。ロックなサウンド作りに使用。 |
| ティム・スコルド (Tim Skold) | マリリン・マンソン (Marilyn Manson) | アルバム『Eat Me, Drink Me』ワールドツアー時のラックペダルボード内に組み込み。 |
| ジョシュ・ファロー (Josh Farro) | パラモア (Paramore) 元メンバー | スタジオレコーディングにて「第2段階のドライブペダル(セカンドステージ・ドライブ)」として使用。 |
| クリスチャン・ブランド (Christian Bland) | ザ・ブラック・エンジェルズ (The Black Angels) | サイケデリック・ロックのサウンド作りに足元へ設置。 |
| プストゥラス・マキシマス (Pustulus Maximus) | GWAR | JCM800アンプの前段に配置し、ハイゲインアンプを強力にブッシュする用途で使用。 |
| ジェイク・シニンジャー (Jake Cinninger) | アンプリーズ・マギー (Umphrey's McGee) | プログレ・ジャムバンドのテクニカルなアンサンブルにおいて、足元メインボードに配置。 |
| クローイ・モリオンド (Chloe Moriondo) | インディー・ロック シンガーソングライター | ライブパフォーマンス時の足元にセット。 |
ライバル機との徹底比較分析
vs BOSS DS-1 Distortion:定番ディストーションとの対決
| 項目 | MXR M115 Distortion III | BOSS DS-1 |
| 音色キャラクター | 温かみのある太いミッドレンジ | 高域と低域が強調されたドンシャリ |
| 歪みの性質 | マイルドでアンプライク | 鋭く金属的なエッジ感 |
| ローゲイン特性 | 非常に優秀(オーバードライブ的) | 歪みを絞ると音が痩せやすい |
| 用途 | オールラウンド/ロック/ブルース | 80sハードロック/オルタナティブ |
DS-1はエッジの効いた尖ったサウンドが魅力の超定番機ですが、M115はより中音域が豊かで、オーバードライブに近い滑らかさを備えています。「痛い高音」を避けたいプレイヤーにはM115が最適です。
vs MXR Distortion + (M104):同家門の伝統機と比較
| 項目 | M115 Distortion III | M104 Distortion + |
| コントロール | 3ノブ(Toneあり) | 2ノブ(Toneなし) |
| 音色の傾向 | 現代的で扱いやすい万能ドライブ | ヴィンテージで荒々しいファズライク |
| 低域の残存感 | タイトに残る | 歪みを上げると削れやすい |
| 操作性 | 幅広い音作りが可能 | 直感的だが癖が強い |
Distortion +は荒々しくも愛おしいヴィンテージサウンドが魅力ですが、Toneコントロールがないため使用するアンプを選びます。M115はToneノブを追加し、アンサンブルでの扱いやすさを飛躍的に向上させた正統進化形です。
vs Ibanez TS9 Tube Screamer:王道オーバードライブとの比較
| 項目 | MXR M115 Distortion III | Ibanez TS9 |
| 最大ゲイン量 | 中〜高(ディストーションまで) | 低〜中(オーバードライブ域) |
| キャラクター | 太さと押し出しのあるドライブ | 鼻にかかった独特のミッドブースト |
| 単体での歪み | これ一台で完結可能 | 単体だと歪み量が不足気味 |
| 低域のカット感 | スッキリとしつつも自然 | 低域が大きくカットされる |
TS9はアンプをブーストするための名機ですが、単体で深い歪みを作るのは得意ではありません。M115はTS9のような美しいミッド感を持たせつつ、単体でもしっかり深いディストーションまで作れる利便性を持っています。
まとめ:アンプや前段ペダルの潜在能力をグッと底上げできる
MXR M115 Distortion IIIの本質は、単に「めちゃ歪むディストーション」ではありません。極めて優秀なイコライザー機能を備えた、至高のゲインブースターです。
原音の輪郭を崩さず、ギター本来の美味しい中音域を鮮やかに際立たせるイコライジング性能。そこにナチュラルなサチュレーションが加わることで、アンプや前段ペダルの潜在能力を底上げし、アンサンブルの中で圧倒的な存在感を解き放ちます。
「刺々しく歪ませる」のではなく「トーンを美しく研ぎ澄ます」。音作りの壁にぶつかったプレイヤーの足元で、このペダルは常に最適解を示し続けてくれるはずです。


