
Super Badass(超ワル)(超イカした)という挑発的で豪胆なネーミングに負けない、圧倒的なパフォーマンス。
質実剛健が売りであるエフェクターの老舗MXRが、満を持してハードロック魂を詰め込んだ意欲作―それがMXR M75 Super Badass Distortionです。
音色の「存在意義」や「アンサンブル内での役割」そのものを「ワルっぽい」ハードロックという方向性にフォーカスし、更には現代のプレイヤーが求める緻密な音作りをも可能にするMXR独自の回答として生まれました。
硬派なディストーションサウンドが欲しいギタリストは要チェックのペダルです!
使用レビュー:バンドの主導権を握る、真のロックディストーション!
MXR M75 Super Badass Distortionは、「ワルっぽい」ハードロックに完璧!クオーターチョーキングでの粘るようなピッチ感、パームミュートのリフの鋭いアタック感、開放弦を鳴らした時のガツンとくる重みが、すべてめちゃくちゃカッコイイ。
特にミッドとトレブルを若干持ち上げることで、ギターがバンドの主導権を握るような、攻撃的でエッジの効いたトーンが得られます。これぞ真のロックディストーション!
3バンドEQ搭載の圧倒的音作り自由度
「Bass、Mid、Trebleの独立した3バンドイコライザーを備えている」ことが、M75の最大の武器です。通常のディストーションペダルが2ノブ、良くて4ノブのところ、M75は5つのコントロールノブを装備。これにより、あらゆるジャンル、あらゆるアンプ、あらゆる会場に対応可能な柔軟性を獲得しています。
単なる「Tone」ノブひとつでは到達不可能な、細密な周波数調整が可能になったのです。
驚異的なゲインレンジ
十八番はガッツリ歪んだハードロックサウンドですが、「軽めのクランチから壁を揺らすようなヘヴィディストーションまで」カバーする圧倒的なゲインレンジ。Gainノブを時計の9時にセットすればブルージーなクランチトーン、3時まで回せば現代メタルの入り口にも対応するハイゲインサウンドが得られます。
一台で幅広い音楽表現をカバーできるということは、ライブでのペダル切り替えを減らし、より音楽に集中できることを意味します。
リアルチューブアンプのようなレスポンス
「ギターのボリュームノブへの反応が極めて有機的」で、まさに真空管アンプを直接操作しているかのような感覚。ギター側のボリュームを8にすればジャキッとしたクランチ、10まで上げれば咆哮するリードトーン。この自然なダイナミクスは流石MXR!
クラス最高レベルの静粛性
「ハイゲイン時でもノイズが驚くほど少なく、レコーディングでも安心して使える」静粛性を実現。これはMXRの長年の技術蓄積と、現代的な回路設計の融合によって達成された成果です。
ホームレコーディングが主流となった現代において、この「ノイズレス設計」は決して軽視できない価値を持ちます。
圧倒的なコストパフォーマンス
¥25,000前後という価格帯で、これだけの機能と音質を提供するペダルは貴重です。ブティック系ペダルの半額以下でありながら、音質は決して劣りません。むしろ、汎用性においては多くの高級ペダルを凌駕します。
※特に、ギター単体で弾いた音よりも、バンドサウンドのオケ中でこそ、このディストーションが「バンドの主導権を握る」という感覚を味っていただけると思います。
MXR Super Badass Distortionの設計哲学:神は細部に宿る
従来のディストーションペダルは「Tone」という単一のコントロールで音色調整を行うのが一般的でした。しかしこれには根本的な限界があります。低域を増やせば中域も高域も影響を受け、結果として「理想の音」に到達できない―そんな経験は誰しもあるはずです。
M75の3バンドEQは、この問題を根本から解決します。プレイヤーは、ただ「音を歪ませる」のではなく、「リードトーンの存在意義を確立する」「リフの土台となる重力を設計する」という、より深い音響哲学をもってサウンドメイキングに取り組むことができます。
そう、神は細部に宿るのです。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
項目 | 詳細 |
---|---|
製品名 | MXR M75 Super Badass Distortion |
タイプ | ディストーション |
電源 | 9VDC(センターマイナス)/ 9V電池 |
入力インピーダンス | 390kΩ |
出力インピーダンス | 3.4kΩ |
寸法 | 約112mm × 61mm × 52mm |
参考価格 | ¥25,000前後 |
デザイン哲学:ストイックさとタフネスを連想させる面構え
M75の外観は、その名の通り「ワル」なオーラを纏う面構えをしています。鉄板的なシルバーのメタリックフィニッシュは、タフネスと無骨さを象徴し、一目でハードロックやメタルのステージを連想させる面構えです。
ノブの配置は機能的でありながら、一切の装飾を排したストイックさが逆に強烈な個性を放ちます。これは、音を出す前から「俺はただの歪みじゃない」と主張するかのようです。音響性能と視覚的タフネスが高次元で融合した、生粋のステージギアと言えるでしょう。
音響分析:周波数特性から見る真の実力
低域:Bassコントロールによる基盤構築
M75の低域処理は、独立したBassコントロールにより、プレイヤーの意図を正確に反映します。最小設定ではタイトでキレのある低音、最大設定では圧倒的な低音の塊が得られます。
周波数解析結果:
- 60Hz以下:適度に制御、ボワつきを排除
- 60-150Hz:Bassノブにより大幅に可変、サウンドの土台を形成
- 150-300Hz:中低域の厚みを自然に保持、音楽的な温かみを付加
特筆すべきは、Bassを上げても「泥臭く」ならず、常に明瞭さを保つ点です。これはMXRの優れた回路設計の証明でしょう。
中域:Midコントロールが生む表現の多様性
M75の真価は、この独立したMidコントロールにあります。「中域は音楽的表現の核心」であり、この帯域のコントロール如何で、サウンドキャラクターが劇的に変化します。
中域特性:
- 300Hz-800Hz:中低域の存在感、Midノブで調整可能
- 800Hz-2kHz:音楽的歪みの中心、ここでディストーションキャラクターが決定
- 2kHz-4kHz:アタック感と明瞭度、リフの刻みやすさに直結
Midを絞ればV字型の現代的サウンド、上げればフラットでヴィンテージライクなサウンドが得られます。この柔軟性こそが、M75を「どんなジャンルにも対応できる」ペダルにしているのです。
高域:Trebleコントロールによる最終仕上げ
単純な「ギラギラ」ではない、音楽的な高域処理。Trebleコントロールにより、耳に痛くない自然な高域特性を実現しています。
高域特性:
- 4kHz-8kHz:明瞭度とエッジ感、ソロの抜けの良さを決定
- 8kHz以上:空気感と煌めき、過度にならない程度に調整可能
Trebleを上げても「キンキン」せず、常に音楽的なバランスを保つのがM75の美点です。
ジャンル別完全攻略セッティング集
ブルースロック:感情を揺さぶるトーン
Output: 1時
Distortion: 10時
Bass: 12時
Mid: 1時
Treble: 11時
推奨楽曲: Stevie Ray Vaughan「Pride and Joy」、Eric Clapton「Crossroads」
この設定では、Distortionを抑えめにしながらMidを強調することで、ブルースロック特有の「泣き」と「うねり」を表現します。ギターのボリュームノブとの組み合わせで、クリーンから軽いクランチまでダイナミックに変化させることが可能です。
クラシックロック:70'sリフマスター
Output: 12時
Distortion: 12時
Bass: 1時
Mid: 11時
Treble: 1時
推奨楽曲: AC/DC「Back in Black」、Aerosmith「Walk This Way」
70年代ロックの象徴的なサウンド。適度なゲインとバランスの取れたEQで、パワフルでありながら明瞭なリフトーンを実現します。Bassを少し強めにすることで、レスポールタイプのギターとの相性が抜群になります。
ハードロック/ヘヴィメタル:現代の轟音
Output: 11時
Distortion: 2時半
Bass: 11時
Mid: 10時
Treble: 2時
推奨楽曲: Metallica「Enter Sandman」、Judas Priest「Painkiller」
「Super Badass」の名に恥じない、攻撃的なメタルサウンド。Distortionを高めに設定し、Midを少し抑えることで、現代的なV字型サウンドを実現。ダウンチューニングでも輪郭を失わない明瞭さが得られます。
グランジ/オルタナティブ:90's の叫び
Output: 1時
Distortion: 1時半
Bass: 2時
Mid: 12時
Treble: 10時
推奨楽曲: Nirvana「Smells Like Teen Spirit」、Pearl Jam「Alive」
90年代の重厚で荒々しい質感を再現。Bassを強調し、Trebleを抑えることで、オルタナティブロック特有の「泥臭さ」と「圧力」を表現します。シングルコイルギターとの相性が特に良い設定です。
ポストハードコア/モダンロック:21世紀の攻撃性
Output: 12時
Distortion: 2時
Bass: 10時
Mid: 9時
Treble: 2時半
推奨楽曲: A Day To Remember「All I Want」、Bring Me The Horizon「Can You Feel My Heart」
現代のプロダクション手法を反映した、タイトでエッジの効いたサウンド。Bassを抑え、Trebleを強調することで、ブレイクダウンでも埋もれない切れ味を獲得します。7弦ギターやダウンチューニングにも最適です。
知人プロが語る:M75との出会い
セッションギタリスト K氏の証言
「様々なスタジオ、様々なアンプで仕事をする自分にとって、M75は『保険』のような存在です。どんなアンプを使うことになっても、M75があれば『自分のサウンド』を作り出せる。この安心感は何物にも代えがたいですね。
特に感銘を受けたのは、3バンドEQの実用性。たとえばJC-120のような癖の強いアンプでも、M75のEQセクションで適切に調整すれば、まるでマーシャルアンプを使っているかのようなサウンドが得られます。これは他のディストーションペダルでは経験したことのない体験でした」
ライブハウススタッフ(友人) S氏の観察
「うちの店には様々なギタリストが来ますが、M75を使っている人は音作りが早い。リハーサル時間が限られている中で、素早く理想のサウンドを作れるというのは、バンド全体の効率を上げることに繋がります。
あと、M75を使っているギタリストは、どんなバックラインのアンプでも文句を言わない(笑)。それだけ柔軟性があるということでしょうね。PA卓から見ても、M75のサウンドは非常に扱いやすく、ミックスに綺麗に収まります」
MXR M75 Super Badass Distortion 主な使用アーティスト
アーティスト名 | 主なバンド/活動 |
Matthew Bellamy | Muse (ミューズ) |
Bill Kelliher | Mastodon (マストドン) |
Eric Gales | Pinnick Gales Pridgen 他 |
Lee Kiernan | IDLES (アイドルズ) |
John Dyer Baizley | Baroness (バロネス) |
Gina Gleason | Baroness (バロネス) |
Tyler Bates | Marilyn Manson (マリリン・マンソン) 他 (ギタリスト、コンポーザー) |
Charlie Parra del Riego | Kobra and the Lotus (コブラ・アンド・ザ・ロータス) 他 |
Emily Wolfe | (シンガーソングライター、ギタリスト) |
Jordan Lawlor | M83 (エムエイスリー) |
Ana Popovic | (ブルースギタリスト) |
Rolando Mora | (シンガー、ギタリスト) |
ライバル機との徹底比較分析
vs BOSS DS-1:定番との比較
項目 | MXR M75 | BOSS DS-1 |
---|---|---|
価格 | ¥25,000前後 | ¥9,000前後 |
EQ | 3バンド独立 | Toneノブ1つ |
ゲインレンジ | 極めて広い | 中程度 |
ノイズ | 極小 | やや多め |
汎用性 | 非常に高い | 中程度 |
使用難易度 | やや複雑 | シンプル |
DS-1は入門用として優秀ですが、M75は完全に次世代の製品です。価格差は明確に機能差として現れ、より高度な音作りを求めるプレイヤーにはM75が最適解となります。
vs Pro Co RAT2:個性派との対決
項目 | MXR M75 | Pro Co RAT2 |
---|---|---|
キャラクター | 汎用的/モダン | 個性的/ヴィンテージ |
EQコントロール | 3バンド | Filterノブ1つ |
音色傾向 | クリアで現代的 | ファジーでラウド |
用途 | ハードロック〜オールラウンド | 特定ジャンル向き |
価格 | ¥25,000前後 | ¥20,000前後 |
RAT2は独自の強烈な個性を持ちますが、汎用性ではM75が圧倒的に優位。様々なジャンルをカバーする必要があるプレイヤーには、M75の方が適しています。
vs MXR Distortion+:兄弟機との比較
項目 | MXR M75 | MXR Distortion+ |
---|---|---|
発売年 | 2000年代 | 1970年代 |
コントロール | 5ノブ | 2ノブ |
サウンド | モダン/多彩 | ヴィンテージ/シンプル |
価格 | ¥25,000前後 | ¥19,000前後 |
推奨用途 | 現代のあらゆる音楽 | 70's〜80'sロック |
同じMXRブランドでも、M75とDistortion+は完全に異なるコンセプトの製品。Distortion+がシンプルさを美徳とするのに対し、M75は機能性を追求した現代派です。
vs Fulltone OCD:ブティック系との比較
項目 | MXR M75 | Fulltone OCD |
---|---|---|
価格 | ¥25,000前後 | ¥36,000前後 |
EQ | 3バンド独立 | Toneノブ1つ |
サウンド傾向 | 汎用的 | オーバードライブ寄り |
ゲイン量 | より多い | 中〜高 |
コスパ | 優秀 | 良好 |
OCDは「音色の良さ」で定評がありますが、M75は「調整幅の広さ」で優位に立ちます。価格対機能比では、M75の方がコストパフォーマンスに優れています。
おわりに:使う人のロック魂を引き出してくれる一台
「Super Badass」という名前は、決して誇張ではありません。このペダルは本当に「超ワル」。そして同時に、使う人のロック魂を引き出し、フレージングや表現の幅を限りなく広げてくれる刺激剤でもあるのです。
ギターという楽器の素晴らしさは、同じ6本の弦から、無限のサウンドを生み出せることにあります。
ぜひ、複雑なアンサンブルの中でもこのペダルを踏んでメロディックなラインを突き抜けさせようじゃありませんか!