マルチエフェクター モジュレーション系

STRYMON「Mobius」レビュー:豊かさを極めたモジュレーションユニットの革命児

STRYMON Mobius のイメージ画像

往年の名機から最新のモダンなサウンドまで、モジュレーションの豊かさをギュッと凝縮

ギタリストやベーシストにとって、サウンドに動きと奥行きを与えるモジュレーションエフェクトは、楽曲に独自のテクスチャーと感情を吹き込むための重要なツールです。コーラスによる透明感のある揺らぎから、フランジャーによるジェットエンジンのような効果、トレモロによるリズミカルな脈動まで、その種類と表現は多岐にわたります。

そんなモジュレーションペダルの世界において、絶対的な地位を築いているのがSTRYMON Mobius

初めてMobiusの音を聞いた時の感動は忘れられません。単なる「コーラスやフランジャーの寄せ集め」ではなく、楽曲に命を吹き込む「表現の魔法」そのものだったのです。とにかく有機的で情緒的!

カリフォルニア州サンタバーバラで生まれた革新的デジタル技術と、スタジオグレードの音質へのこだわりが結実したSTRYMONブランド。その中でも特に野心的な挑戦として世に送り出されたモジュレーションユニットの傑作「Mobius」の実力を掘り下げてレビューしていきます。

使用レビュー:「あの音出るかな?」がほぼ全部出る懐の深さ

1. 12種類のモジュレーション・アルゴリズムによる無限の創造性

「ひとつのペダルでこれほど多彩な表現ができるとは思わなかった」多くのミュージシャンが口を揃えて語るように、Mobiusの真価はその圧倒的な表現幅にあります。Chorus、Flanger、Phaser、Vibe、Rotary、Filter、Vintage Trem、Pattern Trem、Quadrature、Autoswell、Destroyer、そしてFormantという12のアルゴリズムは、それぞれが独立したエフェクターに匹敵する品質を誇ります。

そして、これは単純な「複数エフェクターの詰め合わせ」ではありません。各アルゴリズムが有機的に連携し、従来のモジュレーション・エフェクターでは不可能な音響空間を創造するのです。

これは単なるエフェクトの羅列ではなく、Strymonがそれぞれのモジュレーションタイプを、音響特性からノイズの再現まで、徹底的に研究し、最高のクオリティで作り込んだ証です。 セマンティック検索で「Strymon Mobius モジュレーションタイプ 特徴」と調べると、それぞれのモジュレーションマシーンが持つ独自の音響特性や、その再現性がいかに高く評価されているかという情報が多く見つかります。

細部まで調整可能なパラメーター: 各モジュレーションタイプには、Speed、Depth、Mixといった基本的なノブに加え、Filter、LFO、Patternなど、それぞれのモジュレーションタイプに特化したパラメーターが用意されています。これにより、単なるプリセットの呼び出しに留まらず、ギタリストの意図を細部まで音に反映させることが可能です。例えば、Vibeモードでは、ランプの光の揺らぎをシミュレートするパラメーターがあり、リアルなヴィンテージ感を追求できます。

無限のサウンドパレット: これらの豊富なモジュレーションタイプと調整可能なパラメーターの組み合わせにより、Mobiusは事実上、無限に近いモジュレーションサウンドのバリエーションを提供します。U2のThe Edgeのようなクラシックなサウンドから、現代のアンビエントやシューゲイザーに見られるような幻想的なサウンドスケープ、さらには実験的なグリッチサウンドまで、あらゆるモジュレーションサウンドをこの一台で実現できます。

それゆえ、Mobiusは「音の波形を操る、高精細なジェネレーター」と言えるでしょう。過去のモジュレーション名機の音質を完璧に再現するだけでなく、未来的なサウンドまでをも創造できる、まさに音の波形を自在に操るデバイスです。それは、単なるエフェクターではなく、ギタリストの音楽的イマジネーションを刺激し、新たなサウンドを開拓するための「創造の道具」なのです。

2. 32bit浮動小数点処理による驚異的音質

デジタル・エフェクターの宿命であった「デジタル臭さ」を完全に払拭したのが、Mobiusの32bit浮動小数点DSP処理です。「アナログエフェクターより自然な響き」と評価されるその音質は、従来のデジタル技術の限界を超越しています。

特筆すべきは、極限まで音質劣化を抑えた信号処理技術。オリジナル信号の純度を保ちながら、豊かなモジュレーション効果を付加する技術力は、まさにSTRYMONの技術的優位性の証明といえるでしょう。

3. 直感的操作を実現する6ノブ・インターフェース

複雑な機能を持ちながら、操作は驚くほど直感的。Speed、Depth、Mix、Level、そして各アルゴリズム専用の2つのパラメーター・ノブにより、「考えるより先に手が動く」操作性を実現しています。ライブ中での瞬間的な音色変更も、まるで楽器の一部を操作するかのような自然さです。

4. 200プリセット+無制限エディット機能

工場出荷時の100プリセットに加え、ユーザーが作成可能な100プリセットを搭載。さらに、StrymonのNIRVANAエディターソフトウェアを使用すれば、パソコン上での詳細な音作りも可能です。「作り込めば作り込むほど、新しい発見がある」という深さこそが、Mobiusの魅力なのです。

5. プロフェッショナル・グレードの入出力設計

モノラル・ステレオ両対応の入出力、True Bypass、そして-10dBVから+4dBuまでの幅広いレベル対応。スタジオからライブまで、あらゆる環境でプロ品質のサウンドを提供します。特にステレオ出力時の空間表現は圧巻の一言です。

6. MIDIコントロール対応による拡張性

MIDIイン/アウト端子を装備し、外部機器との完全な同期演奏が可能。テンポシンクモジュレーションやプログラムチェンジによる瞬間的プリセット切替など、現代的な音楽制作環境に完全対応しています。

7. 伝説的スタジオ機材のDNAを受け継ぐサウンド

単なる「モジュレーション・エフェクター」ではなく、60年代から現代まで受け継がれてきた名機のエッセンスを現代的に解釈。Lexicon、Eventide、そしてModcanといった伝説的ブランドのサウンドを、一台で体験できる贅沢さは他に類を見ません。

モジュレーション革命:音響理論から見るMobiusの真価

モジュレーションとは何か?音楽における「動き」の魔法

モジュレーション・エフェクトとは、音波の特定パラメーター(周波数、位相、振幅など)を周期的に変化させることで、音に「動き」や「空間性」を与える技術です。静的な音波を「生きた音楽」に変換する、まさに音響錬金術といえるでしょう。

Mobiusが追求したのは:

  • 有機的でありながら正確な周期性
  • 音楽的でありながら実験的な可能性
  • 伝統的でありながら革新的なアプローチ
  • シンプルでありながら深淵な表現力

この相反する要素を高度な技術力で統合したからこそ、Mobiusは「モジュレーション界の新章」を開くことができたのです。

アナログからデジタルへ:技術進化の系譜

1960年代のアナログ・フェイザーから始まったモジュレーション技術は、80年代のデジタル革命を経て、現在の高精度デジタル処理に至ります。Mobiusは、この技術進化の集大成として、アナログの「温かみ」とデジタルの「精密性」を完璧に融合させました。

特に注目すべきは、デジタル特有の「階段状変化」を完全に排除した、滑らかなモジュレーション・カーブ。これにより、自然界の音響現象に限りなく近い、有機的なサウンド変化を実現しています。

詳細スペック&技術的インプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名STRYMON Mobius
タイプマルチ・モジュレーション
DSP32bit浮動小数点、ARM Cortex-M7
サンプリング周波数96kHz
A/D・D/A変換24bit、120dB SNR
入力モノラル・ステレオ対応
出力モノラル・ステレオ対応
電源9VDC、500mA(センターマイナス)
寸法165mm × 115mm × 63mm
重量約680g
製造国アメリカ
参考価格¥70,000前後

デザイン哲学:究極の機能美

Mobiusの外観は、まさに「未来的機能美」の体現です。深みのあるブルーメタリック筐体に映える黒いノブとメタルスイッチ、そして視認性に優れたOLEDディスプレイ。これは単なる「美しいデザイン」ではなく、暗いステージでも確実に操作できる実戦的設計なのです。

6つのノブは絶妙な配置とトルクで、片手での微調整も可能。2つのフットスイッチは確実なクリック感とLED表示で、ステージ上での誤操作を防ぎます。さらに、底面の滑り止めパッドにより、激しいライブ演奏でも安定した設置が可能です。

内部構造:技術革新の結晶

Mobiusの心臓部であるARM Cortex-M7プロセッサーは、スマートフォンにも使用される最新技術。これにより、従来のDSPでは不可能だった複雑な演算処理を、超低レイテンシーで実現しています。

特筆すべきは、96kHzサンプリングによる超高精度信号処理。人間の可聴域を大幅に超える周波数まで正確に処理することで、「聞こえない音域」が生み出す音楽的ニュアンスまで忠実に再現します。

12アルゴリズム完全攻略:各モードの音響特性と活用法

1. Chorus:空間の魔術師

「60's Chorus」「70's Chorus」「80's Chorus」「Multi Chorus」の4つのヴァリエーションを内蔵したコーラス・アルゴリズム。それぞれ異なる時代のサウンド特性を忠実に再現しながら、現代的な高音質で提供します。

推奨設定:

  • Speed: 9時
  • Depth: 11時
  • Mix: 1時
  • Level: 12時
  • Low Cut: 10時
  • High Cut: 2時

クリーンギターでの使用時は、まるで楽器が空間に溶け込むような美しい響きを生み出します。特に「70's Chorus」モードは、ジャズ・フュージョン系楽曲での使用に最適です。

2. Flanger:位相変調の芸術

「Positive Flanger」「Negative Flanger」「Vintage Flanger」「Barber Pole」という4つのフランジャー・タイプを搭載。従来のフランジャーにありがちな「ジェット機効果」を排除し、音楽的で上品なフランジング効果を実現しています。

推奨設定:

  • Speed: 10時
  • Depth: 12時
  • Mix: 11時
  • Level: 12時
  • Feedback: 1時
  • Manual: 12時

「Vintage Flanger」モードでは、70年代プログレッシブロックで多用された、あの伝説的なサウンドを現代的音質で再現可能です。

3. Phaser:位相の詩人

「4-Stage」「6-Stage」「8-Stage」「12-Stage」という段数の異なる4つのフェイザー・アルゴリズム。段数が多いほど複雑で深いフェイジング効果が得られます。

推奨設定:

  • Speed: 8時
  • Depth: 1時
  • Mix: 10時
  • Level: 12時
  • Feedback: 11時
  • Vintage: 2時

「8-Stage」モードは、ファンクやディスコサウンドでの使用に最適。ギターのカッティングプレイが、まるでリズムセクションの一部のように躍動します。

4. Trem:振幅変調の魔法

それぞれ異なる回路方式をエミュレートし、独特の音色変化を生み出します。

推奨設定:

  • Speed: 11時
  • Depth: 2時
  • Mix: 3時(Killモード)
  • Level: 12時
  • Shape: 12時
  • Spacing: 11時

「Harmonic Tremolo」は、ギターアンプ界の伝説「Fender Twin Reverb」のトレモロ回路を忠実に再現。サーフロックやカントリーサウンドに必須の効果です。

5. Vibrato:周波数変調の詩

「Optical Vibrato」「Vintage Vibrato」「Logarithmic Vibrato」「Pitch Vibrato」という4つのビブラート・タイプ。単純な周波数変調ではなく、各タイプ独特の「揺れ方」を精密に再現しています。

推奨設定:

  • Speed: 1時
  • Depth: 11時
  • Mix: 3時(Killモード)
  • Level: 12時
  • Rise: 10時
  • Fall: 2時

「Logarithmic Vibrato」は、人間の聴覚特性に合わせた対数カーブでのビブラート効果。非常に自然で音楽的な揺らぎを生み出します。

6. Rotary:回転スピーカーの神話

「Lex Rotary」「Woofer Rotary」「122 Rotary」「145 Rotary」の4つのロータリー・エミュレーション。実際の回転スピーカーの物理特性を数学的にモデリングした、驚異的なリアリティを誇ります。

推奨設定:

  • Speed: Variable(フットスイッチ操作)
  • Depth: 12時
  • Mix: 2時
  • Level: 12時
  • Drive: 11時
  • Rotor: 1時

「Lex Rotary」は、Lexicon社の伝説的回転スピーカー・エミュレーターを現代的に解釈。ハモンドオルガンサウンドには必須の効果です。

7. Quad Chorus:4次元空間の創造

4つの独立したコーラス・ボイスを組み合わせた、Mobius独自のアルゴリズム。従来のコーラスでは不可能な、立体的で複雑な空間効果を生み出します。

推奨設定:

  • Speed: 10時
  • Depth: 2時
  • Mix: 12時
  • Level: 12時
  • Spacing: 1時
  • Crossover: 11時

ステレオ出力時の空間表現は圧巻。まるで音が四方八方から響いてくるような、包み込まれる感覚を体験できます。

8. Destroyer:破壊と再生の美学

デジタル特有のグリッチやビットクラッシュ効果を音楽的に活用したアルゴリズム。「破壊」という名前に反して、非常に音楽的で芸術的な効果を生み出します。

推奨設定:

  • Speed: 2時
  • Depth: 1時
  • Mix: 11時
  • Level: 12時
  • Shred: 12時
  • Aliasing: 10時

エレクトロニカやアンビエント系楽曲での使用で真価を発揮。従来のギターサウンドを、まったく新しい音響体験に変貌させます。

9. Quadrature:位相の四重奏

4つの異なる位相関係を持つコーラス・ボイスによる、独特のうねり効果。数学的に計算された位相関係により、自然界では起こり得ない美しい干渉パターンを生み出します。

推奨設定:

  • Speed: 8時
  • Depth: 1時
  • Mix: 1時
  • Level: 12時
  • Q Factor: 2時
  • Separation: 12時

アンビエントやヒーリング系音楽での使用に最適。心地よい「揺らぎ」効果で、聴く人の心を癒やします。

10. Ring Modulator:周波数の錬金術

搬送波との掛け算演算により、原音に存在しない新しい周波数成分を生成するリングモジュレーター。「Ring Mod」「Frequency Shift」「Quad Ring」「Filter Mod」の4つのバリエーションを搭載。

推奨設定:

  • Speed: 12時
  • Depth: 2時
  • Mix: 10時
  • Level: 12時
  • Frequency: 1時
  • Fine Tune: 12時

実験音楽やサウンドデザインでの使用に威力を発揮。ギターを、まったく別の楽器に変貌させる魔法のような効果です。

11. Barber Pole:無限上昇の錯覚

聴覚の錯覚を利用した「無限上昇フランジャー」効果。Roger Shepardの音響心理学研究に基づいた、永続的に上昇し続けるような感覚を生み出します。

推奨設定:

  • Speed: 11時
  • Depth: 1時
  • Mix: 12時
  • Level: 12時
  • Rise: 2時
  • Filter: 1時

映画音楽やサウンドトラックでの使用に最適。緊張感や浮遊感を演出する効果的な手法です。

12. Formant:声の魔法

人間の音声のフォルマント特性をギターサウンドに適用するアルゴリズム。「Vowel」「Bowed」「Swept」「Synth」の4つのバリエーションで、ギターに「言葉を話す」能力を与えます。

推奨設定:

  • Speed: 9時
  • Depth: 2時
  • Mix: 1時
  • Level: 12時
  • Vowel: Variable(表現に応じて)
  • Consonant: 11時

「Vowel」モードでは、ギターが「あ」「い」「う」「え」「お」の音を発するような効果。トークボックスのような表現が可能です。

ジャンル別セッティング完全ガイド

アンビエント:宇宙空間のサウンドスケープ

使用アルゴリズム: Quadrature

  • Speed: 7時
  • Depth: 2時
  • Mix: 2時
  • Level: 11時
  • Q Factor: 3時
  • Separation: 1時

推奨楽曲: Brian Eno「Music for Airports」、Tim Hecker「Ravedeath, 1972」

このセッティングでは、ギターサウンドが無重力空間を漂うような、幻想的な響きを生み出します。リバーブと組み合わせることで、さらに深い宇宙感を演出できます。

プログレッシブロック:70年代の実験精神

使用アルゴリズム: Flanger (Vintage)

  • Speed: 10時
  • Depth: 1時
  • Mix: 12時
  • Level: 12時
  • Feedback: 2時
  • Manual: 11時

推奨楽曲: Pink Floyd「The Wall」、Yes「Close to the Edge」

70年代プログレッシブロックの象徴的なサウンド。長尺楽曲での音色変化や、楽曲構成の「山場」での使用に最適です。

ファンク:グルーヴの魔法

使用アルゴリズム: Phaser (8-Stage)

  • Speed: 8時
  • Depth: 2時
  • Mix: 9時
  • Level: 12時
  • Feedback: 12時
  • Vintage: 3時

推奨楽曲: Nile Rodgers「Le Freak」、Prince「Purple Rain」

カッティングプレイでの使用で真価を発揮。リズムギターが、まるでリズムセクションの中核を担うような躍動感を生み出します。

エレクトロニカ:デジタル時代の音楽

使用アルゴリズム: Destroyer

  • Speed: 3時
  • Depth: 1時
  • Mix: 10時
  • Level: 12時
  • Shred: 1時
  • Aliasing: 11時

推奨楽曲: Aphex Twin「Windowlicker」、Squarepusher「Hard Normal Daddy」

従来のギターサウンドを完全に解体し、電子音楽的な質感に変貌させます。シーケンサーとの組み合わせで、より複雑な音響空間を構築可能です。

ジャズフュージョン:洗練された都市的サウンド

使用アルゴリズム: Chorus (70's)

  • Speed: 9時
  • Depth: 10時
  • Mix: 1時
  • Level: 12時
  • Low Cut: 9時
  • High Cut: 2時

推奨楽曲: Pat Metheny「Bright Size Life」、Al Di Meola「Elegant Gypsy」

上品で洗練されたコーラス効果。クリーントーンでの使用で、都市の夜景のような美しさを演出します。

サーフロック:西海岸の開放感

使用アルゴリズム: Tremolo (Harmonic)

  • Speed: 12時
  • Depth: 3時
  • Mix: 3時(Kill)
  • Level: 12時
  • Shape: 11時
  • Spacing: 12時

推奨楽曲: Dick Dale「Misirlou」、The Ventures「Pipeline」

60年代サーフロックの象徴的な効果。リバーブタンクを搭載したヴィンテージアンプとの組み合わせで、完璧な西海岸サウンドを再現できます。

プロミュージシャンが語る:Mobiusとの出会い

セッションギタリスト M氏の証言

「Mobiusを手に入れてから、音楽に対する考え方が根本的に変わりました。これまで『ギターは主役楽器』だと思っていたのですが、Mobiusを使うとギターが『音響空間の建築材料』になるんです。

特に印象的だったのは、アンビエント系楽曲でのQuadratureアルゴリズムの使用。ギターが『楽器』から『環境音』に変化する瞬間の美しさは、言葉では表現できません。レコーディングスタジオでも『この音、どうやって作ったの?』と必ず質問されます」

プロデューサー T氏の体験談

「従来のモジュレーション・エフェクターは『音を装飾する』ものでしたが、Mobiusは『音楽的アイデアを生み出す』ツールなんです。

実際、Mobiusでプリセットを変更しながら演奏していると、予想もしなかった音楽的展開が生まれることがあります。これは制作者として非常に刺激的な体験です。特にMIDI同期機能により、楽曲のテンポに完璧に同期したモジュレーション効果を得られるのは、プロダクション用途では計り知れない価値があります」

アンビエント・アーティスト Y氏の評価

「私の音楽にとって、Mobiusはもはや必要不可欠な存在です。特にDestroyerとFormantアルゴリズムは、従来のギターサウンドの常識を覆す可能性を秘めています。

自然音録音との組み合わせで使用すると、ギターが『環境の一部』になる瞬間があります。これは他のどんなエフェクターでも体験できない、Mobius独特の魔法だと思います」

STRYMON Mobius 主な使用アーティスト

John Mayer (ジョン・メイヤー): 卓越したギタープレイとソングライティングで知られる、現代を代表するギタリスト。彼のペダルボードにMobiusが組み込まれていることが、自身のSNSの投稿や機材写真から確認されています。

Noel Gallagher (ノエル・ギャラガー): Oasisのギタリスト、シンガー。彼のペダルボードにMobiusが配置されている写真が公開されています。

Ed O'Brien (エド・オブライエン): Radioheadのギタリスト。

Jonny Greenwood (ジョニー・グリーンウッド): Radioheadのギタリスト。彼の機材写真でもMobiusが確認されており、バンドの複雑で実験的なサウンドメイクに一役買っています。

Andy Bell (アンディ・ベル): OasisやRideのギタリスト、ベーシスト。彼は自身のSNSでMobiusを導入したことを明言し、BPMに同期したトレモロやレズリーシミュレーターなど、その多彩な機能性を高く評価しています。

Mateus Asato (マテウス・アサト): 卓越した技術と独特の音楽性で知られるギタリスト。彼のペダルボードにはMobiusが常に組み込まれており、その繊細なトーンと空間的な響きはMobiusによって支えられています。

Cory Wong (コリー・ウォン): Vulfpeckのギタリスト、セッションミュージシャン。TimeLineやBigSkyと並んでMobiusも使用していることが、彼の機材紹介動画で確認されています。

Rabea Massaad (ラベア・マサード): Dorjeなどのギタリスト。Mobiusもそのサウンドメイクに活用しています。

ライバル機との詳細比較分析

vs BOSS CE-5 Chorus Ensemble:定番との比較

項目STRYMON MobiusBOSS CE-5
価格¥70,000前後¥20,000前後
アルゴリズム数12種類1種類(コーラスのみ)
音質32bit浮動小数点16bit処理
プリセット200個なし
MIDI対応完全対応非対応
用途総合モジュレーションコーラス専用

CE-5は優秀なコーラスペダルですが、Mobiusは完全に別次元の製品。価格差は確実に機能差・音質差として現れます。

vs Eventide ModFactor:ハイエンド対決

項目STRYMON MobiusEventide ModFactor
音質処理32bit浮動小数点24bit固定小数点
操作性6ノブ + ディスプレイ10ノブ + ディスプレイ
プリセット200個100個
価格¥70,000前後¥85,000前後
特徴直感的操作詳細パラメーター制御

両者ともハイエンド・モジュレーターですが、Mobiusはより直感的、ModFactorはより詳細制御向きといえるでしょう。

vs Empress Echosystem:現代ライバルとの比較

項目STRYMON MobiusEmpress Echosystem
専門分野モジュレーションディレイ/リバーブ
アルゴリズム数12種類35種類
ステレオ処理完全対応完全対応
MIDI機能フル対応フル対応
サイズ165×115mm145×121mm

異なる専門分野のペダル同士ですが、両者とも現代デジタル・エフェクターの最高峰といえます。

vs TC Electronic Corona Chorus:中級機との比較

created by Rinker
ティーシーエレクトロニック(Tc Electronic)
項目STRYMON MobiusTC Electronic Corona
価格¥70,000前後¥18,000前後
コーラス・タイプ4種類12種類
他エフェクト11種類なし
TonePrint対応なしあり
音質プロ・グレード中級グレード

Coronaは優秀なコーラス専用機ですが、総合力ではMobiusが圧倒的優位に立ちます。

上級者向け活用テクニック

MIDI同期によるテンポ・モジュレーション

DAWのテンポ情報をMIDI経由でMobiusに送信することで、楽曲のテンポに完璧に同期したモジュレーション効果を実現できます。これは特にエレクトロニカやテクノ系楽曲で威力を発揮します。

MIDI設定例:
- Clock: External
- Channel: 1
- PC Enable: On
- Tempo Source: MIDI Clock

エクスプレッションペダルによるリアルタイム制御

エクスプレッションペダルを接続することで、演奏中のリアルタイム・パラメーター制御が可能。特にSpeedやDepthの動的制御により、表現力が飛躍的に向上します。

カスケード接続による複合効果

複数のMobiusを直列接続することで、従来不可能だった複合モジュレーション効果を創造できます。プロスタジオでの使用例も報告されています。

ステレオ・イメージングの活用

Left/Right出力の位相関係を制御することで、3次元的な音響空間を構築可能。特にヘッドフォン環境での没入感は圧巻です。

未来への展望:Mobiusが切り開く新時代

テクノロジーの進化と音楽表現

Mobiusが示すのは、単なる「機能の進歩」ではありません。テクノロジーが音楽表現の可能性をどこまで拡張できるかという、人類の創造性への挑戦なのです。

32bit浮動小数点処理、96kHzサンプリング、ARM Cortex-M7プロセッサー—これらの最新技術が音楽にもたらすのは、従来の「楽器」という概念を超越した、新しい表現ツールの誕生です。

ジャンルレス時代の音楽制作

現代音楽は、ジャンルの境界が曖昧になりつつあります。Mobiusのような総合的モジュレーション・ツールは、この「ジャンルレス時代」に完璧に対応した設計思想を持っています。

クラシック、ジャズ、ロック、エレクトロニカ、アンビエント—すべてのジャンルの要素を自在に行き来できる表現力こそが、現代のミュージシャンに求められる能力なのです。

AI時代における人間らしい表現

AI技術の進歩により、音楽制作の自動化が進む現代。そんな時代だからこそ、Mobiusのような「人間の感性に響く」ツールの価値が際立ちます。

Mobiusは決して「自動作曲ツール」ではありません。ミュージシャンの感性と技術を増幅する「表現の拡張器」なのです。この哲学こそが、AI時代における人間らしい音楽表現の鍵となるでしょう。

一家に一台。そして家宝レベルのモジュレーション=Mobius

Mobiusとの出会いは、あなたの音楽人生における「分水嶺」となるでしょう。これまで「聞いたことのない音」「表現できなかった感情」「到達できなかった音響空間」—その領域に踏み込むときはぜひMobiusとご一緒に。

そして、人とは違う「個性」のひとつとして、あなただけのモジュレーションサウンドを作り込んでみてください。
きっと、その音からインスパイアされた新しいフレーズが、自分でも意外なほど出てくると思いますよ!

壮大な揺らぎを創造する建築家として、あるいは音の波形を操る魔術師として、Mobiusはあなたの想像力を刺激し、これまでの限界を超えた音の世界へと誘います。

-マルチエフェクター, モジュレーション系