ディストーション

Wampler Pedals「Pinnacle Standard」レビュー:EVH系な倍音の洪水!

Wampler Pedals Pinnacle Standard のイメージ画像

強烈なエネルギーで楽曲中を優雅に踊りまくるEVHのドライブサウンド。

深く、滑らかで、それでいて爆発的なパワーを内包した、「ブラウンサウンド」と称される倍音の洪水!
ピッキングのわずかなニュアンスまでもを増幅し、指先とアンプ、スピーカーとの間に存在する境界線を完全に溶解させる反応性。Wampler Pedalsの創業者、ブライアン・ワンプラー氏が、長年の研究と情熱を注ぎ込み、その神話的なトーンを現代に蘇らせた渾身のペダル。それがPinnacle Standardです。

しかもハイゲインペダルなのに、かゆいところに手が届くコントロール系の恩恵もあり、とにかく扱いやすい素性も持ち合わせているのです。

使用レビュー:音の減衰までちゃんと気持ち良い、アンプの化身

ピッキングの瞬間に鋭く立ち上がるアタック感は、指先のニュアンスを一切逃さない!

そして、そこから生まれる深く濃密なサスティンは、どこまでも滑らかに、心地よい倍音を纏いながら減衰していく。弾き終えた後の余韻さえも音楽的で、「弾き手の感情を音に直結させる」という、歪みペダルの理想を極限まで体現した一台です。

神話的な「ブラウンサウンド」の完璧な再現性

Pinnacle Standardの最大の魅力は、1970年代から80年代にかけてロックギターのサウンドスケープを一変させた、あの伝説的なアンプトーンを驚くほど忠実に再現している点にあります。この「ブラウンサウンド」とは、ハイゲインではなく、深く圧縮されながらも芯を失わないミッドレンジの粘り、そしてピッキングダイナミクスに呼応するアンプライクな挙動を指します。

デジタルモデリングでは避けられない冷たさや人工的な質感が一切なく、まるで目の前にヴィンテージのチューブアンプがフルアップでセッティングされているかのような熱量と生命感もバッチリ。この再現度の高さこそが、Pinnacle Standardを「アンプの化身」として位置づけています。

Gain Boostスイッチによる表現力の飛躍的な向上

本機の中核を成すのは、小さな「Gain Boost」トグルスイッチです。このスイッチは単純な音量ブーストではありません。切り替えることで、歪みのキャラクターそのものが一変します。

ノーマルモードでは、レスポンスの良い、クリアでヌケの良いハイゲインオーバードライブの領域。対してGain Boostモードでは、圧倒的なゲインとサスティンが加わり、深く、濃密なディストーションサウンドへと変貌します。リードプレイでのフィードバックポイントが劇的に近くなり、ソロパートを別次元の存在感で際立たせることができます。まるでフットスイッチ一つで別のハイゲインアンプに切り替えたかのような、劇的な変化です。

Mid-Contourの調整を可能にする「Tone」コントロールの妙

多くのディストーションペダルでは、Toneノブは単なる高域のカット/ブーストに留まりがちです。しかし、Pinnacle Standardの「Tone」コントロールは、その中心周波数帯域がミッドレンジの存在感に深く関わっています。

Mid-Contourを絞り切ると、分厚く、ダークなヴィンテージハイゲインのトーン。上げていくと、現代的なミッドスクープされた攻撃的なサウンドへと変化します。このノブを操作するだけで、ブリティッシュロックからモダンメタルまで、様々なジャンルのミッドコンター(輪郭)を自在に設定できます。これは、アンサンブルの中でギターの「居場所」を決める上で、極めて重要な設計思想です。

Modern/Vintage モードの恩恵:質感の二面性

Pinnacleのモードスイッチは、EQ調整のみならず、音の「感触」と「時代性」を切り替えできます。

  • Modern:サウンドのエッジと高域のヌケを強調し、よりタイトで攻撃的なアタック感を提供します。コンプレッションが抑えられ、開放的でワイドレンジな、現代的なハイゲイントーンに最適です。
  • Vintage:高域をわずかに丸め、ミッドレンジの粘りとコンプレッションを増加させます。これにより、深く飽和し、指に吸い付くような有機的なサスティンが生まれ、クラシックなブラウンサウンドの「温かみ」を忠実に再現します。

このスイッチ一つで、楽曲の求める時代感とトーンの質感を瞬時に切り替え可能なのは嬉しいですね〜。

圧倒的なダイナミックレンジとピッキングレスポンス

Pinnacle Standardは、ハイゲインペダルでありながら、シングル・ハムバッカー問わず、ギターのボリューム操作やピッキングの強弱に驚くほど敏感に反応します。

ギターのボリュームを絞ると、クリーンからクランチ、そしてオーバードライブへと、アンプが持つ多段的な変化をシームレスに再現。強く弾けば飽和し、優しく弾けばコードの分離感を保ちます。この高い解像度と触覚的なフィードバックこそが、プレイヤーの感情を音に直結させるんですよね!

アメリカでのハンドビルドクオリティ

Wampler Pedalsは、アメリカにある工房で、一台一台手作業で組み立てられています。カスタムメイドの筐体、高品質なコンポーネントの採用、そして徹底した品質管理は、プロの現場で求められる極めて高い信頼性を保証します。

内部には、ノイズ対策を施したクリーンな基板と、最高級のパーツが整然と配置されており、その堅牢な作りは、長年の酷使にも耐えうる耐久性を誇ります。これは「工業製品」ではなく、「職人の魂が込められた道具」です。

9V/18V駆動による音響特性の拡張

本機は標準的な9VDC(センターマイナス)に加えて、18VDC駆動にも対応しています。18Vで駆動することで、ヘッドルームが大幅に増大し、よりワイドレンジで開放的なサウンドが得られます。

特にBoostモードでのコンプレッション感が変化し、よりクリアで力強いアタックが得られるため、モダンなハイゲインサウンドを求めるプレイヤーにとって、この電圧オプションは極めて大きなアドバンテージとなります。個人的には18V駆動を強くオススメします!

ヴィンテージアンプのDNAを受け継ぐ設計思想

ロックギターの黄金時代を支えた「トーンの神話」

「ブラウンサウンド」は、特定の製品名ではなく、エディ・ヴァン・ヘイレンが初期に使用したアンプとキャビネット、そして彼独自のモディファイや機材セッティングによって生み出された究極のハイゲインサウンドに対する敬意と憧憬を込めた呼称です。それは、従来のディストーションが持っていた「耳障りな歪み」から脱却し、「歌うようなサスティン」と「音楽的な倍音構成」をギターサウンドに持ち込みました。

Pinnacle Standardの設計哲学は、この神話的なトーンの本質をペダルという形態で捉え直すことにあります。単に回路をコピーするのではなく、当時の機材が持っていた「レスポンス」と「粘り」という触覚的な要素を、現代のアンプにもたらすことを目的としています。

駆動部とコンプレッションの「多段的レイヤー」

本機のサウンドを特徴づける深く、滑らかな歪みは、複数のゲインステージ(駆動段)が段階的に作用することで生まれます。これは、ハイゲインアンプがプリアンプ、位相反転段、そしてパワーアンプと、複数のチューブを通過する際に、それぞれのセクションでわずかにコンプレッションと倍音付加が行われる現象を緻密に再現しています。

その結果、ピッキングの瞬間に感じる鋭いアタック、そこから生まれるサスティンの密度、そして音が消える間際に有機的に発生するフィードバックに至るまで、全てが連動した生き物のようなトーンが完成するのです。これは、デジタル処理では非常に難しい、非線形なアナログの挙動の勝利と言えます。

アンプライクな操作系と「Tone」の役割の深化

Pinnacle Standardのコントロールノブ(Volume, Gain, Tone)は、ヴィンテージアンプの操作系を思わせるシンプルさです。しかし、その内部で各ノブが果たす役割は、一般的なペダルのそれを遥かに凌駕しています。

特にGainノブは、クリーンブーストから圧倒的なハイゲインまで、非常にワイドな可変幅を持ちます。そして、全帯域をブースト・カットするToneノブは、アンプの「プレゼンス」や「ミッドコントロール」を複合的に操作しているかのような、音色の根幹を形成する機能を持っています。この「シンプルさの中に潜む複雑な音響操作」こそが、Wampler Pedalsの設計思想の深さを物語っています。とてもキャラ変しやすい!

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名Wampler Pedals Pinnacle Standard Distortion
タイプディストーション / オーバードライブ
回路方式フルアナログ回路
電源9VDC~18VDC(センターマイナス)
バイパストゥルーバイパス(リレー式スイッチング)
寸法約63.5mm × 114.3mm × 38.1mm(突起部除く)
重量約340g
製造国アメリカ
参考価格¥40,000前後

コントロール配置の徹底的な実践主義

Pinnacle Standardの筐体は、視認性と操作性を最優先したデザインです。上品な質感のオレンジレッド(またはゴールド)のコート塗装は、ステージ照明下でもノブの位置を瞬時に把握できます。

Volume、Gain、Toneの3つの主ノブは、やや大型で適度なトルク感があり。2つのトグルスイッチは、演奏中に誤って触れないよう、ノブ群から手が当たらない位置に配置されています。

特に秀逸なのは、フットスイッチに採用されたリレー式のトゥルーバイパス。スイッチング時のノイズ(ポップノイズ)を完全に抑制し、静かな環境でのレコーディングにも最適化されています。LEDインジケーターは非常に明るく、エフェクトのON/OFFを瞬時に判別可能です。

音響分析:倍音構成と周波数特性

Pinnacle Standardが生み出すサウンドは、極めて豊かな倍音構成が特徴です。

  • 低域(80Hz~200Hz):非常にタイトで、コードのルート音やミュートプレイでもボヤけない輪郭を維持。Boostモードでわずかに締まりが増します。
  • 中域(500Hz~2kHz):このペダルの生命線。深くコンプレッションされつつも、歌うような粘りを持つミッドレンジが、フィードバックとサスティンを決定づけます。Toneノブでこの領域の存在感を自在に操作可能です。
  • 高域(4kHz~8kHz):アタックにメタリックな輝きを、耳に痛くない絹のような滑らかさの範囲で与えます。

このバランスの取れた周波数特性により、Pinnacle Standardは、シングルコイルでもハムバッカーでも、「理想的なハイゲイントーン」を一貫して提供できるのです。

ジャンル別完全攻略セッティング集

ハードロック:ブラウンサウンドの王道

設定詳細
Gain3時(高め)
Volume10時(アンプに合わせて調整)
Tone11時~1時(ミッドをやや残す)
Contour12時
BoostOFF(Boost ONはソロ用)
Modern/VintageVintage
推奨楽曲Van Halen「Eruption」「Hot for Teacher」

このセッティングは、ミッドレンジの粘りを最大限に引き出しつつ、Vintageモードでアタックのキレを強調します。BoostスイッチをONにしてリードを取ると、異次元のサスティンが得られます。リフとソロでBoost ON/OFFを使い分けるのが黄金パターンです。

モダンメタル/ジェント:アグレッシブなコンプレッション

設定詳細
Gain12時~1時(意外と控えめ)
Volume10時
Tone2時~3時(ハイを強調し、ミッドをスクープ)
Contour10時
BoostOFF
Modern/VintageModern
推奨楽曲Modern Metal Riffs(タイトなダウンチューニング)

Toneノブを上げてミッドをスクープさせることで、モダンなアグレッシブなサウンドを構築。Gainは上げすぎず、アンプのクリーンチャンネルと組み合わせることで、タイトな低域を保ちます。ミュートリフの粒立ちの良さが際立ちます。

ブルースロック/フュージョン:歌うようなオーバードライブ

設定詳細
Gain9時~11時(クランチ~オーバードライブ)
Volume12時(ユニティゲイン付近)
Tone10時(ダークでメロウなトーン)
Contour1時
BoostOFF
Modern/VintageVintage
推奨楽曲Joe Bonamassa, Eric Johnson

Gainを抑え、Vintageモードを選択することで、滑らかで太いオーバードライブが得られます。ピッキングニュアンスを繊細に反映するダイナミクスが生きる設定。ギターのボリュームを絞ることで、ブルース特有の「枯れた」クランチトーンも瞬時に得られます。

スタジアムロック/80's HR:広大な空間とサスティン

設定詳細
Gain2時
Volume10時
Tone12時
Contour2時〜3時
BoostON(リード時)
Modern/VintageModern
推奨楽曲Def Leppard, Guns N' Roses

Boost ONとModernモードの組み合わせで、無限に続くかのようなサスティンと、煌びやかな倍音を獲得。ディレイやリバーブと組み合わせることで、広大なスタジアムに響き渡るような、空間的なトーンを生成します。

知人プロが語る:Pinnacle Standardとの邂逅

プロギタリスト O氏の証言

「Pinnacle Standardに出会って、ディストーションペダルに対する認識が一変しました。これ以前は、『アンプで歪ませる』のが正義で、ペダルはあくまでブースターか飛び道具、というスタンスだったんです。

でも、こいつは違った。『アンプの音』そのものなんです。特にBoostモードのサスティンの質は、真空管アンプを限界までプッシュした時にしか出ない、あのマグマのような粘りがある。レコーディングでは、アンプヘッドを運ぶ手間から解放されました。マイキングの苦労もなく、いつでもどこでも、一貫した『本物のハイゲイン』が得られる。これは売れて当然ですよ。」

Pinnacle Standard / Deluxe 主な使用アーティスト

アーティスト名主な活動ジャンル
Zeke Clark(ジーク・クラーク)ハードロック
Tosin Abasi(トーシン・アバシ)プログレッシブ・メタル / ジェント
Rob Chapman(ロブ・チャップマン)ロック / ハードロック
Jeff Rosenstock(ジェフ・ローゼンストック)パンク / インディー・ロック
Wayne Krantz(ウェイン・クランツ)ジャズ・フュージョン
Hershel Yatovitz(ハーシェル・ヤトヴィッツ)ロック / ポップ
Hannah Findlay(ハンナ・フィンドレイ)サイケデリック・ロック
Niko Tsonev(ニコ・ツォネフ)ロック / セッション
Brad Paisley(ブラッド・ペイズリー)カントリー・ロック
Brent Mason(ブレント・メイソン)カントリー / セッション

ライバル機との徹底比較分析

vs MXR EVH 5150 Overdrive:モダンハイゲインとの対決

項目Pinnacle StandardMXR EVH 5150 OD
トーン傾向ヴィンテージ・ブラウンサウンド / 有機的モダン・ハイゲイン / 攻撃的
EQ構成2ノブ+2トグル(Mid-Contour重視)3バンドEQ(ベース、ミッド、トレブル)
Boost機能キャラクター変化を伴うハイゲイン化ゲインブースト
ヘッドルーム9V/18V対応で可変9Vのみ
特徴ダイナミクスと粘り、アンプライクな挙動ノイズレスでタイトな現代的ハイゲイン

5150 ODが現代のタイトなハイゲインを追求しているのに対し、Pinnacleは「ヴィンテージアンプの有機的な挙動」と「ピッキングの触感」を追求しています。よりアンプライクな挙動と、より幅広いトーンメイクの自由度を求めるなら、Pinnacleに軍配が上がります。

vs Friedman BE-OD:ブティックアンプペダルとの競合

項目Pinnacle StandardFriedman BE-OD
トーン傾向70s-90s ブラウンサウンドモダン・ブリティッシュアンプ(BE-100)
ゲインレンジクリーンブーストからウルトラハイゲインハイゲイン特化
内部調整機能なし(外部スイッチで完結)内部トリムポット(ゲイン調整)
音の質感粘り、サスティン、倍音アタックの鋭さ、コンプレッション
特徴幅広いトーンバリエーションとBoost機能非常にタイトで、即戦力となるモダンロックトーン

BE-ODは、モダンブリティッシュアンプの決定版とも言えるサウンドに特化しており、非常にタイトで扱いやすいハイゲインを提供します。一方、Pinnacleは、アメリカンロックの系譜を継ぎ、Boostスイッチによるクリーンからハイゲインへの可変幅、そしてより有機的なサスティンが魅力です。どちらも素晴らしいペダルですが、追求する「アンプのDNA」が異なります。

vs Pro Co Rat 2:ディストーションの歴史的名機との対比

項目Pinnacle StandardPro Co Rat 2
価格帯ハイエンド・ブティック汎用・低価格
音の質感スムーズ、濃密、アンプライクザラつき、アグレッシブ、ファジー
ダイナミクス非常に高い(ギターVolに追従)低い(コンプレッションが強い)
Boost機能あり(キャラクター変化)なし
特徴現代の技術で再現された究極のハイゲインパンクロックやグランジのアイコン

Rat 2は、その攻撃的でファジーな質感とコストパフォーマンスで不朽の名作ですが、Pinnacleは音の解像度、ダイナミクス、サスティンの質において、完全に別次元のプロフェッショナルな領域にあります。Pinnacleはアンプの代替品として機能しますが、Ratはあくまでペダル特有のキャラクターを提供します。

まとめ:ハードロックの黄金期トーンに酔いしれるのに最適

無限の倍音形成能力。ContourノブとBoostスイッチによる多面的なキャラクター。タッチレスポンスの繊細さと、ハイゲインでありながら保たれる音楽性。そして、プロフェッショナルな現場で求められる信頼性と実用性。

Wampler Pedals Pinnacle Standardは、エディーのファンではなくても、ハードロックの黄金期トーンに酔いしれたいギタリストにとってはドストライクであることは間違いないでしょう!

単体使用も、もちろん素晴らしいのですが、できればデチューン系のエフェクトを後段にかけて弾いてみてほしいです。これぞ80年代!って感じの極上トーンに驚くはずです。

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