
「TCの空間系やモジュレーション系は別格」――ギタリストなら誰もが一度は耳にし、その澄み渡るトーンに魅了されたはず。
Hall of Fameの深淵な響き、Flashbackの精緻なリピート、そしてCorona Chorusの透明感。TC ELECTRONICの名機たちは、手にするたびに新しいインスピレーションをくれます。
しかし、現実は非情です。名作を一つずつ買い揃えれば、財布は瞬く間に空になり、エフェクターボードは巨大な「要塞」と化して持ち運びを拒絶し始めます。あれも、これも、全部足元に置きたい……そんな贅沢な悩みを一気に、かつスマートに解決するのがこの『PLETHORA X3』です。
これはマルチというよりも、TCが誇る伝説的ペダルたちを、わずか3つのスロットに自由に召喚できる「クリエイティブ・ハブ」。コストもスペースも最小限に抑えつつ、音のクオリティは一切妥協しない。あなたの理想を凝縮した「究極の省スペース・ボード」が、今ここに完成!
使用レビュー:TCらしい高品質さと便利さをスマートに凝縮
「TCの音が、そのまま自分の手元で再編集できる」
PLETHORA X3を操作した瞬間に抱くのは、圧倒的な「本物感」です。この一台に組み込まれている中身は紛れもなくTCの伝説的ペダルそのもの。それらを液晶画面上でドラッグ&ドロップし、自分だけの「バーチャル・ボード」を構築する体験は、まるで音のパズルを完成させるような高揚感があります。
デジタルならではの快適な操作性もストレスフリー!スマートフォンから一瞬でプロの音色を転送し、楽曲に合わせて3つの名機を自由に入れ替える。
パッチケーブルのノイズや接点不良に怯える日々はもう終わりです。TCらしい一切の曇りがないクリアな音質と、現代的な利便性が高い次元で融合したこの一台は、まさに「スマートなギタリスト」の終着駅と言えるでしょう。
伝説的なTonePrintペダルを最大127ボード分も保存可能
PLETHORA X3の最大の特徴は、Hall of Fame 2 Reverb、Flashback 2 Delay、Corona Chorusといった、世界中で愛用されているTonePrint対応ペダルを、ソフトウェア上で自由に入れ替えて配置できることです。最大127個の「バーチャル・ボード」を作成し、楽曲ごとに瞬時に呼び出すことが可能。
アナログペダルを買い足し、パッチケーブルで繋ぎ、電源を確保する……そんな物理的な制約から解放され、最高峰のデジタルエフェクトを自在に操れる爽快感は、一度味わうと元には戻れません。
MASHテクノロジーによる革新的なリアルタイム・コントロール
PLETHORA X3に搭載された3つのフットスイッチは、普通のオン/オフのスイッチではありません。踏み込む強さに応じてパラメータを変化させる「MASH」機能を搭載しています。
ディレイのフィードバックを瞬間的に発振させたり、リバーブの減衰を無限に伸ばしたり、コーラスのうねりを激しくしたり。エクスプレッションペダルを用意しなくても、足元の「加減」ひとつでドラマティックな演奏表現が可能になります。これは、デジタル・ハードウェアの極致とも言える機能です。
直感的なユーザーインターフェースとBluetooth連携
液晶ディスプレイは高精細で視認性が高く、どのエフェクトがどの位置にあるかを一目で把握できます。さらに、Bluetoothを介してスマートフォンやタブレットの「TonePrint App」とシームレスに連携。
わざわざPCとUSB接続しなくても、ソファに座りながら、あるいはリハーサルの合間に、世界中のトップギタリストが作成したシグネチャー・トーンを瞬時に本体へ流し込めます。この「速さ」こそが現代のギアに求められる正義です。
自由自在なシグナルチェーンのカスタマイズ
3つのスロットの並び順は、本体のノブ操作だけで簡単に入れ替え可能です。
「ディレイの後にリバーブを置く」という王道の配置から、「リバーブの後にコンプレッサーを置いて幻想的なトーンを作る」といった実験的なルーティングまで、数秒で完了。
さらに、各スロットには個別で「キャビネット・シミュレーター」を適用することも可能。PAへ直送するライブスタイルや、自宅でのDAW録音においても、本格的なギターサウンドを維持できます。
高品位なユニバーサル・チューナーとグローバルEQ
PLETHORA X3は、単なるエフェクト・ユニットではありません。最高精度のポリフォニック・チューナー「UniTune」を内蔵しており、全弦を同時に鳴らしてチューニングを確認できます。
また、出力の最終段にはグローバルEQを搭載。接続するアンプや会場の音響特性に合わせて、全ボードの音質を一括調整できる実用性は、現場を知り尽くしたTCならではの配慮です。
妥協のないオーディオ・クオリティ
デジタル特有の「冷たさ」を懸念する声もあるでしょう。しかし、PLETHORA X3は圧倒的なヘッドルームと低ノイズを実現しています。原音を損なわないアナログ・ドライスルー設計により、エフェクトをオンにした際もギター本来のトーンが痩せることはありません。
24ビットのAD/DAコンバーターが描き出す音像は、極めてクリアで立体的。プロフェッショナルなレコーディング現場でもメインの空間系として君臨できる実力を持っています。
コンパクトさと堅牢なビルドクオリティ
PLETHORA X5の機能を凝縮し、よりボードに収まりやすいサイズを実現したX3。アルミニウム製のエンクロージャーは頑丈で、ツアーの過酷な移動にも耐えうる信頼性を持っています。
ステレオ入出力にも対応しており、2台のアンプを使った広大なステレオ・イメージの構築も容易。コンパクトながら「プロの道具」としての風格を漂わせています。
デジタル・トーンの進化を支える設計思想

空間系エフェクトの覇者が描く未来
TC ELECTRONICは、2290デジタルディレイをはじめ、歴史に名を残す名機を生み出してきました。PLETHORA X3は、それら歴史的遺産を現代のテクノロジーで再定義したものです。
単に過去の音を模倣するのではなく、デジタルだからこそ可能な「パラメーターの極端な変化」や「正確無比なリピート」を、誰にでも使いやすい形にパッケージングしています。
TonePrint:個性の民主化
かつて、エフェクトの深い設定はエンジニアの領域でした。しかしTonePrintは、スマートフォンのアプリ一つでエフェクトの「深部」までアクセス可能にします。PLETHORA X3は、このTonePrintという巨大なエコシステムの恩恵を最大限に受けるための「最高の受像機」なのです。
オールインワンと単体ペダルの境界線
「マルチは音が妥協されている」という古い常識は、PLETHORA X3には通用しません。
中身は「本物のTonePrintペダルが3台並んでいる」のと同等、あるいは処理能力においてはそれ以上です。単体ペダルの操作感と、マルチの柔軟性。この2つを高い次元で融合させたことが、この製品の真の価値です。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | TC ELECTRONIC PLETHORA X3 |
| タイプ | マルチ・トーンプリント・ペダルボード |
| 最大スロット数 | 3スロット(同時使用可能) |
| プリセット数 | 最大127ボード |
| 電源 | 9V DC(センターマイナス)/ 600mA以上推奨 |
| 入出力 | ステレオIN/OUT、MIDI IN/THRU、USB、Bluetooth |
| 寸法 | 約177 mm x 117 mm x 56 mm |
| 重量 | 約775g |
| 参考価格 | ¥58,000前後 |
スタイリッシュなミニマリズムデザイン
PLETHORA X3の外観は、北欧デザインらしいミニマリズムと機能美にあふれています。中央の液晶画面を囲むように配置されたノブは、それぞれが直感的に対応。
3つのフットスイッチは適度な間隔で配置され、踏み間違いを防ぐと同時に、MASH機能の加減を繊細に行えるような踏み心地に調整されています。筐体のマットな質感は、高級感とともに傷が目立ちにくい実用的な仕上げです。
各スロットの上にあるセレクトスイッチでエフェクトを即座に切り替えられる「ボード・モード」と、各ペダルのON/OFFを切り替える「プレイ・モード」の移行もスムーズで、ライブ中の迷いを一切排除しています。
搭載エフェクト・ライブラリの解析
PLETHORA X3には、TC ELECTRONICが誇る主要なエフェクトが網羅されています。
空間系の傑作群
- Hall of Fame 2 Reverb: 濃密なシマー、巨大な教会、日常的なルームまで。
- Flashback 2 Delay: 2290モード、アナログ、テープ、クリスタルディレイなど。
- Corona Chorus: 澄み切ったステレオ・コーラス。Tri-Chorusの厚みは圧巻。
モジュレーション&フィルター
- Vortex Flanger: ジェット機のようなうねりから、コーラスに近い揺れまで。
- Pipeline Tap Tremolo: 複雑なリズムを刻むタップテンポ対応トレモロ。
- Quintessence Harmony: 正確なトラッキングを誇るインテリジェント・ピッチシフター。
ダイナミクス&ドライブ(TonePrint対応版)
- HyperGravity Compressor: マルチバンド・コンプレッションによるスタジオ品質。
- Sentry Noise Gate: 演奏のニュアンスを殺さずにノイズを完封。
- MojoMojo Overdrive: 温かみのあるアナログライクなドライブ(デジタルエミュレーション)。
ジャンル別完全攻略セッティング集
アンビエント・シューゲイザー:幻想の深淵
設定:
- Slot 1: HyperGravity Comp(サスティーンを稼ぐ)
- Slot 2: Flashback 2(Crystalモード / MASHでフィードバック上昇)
- Slot 3: Hall of Fame 2(Shimmerモード / Decay長め)
この組み合わせは、一音鳴らすだけで宇宙空間へ誘われるような広がりを生みます。MASHを押し込むことで、光が溢れ出すような劇的なエンディングを演出できます。
モダン・フュージョン:超絶技巧を支える透明感
設定:
- Slot 1: Quintessence Harmony(3度上を付加)
- Slot 2: Flashback 2(2290モード / 控えめなディレイ)
- Slot 3: Corona Chorus(Tri-Chorus設定)
コードソロや複雑なリードフレーズにおいて、音の輪郭を保ちつつもゴージャスな彩りを加えます。ピッチシフターの反応が速いため、速弾きでも音が濁りません。
ブルース・ロック:オーガニックな質感
設定:
- Slot 1: MojoMojo Overdrive(薄くかけてプッシュ)
- Slot 2: Viscous Vibe(ジミヘン風の揺らぎ)
- Slot 3: Hall of Fame 2(Springモード)
デジタルとは思えない「粘り」と「うねり」を再現。Springリバーブの跳ね返るような質感が、スライドギターの表現力を引き立てます。
80's ポップス:クリスタル・クリーン
設定:
- Slot 1: Corona Chorus(深めのSpeed)
- Slot 2: Flashback 2(Chorusディレイ)
- Slot 3: HyperGravity Comp(パキッとしたカッティング用)
往年のヒットソングで聴ける、あのきらびやかなクリーントーンを瞬時に構築。ステレオ出力にすることで、その立体感はさらに倍増します。
知人プロが語る:PLETHORA X3との仕事

ツアー・ミュージシャン S氏の証言
「海外ツアーの際、荷物の制限が厳しい中で、このPLETHORA X3は救世主でした。
これ1台と小型の歪みペダルさえあれば、どんなアンプを借りても自分のトーンが再現できる。特にBluetoothでセットリストに合わせてプリセットを組み替えられるのが本当に便利です。MASH機能のおかげで、エクスプレッションペダルを持っていく必要がなくなったのも大きいですね。」
レコーディング・プロデューサー T氏の体験談
「スタジオのデスクに常に置いています。ギターだけでなく、シンセサイザーのステレオ・エフェクターとしても優秀。
TCのリバーブはミックスに馴染みやすく、PLETHORA X3で追い込んだ音をそのまま録音できるのは時短になります。ノイズフロアが極めて低いので、ハイゲインな音作りをしてもクリアさを失わない点が信頼できます。」
PLETHORA X3 / TonePrint シリーズの主な使用アーティスト
Simon McBride (Deep Purple)
- 使用エフェクト: PLETHORA X5 / X3
- 詳細: 現Deep Purpleのギタリスト。ライブセットアップにおいてPLETHORAシリーズを導入し、複雑な空間系を一括管理しています。
Fredrik Åkesson (Opeth)
- 使用エフェクト: PLETHORA X3
- 詳細: メタルシーン屈指の技巧派。ボードの左側にX3を配置し、緻密な空間演出に使用している姿が確認されています。
Peter Honoré (Danish Pete)
- 使用エフェクト: PLETHORA X3, Hall of Fame 2, etc.
- 詳細: 人気YouTubeチャンネル「Andertons TV」の顔でありプロギタリスト。X3のリリース直後からその利便性を絶賛し、自身のボードにも組み込んでいます。
ライバル機との徹底比較分析
vs Line 6 HX Stomp:王道マルチとの比較
| 項目 | PLETHORA X3 | HX Stomp |
| 主な用途 | 空間系・モジュレーション特化 | アンプ・キャビ・全エフェクト |
| 操作性 | TonePrint Appで直感操作 | パラメーターが膨大で緻密 |
| 特徴 | MASHによる動的表現 | スナップショット機能 |
| 価格 | 比較的リーズナブル | やや高価 |
HX Stompは「アンプも含めた全て」を一台で完結させたい人向け。対してPLETHORA X3は「お気に入りの歪みペダルと組み合わせて、最高の空間系・モジュレーション系を追加したい」という、既存のペダルボード愛好家に最適です。
vs Strymon Multi-Switch搭載機:ハイエンド対決
StrymonのBigSkyなどは単体で最高峰ですが、1台で1種類のエフェクトしか使えません。PLETHORA X3は「リバーブ、ディレイ、コーラス」を同時に、しかも最高品質で鳴らせるため、コストパフォーマンスと利便性において圧倒的なアドバンテージがあります。
まとめ:サウンドはトップクラス、コスパも驚異的
TC ELECTRONIC PLETHORA X3は、ギタリストの足元を整理するだけのツールではなく、「音をデザインする喜び」を再定義するエフェクト・エンジンです。
TonePrintという膨大なライブラリから自分だけの音をサルベージし、MASHという新たな表現方法で音に命を吹き込む。そして、それをスマートフォンのように手軽に管理できる。
確かに¥50,000を超える価格は安くはありませんが、Hall of Fame 2、Flashback 2、Corona Chorus、UniTuneなどの名機を個別に揃え、さらにそれらを繋ぐ高品質なパッチケーブルと電源、巨大なボードを用意することを考えれば、PLETHORA X3のコストパフォーマンスは「驚異的」としか言えません!
- 創造性の解放: 配置順や組み合わせの制約から解き放たれます。
- 現場力の向上: あらゆるトラブルや会場の変化に対応できる柔軟性。
- トーンの純粋性: 最高峰のアルゴリズムが、あなたの演奏をプロフェッショナルな響きに変えます。
最終評価:★★★★★(4.8/5.0)
推奨度:
- ペダルボードの小型化を目指す人: 100%
- 空間系・モジュレーションにこだわりたい人: 100%
- デジタルとアナログを賢く併用したい人: 95%
- アンプシミュレーターまで完結させたい人: 70%(別途歪みやIRが必要)
こんな人に特におすすめ:
- 複数のTonePrintペダルを愛用している、または導入を検討している人
- ライブごとにエフェクトの組み合わせを頻繁に変える人
- エクスプレッションペダルなしで動的な変化を楽しみたい人
- 高品質なチューナーやEQまで一台にまとめたい人




