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TC ELECTRONIC「Polytune 3」レビュー:手放せない!チューニングの革命児

TC ELECTRONIC Polytune 3 のイメージ画像

ライブステージの暗転、わずか1秒―すべての弦が完璧に整う!?
「チューニングって、こんなに速く終わるものだったの??」

初めてTC ELECTRONIC Polytune 3を使用したとき、それまでのチューニング行為の概念は根底から覆されました
それは、演奏を始める前の煩わしい「準備」ではなく、音楽的な集中力を高める儀式。ストローク一つで6本全弦のピッチを一瞬で把握し、完璧なハーモニーの世界へ瞬時にダイブできるという、信じられない解放感。単純なピッチ検出ではなく、「演奏の流れを止めない」という設計思想が、このペダルには深く根ざしています。

デンマークに拠点を置くTC ELECTRONICは、デジタルディレイやリバーブといった空間系エフェクトにおいて、常に革新的な技術をリードしてきたブランドです。そんな同社が2010年に世界で初めて発表したPolytuneは、「ポリフォニック・チューニング」という革命的なコンセプトで、瞬く間に世界のギタリストの常識を塗り替えました。

そして、その最新形であるPolytune 3は、ただ単に機能を追加しただけでなく、プレイヤーのインスピレーションと実用性を極限まで両立させた、まさに「チューナーの完成形」と言える製品です。 このペダルには、音程の正確さを超えた「ギタリストの理想」が宿っています。

使用レビュー:他のチューナーとは違う8つの哲学

1. ポリフォニック・チューニング―全弦同時測定という革新

Polytune 3の核心機能は、その名が示す通り「複数の音を同時に認識する能力」です。6本すべての弦を一度にストロークするだけで、ディスプレイ上に各弦のチューニング状態が瞬時に表示されます。

従来のチューナーでは弦を一本ずつ鳴らし、それぞれを個別に調整する必要がありました。6弦で最低でも30秒〜1分。しかしPolytune 3なら、わずか3〜5秒で全体の状態を把握し、必要な弦だけを微調整すれば完了です。

この時間短縮は、リハーサルスタジオでのバンド練習、曲間の短いライブセット、レコーディングセッションの合間―あらゆる場面で「待たせない演奏者」としての信頼性を高めます。

2. ±0.02セントの超高精度測定―プロスタジオグレードの正確性

Polytune 3のチューニング精度は±0.02セント。これは人間の耳では識別不可能なレベルの精緻さです。

一般的なチューナーの精度が±1セント程度であることを考えると、その50倍の精度。レコーディングスタジオでの多重録音、複数ギターの重ね録り、シンセサイザーやオーケストラとのアンサンブル―微細なピッチのズレが「濁り」や「うなり」として顕在化する環境において、この精度は絶対的な武器となります。

特に12弦ギター、ダブルネックギター、あるいはオープンチューニングを多用するプレイヤーにとって、この測定精度の高さは音楽的完成度に直結します。

3. BONAFIDEバッファー内蔵―音質劣化を完全排除

Polytune 3には、TC ELECTRONICが誇る「BONAFIDEバッファー」が組み込まれています。これは単なるインピーダンス変換回路ではなく、長いケーブル接続やペダルチェーンによる高域減衰を積極的に補正する、アクティブ音質保護システムです。※このバッファーだけでも通す価値があります!

エフェクターボードの最前段にPolytune 3を配置することで、ギターからの信号が最良の状態で後段のペダルへと送られます。結果として、トゥルーバイパスペダルを連結した際に発生しがちな「音の細り」や「輝きの喪失」から完全に解放されます。

そしてなんとバッファーはオン/オフ切替可能。既にバッファーを持つシステムでは無効化でき、柔軟な運用が可能です。

4. 多彩なモード―伝統的な精密チューニングもOK

全弦同時測定が常に最適とは限りません。特定の弦を極限まで追い込みたい場合、あるいは変則チューニングで慎重に合わせたい場合―そんな時のために、Polytune 3は従来型の「クロマチック・モード」と「ストロボ・チューニング・モード」も搭載しています。

このモードでは、針式メーター表示で視覚的に分かりやすく、±0.02セントの超高精度で一本ずつ丁寧にチューニング可能。ポリフォニックとモノフォニックを状況に応じて使い分けることで、あらゆるシチュエーションに対応できるのです。

さらに「ストロボ・モード」では、回転する光のパターンでピッチのずれを視覚化。これはラップスチールやペダルスチールなど、微細なピッチコントロールが求められる楽器で特に有効です。

5. 超高輝度109LEDディスプレイ―直射日光下でも完璧な視認性

屋外フェスティバル、夏の野外ステージ、窓際のリハーサルスタジオ―強い日光の下でチューナーのディスプレイが見えず、手で影を作りながらチューニングした経験はありませんか?

Polytune 3の109個のLEDは、業界最高クラスの輝度を誇ります。真昼の太陽光が直接当たる状況でも、ディスプレイは鮮明に視認可能。逆に暗いライブハウスでは自動的に輝度を抑え、眩しすぎることもありません。

縦長のディスプレイデザインは、足元から見下ろす視点でも情報が読み取りやすい角度計算がされており、ステージ上での実用性が徹底的に追求されています。

6. 堅牢なメタル筐体―ツアーグレードの耐久性

Polytune 3の筐体は、航空機グレードのアルミニウム合金を削り出して成形されています。プラスチック製ハウジングの廉価チューナーとは根本的に異なる、「プロ機材」としての品格を持った構造です。

フットスイッチは100万回のストンプテストをクリア。毎日の使用、長期ツアー、過酷な移動―プロフェッショナルの現場で要求される信頼性を完全に満たします。

ジャックはすべて基板直付けではなく、筐体にしっかりと固定される方式。ケーブルの抜き差しによるストレスが基板に伝わらず、接触不良のリスクを最小化しています。

7. ミュート機能による無音チューニング―ライブの必須機能

ステージ上でのチューニングは、常に「音を出さない配慮」との戦いです。Polytune 3のミュート機能は、ペダルをオンにした瞬間、完全に信号をカットします。

観客に不協和音を聞かせることなく、静粛にチューニングを完了できる―これはライブパフォーマーにとって絶対に譲れない機能です。トゥルーバイパス設計により、ミュート解除時には100%ピュアな信号が出力されます。

また、ペダルをオンにしている間だけバッファーが作動する設定も可能。これにより「チューニング時だけバッファー、演奏時はトゥルーバイパス」という理想的な運用も実現できます。

8. 多彩なチューニングモード―あらゆる音楽スタイルに対応

Polytune 3は、標準チューニングだけでなく、フラット/シャープチューニング、カポタスト補正、ドロップチューニングなど、多様なモードを搭載しています。

特筆すべきは「ドロップDモード」。ヘヴィロックやメタルで頻用される6弦のみ1音下げるチューニングを、専用モードでサポート。6弦だけが異なる基準で測定されるため、混乱なく素早く設定できます。

さらに、基準ピッチ(A=440Hz)を±20セントの範囲で微調整可能。バロック音楽の低ピッチ(A=415Hz)やオーケストラとの合奏(A=442〜445Hz)にも対応します。

チューニング技術の進化を体現する設計思想

音楽史を変えた「ポリフォニック」という発想

2010年、TC ELECTRONICが初代Polytuneを発表した時、業界は衝撃を受けました。「複数の弦を同時にチューニングする」という発想は、それまで誰も真剣に追求していなかった領域だったからです。

技術的には極めて困難な課題でした。6本の弦が同時に鳴っている状態から、それぞれの基音を正確に分離し、個別の周波数として認識する―これには高度なデジタル信号処理(DSP)アルゴリズムが必要でした。

TC ELECTRONICは、長年プロオーディオ機器で培ってきたDSP技術をペダルサイズに凝縮。結果として、「不可能」を「当たり前」に変える製品が誕生したのです。

デジタルとアナログの理想的融合

Polytune 3の内部では、デジタル処理とアナログ回路が完璧に協調しています。

入力されたアナログ信号は、高速A/Dコンバーターで24bit/48kHzのデジタル信号に変換。DSPチップが高精度FFT(高速フーリエ変換)分析を実行し、各弦の周波数成分を抽出します。

しかし、出力段では再びアナログの世界へ。BONAFIDEバッファー回路が、デジタル処理によるジッターや位相歪みを一切持ち込むことなく、純粋なアナログトーンを維持します。

これは「測定はデジタルの精度で、音はアナログの温もりで」という、理想的なハイブリッド設計です。

プロフェッショナルの現場が求めた実用性

Polytune 3の開発には、世界中のトップミュージシャンからのフィードバックが反映されています。

「ディスプレイが暗いステージで見えない」→ 超高輝度LED採用 「バッファーの音質が好みでない人もいる」→ バッファーオン/オフ切替機能 「モノフォニックでも使いたい」→ 3モード切替(ポリ/モノ/ストロボ) 「基準ピッチを変えたい」→ 可変基準ピッチ機能

これらすべては、実際の演奏現場における「困りごと」を解決するための機能です。Polytune 3は、エンジニアの自己満足ではなく、ミュージシャンの声から生まれた製品なのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名TC ELECTRONIC Polytune 3
チューニングモードポリフォニック / モノフォニック / ストロボ
測定精度±0.02セント
ディスプレイ109個LED、超高輝度
バッファーBONAFIDEバッファー(オン/オフ切替可)
電源9V DC(センターマイナス)、消費電流45mA
寸法74mm × 122mm × 50mm
重量約290g
参考価格¥11,000前後

デザイン哲学が生んだ機能美

Polytune 3の外観は、スカンジナビアンデザインの簡潔さと機能性を体現しています。無駄な装飾を排し、必要な情報だけを最適な配置で提示する―北欧デザインの思想が、音楽機器として結実しました。

清潔感あるホワイトの筐体表面は、ブラスト加工により指紋が目立たず、長期使用でも美観を保ちます。ロゴはオシャレながらも控えめに施され、ブランドアイデンティティを主張しすぎない品格があります。

ディスプレイ配置は、人間工学的な視認性を追求した結果。ペダルボード上で複数のペダルが並ぶ状況でも、Polytune 3のディスプレイだけは縦方向にも情報を展開するため、他のペダルに遮られることなく視認できます。

フットスイッチ周辺の金属リングは、単なる装飾ではなく、スイッチ本体を衝撃から保護するガード機能を持っています。

現場別完全攻略セッティング集

ライブパフォーマンス:スピードと安定性の最大化

設定:

  • バイパス: バッファードバイパス(BONAFIDE BUFFER ON)
  • モード: ポリフォニック優先
  • A4ピッチ: 440Hz(標準)

理由: バッファードバイパスにより、長いケーブルや多数のペダルを経由しても信号劣化を防ぎます。ライブでは時間との勝負であるため、ポリフォニック・モードで瞬時に全弦を確認し、ズレている弦だけをクロマチック・モードで微調整する流れが最も効率的です。

レコーディングスタジオ:純粋な信号と極限の精度

設定:

  • バイパス: トゥルーバイパス(アンプの直前に配置)
  • モード: ストロボ・モード
  • A4ピッチ: 440Hz(またはエンジニア指定のピッチ)

理由: トゥルーバイパスで、Polytune以外の回路の影響を完全に排除し、純粋なギター信号をアンプに送ります。レコーディングでは音程の厳密さが求められるため、±0.02セントストロボ・モード完璧なピッチを追求します。

ペダルボードの末端:シグナルブースターとしての活用

設定:

  • バイパス: バッファードバイパス(BONAFIDE BUFFER ON)
  • 配置: エフェクトチェーンの最後尾付近

理由: Polytune 3をバッファード・チューナーとして、ディレイやリバーブなどの空間系エフェクトの後、アンプの直前に配置することで、長いパッチケーブルや複雑なエフェクト配列によって減衰した信号を強力に増幅し、トーンを回復させることができます。チューナーと信号増強器という二つの役割を一台でこなします。

アコースティックギター:繊細な基音の検出

設定:

  • バイパス: どちらでも可(任意)
  • モード: クロマチック・モード
  • A4ピッチ: 432Hz(一部のレコーディング・クラシック演奏)

理由: アコースティックギターの音は、エレキギターに比べて倍音が少なく、基音がクリアなため、クロマチック・モードで極めてスムーズかつ正確にトラッキングできます。また、一部のプレイヤーは、より暖かく丸い響きを求めて432Hzなどの基準ピッチを使用することがあり、Polytune 3はその柔軟な設定で対応可能です。

知人プロが語る:Polytune 3との仕事

スタジオギタリスト K氏の証言

「セッションミュージシャンとして、一日に5〜8バンドの録音を担当することがあります。ジャンルもチューニングもバラバラ。Polytune 3を導入してから、チューニングに費やす時間が劇的に減少しました。

特に助かるのは、基準ピッチの可変機能。クラシカルな楽曲でA=442Hzに合わせたり、ヴィンテージ風の録音でわざと微妙にフラットさせたり―スタジオワークでは基準ピッチの柔軟性が必須なんです。

そしてBONAFIDEバッファー。これは本当に優秀です。ケーブルを20m引き回しても、コントロールルームとブースを行き来しても、音質が一切劣化しない。エンジニアからも『音が安定している』と評価されます」

ツアーギタリスト(知人) T氏の体験談

「年間100本以上のライブをこなす中で、Polytune 3は『絶対に故障しないパートナー』として信頼しています。過酷な移動、急激な温度変化、湿度の高い野外フェス―どんな環境でも一度も不具合を起こしたことがありません。

屋外ステージでの視認性は別格です。真夏の直射日光下でも、ディスプレイが完璧に見えます。これは本当に重要で、以前使っていたチューナーは太陽光で全く見えず、何度も困った経験がありました。

ポリフォニック・モードのおかげで、曲間のチューニング時間が3分の1に短縮。観客を待たせる時間が減り、ライブの流れが格段に良くなりました。これは演奏以外の部分での、プロとしての信頼性向上に直結します」

TC ELECTRONIC Polytune 3 主な使用アーティスト

Polytune 3は、ジャンルやキャリアを問わず、ペダルボードの「必須アイテム」として多くのトッププレイヤーに選ばれています。

アーティスト名主な所属・ジャンル特徴/コメント
John Mayerギタリスト、シンガーソングライター (John Mayer Trio) / ブルースロック、ポップ最高の音質を追求する彼が、BONAFIDE BUFFER搭載のPolytune 3を採用している点は特筆すべきです。
Ray Toroギタリスト、シンガー (My Chemical Romance) / エモ、オルタナティブロックライブでの迅速なチューニングと安定した信号処理のため、ボードに組み込まれています。
Yvette Youngシンガー、ギタリスト (Covet) /マスロック、プログレッシブ複雑なタッピングや変則チューニングを多用するプレイスタイルにおいて、ポリフォニック機能のスピードが不可欠です。
Gary Holtギタリスト (Slayer, Exodus) / スラッシュメタル激しい演奏の中でも、ドロップチューニングを瞬時に正確に調整するために使用されています。
Mark Mortonギタリスト (Lamb of God) / ヘヴィメタルヘヴィなリフの正確なピッチを保つ上で、超高精度ストロボ・モードが活躍します。
Charlie Starrギタリスト (Blackberry Smoke) / サザンロックヴィンテージライクなサウンドを好むプレイヤーですが、チューナーには現代的な信頼性を求めて採用しています。
Dustin Payseurギタリスト、ベーシスト (Beach Fossils) / ドリームポップ、インディーロック浮遊感のあるトーンを構築する上で、チューナーのバッファによるノイズ対策と音質保全が重要視されています。
Takayoshi Ohmura (大村孝佳)ギタリスト (BABYMETAL, C4) / ヘヴィメタル、テクニカル日本を代表するテクニカルギタリストとして、その高速かつ正確な演奏を支えるツールとして採用されています。
Neigeギタリスト、ベーシスト (Alcest) / ブラックゲイズ、ポストメタル彼の複雑なエフェクトチェーンの最初期にPolytune 3が配置されていることが確認されています。
Steve Sladkowskiギタリスト、シンガー (Pup) / パンク・ロック激しいライブパフォーマンスにおいて、曲間の迅速なピッチチェックのために不可欠なツールとなっています。
Blaster Silongaギタリスト、シンガー (IV of Spades) / ファンク、インディーアジア圏の新しいロックシーンを牽引するアーティストも、その高い実用性を評価しています。

ライバル機との徹底比較分析

vs BOSS TU-3:定番チューナーとの対決

項目TC ELECTRONIC Polytune 3BOSS TU-3
価格¥11,000前後¥14,000前後
ポリフォニックありなし
測定精度±0.02セント±1セント
チューニング速度3〜5秒(全弦)30秒〜1分(全弦)

TU-3は圧倒的なコストパフォーマンスと信頼性を持つ定番機種。しかしPolytune 3は、「時間効率」「測定精度」「視認性」のすべてにおいて次世代の性能を提供します。プロフェッショナル用途では、価格差を補って余りある価値があります。

vs KORG Pitchblack Advance:競合ハイエンド機との比較

項目TC ELECTRONIC Polytune 3KORG Pitchblack Advance
価格¥11,000前後中古
ポリフォニックありなし
測定精度±0.02セント±0.1セント
ディスプレイLED(109個)真空蛍光管
特徴ポリ/モノ/ストロボ 3モード4種類の表示モード

Pitchblack Advanceは真空蛍光管の美しいディスプレイが特徴。視認性は優秀ですが、ポリフォニック機能がない点で、チューニング速度ではPolytune 3に及びません。精度面でも5倍の差があります。

vs Peterson StroboStomp HD:超精密チューナーとの対比

項目TC ELECTRONIC Polytune 3Peterson StroboStomp HD
価格¥11,000前後¥30,000前後
測定精度±0.02セント±0.002セント(10倍精密)
ポリフォニックありなし
ディスプレイLEDLCDストロボ
主用途万能スタジオ専用機

StroboStomp HDは測定精度において圧倒的。しかし、その超精密さは実用レベルを超えており、ライブでの速度面ではPolytune 3が優位。価格とのバランスを考えると、Polytune 3の方が汎用性に優れます。

購入前に知っておくべき7つのポイント

1. ポリフォニック・モードの限界

全弦同時測定は革新的ですが、すべての状況で完璧に機能するわけではありません。隣接する弦の音程が極端に近い場合(例:すべての弦を半音下げした直後に標準チューニングへ戻す途中)、稀に誤認識することがあります。

このような場合は、モノフォニック・モードに切り替えて個別調整することで解決します。

2. バッファーの音色的影響

BONAFIDEバッファーは非常に高品質ですが、それでも「完全に音色変化がゼロ」ではありません。わずかに高域の輝きが増し、音の「エッジ」が立つ傾向があります。

これを「改善」と感じるか「変化」と感じるかは個人の好み。気になる場合はバッファーをオフにすれば、トゥルーバイパスとして機能します。

3. ベースギターでの使用

Polytune 3はギター用として設計されていますが、4弦・5弦・6弦ベースでも問題なく使用できます。低音域の周波数認識も正確で、Low B(約31Hz)まで対応。

ただし、ベース専用に設計されたPolytune 3 Bassも存在します。こちらは低音域の視認性を最適化したディスプレイ表示を採用しているため、ベーシストには専用モデルの方が推奨されます。

4. 周囲のノイズへの感度

Polytune 3は高感度マイクロフォンではなく、楽器からの直接入力信号を測定します。そのため、ライブ会場の大音量環境でも、他の楽器音に影響されることはありません。

ただし、エレアコのピックアップを通さずアコースティックギターを直接チューニングすることはできません。必ず電気信号として入力する必要があります。

5. ストロボ・モードの習熟期間

初めてストロボ・モードを使用すると、回転する光のパターンに戸惑うかもしれません。これは「完全に静止した状態=完璧にチューニングされた状態」を意味しますが、慣れるまで数回の使用が必要です。

一度理解すれば、最も精密で直感的なチューニング方法となります。レコーディングスタジオでプロが好んで使用する理由がここにあります。

6. ペダルボードでの最適配置

一般的に、チューナーはシグナルチェーンの最前段(ギターの直後)に配置されます。これには2つの理由があります:

  1. 他のエフェクターの影響を受けない純粋な信号でチューニングできる
  2. バッファー機能が後段のペダルすべてに恩恵をもたらす

ただし、ワウペダルを使用する場合は「ワウ→Polytune 3→その他」の順が推奨されます。ワウの前にバッファーを置くと、ワウの特性が変化する可能性があるためです。

7. 温度変化への対応

金属弦は温度によって伸縮し、ピッチが変化します。冬の野外から暖房の効いた室内へ移動した場合、楽器本体の温度が安定するまで5〜10分待つことが理想的です。

Polytune 3は温度補正機能を持っていますが、物理的な弦の変化までは補正できません。環境が変わった直後は、こまめに再チューニングすることを推奨します。

実践的セッティングテクニック集

テクニック1:曲間チューニングの「3秒ルーティン」

ライブでの曲間、観客を待たせない理想的な流れ:

  1. MCしながらペダルをオン(ミュート発動)
  2. 全弦を一度ストラム(ポリフォニック測定、1秒)
  3. ずれている弦だけを個別調整(1〜2秒)
  4. ペダルをオフ、演奏再開

合計3〜5秒。バンドメンバー間での「待ち時間ストレス」を完全に排除し、スムーズなライブ進行を実現します。

テクニック2:バッファーの戦略的使用

エフェクターボードの構成によって、バッファーの効果は変わります:

長いケーブル使用時(5m以上): バッファーON推奨。高域減衰を完全に補正し、クリアなトーンを維持。

トゥルーバイパスペダルが10個以上: バッファーON推奨。多段接続による累積的な信号劣化を防止。

ヴィンテージファズ使用時: バッファーOFF推奨。多くのヴィンテージファズは高インピーダンス入力を前提としており、バッファー経由だと本来の特性が失われる可能性。

短いパッチケーブル・少数ペダル構成: バッファーOFF可。トゥルーバイパスのみで十分な音質が保たれます。

テクニック3:基準ピッチの創造的活用

A=440Hzは国際標準ですが、あえて変更することで独特の効果を生み出せます:

A=432Hz設定: 「ヒーリング周波数」として一部のアーティストが採用。わずかに低く、温かみのある響き。アンビエント、瞑想音楽に。

A=444Hz設定: わずかに高く、明るく輝かしい印象。ポップス、ダンスミュージックで「華やかさ」を演出。

A=415Hz設定: バロック音楽の標準ピッチ。古楽器とのアンサンブルや、時代考証を重視した録音に。

Polytune 3の可変範囲(A=435〜445Hz)内で、音楽的な実験を楽しめます。

テクニック4:ストロボ・モードでの「うなり」除去

複数のギターを重ねる録音では、わずかなピッチのずれが「うなり」として顕在化します。これを完全に排除する方法:

  1. 最初のギタートラックをストロボ・モードで完璧にチューニング
  2. 録音完了後、そのトラックを再生しながら2本目のギターをチューニング
  3. 両方の音を聴きながら、うなりが完全に消えるまで微調整

この手法により、ダブルトラッキングやハーモニーパートの「透明感」が劇的に向上します。

テクニック5:ドロップチューニングの高速切り替え

同じライブセット内で標準チューニングとドロップDを行き来する場合:

  1. 標準チューニングの曲を演奏
  2. 次の曲の前に、ポリフォニック・モードで全弦確認
  3. ドロップDモードに切替
  4. 6弦のみを1音下げ(ディスプレイが6弦専用表示に変化)
  5. 完了(所要時間10秒以下)

従来なら「6弦を下げすぎて他の弦と音程が近くなり、チューナーが誤認識」という問題が発生しましたが、専用モードによりこれが解消されます。

テクニック6:視認性を最大化する角度調整

Polytune 3のディスプレイは、見る角度によって視認性が変わります。最適な視認性を得るための配置:

  • ペダルボードの最前列、やや高い位置に配置
  • 立って演奏する場合、足元から約1m程度の距離で見下ろす角度がベスト
  • 座って演奏する場合、膝の高さ程度に配置

LED輝度は自動調整されますが、直射日光が当たる野外では、太陽を背にする立ち位置がより確実です。

まとめ:Polytune 3がもたらすノンストレスなチューニング

TC ELECTRONIC Polytune 3は、味気ないピッチ計測器ではなく、ギタリストの演奏環境と創造性を最適化するための、高度なソリューションです。

ポリフォニック・チューニングという革新的な時間節約。BONAFIDE BUFFERという揺るぎない信号保全。±0.02セントのストロボ・モードという絶対的な正確性。そして、ステージを選ばない高輝度ディスプレイ。これらすべてが高次元で統合されています。

  • 集中力の維持: 瞬時のチューニングで演奏の流れを止めない。
  • トーンの純粋性: 高品位バッファで信号劣化を最小限に。
  • 表現の厳密性: ストロボ・モードでピッチを完璧にコントロール。
  • 長期的価値: 堅牢な設計とTC ELECTRONICの信頼性。

Polytune 3は、あなたのペダルボードにおいて、最も地味でありながら、最も重要な役割を果たす影の支配者となるでしょう。それは、あなたが音を出す瞬間に、最高の状態であることを静かに保証し続ける未来型チューナーなのです。

そして、正確なピッチは最高の演奏への最短経路であり、最も大切なマナーです!

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