リバーブ

BOSS「RE-2」レビュー:レトロから壮大演出まで!テープエコーエントリー機

BOSS RE-2 のイメージ画像

まずは、電源を入れてオープンコードを鳴らしてみる。あたり一面にじんわりと染み渡る懐かしい余韻。
「うん、紛れもない『あの音』がする!」

1970年代に登場し、ピンク・フロイド、ボブ・マーリー、レディオヘッドなど、数えきれないアーティストの名盤・名演を支えたテープエコーのカリスマ機「Roland RE-201 Space Echo」。あの独特の、暖色系で、セッティング次第で時に狂気的なほど幻想的なサウンド

そこには、磁気テープが回転する摩擦感、プリアンプがもたらす絶妙なサチュレーション、そして空間を歪ませる「エコー」の本質が宿っています。

しかし、ヴィンテージ機材の宿命として、メンテナンスの困難さ、サイズの大きさ、そして高騰する価格が、多くのミュージシャンにとっての障壁となっていました。

BOSSが2022年に発表したRE-2は、その全てを解決する一つの答えです。最新のプロセッシング技術により、RE-201の物理的挙動を分子レベルで解析し、デジタル領域で完璧に再構築。

ファン待望の、ボスコンサイズ一台に収めきったのです!

使用レビュー:目を閉じればノスタルジックな情景が浮か

「領域(スペース)を支配する」とは、まさにこのこと。BOSS RE-2は、伝説のRE-201を現代のコンパクトボードサイズに凝縮した、まさに「宇宙を運べる」一台です。

その魅力は、残響生成に留まらない音の「質感」。Wow&Flutterノブを回せば、テープが経年変化でゆらぐノスタルジックな情景が浮かび、リバーブを深めれば銀河のような壮大な音響空間が広がります。

エントリー機らしい直感操作ながら、その心臓部にはBOSSの最新技術が脈動。プリアンプがもたらす絶妙な飽和感は、デジタル特有の冷たさを一切感じさせません。

スラップバックで50年代の熱気を再現するか、ツイスト機能でサイケデリックな爆発を呼ぶか?それは、アナタ次第です!

オリジナルRE-201の挙動を完全に再現した、本家のプロセッシング技術

RE-2の最大の凄みは、オリジナルの「物理的な挙動」を再現している点です。BOSS独自の多次元的信号処理により、テープの回転速度、磁気ヘッドの配置、さらにはテープの劣化具合による微妙な揺らぎまでをデジタルで解析。

特に「インテンシティ(フィードバック)」を上げた際の、あの破綻しそうで破綻しない、有機的な発振音。これは他のシミュレーターでは決して到達できない、本物だけが持つ領域です。

11種類のモードで無双できる「複合的空間」

モード・セレクターは、3つの再生ヘッドの組み合わせを切り替えます。

  • Mode 1-3: 各ヘッド単体のエコー。
  • Mode 4-11: 複数のヘッドを組み合わせたリズミカルなマルチタップ・エコー。

    これにより、単純な山びこ効果から、複雑に重なり合うアンビエントなテクスチャーまで、直感的に作り出すことが可能です。特に内蔵リバーブをミックスした時の、音が壁に溶け込んでいくような感覚は唯一無二です。

伝説の「プリアンプ・サウンド」を内蔵

ギタリストがRE-201を愛したのは、エコー効果だけではありませんでした。その入力セクションを通るだけで音が太く、艶やかになる「プリアンプ」の個性が重要だったのです。

RE-2にはこのプリアンプの質感がモデリングされており、エフェクトをオンにした瞬間にギターのトーンに心地よい粘りとコンプレッションが加わります。音が細くならず、むしろアンサンブルの中で際立つ存在感を放ちます。

画期的な「Wow & Flutter」コントロール

テープエコー特有の「不安定さ」をコントロールする専用ノブを搭載。

これを時計回りに回すと、テープの伸びや回転ムラによるピッチの揺らぎが強調されます。最小ではクリーンなモダンディレイとして、最大にすれば数十年前のビンテージ機材が悲鳴を上げているような、ノスタルジックでローファイな質感まで、自由自在に演出できます。

コンパクト機では異例の「ステレオ入出力」対応

この小さなサイズでありながら、完全なステレオ入出力を装備。

自宅でのレコーディングや、ステレオアンプを用いたライブセットにおいて、Space Echoの真骨頂である「広大なステレオ・イメージ」を再現できます。音が左右に回り込み、リスナーを包み込むような3Dサウンドは、モノラルでは決して味わえない快感です。

現代的な利便性:タップテンポとキャリーオーバー

ヴィンテージの実機にはなかった、現代のプレイヤーに必須の機能も抜かりありません。

本体のペダルスイッチを長押しすることで、演奏中にテンポを入力できる「タップテンポ」機能。さらに、エフェクトをオフにしても残響が自然に消えていく「キャリーオーバー」機能。これにより、曲の展開を損なうことなく、シームレスにサウンドを切り替えられます。

ツイスト(Twist)機能による劇的な演出

ペダルスイッチを踏み続けることで、リピート速度を急加速させ、フィードバックを増大させる「ツイスト効果」を発動できます。

サイケデリックなソロのクライマックスや、曲のエンディングで宇宙の彼方へ突き抜けるような「飛び道具」的演出が、フットスイッチ一つで完結します。

ヴィンテージ・エコーの意思を受け継ぐ本格派

1970年代の磁気テープ革命

1974年にリリースされたRoland RE-201は、放送局やスタジオ、そして世界中のステージでスタンダードとなりました。それまでのテープエコーは故障が多く扱いが難しいものでしたが、RE-201は「メンテナンスのしやすさ」と「音楽的な響き」を両立させた革命的機材だったのです。

ブライアン・セッツァーのロカビリー・スラップバックから、ピンク・フロイドの壮大な空間演出、さらにはダブ・ミュージックの要として、音楽の歴史を作ってきました。

「不完全さ」という名の美学

デジタル・ディレイが「正確なコピー」を目指すのに対し、Space Echoは「変化する残響」を目指しました。

テープがヘッドを通過するたびに高域が削れ、微細なノイズが混じり、ピッチが揺れる。この「不完全さ」こそが、人間の耳に心地よい「温かみ」として認識されます。BOSS RE-2は、このアナログ特有の「呼吸」を最新のDSPチップの中に封じ込めることに成功したのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名BOSS RE-2 Space Echo
タイプテープエコー・シミュレーター(デジタル)
サンプリング周波数48kHz / 32ビット浮動小数点処理
モード11種類(エコー+リバーブ)
電源9VDC(センターマイナス)/ 9V電池(アルカリ)
寸法73(W) × 129(D) × 59(H) mm
重量約450g

銀と緑の美学

RE-2の筐体は、オリジナルを彷彿とさせる「シルバー」と「グリーン」で彩られており、雰囲気も抜群!

2連ノブ(スタックノブ)を3つ採用することで、限られたスペースに「Echo」「Reverb」「Intensity」「Repeat Rate」「Wow & Flutter」「Tone」という膨大なパラメータを凝縮。

ノブのトルク感はBOSSらしく重厚で、激しい演奏中でも設定が狂いにくく、かつ微調整がしやすい絶妙な感触です。

音響分析:11のモードと空間表現

シングルヘッド・モード(Mode 1-3)

  • Mode 1 (Head 1): 短いディレイタイム。リズミカルなカッティングやロカビリーに。
  • Mode 2 (Head 2): 中程度のタイム。標準的なリードプレイに最適。
  • Mode 3 (Head 3): 長いタイム。バラードのバッキングなどに。

マルチヘッド・モード(Mode 4-11)

複数のヘッドが同時に作動し、複雑なリズム(マルチタップ)を生み出します。

例えばMode 7やMode 11では、リバーブ成分と重なることで、単なるディレイを超えた「洞窟の中にいるような」深い奥行きが得られます。このモードこそがSpace Echoの真骨頂であり、シューゲイザーやポストロックにおいて不可欠な「音の壁」を作り出します。

ジャンル別完全攻略セッティング集

ロカビリー/サーフ:50's スラップバック

  • Mode: 1
  • Repeat Rate: 1時(短め)
  • Intensity: 9時
  • Echo Vol: 12時
  • Wow & Flutter: 8時

    短く1回だけ返るエコーが、サウンドにパンチと厚みを与えます。Wow & Flutterを抑えめにすることで、キレのあるサウンドを維持します。

レゲエ:エンドレス・ダブ・エコー

  • Mode: 5 or 8
  • Repeat Rate: 曲のテンポに同期
  • Intensity: 3時(発振寸前)
  • Wow & Flutter: 2時(揺れを強調)

    フィードバックを深くし、Wow & Flutterを上げることで、テープが劣化し劣化したようなサイケデリックな残響を生成。スネアやギターの裏打ちに深みを。

ドリームポップ/アンビエント:雲のような浮遊感

  • Mode: 11 (Head 1+2+3 + Reverb)
  • Repeat Rate: 10時(遅め)
  • Intensity: 11時
  • Reverb Vol: 2時
  • Wow & Flutter: 12時

    全ヘッドを稼働させ、リバーブを深めに。Wow & Flutterによる揺らぎが、音に切なさと幻想的な美しさを加えます。

プロの体験談:BOSS RE-2のインパクト

レコーディングエンジニア S氏の証言

「実機のRE-201は素晴らしいが、ノイズとメンテナンスが悩みどころだった。RE-2をプラグイン感覚でスタジオに持ち込んだ時、そのS/N比の良さに驚いたよ。

デジタルでありながら、ミックスの中で『奥に引っ込む』あの特有の質感がしっかり再現されている。特にステレオで録った時の広がりは、コンパクトペダルの域を超えているね」

ツアーギタリスト K氏の体験談

「長年RE-20(ツインペダル)を愛用してきたが、ボードの省スペース化のためにRE-2に切り替えた。驚いたのは、サイズは小さくなったのにサウンドの解像度が上がっていること。

ライブでツイスト機能を使えるのも、パフォーマンスの幅が広がって助かる。何より、BOSSコンのサイズでSpace Echoを持ち運べるのは、全ギタリストの夢だったんじゃないかな」

ライバル機との徹底比較分析

項目BOSS RE-2Strymon VolanteNUX Tape Echo
価格¥27,000前後¥70,000前後¥20,000前後
再現性公式による完璧な再現多機能・高品位コスパ重視
操作性直感的・シンプル複雑・詳細シンプル
サイズコンパクト(最小)大型コンパクト
独自機能Twist / Warpスプリングリバーブ調整ルーパー内蔵

BOSS RE-2 vs RE-202 徹底比較:あなたのボードに合うのはどっち?

「コンパクトなRE-2か、それともフルスペックのRE-202か」。Space Echoの導入を考える際、最も悩ましいのがこの選択ですよね。

BOSSが伝説の再定義として放ったこの2機種には、サイズ感だけでなく、「音作りの深さ」に決定的な違いがあります。それぞれの個性を浮き彫りにするため、比較表とともにその本質的な差異を紐解いていきましょう。

機能・仕様 比較表

比較項目RE-2 (Compact)RE-202 (Advanced)
筐体サイズBOSS標準コンパクト中型ツインペダル
フットスイッチ1個 (マルチ機能)3個
メモリー保存1セット (ノブの状態)127メモリー (本体4+MIDI)
テープヘッド数3個4個 (新規4つ目ヘッド追加)
リバーブの種類スプリングのみ5種類 (Hall, Plate, Room等)
サチュレーション独立ノブなし (Wow/Flutter兼用)独立したSATURATIONノブあり
入出力ジャックステレオ入出力ステレオ入出力 + MIDI対応
電源9V電池 又は アダプターアダプター専用

BOSS RE-2 がおすすめな人

  • ボードのスペースを1mmでも節約したい人
  • 基本のトーンはクリーンに保ち、必要な時だけSpace Echoの世界観を呼び出したい人。
  • 「難しい設定は抜きに、直感的に伝説の音を楽しみたい」というミニマリスト。

BOSS RE-202 がおすすめな人

  • 常時オンにして、音作りの核にしたい人
  • MIDI制御やプリセット保存を駆使して、楽曲ごとに緻密なエコー設定を使い分けたいプロ志向のプレイヤー。
  • スプリング以外のリバーブ(HallやPlate)も混ぜて、より現代的で洗練された空間演出をしたい人。

まとめ:エコーの名機がボスコンサイズで手に入るという幸せ

かつてはスタジオの特等席を占領し、メンテナンスも一筋縄ではいかなかった「Space Echo」。

その伝説の響きを、慣れ親しんだBOSSコンの筐体に収めて持ち運べる――これは全ギタリストにとっての至福と言えるでしょう。

重厚な実機の質感を損なうことなく、過酷なライブステージでも信頼できるタフさと利便性を手に入れたRE-2。エフェクターボードのわずかな隙間に、銀と緑のパネルが収まった時の高揚感は格別です。

指先ひとつで宇宙を広げ、足元からノスタルジーを呼び起こす。この小さな一台が、あなたの演奏を「ただの音」から「物語のある響き」へと変えてくれるはずです。

最終評価:★★★★★(5.0/5.0)

こんな人に特におすすめ:

  • ヴィンテージSpace Echoの音が好きだが、実機は高価で手が出ない人。
  • ボードをコンパクトにまとめつつ、最高峰の空間演出をしたい人。
  • シューゲイザー、サイケ、ダブなど、エコーを主役にするジャンルの奏者。

RE-2のスイッチを踏むたび、あなたの足元から無限の宇宙が広がります。

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