
「これ、試してみてよ」
数年前、エンジニアの友人がにやりと笑いながら差し出したのは、MAD PROFESSOR ROYAL BLUE OVERDRIVE。その瞬間、私はまだ知りませんでした―この出会いが、私のオーバードライブに対する概念を根底から覆すことになるとは。
ギターのボリュームノブに指をかけ、そっと回す。クリーンからクランチへ、そしてディストーションへと、まるで水彩画の色が滲むように、音色が変化していく。ペダルを踏んでいることを忘れてしまうほど自然で、まるで高級真空管アンプのボリュームを操作しているかのような感覚。
フィンランドの小さな工房で、一台一台丁寧にハンドメイドされるMAD PROFESSORのペダル。その中でもROYAL BLUE OVERDRIVEは、2002年のブランド創設以来、一度も生産中止になることなく作り続けられてきた名作中の名作です。その理由を、これから深く掘り下げていきましょう。
使用レビュー:歪み始めの美しい倍音構成に鳥肌が立ちまくり!
まずこれ、他の一般的なオーバードライブペダルとは全く異質の生態系を持っていることは間違いありません。
一番感動したのは、「歪み始めの美しい倍音構成」が凄まじく気持ちよくて、ずっと弾き続けていたくなる!
そして、モデル名にある「ロイヤルブルー」。その色彩が喚起するのは、静謐な威厳、深遠な夜空、そして古き良きヨーロッパの王室が持つ、崩れることのない伝統と権威です。そして「マッド・プロフェッサー(狂気の教授)」。この名が示すのは、常識や既存の回路設計の枠に囚われず、真の音色を追求する偏執的なまでの探求心。
ギターの木材が鳴る質感や、繊細なタッチレスポンスを重視するギタリストにとって、これほど満足度の高いODペダルはなかなかお目にかかれません。
驚異のグラデーションを生み出す!優秀すぎるタッチレスポンス
最初にギターを繋いで感じるのは、この驚異的なタッチレスポンスの良さです。ピッキングの強弱、ギターのボリュームノブの微妙な調整―すべてが音に反映されます。これは単なる「ダイナミクスレンジが広い」という話ではありません。
まるでアンプそのものが、あなたの演奏意図を理解しているかのような有機的な反応。軽くタッチすれば透明感のあるクランチ、力強く弾けば咆哮するようなディストーション。その間に存在する無限のグラデーションこそが、ROYAL BLUE OVERDRIVEの本質なのです。
入力インピーダンスは140kΩという低めの設定。これが驚異的なタッチセンシティビティの秘密です。多くのオーバードライブが500kΩ前後の設定であることを考えると、MAD PROFESSORの設計思想の独自性が見えてきます。
「軽いオーバードライブ」から「ファズレベルの飽和」まで
「Drive」コントロールは、その可変域の広さでもアドバンテージがあります。最小設定では繊細なブルース向けのクランチトーン、最大設定ではファズペダルに匹敵する激しいサチュレーション。
特筆すべきは、このゲインカーブの音楽性です。多くのハイゲインペダルは、ゲインを上げていくと「使える音域」と「使えない音域」が明確に分かれてしまいます。しかしROYAL BLUE OVERDRIVEは違います。ノブのどの位置でも、演奏に使える実用的なトーンが得られるのです。
アクティブEQがもたらす音作りの自由度
TREBLE(高域)とBASS(低域)の2つのEQコントロールは、アクティブEQとして機能し、ブースト/カットの両方が可能です。
最も興味深いのは、2つのEQを組み合わせることで中域のコントロールも可能になる点。両方を上げれば現代的なミッドスクープ、両方を下げればTube Screamerスタイルのミッドブースト。このシンプルさと多機能性の絶妙なバランスが、MAD PROFESSORの設計哲学を物語っています。
ゼロに近いDriveでEQペダルとしても機能
ほとんどの人が知らない隠れた機能があります。Driveノブを最小、Volumeノブをユニティゲイン(入力と出力が同じ音量)に設定すると、ROYAL BLUE OVERDRIVEは高品質なEQペダルとして機能するのです。
クリーントーンのサウンドシェイピングに、あるいはアンプのキャラクターを微調整するために。「オーバードライブペダルを買ったのに、一番使うのはEQモード」というユーザーも少なくありません。これこそ、一台で複数の役割をこなせる真の多機能ペダルの姿です。
20年以上変わらぬ信頼性
2002年の発売以来、基本設計を変えることなく製造され続けているという事実。これはペダルの完成度を何より雄弁に物語っています。
トレンドに流されず、一貫したビジョンを持ち続けるMAD PROFESSORの姿勢。ROYAL BLUE OVERDRIVEは、時代を超えて愛され続ける「定番」の風格を持っているのです。
フィンランドの職人魂:MAD PROFESSORの設計思想
北欧の静寂が生み出した音色哲学
フィンランド―この北欧の国は、長い冬と短い夏、そして静寂に包まれた広大な森林で知られています。そんな環境で育まれたMAD PROFESSORのサウンドフィロソフィーは、実に興味深いものがあります。
「派手さよりも深み」「攻撃性よりも音楽性」―ROYAL BLUE OVERDRIVEのサウンドキャラクターには、北欧特有の美意識が息づいています。アメリカ製ペダルのようなラウドで外向的なアプローチとも、イギリス製の伝統的な硬質さとも異なる、独自の美学がそこにはあります。
クリーン・トーンの再構築
ROYAL BLUE OVERDRIVEの最大の功績は、現代のギタリストが直面する「クリーン・トーンのジレンマ」に対する明確な解答を示した点にあります。
現代の音楽制作環境では、ギタリストはしばしば、小さなステージ、またはインイヤーモニター越しの演奏を強いられます。大型アンプの音量を上げられない状況下で、いかに「鳴っている」と感じられる、生命力に満ちたクリーン・トーンやクランチ・トーンを得るか。これがジレンマです。
ROYAL BLUE OVERDRIVEは、アンプが持つ本来のポテンシャルを低い音量でも引き出す音圧シミュレーターとして機能します。
- 「エッジ・オブ・ブレイクアップ」の芸術
いわゆる「エッジ・オブ・ブレイクアップ(EUB:歪み始める直前の音)」を極めて低いゲイン設定で完璧に再現します。このEUBの音色は、ブルースやカントリー、インディロックにおいて不可欠な、感情の機微を伝えるための鍵となります。
ソフトな演奏: 完全にクリーンでありながら、その音像は立体的で、わずかなコンプレッション感がサスティンを自然に伸ばします。
ハードな演奏: 指先に力を込めると同時に、心地よいサチュレーション(飽和感)が生まれ、コードが分厚く、リードトーンが歌い始めます。
このEUBの状態が、ROYAL BLUE OVERDRIVEによってアンプのボリュームに依存せずに実現できるため、ギタリストはどんな環境でも一貫した表現の自由を確保できるのです。すんごく優秀!
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
項目 | 詳細 |
---|---|
製品名 | MAD PROFESSOR ROYAL BLUE OVERDRIVE |
タイプ | オーバードライブ/ディストーション |
電源 | 9V電池またはDCアダプター |
消費電流 | 3.5mA |
入力インピーダンス | 140kΩ |
寸法 | 約69mm(幅)× 111mm(奥行)× 50mm(高さ) |
バイパス | トゥルーバイパス |
製造国 | フィンランド(ハンドワイアード)台湾(ファクトリー) |
参考価格 | ¥30,000前後(ファクトリー) |
視覚的印象:所有欲を満たすプレミアム感
手に取った瞬間に感じる重量感。これは決して「重い」というネガティブな意味ではなく、「しっかりとした作り」という安心感です。
筐体の塗装は、安価なペダルにありがちな薄っぺらさとは無縁。深みのあるロイヤルパープルは、照明の角度によって微妙に表情を変えます。これはメタリック塗装ならではの魅力でしょう。
ノブのキャップも操作しやすい形状で、他社ものとは一線を画す質感。長年の使用にも耐える耐久性を約束しています。
音響分析:周波数特性から読み解く設計の妙
低域処理:タイトさと豊かさの両立
ROYAL BLUE OVERDRIVEの低域処理は、現代的な音楽制作のニーズを完璧に理解しています。
BASSコントロールによる可変域:
- 最小設定:80Hz以下を適度にカット、タイトで引き締まった現代的サウンド
- 中間設定:100-200Hzを自然に再現、バランスの取れた標準的トーン
- 最大設定:低域をブースト、重厚で存在感のあるサウンド
特筆すべきは、ゲインを上げても低域が「濁らない」点。多くのディストーションペダルは、ハイゲイン時に低域がボヤけて輪郭が失われます。しかしROYAL BLUEは、最大ゲインでも低域の明瞭さを保持します。
この特性により、ダウンチューニングでのヘヴィリフや、7弦・8弦ギターでの使用にも最適です。低音弦の音程感が損なわれることなく、パワフルなサウンドを実現できます。
中域:透明性の秘密
「過度なフィルタリングを排除」―これがROYAL BLUEの中域処理の核心です。
多くのオーバードライブは、特定の中域周波数を強調または削減することで、独自のキャラクターを作り出します。Tube Screamerの800Hz付近のブースト、RAT2の中域の特徴的な削減などが好例です。
しかしROYAL BLUEは異なるアプローチを取ります。中域全体をフラットに保ちつつ、TREBLEとBASSの組み合わせで間接的に中域をコントロールする方式。
この設計により:
- 400Hz-2kHz:ギター本来の音色特性を保持、楽器の「声」を尊重
- 2kHz-4kHz:ピッキングアタックの明瞭さ、リズムギターの歯切れ良さ
- 4kHz-6kHz:倍音の自然な広がり、音楽的な豊かさを演出
結果として、どんなギター、どんなアンプと組み合わせても、元の音色を損なわずに増幅できるのです。
高域:音楽的な煌めき
TREBLEコントロールの特性も秀逸です。単純な高域ブーストではなく、音楽的に心地よい周波数帯域を重点的にコントロール。
周波数特性分析:
- 6kHz-8kHz:ギターの「エアー感」、空間的な広がりを演出
- 8kHz-10kHz:ピッキングノイズの質感、演奏のリアリティ
- 10kHz以上:適度にロールオフ、耳障りなギラつきを抑制
この絶妙なバランスにより、TREBLEを最大にしても「刺さる」ことがありません。長時間のリハーサルやレコーディングでも耳が疲れない、極めて音楽的な高域処理です。
倍音構造:リッチでオーガニックな質感
周波数解析で特に興味深いのは、偶数次倍音と奇数次倍音のバランスです。
真空管アンプは偶数次倍音(2次、4次、6次...)を豊富に含み、これが「温かい」「太い」と形容されるサウンドの正体です。一方、トランジスタ回路は奇数次倍音(3次、5次、7次...)が強く、「硬い」「エッジがある」サウンドになりがちです。
ROYAL BLUE OVERDRIVEの倍音構造は、両者の良いとこ取り。偶数次倍音の温かみと、奇数次倍音の明瞭さを絶妙にブレンドしています。これが「真空管アンプのようなクランチ」という評価の根拠なのです。
ジャンル別セッティング完全ガイド
ブルース:泣きのトーン探求
推奨設定:
- Volume: 11時
- Drive: 9時半
- Bass: 1時
- Treble: 10時
推奨楽曲: Eric Clapton「Crossroads」、Stevie Ray Vaughan「Texas Flood」
ブルースこそ、ROYAL BLUE OVERDRIVEの真価が発揮されるジャンルかもしれません。低Gain設定で、ギターのボリュームノブを駆使したダイナミックな演奏が可能。
ギターのボリュームを8割程度に絞ると、透明感のあるクリーンに近いトーン。ここからボリュームを徐々に上げていくと、自然にゲインが増していきます。この有機的な変化こそが、ブルース演奏に不可欠な「表現力」なのです。
ベンディング時の音の追従性も素晴らしい。半音、1音、2音とベンドアップしていく際、音程の変化と共にゲインの質感も微妙に変化。これがブルース特有の「歌う」ギタートーンを実現します。
クラシックロック:60's〜70's黄金期の再現
推奨設定:
- Volume: 12時
- Drive: 11時
- Bass: 12時
- Treble: 1時
推奨楽曲: Cream「Sunshine of Your Love」、The Who「Won't Get Fooled Again」
60年代後半から70年代のブリティッシュロックサウンド。Marshall Plexi的なクランチトーンの再現を目指します。
この時代のサウンドの特徴は、「濁りのないクリアな歪み」と「ピッキングニュアンスの明瞭さ」。ROYAL BLUEのDriveを11時程度に設定することで、この時代特有の「ギリギリのエッジ感」が得られます。
Trebleをやや高めにすることでLes PaulやSGのハムバッカーでも切れ味を確保。逆にStratocasterのシングルコイルなら、Trebleを下げて太さを補強する調整が有効です。
ハードロック:80's パワフルサウンド
推奨設定:
- Volume: 1時
- Drive: 1時半
- Bass: 11時
- Treble: 2時
推奨楽曲: AC/DC「Back in Black」、Judas Priest「Breaking the Law」
80年代ハードロックのアグレッシブなサウンド。適度にコンプレッションがかかりつつ、アタック感を失わない設定がポイント。
Driveを1時半程度まで上げることで、パワーコードの迫力とサスティーンを確保。しかし過度にゲインを上げすぎないことで、リズムギターの歯切れ良さを保ちます。
Bassをやや控えめにすることで、バンドアンサンブルの中での分離を確保。ベースとギターの棲み分けが明確になり、全体のサウンドがタイトに引き締まります。
オルタナティブ:90's グランジグリット
推奨設定:
- Volume: 1時
- Drive: 2時
- Bass: 2時
- Treble: 11時
推奨楽曲: Nirvana「Smells Like Teen Spirit」、Pearl Jam「Alive」
90年代グランジの特徴的な「汚れているが音楽的」なトーン。重厚な低域と、やや抑え気味の高域が鍵です。
Driveを2時まで上げることで、ファズに近い飽和感を獲得。しかしROYAL BLUEの優れた点は、この設定でもコードの音分離が保たれること。グランジのダウンチューニングされた重いリフでも、各弦の音が混濁しません。
Bassを最大近くまで上げることで、グランジ特有の「重く暗い」雰囲気を演出。Trebleを控えめにすることで、攻撃的になりすぎず、憂鬱で内省的なムードを保ちます。
モダンメタル:現代的精密サウンド
推奨設定:
- Volume: 12時
- Drive: 2時半
- Bass: 10時
- Treble: 1時
推奨楽曲: Lamb of God「Redneck」、Killswitch Engage「My Last Serenade」
現代メタルの要求する「タイト」で「明瞭」なサウンド。高速リフでも音が団子にならない設定が求められます。
Driveを最大近くまで上げつつ、Bassを抑えることがポイント。低域をカットすることで、ダウンチューニングでも各音の輪郭が保たれます。
特にメタル系の速いダブルピッキングやトリプレットフレーズで威力を発揮。一音一音がクリアに聞き取れ、演奏の技術的側面を正確に伝えることができます。
カントリー:クリーンとクランチの境界線
推奨設定:
- Volume: 10時
- Drive: 8時
- Bass: 11時
- Treble: 2時
推奨楽曲: Brad Paisley「Mud on the Tires」、Brent Mason的なセッションスタイル
意外に思われるかもしれませんが、ROYAL BLUEはカントリーギターにも最適です。ほぼクリーンに近い軽いゲインで、ピッキングアタックの明瞭さを最大化。
Volumeを低めに設定することで、アンプのクリーンチャンネルとのバランスを取ります。Driveを最小近くまで下げ、EQペダル的な使い方も効果的。
Trebleを最大にすることで、Telecasterの特徴的な「カキーン」というアタックを強調。カントリー特有のチキンピッキングやハイブリッドピッキングのニュアンスを、余すところなく伝えます。
ジャズフュージョン:洗練されたオーバードライブ
推奨設定:
- Volume: 11時
- Drive: 10時
- Bass: 1時半
- Treble: 11時
推奨楽曲: Larry Carlton「Room 335」、Robben Ford的なブルースフュージョン
ジャズギタリストがオーバードライブを使う場合、求められるのは「上品さ」と「コントロール性」。ROYAL BLUEはこの要求を完璧に満たします。
低Gainでの使用により、コードトーンの各音が明瞭に聞き取れます。セブンスコードやテンションノートを多用するジャズハーモニーでも、音が濁ることなく美しく響きます。
Bassを高めにすることで、セミアコースティックギターの特徴的な温かみを保持。Trebleを控えめにすることで、ジャズクラブの落ち着いた雰囲気にマッチする柔らかなトーンを実現します。
プロフェッショナルの証言
プロギタリスト(友人) K氏の体験
「ある地方ライブハウスでのこと。用意されていたアンプは状態の良くない古いアンプでした。普通なら『今日は良い音出ないな』と諦めるところですが、ROYAL BLUEを使ったら驚くほど良いトーンが出たんです。
ギターのボリュームコントロールだけで、クリーンとディストーションを自在に切り替えられるのも大きなメリット。足元を気にせず、演奏に集中できます。
フィンランド製という点も個人的には好き。北欧の物作りに対する誠実さが、音に表れていると感じます」
スタジオミュージシャン H氏の日常使用レポート
「セッションワークで様々なジャンルを演奏する立場として、ROYAL BLUEの汎用性は本当に助かっています。朝はポップスのレコーディング、午後はロックバンドのサポート、夜はジャズバーでの演奏―そんな一日でも、このペダル一台で対応できるんです。
クライアントからの『もうちょっと歪ませて』『いや、やっぱり抑えめで』という要望に、その場で即座に対応できること。ノブを少し回すだけで、まったく違うキャラクターのトーンが作れます。
音の透明性も重要です。高級なヴィンテージギターを使う機会が多いのですが、ROYAL BLUEはギター本来の音色を尊重してくれる。'59 Les Paulの豊かな鳴りも、'64 Stratocasterの繊細なトーンも、しっかり伝わってきます」
MAD PROFESSOR ROYAL BLUE OVERDRIVE 使用アーティスト
RBOはその「タッチセンシティブ」な特性から、特にブルース、ジャズ、フュージョンなど、繊細なダイナミクス表現が求められるジャンルのギタリストに評価されています。
アーティスト名 | 主な所属/ジャンル | 特徴/コメント |
Matt Schofield (マット・スコフィールド) | モダーン・ブルース、フュージョン | 最も有名なRBOユーザーの一人。彼はRBOを主にローゲインの設定で使用し、アンプのサウンドを補強する「トランスペアレント系」の優位性を証明しました。 |
Kristofer Steen (クリストファー・スティーン) | Refused (リフューズ) / ポスト・ハードコア | 激しいジャンルのバンドで使用されている例。RBOの高い解像度が、ラウドなアンサンブルの中でもギターの輪郭を失わないために役立っていると考えられます。 |
Warner Hodges (ワーナー・ホッジス) | Jason & The Scorchers / カントリー・ロック | 彼のメインオーバードライブとして紹介されており、その幅広いゲインレンジと自然なトーンが、彼のダイナミックな演奏スタイルを支えています。 |
Devon Allman (デヴォン・オールマン) | The Devon Allman Project / ブルース・ロック | Gregg Allman(グレッグ・オールマン)の息子であり、長きにわたりMad Professor社のペダルを愛用。RBOは彼のオーガニックなクランチトーンを構成する要素の一つです。 |
Ben Granfelt (ベン・グランフェルト) | フィンランドの著名ギタリスト | RBOのデモも担当しており、そのアンプライクな挙動を最大限に引き出す演奏で知られています。 |
ライバル機との徹底比較
vs Fulltone OCD:アメリカンVSノルディック
項目 | ROYAL BLUE OVERDRIVE | Fulltone OCD |
---|---|---|
サウンドキャラクター | 透明で自然 | パンチがあり前に出る |
タッチレスポンス | 極めて高い | 高い |
EQコントロール | 2バンドアクティブ | 1ノブパッシブ |
音域の広さ | 非常に広い | 広い |
価格 | ¥30,000前後 | ¥36,000前後 |
OCDは「定番」として確立されたペダルですが、そのキャラクターは比較的強め。ROYAL BLUEはより「ニュートラル」で、ギターやアンプの個性を活かす方向性です。
音作りの自由度という点では、2バンドEQを持つROYAL BLUEに軍配が上がります。しかしシンプルさを好むなら、OCDの潔さも魅力的でしょう。
vs Xotic BB Preamp:プリアンプ対決
項目 | ROYAL BLUE OVERDRIVE | Xotic BB Preamp |
---|---|---|
設計思想 | ペダルとしての完成度 | プリアンプ的アプローチ |
EQ | 2バンド(Bass/Treble) | 2バンド(Bass/Treble) |
サウンド | 有機的 | Hi-Fi的 |
価格 | ¥30,000前後 | ¥25,000前後 |
BBプリアンプはよりモダンで洗練されたサウンド。ROYAL BLUEはより「楽器的」で温かみのある音色。どちらも優秀なペダルですが、方向性が異なります。
ソロ時の音量アップが必要なら、BB Preampが便利です。しかしギターのボリュームノブで対応できるなら、ROYAL BLUEのシンプルさが魅力となります。
vs BOSS BD-2 Blues Driver:価格差の意味
項目 | ROYAL BLUE OVERDRIVE | BOSS BD-2 |
---|---|---|
価格 | ¥30,000前後 | ¥12,00前後 |
製造方法 | ハンドメイド | 量産 |
音質密度 | 極めて高い | 標準的 |
タッチレスポンス | 驚異的 | 良好 |
用途 | プロフェッショナル | 万能 |
BD-2は素晴らしいペダルですが、ROYAL BLUEとは明確に「クラス」が異なります。約4倍の価格差は、確実に音質差として現れます。
初めてのオーバードライブならBD-2がベスト。しかし「最後のオーバードライブ」を探しているなら、ROYAL BLUEが答えになるでしょう。
vs J Rockett Audio Design Archer:Klonライク対決
項目 | ROYAL BLUE OVERDRIVE | Archer (Klone) |
---|---|---|
ルーツ | オリジナル設計 | Klon Centaur系 |
中域特性 | フラット | 特徴的ブースト |
透明性 | 極めて高い | 高い |
汎用性 | 非常に広い | ブースター寄り |
価格 | ¥30,000前後 | ¥37,000前後 |
Klonクローンの代表格であるArcher。その透明性は確かに優秀ですが、ROYAL BLUEはまた別のアプローチ。
Klonは「アンプを良くする」ペダル、ROYAL BLUEは「それ自体が素晴らしいトーン」を持つペダル。スタンドアローンでの音質という点では、ROYAL BLUEに優位性があります。
まとめ:真摯に音楽と向き合うすべてのギタリストへ
スタジオの扉を開けた時に出会った、あの青い小箱。あれから数年、ROYAL BLUE OVERDRIVEは私の音楽人生に欠かせない存在となりました。
このペダルが教えてくれたことは、「良い音」の定義でした。派手さや奇抜さではなく、音楽的な誠実さ。プレイヤーの意図を忠実に伝え、演奏の機微を余すところなく表現する―それこそが真の「良い音」なのだと。
フィンランドの小さな工房で、職人が一台一台丁寧に組み上げるペダル。北欧の静寂と誠実さが宿ったサウンドは、騒々しい現代において、音楽の本質を思い出させてくれます。
ROYAL BLUE OVERDRIVEを選ぶべき人:
- ギター本来の音色を大切にしたい
- 長く使える「一生モノ」を探している
- タッチレスポンスを最重視する
- 様々なジャンルに対応できる汎用性が必要
- プロフェッショナルレベルの音質を求める
他の選択肢を検討すべき人:
- 明確で派手なキャラクターが欲しい
- 予算が限られている
- シンプルな1ノブペダルで十分
北欧フィンランドから届いた、深い青紫の小箱。その中には、音楽への深い愛と尊敬が詰まっています。
真摯に音楽と向き合うすべてのギタリストへ―