オートワウ

MAD PROFESSOR「Snow White Auto Wah」レビュー:「歌う」極上オートワウ

MAD PROFESSOR Snow White Auto Wah のイメージ画像

まるで意志を汲み取ったかのように「言葉」を紡ぎ始める極上のオートワウ!

これまでのオートワウに抱いていた「どこか機械的で、思い通りに制御しにくい」という先入観は、最初のワンノートで粉々に打ち砕かれます。

フィンガリングの微細な強弱、ピックが弦を擦る角度、そして演奏者のパッション。それらすべてをSnow White Auto Wahは、まるで熟練のシンガーが喉を震わせるように、有機的で滑らかなフィルター・スウィープへと変換してむれます。そこにあるのは、プレーヤーの魂を拡張する「第二の喉」といった印象。

北欧フィンランドの静寂の中で、天才回路設計者ビョルン・ジュール(Bjorn Juhl)の手によって産声を上げたこのペダル。1970年代のファンクシーンを彩った伝説的なラックマウント・フィルターの応答性を、コンパクトな筐体に見事に封じ込めた傑作です。今回は、世界中のプロギタリストが「これ以外は使えない」とまで絶賛する、Snow White Auto Wahの魅力に迫ります。

使用レビュー:感情に呼応するタッチレスポンスとダイナミクス

Snow White Auto Wahの真髄は、ピッキングの強弱がフィルターの開閉に直結する驚異的なタッチレスポンスです。

優しく撫でれば深海のような静寂を、叩きつけるように弾けば野獣の如き咆哮を。奏者の感情を遅滞なく音へ変換する様は、もはや「体の一部」と呼ぶべき次元。機械的な自動演奏とは一線を画す、魂の震えと同期するダイナミズム

一度踏めば、指先から溢れ出す圧倒的なレスポンスに、ギタリスト自身が心まで奪われるはずです。

驚異的なトラッキングスピードと精度

多くのオートワウが抱える最大の弱点は、入力信号に対する「遅れ」です。速いカッティングや複雑なフレーズを弾くと、フィルターの開閉が追いつかず、モタついて音が濁ってしまうことが多々あります。

しかし、Snow White Auto Wahのトラッキング(追従性)は、まさに光速。どんなに高速な速弾きであっても、一音一音に対して正確にフィルターが反応します。この「遅延のなさ」こそが、プレイヤーにストレスを与えず、楽器の一部として機能する最大の理由です。

「4つのノブ」がもたらす徹底した音作り

一般的なオートワウが2〜3つのコントロールしか持たない中、SWAWは4つのノブ(Sensitivity, Bias, Resonance, Decay)を搭載しています。

これにより、単純な「ワウワウ」という音だけでなく、シンセサイザーのような鋭いフィルターから、ヴィンテージワウの半止めのような繊細なトーンまで、驚異的な精密さでエディット可能です。この調整幅の広さは、他の追随を許しません。

ピッキング・ニュアンスへの圧倒的な感度

まず、「Sensitivity」ノブの設計が秀逸です。ギターの出力やプレイスタイルに合わせて完璧に最適化できるため、弱く弾けばダークでマイルドに、強く弾けば明るく叫ぶようなサウンドを、ピッキングの強弱だけで自在にコントロールできます。これはもはや「足で操作しないワウ・ペダル」ではなく、「指で操作するワウ」なのです。

楽器を選ばない、驚異の周波数レンジ

Snow White Auto Wahは、ギター専用ではありません。ベースで使用した際にも、低域を損なうことなく、強烈なファンク・グルーヴを生み出します。

さらに、キーボードやシンセサイザー、さらにはボーカルトラックにエフェクトとしてかけるエンジニアもいるほど、そのフィルター特性は音楽的でワイドレンジ。一台あれば、制作の幅が劇的に広がります

伝説の「BJFe」DNAを継承

このペダルの回路は、超希少で高価なブティックペダルブランド「BJFe」の「Snow White Auto Wah」をベースにしています。

入手困難なラックマウント型のオリジナル・ハンドメイド・モデルのトーンを、より手に取りやすい価格で、かつ安定した供給量で提供しているのがMAD PROFESSOR版です。ビョルン・ジュール本人の設計思想が、隅々まで息づいています。

北欧フィンランドの誇り、堅牢なビルドクオリティ

「スノー・ホワイト」の名に相応しい、気品ある白い筐体。しかしその中身は、過酷なワールドツアーに耐えうる頑丈な設計です。

スイッチの踏み心地、ノブのトルク感、そして内部配線の美しさ。すべてが「プロフェッショナルな道具」としての品格を湛えています。

フィルター回路の極北:ビョルン・ジュールの設計思想

1970年代のラックマウント・フィルターを解析

オートワウの歴史は、1970年代の「Mu-Tron III」に遡ります。あの太く、独特の粘りがあるサウンドは、多くのフォロワーを生みましたが、同時に「巨大で電源が特殊」という課題もありました。

ビョルン・ジュールは、これらのヴィンテージ・フィルターが持つ「音楽的な揺らぎ」を、現代的な電子工学の視点から再構築。物理的な部品の特性を活かしつつ、現代のペダルボードにフィットする形へと昇華させたのです。

VCF(電圧制御フィルター)の魔法

Snow White Auto Wahは、厳密には「オートワウ」というよりも、シンセサイザーに近い「VCF」の概念で設計されています。

ピッキングによって発生する電圧の変化を検知し、それをリアルタイムでフィルターのカットオフ周波数に反映させる。このプロセスが極めてスムーズであるため、デジタル・エミュレーションでは決して出せない「液状のような、とろける音色」が実現しているのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名MAD PROFESSOR Snow White Auto Wah
タイプアナログ・オートワウ / エンベロープ・フィルター
電源9V DC(センターマイナス)
消費電流約15mA
寸法65mm × 113mm × 40mm
製造国フィンランド
参考価格¥30,000 ~ ¥45,000前後

外観の美学

雪のように真っ白なエンクロージャーに、スカイブルーの文字。この上品で清潔感のあるデザインは、ボードの中でも一際異彩を放ちます。美しすぎて飾っておきたいほどです!

4つのノブは機能的に配置されており、それぞれの役割が明確です。

  • SENSITIVITY(感度): どのくらいの強さで弾けばフィルターが開くかを決定。
  • BIAS(バイアス): フィルターが動き始める基準(周波数)を設定。
  • RESONANCE(レゾナンス): フィルターの鋭さ。上げると「クワッ」という強調感が増します。
  • DECAY(ディケイ): フィルターが閉じるスピードを調整。

LEDはエフェクトのオン/オフを示すだけでなく、ピッキングに反応して輝度がわずかに揺らぐような(あるいは、音の立ち上がりを視認できる)反応を見せ、プレイヤーの視覚をも刺激します。

音響分析:4つのコントロールが描くサウンド・キャンバス

Sensitivity:奏者の個性を電圧に変える

このノブは、楽器の出力とプレイヤーのタッチを繋ぐ架け橋です。

シングルコイルなら12時〜2時、出力の高いハムバッカーなら10時〜12時あたりが目安となります。ここを適切に設定することで、弱く弾いた時の「こもったトーン」から、強く弾いた時の「弾けるトーン」までをグラデーションのように操れます。

Bias:ワウの「初期位置」を決める

「Bias」は、フィルターの開始地点を指定します。

低めに設定すれば、深い低域から立ち上がる「ドワッ」という太いサウンドに。高めに設定すれば、高域でチリチリと鳴るような、鋭いカッティング向けのサウンドになります。これは「半止めワウ」のトーンをどこに置くかを決める作業に似ています。

Resonance:フィルターの「クセ」を操る

レゾナンスを上げると、カットオフ周波数付近が強調され、シンセサイザーのような強烈なキャラクターが現れます。

最大付近では、耳を突き刺すような鋭い「ピギャー」というサウンドまで作れますが、音楽的に使いやすいのは11時〜2時の範囲。これにより、アンサンブルの中で音が埋もれない「存在感」を付加できます。

Decay:余韻の美学

フィルターがどのくらいの速さで元の位置に戻るか。

速く設定すれば「ワッ、ワッ」という歯切れの良いカッティングに。遅く設定すれば「ワ〜〜〜〜ン」という、スローダウンするような幻想的な余韻が得られます。

ジャンル別完全攻略セッティング集

クラシック・ファンク:70's モータウン・スタイル

設定:

  • Sensitivity: 1時(ピッキングに鋭く反応)
  • Bias: 10時(低域の粘りを確保)
  • Resonance: 2時(強調感を強める)
  • Decay: 9時(素早く閉じてリズムを作る)

推奨楽曲:The Meters「Cissy Strut」、James Brown系ファンク

この設定では、カッティングのたびに「クワッ、クカッ」というパーカッシブな音が鳴り響きます。チャカポコとした16ビートに合わせると、フロアを揺らすファンク・マシンへと変貌します。

フュージョン・ソロ:歌い上げるリード・トーン

設定:

  • Sensitivity: 12時
  • Bias: 12時
  • Resonance: 11時(滑らかさを重視)
  • Decay: 2時(ロングトーンでじっくりフィルターを閉じる)

推奨楽曲:Larry Carlton、Lee Ritenour風のメロディ

歪みペダルの後段に配置することで、ロングトーンに対して「ア〜〜〜ゥ」という泣きの表現が可能。まるでトークボックスを使っているかのような、表情豊かなソロが弾けます。

ネオ・ソウル / R&B:現代的な「深み」

設定:

  • Sensitivity: 10時(あえて反応を抑える)
  • Bias: 9時(ダークな響き)
  • Resonance: 12時
  • Decay: 1時

推奨楽曲:Moonchild、Tom Misch風サウンド

クリーントーンで、コードワークの合間にオブリガードを入れる際に最適。主張しすぎない、水中で音が揺れているようなレイドバックしたトーンが得られます。

スラップ・ベース:破壊的なファンク・グルーヴ

設定:

  • Sensitivity: 2時(スラップのピークに合わせる)
  • Bias: 11時
  • Resonance: 3時(強烈なフィルター・スウィープ)
  • Decay: 10時

推奨楽曲:Bootsy Collins、Red Hot Chili Peppers「Sir Psycho Sexy」

ベースで使用する場合、Resonanceを高めに設定することで、スラップのプル(引っ張り)の音が「ポーン!」という電子音のような快感に変わります。

知人プロが語る:Snow White Auto Wah の恩恵

スタジオ・ミュージシャン K氏の証言

「現場で『オートワウを持ってきて』と言われたら、迷わずこれを持って行きます。理由はシンプルで、どんなアンプ、どんなギター、どんな楽曲でも、ノブを数秒回すだけで『正解』の音に辿り着けるからです。

特に重宝しているのが、Decayのコントロール。曲のBPMに合わせてフィルターの戻る速さを微調整できるのは、リズム命のファンク・セッションでは最強の武器になります」

ベーシスト S氏の体験談

「多くのオートワウはベースで使うと芯が細くなってしまうんですが、SWAWは別格。低音の柱がしっかり残ったまま、その周りにフィルターの幕が張るような感覚です。

特に『Bias』を低めにして、太い唸り声を上げるような設定がお気に入り。シンセベースを弾いているような感覚になれるので、ダンスミュージックの現場でも欠かせません」

Snow White Auto Wah 主な使用アーティスト

created by Rinker
Concord Music Group

Snow White Auto Wahは、その圧倒的な表現力から、ジャンルを超えたトップアーティストたちの足元に鎮座しています。

アーティスト名主なジャンル詳細
Guthrie Govanプログレ/フュージョン複雑なセッションボードにおいて「最も正確なオートワウ」として紹介されています。
Matt SchofieldブルースMad Professorの熱烈な支持者であり、彼のソウルフルなブルース・ソロに欠かせないスパイスとして長年愛用。
John Mayerポップ/ブルース彼の膨大なコレクションの中でも、特に繊細なタッチレスポンスが求められるセッションで使用が確認されています。
Ariel Posenスライドギター/ロック豊かな倍音成分を含むトーンを、さらに音楽的に拡張するツールとしてボードに組み込まれています。
Janek Gwizdalaジャズ(ベース)ベーシスト視点での「低域を失わないフィルター」として、自身のデモ動画や教則チャンネルで絶賛。
Lee Ritenourジャズ/フュージョン洗練されたフュージョン・サウンドの隠し味として、ボードの主要位置に配置されていることが報じられています。
Brent Masonカントリー/セッションナッシュビルの伝説的セッションギタリスト。彼の精密なピッキングに追従する数少ないペダルとして紹介。

ライバル機との徹底比較分析

vs BOSS AW-3 Dynamic Wah

項目SWAWBOSS AW-3
回路アナログデジタル
音色オーガニック・滑らか多機能・派手
追従性究極の精度良好だがややデジタル的
特徴指先の延長人間の声を模す「Humanizer」搭載

AW-3は手軽で多機能ですが、SWAWは「楽器としてのトーン」を極めています。プロが最後に選ぶのは、やはりアナログの深みがあるSWAWでしょう。

vs Electro-Harmonix Q-Tron

項目SWAWQ-Tron
サイズコンパクト巨大(モデルによる)
操作性精密なエディット可能直感的だが大雑把
キャラクター北欧の透明感泥臭いアメリカン・ファンク

Q-Tronは「あの音」しか出ない魅力がありますが、ボードの占有面積と電源の扱いが難点。SWAWはそのサウンドを現代的に洗練し、利便性を高めた回答と言えます。

vs MXR M120 Auto Q:以前のスタンダードとの比較

項目SWAWMXR M120
サイズコンパクト中型
ダイナミクス非常に広い標準的
キャラクター透明感と繊細さやや大味

M120は大味で派手めな演出が魅力。一方Snow Whiteは、音質と反応性で一段上のレベルを提供します。

まとめ:オートワウを「飾り」ではなく「感情表現」として使う

「軽やかなファンクのグルーヴから深遠なアンビエントテクスチャーまで」、一台で実現できる表現幅。「1970年代ヴィンテージMu-Tron、そしてBJFeの魂を、現代的信頼性で再構築」した、類まれな音楽性。

MAD PROFESSOR Snow White Auto Wahは、現代のギタリストが求める「使いやすさ」と「音質の純粋さ」を両立させた、非の打ち所がないオートワウの名機です。

グルーヴィーなカッティング、フュージョンの洗練されたメロディ、現代エレクトロニカの実験的サウンドメイクまで―
あなたも、北欧の雪原から生まれたこの白い宝石を、新たな「対話相手」として迎えてみてはいかがでしょうか?

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