ディストーション

Mad Professor「STONE GREY DISTORTION」レビュー:気品に満ちた重厚さ

Mad Professor STONE GREY DISTORTION のイメージ画像

「美しく、かつ凶暴」

荒々しく牙を剥くようなディストーションの奔流。しかし、その根底には冷徹なまでに研ぎ澄まされた「気品」と、揺るぎない「重厚さ」が共存しています。Mad Professorの「STONE GREY DISTORTION」(以下、SGD)を鳴らした瞬間、あなたはこれまでの歪みペダルの概念を書き換えることになるでしょう。

他のペダルと明らかに違うのは、極限までゲインを引き上げても決して失われない「弾力性」です。音が壁のように固着するのではなく、ピッキングの瞬間の弦のしなり、そして一音一音が呼吸するような立体的なレスポンス。

このペダルは、荒々しいハイゲインなサウンドを放ちながらも、プレイヤーの細かなニュアンスを繊細に掬い上げるような、高級アンプだけが持つ濃密な色気を演出します。

使用レビュー:タイトな輪郭×オープンな分離感が心地よい!

「STONE GREY DISTORTION」を鳴らす最大の悦びは、鋼のように鋭い「タイトな輪郭」と、どこまでも風通しの良い「オープンな分離感」が完璧に同居している点にあります。

多くのハイゲイン・ペダルは歪みを深めるほど音が団子状に固まりがちですが、このペダルは違います。超低域までタイトに引き締まったサウンドの縁取り(輪郭)が、高速な刻みや複雑なコードワークを鮮明に浮き彫りにします。それと同時に、各弦の響きがぶつかり合うことなく、空間に解き放たれるような開放的な分離感は、まさに快感の一言。

この「締まり」と「広がり」の絶妙なコントラストが、アンサンブルの中で埋もれない圧倒的な存在感を生み出します。弾き手の意図がストレートに空気層を突き抜けていく、ストレスフリーな体験はMad Professorならでは!

驚異的な「ストリング・セパレーション」の実現

SGDの最大の特徴は、どれほど深く歪ませても和音の分離感が失われないことです。これは独自の回路設計によるもので、複雑なテンションコードをフルゲインで弾いても、各弦の音が濁ることなくクリアに響きます。

デジタル的な冷たさではなく、アナログならではのダイナミズムを保ちながら、ハイゲイン特有の「音の壁」の中に「個別の声」を持たせることができる。これがSGDが唯一無二である核心です。

重厚なボトムエンドとタイトなレスポンス

多くのハイゲインペダルが陥る「低域のボヤけ」が、このペダルには一切ありません。石の壁のように堅牢で、重戦車が突き進むような力強い低域を持ちながら、そのレスポンスは極めてタイトです。

特にダウンチューニングや7弦ギターとの相性は抜群。高速のパームミュート(ブリッジミュート)時でも、音がもたつくことなく、タイトな「ズクズク」という刻みを実現します。

まるでアンプヘッド。広いダイナミックレンジ

SGDは「ペダル」というよりは「ハイゲイン・アンプのチャンネル」に近い挙動を見せます。

ピッキングの強弱に対する反応が極めて鋭く、強く弾けば鋭く牙を剥き、弱く弾けば驚くほどクリーミーな質感に変化します。また、意外ですがギター側のボリュームコントロールへの追従性も高く、フルゲイン設定のままボリュームを絞るだけで、鈴鳴りのようなクランチサウンドまで戻すことが可能です。

音楽的なToneコントロールの勝利

SGDのToneノブは、高域のカット/ブーストというよりも、全帯域のバランスを音楽的に整える「フォーカス・コントロール」のような役割を果たします。

左に回せばダークで重厚なドゥーム・メタルのような質感に、右に回せばモダン・プログレッシブ・メタルのような鋭いバイト感が得られます。どの位置に設定しても「使える音」にしかならない、設計者ビヨン・ユールのセンスが光るポイントです。

極めて低いノイズフロア

これほどまでのハイゲインを実現していながら、SGDのノイズレベルは驚異的に低く抑えられています。

高品質なコンポーネントと緻密な回路設計により、ゲインを最大にしても不快なヒスノイズが少なく、ゲート感のない自然なサステインを維持します。これは静寂と爆音を繰り返す楽曲や、スタジオレコーディングにおいて計り知れないメリットとなります。

圧倒的なサステインと倍音の豊かさ

一度音を出せば、いつまでも続くかのような滑らかなサステイン。そして、その背後にうごめく複雑な倍音成分が、ギターソロをよりドラマティックに彩ります

ピッキングハーモニクスが面白いように飛び出し、タッピングやスウィープといったテクニカルなプレイも、ペダルが背中を押してくれるような感覚でスムーズに演奏できます。

北欧フィンランドの誇り、卓越したビルドクオリティ

Mad Professorの本拠地、フィンランドで設計・製造されるその品質。堅牢なダイキャスト製の筐体は、長年のツアーや過酷なステージングにも耐えうる信頼性を持っています。

「Factory Made(基板生産)」モデルであっても、その音質に妥協はなく、ハンドワイヤードモデルに迫るトーンを実現。実戦主義のプロフェッショナルが選ぶ道具としての品格を備えています。

モダン・ディストーションのお手本

歪みの「密度」と「透明度」の共存

1980年代のブラウンサウンド、90年代のグランジ、そして現代のジェント(Djent)。ディストーションの歴史は常に「より深く、より激しく」を求めてきました。しかし、その代償として失われてきたのが「透明度」です。

STONE GREY DISTORTIONは、この二律背反する要素を高い次元で融合させました。それはまるで、激しい嵐の中で遠くの灯台がはっきりと見えるような、不思議な聴覚体験を生み出してくれますよ〜!

回路設計に込められた「石」の哲学

モデル名にある「STONE(石)」は、そのサウンドの硬質さと不動の安定感を象徴しています。回路内部では、信号を過度に圧縮することなく、ダイナミクスを維持したまま増幅する高度なフィルタリング技術が用いられています。

結果として、どんなに歪ませても「芯」が残るサウンド、つまりプレイヤーの意図を正確にアンプに伝える「意思を持った歪み」が誕生したのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名Mad Professor STONE GREY DISTORTION(FAC)
タイプディストーション(ハイゲイン)
電源7.5V~15VDC(センターマイナス)/ 9V電池
寸法約65mm × 113mm × 40mm
重量約300g
製造国フィンランド
参考価格¥28,000前後

機能美に貫かれたデザイン

SGDのルックスは、そのサウンドを体現するかのようなクールなメタリック・グレー。光を受けると微細な粒子が輝き、まさに「石」のような重厚感を放ちます。

3つのノブ(Volume、Distortion、Tone)は、操作性に優れたツマミ型のものを採用。足元での視認性も良く、微調整が容易です。

インジケーターのLEDは鮮やかな高輝度タイプ。ON/OFFの状態を瞬時に判別できます。内部の基板も整然とレイアウトされており、Mad Professorの「音の良さは設計の美しさに宿る」という信念が伝わってきます。

ジャンル別完全攻略セッティング集

モダン・メタル/ジェント:鋭利な刃物のような切れ味

設定:

  • Distortion: 2時~3時
  • Tone: 3時
  • Volume: 12時
  • 推奨楽曲: Periphery, Animals As Leaders, Meshuggah

この設定では、SGDの最大の武器である「解像度」がピークに達します。Toneを高めに設定することで、低音弦の刻みに鋭いバイト感を加え、高速フレーズでも一音一音が弾丸のように飛び出します。

ハードロック:スタジアム・ロックの王道感

設定:

  • Distortion: 11時
  • Tone: 1時
  • Volume: 1時
  • 推奨楽曲: Van Halen, Guns N' Roses, Alter Bridge

ゲインを少し抑えることで、アンプライクな質感が際立ちます。ピッキングのニュアンスでクリーンからハードな歪みまで自在にコントロール可能。コードを弾いた時の広がりと、ソロでの歌うようなリードトーンが共存します。

オルタナティブ/グランジ:壁のような重圧感

設定:

  • Distortion: フル(最大)
  • Tone: 10時
  • Volume: 12時
  • 推奨楽曲: Nirvana, Soundgarden, Alice in Chains

Distortionを最大に振り切っても、音が潰れきらないのがSGDの凄さ。Toneを絞ることで、地底から響くようなダークで巨大な歪みの壁を作り出せます。ファズに近い飽和感がありながら、輪郭は失われません。

テクニカル・フュージョン:流麗なリードトーン

設定:

  • Distortion: 1時
  • Tone: 12時
  • Volume: 2時
  • 推奨楽曲: Guthrie Govan, Greg Howe

適度なコンプレッション感と豊かなサステインを活かしたセッティング。レガートやタッピングが驚くほど楽になり、中域に艶のある洗練されたリードサウンドが得られます。

知人プロが語る:STONE GREY DISTORTIONの衝撃

スタジオミュージシャン K氏の証言

「現場で一番困るのは、歪ませた瞬間にギターの個性が消えてしまうこと。でもSTONE GREY DISTORTIONは違う。ストラトを繋げばストラトの、レスポールを繋げばレスポールの音が、そのままハイゲイン化されるんだ。

特にレコーディングでは、EQをいじらなくても最初から『抜ける音』で録れる。エンジニアからも『このペダル、処理が楽で助かる』と好評だよ。アンサンブルの中で自分の立ち位置を確保したいなら、これ以上の選択肢はないね。」

ツアーギタリスト S氏の体験談

「ライブハウスからアリーナまで、アンプのコンディションは常に変わる。でもSGDをボードに入れておけば、どんなアンプを借りても自分の『核』となるハイゲインサウンドを再現できる。

驚いたのは、15Vで駆動させた時のヘッドルームの広さ。さらにレンジが広がって、まるで100Wのアンプヘッドを鳴らしているような錯覚に陥ります。もう他のディストーションには戻れないかも。」

ライバル機との徹底比較分析

vs BOSS DS-1X:デジタルとアナログの頂上決戦

項目STONE GREY DISTORTIONBOSS DS-1X
回路アナログデジタル (MDP)
キャラクターオーガニック・解像度重視Hi-Fi・ノイズレス
レスポンスプレイヤーのタッチに忠実常に均一な歪み
歪みの深さハイゲインハイゲイン

DS-1Xも優れた分離感を持ちますが、SGDは「アナログ特有の質感」において一線を画します。楽器としての「生々しさ」を求めるならSGDに軍配が上がります。

vs Suhr Riot:ブティック・ディストーションの雄

項目STONE GREY DISTORTIONSuhr Riot
音色硬質・モダン温かい・アンプライク
得意分野タイトな刻み・高速ソロエモーショナルなリード
低域タイトで重厚太くルーズ

Riotは「改造マーシャル」のような温かみのある歪み。対するSGDは、より現代的で「冷徹なまでの明瞭さ」を持っています。プレイスタイルによって好みが分かれるところです。

まとめ:「大理石の壁」のような堅牢でリッチなサウンドを手に

Mad Professor STONE GREY DISTORTIONが持つ、圧倒的な解像度と開放感。揺るぎない低域。

一度この、音痩せや腰折れとは無縁の「大理石の壁」のような堅牢でリッチなサウンドを体感すれば、ディストーションでもオーバードライブさながらに太く歌わせられることに気づくはずです。

  • 表現の深化: モダンかつクリアな歪みは、あなたの細かなタッチをより鮮明に伝え、表現の幅を広げます。
  • サウンドの確立: どんな環境でも「自分の音」を鳴らせる信頼性は、ステージでの自信に直結します。
  • インスピレーションの源泉: 最高の音は、新しいリフやフレーズを呼び込み、創造性を加速させます。

最終評価:★★★★★(4.5/5.0)

推奨度:

  • モダン・メタル/プログレプレイヤー: 100%
  • ダウンチューニング愛好家: 100%
  • リードギタリスト: 95%
  • オルタナティブ・ロック: 90%
  • ブルース/ポップス: 65%(ポテンシャルは高いが、オーバースペックの可能性あり)

こんな人に特におすすめ:

  • 歪ませても音が潰れるのが許せない人
  • 7弦や8弦、低音のタイトさを重視する人
  • ギター側のボリューム操作で音色を操りたい人
  • 圧倒的なサステインでソロを弾き倒したい人
  • 「本物」のハイエンド・サウンドをボードに加えたい人

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