
一度このペダルの「ノスタルジックな味わい」を知ってしまうと、他のモジュレーションでは物足りなさを感じてしまうかもしれません。
デジタル・モデリングが全盛を極め、完璧なクローンが容易に手に入る現代において、1960年代のアメリカン・スピリットと、最新のアナログ技術が高度に融合して生まれた、瑞々しく、どこかレトロな愛されトーン。
チューブアンプの歪みと混ざり合った瞬間の、あの「溶けるような心地よさ」は、まさに神からの贈り物と言っても過言ではありません。
1930年代から続くアメリカの名門、SUPRO。ジミ・ヘンドリックスやジミー・ペイジといった伝説たちが愛したブランドが、現代のプレイヤーに贈る究極のモジュレーション。それが、このSUPRO CHORUSです。
「温かいヴィンテージサウンドを出したい」「他人とかぶらない個性派コーラスが欲しい」ギタリストは是非チェックして欲しい1台です!
使用レビュー:コーラス通を虜にする「自然で心地よい」ぬくもり
SUPRO CHORUSを鳴らした瞬間、デジタルエフェクトに慣れた耳が洗われるような感覚に陥ります。この「極めて自然なぬくもり」は別格ですね。音が不自然に浮くのではなく、クリーントーンの芯にじんわりと溶け込み、まるで最初からそこにあったかのような一体感を生み出します。
アメリカンサウンドの本質
このペダルの背景にあるのは、単なる懐古趣味ではない「アメリカンサウンドの本質」です。広大な大地を想起させるゆったりとした揺らぎから、西海岸の波のような瑞々しい煌めきまで、すべてが音楽的に響きます。Dimensionノブを回せば、ステレオ空間が物理的に拡張され、弾き手を包み込むような没入感を体験できるでしょう。
本物のヴィンテージ感が逆に新鮮な愛されトーン
高解像度な現代の機材の中で、この「本物のヴィンテージ感」は逆に新鮮に響きます。耳に痛くない甘い高域と、人間の声のような中低域の粘り。その愛されトーンは、一度踏めば手放せなくなる魔力を持っています。流行に左右されない、一生モノの「深い揺らぎ」がここにあります。
伝説のMN3007 BBD素子による「真のアナログ」回路
SUPRO CHORUSの最大の誇りは、その心臓部にあります。伝説的なアナログ・コーラスの名機たちに採用されていた「MN3007」BBD素子を贅沢に使用。デジタル・シミュレーションでは決して再現できない、高域の緩やかなロールオフと、中低域の粘り。音が減衰していく際の、あの有機的で温かい質感が、弾き手のタッチに敏感に反応します。
「冷たいデジタル」とは一線を画す、耳に痛くない、しかし存在感のあるモジュレーション。これがSUPRO CHORUSを孤高の存在にしている理由です。
※SUPRO CHORUSが採用するMN3007チップは、1970年代後半から80年代にかけて製造された伝説的BBDです。現在は生産終了品(New Old Stock、通称NOS)であり、入手困難な希少部品となっています。
なぜSUPROはこの古いチップにこだわったのか?答えは「音質」です。後継のデジタルチップや代替BBDでは、MN3007特有の「滑らかで艶のある中高域」「自然な温かみを持つ低域」をなかなか再現できない。
SUPROは限られたNOS在庫を確保し、各ユニットに厳選された個体を実装しています。これは「ヴィンテージ趣味」ではなく、最高の音質を追求した結果の必然的選択ですね。
ステレオ出力がもたらす「3次元の没入感」
このペダルはステレオに対応しています。2台のアンプ、あるいはDAW上でステレオ・トラックとして広げた瞬間、あなたの音域は「左右のスピーカー」を突き抜け、部屋全体を包み込む広大な音響空間へと変貌します。
片方のチャンネルの位相を反転させることで生まれるその広がりは、まさに「音の波に呑み込まれる」ような快感。モノラルでは決して味わえない、脳を直接揺さぶるような立体体験がここにあります。
Vibratoモードで見せる「揺らぎ」の極致
トグルスイッチを切り替えることで、コーラスから純粋な「ヴィブラート」モードへと移行できます。ドライ音を完全にカットしたこのモードでは、ピッチが周期的に上下し、不安定ながらも極めて音楽的な情緒を演出します!
Lo-fiなテクスチャーを求める現代のビートミュージックや、メロウなネオソウル・スタイルには欠かせない機能です。単なるおまけではなく、これ一台でヴィブラート専用機としてのクオリティも完全に満たしています。
Timeコントロールによる精密なトーン・シェイピング
多くのコーラスペダルにはない「Time」ノブ。これがSUPRO CHORUSのクリエイティビティを支える秘密兵器です。ディレイ・タイム(遅延時間)を微調整することで、金属的なフランジャーに近い硬質な質感から、深く、重厚でダブラーのようなコーラスまでをシームレスにコントロール可能。
「既存のコーラスの音」をなぞるのではなく、自分だけの「揺れの深度」をミリ単位で追い込めるプロ仕様の設計です。
包容力たっぷりのヘッドルームを確保する内部昇圧
アナログ・エフェクター、特にBBDを使用した回路の弱点とされてきたのが「ノイズ」と「ヘッドルームの狭さ」です。SUPRO CHORUSは、9V入力を内部で昇圧することで、極めて高いヘッドルームを確保しています。
高出力のハムバッカーを搭載したギターや、前段で激しくプッシュされたブースターの信号を受けても、音が潰れることなく、濁りのないクリアなモジュレーションを維持。静寂の中に浮かび上がるような、ピュアな揺らぎを約束します。
堅牢かつ美しいインダストリアル・デザイン
アルマイト処理が施されたブラッシュド・ブルーの筐体は、光の角度によって深い海のような輝きを放ちます。重厚な金属パーツ、リアマウントのジャック、そして古き良きアメリカを思わせるデザイン。
ペダルボードに鎮座しているだけで所有欲を満たし、過酷なツアー環境での踏み込みにもびくともしない。これは「消耗品」ではなく、一生を共にできる「相棒」としての風格を備えています。これに使用感が加わると、絶対オーラを放ちますね!
伝説のブランド「SUPRO」の血統
1960年代、アメリカのロック黄金時代を支えたSUPRO。その長い歴史の中で培われた「音楽的なトーンとは何か」という問いに対する答えが、この一台に凝縮されています。単なるヴィンテージの復刻にとどまらず、現代のアンサンブルで最も「抜ける」音を追求した、進化系アナログ・コーラスの決定版なのです。
ヴィンテージ・サウンドのDNAを現代に蘇らせる設計思想
アナログ・モジュレーションの黄金律
1970年代後半から80年代にかけて、コーラス・エフェクトは音楽シーンを席巻しました。それはもともと、アンサンブルの厚みを一人で再現しようとする試みから始まりました。SUPRO CHORUSは、その原点に立ち返りつつも、1960年代のテープ・エコーが持っていた「ワウ&フラッター(回転ムラ)」のような、予測不能で有機的な揺らぎを再現することに成功しています。
BBD素子:バケツリレーが産む「魔法の音色」
BBD(Bucket Brigade Device)とは、電荷をバケツリレーのように次々と転送していく素子のことです。この転送過程で生じるわずかな音の劣化、高域の減衰、そして独特の「遅れ」が、デジタルには絶対に出せない「太さ」と「艶」を生みます。
SUPROのエンジニアは、この伝統的なBBD回路を現代のハイファイな基準で最適化。ヴィンテージ特有の「味」を残しながらも、ノイズフロアを極限まで抑え、現代のレコーディング環境でも完璧に機能するスペックへと昇華させました。
Dimensionノブによる空間合成
SUPRO CHORUS独自の「Dimension」コントロールは、ステレオ出力時にその真価を発揮します。これはミックス・バランスコントロールではなく、2つの出力チャンネル間の相互作用を操作するもの。これにより、音が中心から左右に突き抜けていくような、従来のペダルでは不可能だった複雑な空間合成を可能にしています。
詳細スペック&ビジュアルインプレッション
基本仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | SUPRO CHORUS |
| タイプ | フルアナログ・ステレオ・コーラス / ヴィブラート |
| 回路構成 | MN3007 BBD素子(希少パーツ) |
| コントロール | Speed, Depth, Time, Dimension, Chorus/Vibrato SW |
| 電源 | 9V アダプター |
| 消費電流 | 約100mA |
| 寸法 | 125mm x 81mm x 81mm |
| 重量 | 約450g |
| 製造国 | アメリカ(ニューヨーク州) |
視覚と触覚がもたらす安心感
SUPRO CHORUSの外観は、アルマイト仕上げのブラッシュド・ブルーが美しく、まるで深海を切り取ったような佇まい。
ヴィンテージの計器を思わせる大型ノブも愛らしく、足元に置くのが勿体ないほど。眺めているだけで幸せになれる、飾っておきたい可愛さです。また、中央に配置されたトグルスイッチは、演奏中でもモードの切り替えを確実に行える高い信頼性を誇ります。
4つのアンプっぽいノブ(Speed, Depth, Time, Dimension)は適度なトルク感があり、微調整が容易。
音響分析:モード別・周波数特性とキャラクター
Chorusモード:瑞々しい水彩画のような広がり
Chorusモードでは、ドライ音とウェット音(遅延音)が完璧な比率でミックスされます。
- 特性: 中域から高域にかけて、アナログ特有のシルキーな輝きが付加される。
- 質感: 音の芯がぼやけず、芯の周りに「光の輪」ができるような感覚。
- 用途: アルペジオ、カッティング、アンビエントなコードワーク。
Vibratoモード:ノスタルジックな揺らぎの深淵
Vibratoモードでは、ドライ音が遮断され、ピッチが揺れるウェット音のみが出力されます。
- 特性: 低域から高域まで、全帯域が周期的に揺れる。
- 質感: 古いレコードやテープを再生したときのような、温かくも切ない不安定さ。
- 用途: ソロプレイの表情付け、Lo-fi Hip Hop的ギターサウンド、オルガン・シミュレーション。
ジャンル別完全攻略セッティング集
80's ニューウェーブ:ポリス・スタイル
- Mode: Chorus
- Speed: 10時
- Depth: 1時
- Time: 9時
- Dimension: 2時
アンディ・サマーズを彷彿とさせる、タイトで煌びやかなサウンド。Timeを短めに設定することで、ピッチの揺れよりも「音の厚み」が強調され、カッティングがより立体的に響きます。
サイケデリック・ドリーム:浮遊する意識
- Mode: Chorus
- Speed: 8時(ゆっくり)
- Depth: 4時(深い)
- Time: 3時(長め)
- Dimension: 最大
Dimensionを全開にし、ゆっくりと深く揺らす設定。音が空間を漂い、リバーブやディレイを併用することで、深海に潜っていくような圧倒的な没入感を得られます。
ネオソウル / チルアウト:ヴィブラートの魔法
- Mode: Vibrato
- Speed: 1時
- Depth: 12時
- Time: 12時
- Dimension: なし
ドライ音を消したヴィブラート設定。少し速めのスピードでピッチを揺らすことで、エレピのようなメロウな質感に。ジャジーなコードボイシングとの相性は抜群です。
90's グランジ / オルタナティブ:ザラついた揺らぎ
- Mode: Chorus
- Speed: 2時(速め)
- Depth: 3時
- Time: 11時
- Dimension: 10時
カート・コバーンのような、歪んだトーンに重ねる「気持ち悪い」一歩手前の激しい揺らし。Timeを中間位置にすることで、歪みと混ざった時に独特のうねりを生み出します。
SUPRO CHORUS 主な使用アーティスト
磯貝一樹 (Kazuki Isogai)
SANABAGUN.のギタリストであり、インスタグラムでの演奏動画が世界的に注目されるネオソウル・ギターの旗手。
彼は自身のInstagramストーリーや機材紹介において、SUPRO CHORUSをボードに組み込んでいることを公表しています。彼の代名詞である「メロウで透明感のあるクリーントーン」において、SUPRO CHORUSの持つアナログBBD特有の暖かみのある揺らぎは、サウンドの重要なピースとなっています。
Eirik Stordrange
北欧の著名なギタリストであり、多くのプロが信頼を寄せるトーンリーダーの一人。 彼は自身のチャンネルで「今まで弾いた中で最高のコーラス/ヴィブラートだ」と断言してレビューを行っています。
特にヴィブラートモードの有機的な揺らぎと、Dimensionノブによる広がりを高く評価しており、彼のようなトーンに厳しいプレイヤーに選ばれている事実は、製品のクオリティを雄弁に物語っています。
Dotan Bergman (Riff Co.)
ファンクやLo-Fiサウンドを得意とするプロデューサー/ギタリスト。
SUPRO公式の動画(The Ultimate Lo-Fi Guitar Tone)において、D'AngelicoのギターとSUPRO Royaleアンプ、そしてSUPRO CHORUSを組み合わせた「究極のLo-Fiトーン」を披露しています。Dimensionコントロールを駆使した、幻想的で奥行きのあるサウンドメイクは彼のスタイルの核となっています。
プロの証言:スタジオとステージでの実力
レコーディング・エンジニア M氏の視点
「デジタルコーラスをミックスで扱う際、どうしてもEQで削りたくなる『痛い高域』があるんです。
でもSUPRO CHORUSにはそれがない。最初からマスタリングが完成しているかのような、本物の良い音がします。特にDimensionノブによるステレオ感は、プラグインでは出せない『物理的な空気の揺れ』を感じさせますね。」
ツアーギタリスト H氏の体験談
「ライブハウスのステージでは、照明や他の機材からのノイズが心配ですが、このペダルは本当に静か。
内部昇圧のおかげか、クリーンから激しいディストーションへ繋いでも音が痩せません。Vibratoモードの効きが非常に音楽的なので、曲によって表情をガラリと変えられるのが強みです。」
ライバル機との徹底比較:なぜSUPROをチョイスする?
vs BOSS CE-2W (Waza Craft)
- BOSS: アナログ・コーラスの絶対的基準。クリアで素直な音色が特徴。
- SUPRO: BOSSよりも「Time」ノブによる音作りの幅が広く、Dimensionによるステレオ空間の構築力で勝る。よりヴィンテージ・ライクな「濃さ」を求めるならSUPRO。
vs Strymon Ola
- Strymon: デジタル最高峰の多機能。非常に高精細でクリア。
- SUPRO: フルアナログ回路の「熱量」と「反応性」が圧倒的。デジタル特有の整いすぎた音に物足りなさを感じるプレイヤーには、SUPROの有機的な揺らぎが刺さるはず。
vs Walrus Audio Julia
- Walrus: コーラスからヴィブラートまでブレンドできるノブが秀逸。
- SUPRO: 伝統的なSUPROブランドのトーンと、圧倒的なステレオ・イメージング。よりワイドで奥行きのあるサウンドスケープを求めるならSUPROに軍配。
伝統的で新鮮なトーンはインスピレーションを刺激する
SUPRO CHORUSの揺らぎは、古き良き1960年代の温もりを宿しながらも、現代のハイファイな機材と組み合わせることで驚くほど「新鮮なインスピレーション」を与えてくれます。
伝統に裏打ちされた深いコクのあるトーンが、最新のフレーズと共鳴したとき、自分でも予想しなかったような瑞々しいメロディが溢れ出すはずです。このペダルが放つ「本物のアナログサウンド」は、プレイヤーの感性を鋭く刺激し、次の一音を奏でる喜びを再確認させてくれます。
過去と未来が交差するこの一台こそ、あなた独自のシグネーチャートーンの鍵になるかもしれません。
- 創作の刺激: 新しい揺らぎは、新しいメロディを呼び込みます。
- 音響のクオリティ: レコーディングやライブにおいて、プロレベルの「味わい深い質感」を即座に付加。
- 所有する喜び: アメリカ製、フルアナログ、伝説のブランド。
最終評価:★★★★★(5.0/5.0)
推奨度:
- ヴィンテージ・トーン追求者:100%
- アンビエント / シューゲイザー:100%
- ネオソウル / ジャズ・ギタリスト:95%
- ポップス・フォーク / ロック:90%
こんな人に特におすすめ:
- デジタル・コーラスの音に「冷たさ」を感じている人
- 深いコクを味わいたい人
- ヴィブラートとコーラス、両方の最高峰を一台で手に入れたい人
- 「Time」コントロールによる緻密な音作りを楽しめる人




