ワウペダル

FENDER「Tread-Light Wah Pedal」レビュー:スイートスポットを照らす光

FENDER Tread-Light Wah Pedal  のイメージ画像

これまでのワウ・ペダルの概念は根本から一変!
エフェクターボードの暗闇に一筋の光が差し込んだ瞬間、「表現の聖域」が展開される。

誕生から半世紀以上、大きな進化を拒んできたワウペダルというギタリストの必須アイテム。

その保守的な世界に、ギター界の巨人フェンダーが投じたのが、FENDER Tread-Light Wah Pedal。それは伝統のコピーではなく「徹底的な実戦主義」という名の革新でした。

足元から溢れ出すアンダーグロウLEDの輝き、そして右足のニュアンスを微細にトーンへと変換する緻密なコントロール群。そこには、独自のスイートスポットを作り出し、「演奏者の視界と聴覚を同時に拡張する」という野心的な設計思想が宿っています。

使用レビュー:機能美と音楽性が同居する、迷いなき表現力

視認性の概念を覆す「アンダーグロウLED」

Tread-Light Wahを象徴する最大の特徴は、筐体下部に仕込まれたアンダーグロウLEDです。

これは装飾というだけではありません。ライブハウスの暗転中、自分の足元がどこにあるのか、そして今ワウが「オン」なのか「オフ」なのか。それを音が出る前に視覚的に確信できることが、どれほどプレイヤーの心理的負担を軽減するかは計り知れません。
※僕も、本番でワウがONになっているつもりだったのに実はOFF、またはその逆もあり...で焦った経験が何度もあります(笑)

LEDsスイッチによりON/OFFの選択も可能ですが、一度この「光のガイド」を体験すれば、もう二度と暗闇の中でスイッチを探る不安には戻れないでしょう。

トーンの核心を突く「Mid Freq」3-Wayスイッチ

ワウの「声」を決めるのは中域のキャラクターです。Tread-Lightは、側面に配置されたMid Freqスイッチにより、HI、MED、LOWの3段階から周波数帯域を選択可能

突き刺さるような鋭いカッティングを求めるならHI、歌い上げるようなリードならMID、地の底から唸るようなヘヴィなサウンドならLOW。このスイッチひとつで、ヴィンテージ・ワウからモダン・ワウまで、複数のペダルを所有しているかのような汎用性を手に入れられます。

スイートスポットをミリ単位で調整する「Range」ノブ

「Mid Freq」で選択した帯域に対し、どれほどの幅でフィルターを動かすかを決定するのが、上面に配置されたRangeノブです。

多くのワウが「決まった可変幅」に従わなければならないのに対し、Tread-Lightはプレイヤー自身が「どこまでエグくかけるか」をコントロールできます。これにより、耳に痛い高域をカットしたり、逆に劇的な音色変化を演出したりと、自分だけのスイートスポットを自在にカスタマイズ可能なのです。

システムの純度を守る「BUFFER」スイッチ

現代の複雑なペダルボードにおいて、バッファの有無は音質維持の生命線です。Tread-Lightは筐体背面にBUFFERスイッチを搭載。

ワウ特有のインピーダンス変化による「音痩せ」を防ぎたい場合や、後段に長いケーブルや多数のペダルが続く場合はONに。逆にヴィンテージ・ファズとの相互作用を大切にしたい場合はOFFにするなど、システム全体の構築において戦略的な選択が可能です。

ボードの救世主「トップマウント・ジャック」

ワウペダルは一般的に、サイドに突き出したプラグが隣のペダルを圧迫し、ボードのスペースを浪費します。しかし、Tread-Lightは入出力ジャックを筐体上部(トップ面)に集約。

この設計により、ペダル同士を隙間なく並べることが可能になり、過密なペダルボードに余裕を生み出します。実用性を極限まで追求した、フェンダーらしい「現場目線」の回答です。

伝統とモダンが融合した「木製インソール」

踏み込み面に施された木製のデザインは、フェンダーの誇るクラフトマンシップの象徴です。ラバー素材とは一線を画す、足裏に伝わるしなやかで高級感のある感触。

それは演奏者に「楽器を操っている」という確かな手応えを与え、無機質なエフェクターを血の通った表現ツールへと昇華させます。

過酷なツアーに耐えうる軽量アルミニウム筐体

「重くてかさばる」というワウの宿命を、適度に軽量なアルミニウム構造によって克服しています。

頻繁なステージ移動や、連晩の激しい踏み込みに耐える耐久性を確保しながら、ボード全体の軽量化にも貢献。まさに、世界中を旅するツアーギタリストのための「プロ仕様」です。

伝統を拡張して現代に最適化する設計

暗闇という敵を「光」で制する

音楽史において、ワウペダルは常にギタリストの最大の武器でしたが、暗転したステージという環境下では、その操作性は決して高くありませんでした。

フェンダーは、まずこの「物理的な制約」に正面から向き合いました。LEDによる視認性の向上は、単なるギミックではなく、演奏者が100%音楽に没入するための「環境整備」なのです。

音作りを「探す」から「作る」へ

これまでのワウ選びは、特定のブランドの「あの音」を探し、自分のプレイをそれに合わせる作業でした。

しかしTread-Light Wahは、Mid FreqとRangeという2つの強力なツールを提供することで、主導権をプレイヤーの手に取り戻しました。自分のギター、自分のアンプ、そして自分の感性に合わせた「理想のワウサウンド」を、その場で構築できる自由。これこそがフェンダーが提唱する新時代のワウの在り方です。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名FENDER Tread-Light Wah Pedal
タイプアナログ・ワウ / マルチ・コントロール可能
電源9V DC(センターマイナス)/ 9V電池対応
コントロールRangeノブ、Mid Freqスイッチ、LEDsスイッチ、BUFFERスイッチ
筐体素材アルミニウム(アンダーグロウLED搭載)
設計フェンダー・インハウス設計
参考価格¥13,000前後

木のぬくもりを取り入れた、レトロモダンなデザイン

Tread-Light Wahの外観は、磨き上げられたアルマイト処理のアルミニウムが放つ、プロフェッショナルな機能美に満ちています。トップの木製インソールは、ギターの指板を想起させる温かみを持ち、無機質なエフェクターボードの中でひときわ異彩を放ちます。

ノブやスイッチの配置は、演奏中の誤操作を防ぎつつ、微調整が容易な絶妙なトルク感で設計。LEDの輝きは強すぎず、しかし足元を確実に浮かび上がらせる、計算し尽くされた光量です。

ライバル機との徹底比較分析:王道との決定的な違い

vs JIM Dunlop GCB95 Cry Baby:伝統と現代性の対決

項目FENDER Tread-LightDunlop GCB95
視認性アンダーグロウLED(ON/OFF可)なし
調整機能Rangeノブ / Mid Freqスイッチなし(ワンサウンド)
バッファスイッチで切替可能基本的に非搭載
ジャックトップマウント(省スペース)サイドマウント

GCB95が「固定された伝統の音」を守るのに対し、Tread-Lightはプレイヤーが能動的に音をエディットできる柔軟性を持っています。特にLEDとトップジャックの有無は、現代のライブ環境において決定的なアドバンテージとなります。

vs VOX V847:クラシックな「泣き」の拡張

項目FENDER Tread-LightVOX V847
音色の幅3つのMid設定とRangeで変幻自在固定(スウィートな高域)
システム適正バッファ搭載で劣化に強いバッファあり(固定)
ジャック配置ボードに優しい上面配置標準的な側面配置

VOXは特定の「甘いトーン」に特化していますが、Tread-LightはMid Freqスイッチを「LOW」に設定することで、VOXには出せない図太いボトムエンドを演出可能。楽曲のジャンルを選ばない汎用性でフェンダーに軍配が上がります。

vs Xotic XW-1:ハイエンド機への挑戦状

項目FENDER Tread-LightXotic XW-1
価格1.3万円前後(高コスパ)3.5〜4万円前後(高価格)
操作性スイッチとノブで直感操作4つのノブで微調整
LED方式視認性の高いアンダーグロウ通常LED

XW-1は緻密な音作りが可能で超高品質ですが、価格は倍以上です。Tread-Lightは「Range」と「Mid Freq」という、音楽的に最も重要なポイントをシンプルなインターフェースに集約。コストを抑えつつ、プロレベルの現場対応能力を手に入れています。

Tread-Lightを使いこなすセッティング集

ファンク&ソウル:鋭利なカッティング

  • Mid Freq: HI
  • Range: 2時方向
  • BUFFER: ON

    中域を高い位置に置くことで、パーカッシブなチャカポコ音を最大限に強調。Rangeを広めに取ることで、ペダルのわずかな動きにも鋭敏に反応するファンキーなキレを生み出します。

ブルース・ロック:歌い上げるミッド・レンジ

  • Mid Freq: MID
  • Range: 11時方向
  • BUFFER: OFF

    標準的な中域を選択。Rangeを少し狭めることで、ペダルを全開にしても耳を突かない、人間味のある「泣き」を表現。スライドギターとの相性も抜群です。

ヘヴィ・メタル:唸るボトム・ワウ

  • Mid Freq: LOW
  • Range: 最大(5時方向)
  • BUFFER: ON

    低域を強調。深い歪みの中でも音が潰れず、ワウのピークが地鳴りのように移動する劇的なサウンド。多弦ギターの重低音もしっかりと捉えます。

FENDER Tread-Light Wah:主な使用アーティスト

created by Rinker
Pヴァイン・レコード

Chris Buck(クリス・バック)

現代最高峰のブルース・ロック・ギタリストの一人であるクリス・バックは、自身のメインボードにTread-Light Wahを組み込んでいることで知られています。

彼は「That Pedal Show」に出演した際、このペダルのMid FreqスイッチとRangeノブによる音作りの幅広さを絶賛。特に、ストラトキャスターの繊細なニュアンスを殺さずに、クリアなワウ効果が得られる点を高く評価しているようです。

Cory Wong(コリー・ウォン)

Vulfpeckのギタリストであり、カッティングのマスターとして知られるコリー・ウォン。

彼の超高速な16ビート・カッティングにおいて、ワウの反応速度と切れ味は生命線です。 彼はフェンダーのアーティストページやインタビューにおいて、Tread-Lightの「軽量さ」と「アンダーグロウLED」の利便性に言及しています。特に、足元が常に確認できる安心感が、彼のタイトなグルーヴを支える一助となっています。

Tash Sultana(タッシュ・サルタナ)

ループ・クォーターの先駆者であるタッシュ・サルタナは、多種多様なエフェクトを一人で操るスタイル。

彼女の広大なペダルボードの中で、Tread-Light WahのLEDは、次の展開へ移行するための重要なインジケーターとして機能しています。 「足元を見失わずに、直感的にフィルターを操れる」と、そのステージ上での実用性を語っています。

Nicholas Veinoglou(ニコラス・ヴェイノグロウ)

アリアナ・グランデのサポートギタリストを務めるニコラスは、モダンなR&Bやネオ・ソウルにおいてTread-Light Wahを多用します。

彼のInstagramに投稿されたリグ紹介では、トップマウント・ジャックがいかにボードの構築に役立っているかを具体的に示しており、クリアで存在感のあるワウトーンを楽曲に溶け込ませるテクニックを披露しています。

Yvette Young(イヴェット・ヤング)

マスロック・バンド「Covet」のフロントウーマン。彼女のテクニカルなタッピングや複雑なフレーズの中でも、Tread-Light Wahは音が濁ることなく、明瞭なフィルター効果をもたらします。

ペダルボード写真では、木製インソールのデザインが彼女のアーティスティックなギター(Talman等)と調和している様子が確認でき、その審美性と機能の両面で選ばれていることが分かります。

プロの視点:Tread-Light Wahの強み

レコーディングエンジニア T氏の証言

「スタジオで驚いたのは、このペダルのSN比の良さと、バッファの質の高さです。

ワウを通しただけでハイが落ちる現象が、Tread-Lightでは皆無。特にMid FreqのLOW設定は、ベースギターのワウ録りにも非常に有効で、ミックス時に埋もれない太い芯を作ってくれます。」

ツアーギタリスト K氏の体験談

「世界ツアーの過酷なステージで、このLEDがどれほど僕を救ってくれたか。
照明演出で真っ暗になるタイミングでも、足元に『光の目印』があるだけで、迷いなくソロに突入できる。

トップマウントジャックのおかげで、航空機に持ち込む小型ボードにも無理なく収まるのが最高です。」

結論:痒いところに手が届く、実践主義!な1台

FENDER Tread-Light Wah Pedalは、ギタリストが長年抱えてきた「暗い」「重い」「調整が利かない」というワウへの不満を、フェンダーの誇る革新的なデザインと実戦主義で完全に払拭した、これからのワウの基準点になるであろうアイテム。

アルミニウム筐体による徹底した軽量化は、移動のストレスを軽減するだけでなく、長時間のステージでも足首への負担を最小限に抑える人間工学に基づいた設計を際立たせています。

そして何より、そのトーンにはFENDERの名に恥じない気品が宿っています。歪ませても決して濁ることのない、クリアで瑞々しいワウトーン。一歩踏み込むたびに音が鮮やかに、かつドラマティックに突き抜けていく快感は唯一無二です。

視認性、操作性、音質――ギタリストが抱えてきた「痒いところ」に、これほどまで完璧に手が届くペダルは他にありません。

この、自分だけのスイートスポットを自在にカスタマイズできる自由を武器に、よりエモーショナルにワウワウしちゃってください!

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