オーバードライブ ブースター

MAXON「VOP9」レビュー:Midにガッツがあってエモーショナル!

MAXON VOP9 のイメージ画像

「結局、ここに戻ってくる……」

巷にあふれる数多のオーバードライブを通り過ぎた後で、あらためて出会い直す、この「熟成」された音

かつて世界中のギタリストを虜にした伝説の「OD808」や「TS9」。その設計思想を正当に受け継ぎながら、現代の音楽シーンが求めるワイドなダイナミックレンジと圧倒的なコントラストを注入したのが、このMAXON VOP9(Vintage Overdrive Pro)です。

面白みのない復刻でも、安易なモディファイでもない。MAXONという日本の至宝ブランドが、アナログ回路の限界に挑んだ結晶。それがこの一台には凝縮されています。

今回の記事では、私を含めたオーバードライブマニアが愛してやまないVOP9が「一生モノ」のペダルである理由を、多角的な視点から徹底的に紐解いていきます!

使用レビュー:TS系の熟成の極み。ここ一番で際立つ彩度

最大の特徴は、伝統のミッドレンジを継承しつつ、内部昇圧18Vによって引き出された圧倒的な「音の彩度」です。

他のTS系と明らかに違うのは、ギターという楽器が持つ周波数帯域を余すことなくフルに活かしきっている点。低域の濁りを排除しながら、高域の煌めきを損なわず、中域にガッツのある濃密なエネルギーを凝縮させています!

この広大なダイナミックレンジがあるからこそ、ソロで踏み込んだ際の響きはどこまでもエモーショナル。

ピッキングの強弱がそのまま音の「熱量」へと変換され、チョーキング一発で空間を支配する説得力が宿ります。楽器のポテンシャルを120%解放し、ここ一番で最高の色彩を放つ。まさに大人の色気と情熱を兼ね備えた、至高のオーバードライブです。

内部昇圧18Vによる異次元のヘッドルーム

VOP9の最大の特徴、それは外部電源が9Vであっても、内部でDC-DCコンバータを用いて18Vへと昇圧させている点です。

これにより、従来の9Vペダルでは潰れてしまっていたピッキングの強弱や、複雑な和音の響きが驚くほどクリアに保たれます。まるで小型アンプが大型スタックアンプに化けたかのような、圧倒的な余裕(ヘッドルーム)を感じることができるのです。

「原音」を殺さないクリーンミックス回路

多くのオーバードライブは、歪みを深くすると芯が細くなり、コード感が失われがちです。しかしVOP9は、ドライブ回路とクリーン回路を絶妙な比率でミックスする設計を採用しています。

ドライブノブを最小にすれば高品質なクリーンブースターとして機能し、最大まで上げてもギター本来の鳴りが消えることはありません。この「芯の強さ」こそが、アンサンブルで埋もれない秘訣です。

オペアンプ「JRC NJM4558D」が紡ぐ官能的なミッドレンジ

ヴィンテージ系の魂とも言える名作オペアンプ「JRC NJM4558D」を惜しみなく搭載。

鼻にかかったような心地よい中音域はそのままに、18V駆動による高解像度が加わることで、艶やかさとキレが同居した唯一無二のトーンを実現しています。特にシングルコイル・ピックアップとの相性は、もはや官能的ですらあります。

4PDTメカニカル・トゥルーバイパスの信頼性

VOP9は、エフェクトオフ時の音質劣化を徹底的に排除した「トゥルーバイパス」仕様です。

さらに特筆すべきは、高耐久の4PDTスイッチを採用していること。スイッチング時のノイズを最小限に抑えつつ、バイパス時にはギターの信号を一切着色せずにアンプへと届けます。システム全体のクオリティを底上げする、縁の下の力持ちです。

ギターのボリューム操作への驚異的な追従性

VOP9のドライブ感は、指先とギターのボリュームノブで自在に操れます。

フルアップで熱狂的なリードトーン、少し絞ればクランチ、さらに絞れば鈴鳴りのようなクリーンへ。この反応の良さは、もはやエフェクターというよりは「アンプのチャンネル」の挙動。一度この感覚を味わうと、他のペダルには戻れません。

ノイズレスな設計と純国産の安心感

ハイゲイン設定にしても、驚くほど静粛性が保たれています。これは、長年通信機器や電子楽器を手掛けてきた日伸音波製作所(MAXON)の、緻密な基板設計とシールド技術の賜物。

「Made in Japan」という言葉が持つ信頼性を、ノイズの少なさと頑強な作りから肌で感じることができます。

時代に左右されない究極の汎用性

ブルースの切ないソロから、ハードロックの力強いバッキング、さらにはポップスの繊細なカッティングまで。

VOP9には「このジャンルでしか使えない」という限界がありません。どんな環境、どんな音楽でも、常に絶品トーンを約束してくれる。その安心感こそが、プロ・アマ問わず愛され続ける理由です。

継承されるアナログの血統と革新のエンジニアリング

世界が認めた「マクソン・サウンド」の正体

1970年代から80年代にかけて、世界のトップギタリストが愛用したあの緑色のペダル。その心臓部を作っていたのは、他ならぬMAXONでした。

VOP9は、その「歪みの黄金律」を熟知したエンジニアたちが、21世紀の基準で再構築したモデルです。

伝統の「歪み」を科学する

VOP9の歪みは、ダイオード・クリッピングによる伝統的な手法をベースにしながらも、18Vという高電圧で駆動させることで、波形のピークが潰れすぎない「オーガニックな歪み」を作り出しています。

これにより、デジタルのシミュレーションでは再現不可能な、耳に優しい倍音成分が豊富に含まれるのです。

詳細スペック&ビジュアルインプレッション

基本仕様

項目詳細
製品名MAXON VOP9 (Vintage Overdrive Pro)
回路アナログ(内部昇圧18V駆動)
電源9VDC(センターマイナス) or 9V電池
消費電流約23mA
外形寸法124mm(D) × 74mm(W) × 54mm(H)
重量約580g(電池含む)
製造国日本

道具としての美しさと機能美

VOP9の外観は、プロフェッショナルな道具としての気品に満ちています。

鮮やかなグリーンの塗装は、ステージ照明の下で美しく輝き、視認性も抜群。大型の3ノブ(DRIVE, TONE, LEVEL)は、適度な重みのあるトルク感で、演奏中の微調整を容易にします。

特に秀逸なのが、バッテリー交換の容易さ。ワンタッチで開閉できる底面ボックスは、現場を知り尽くしたメーカーならではの配慮です。

ジャンル別・完全攻略セッティング集

ブルース&ロック:枯れた味わいのリード

  • DRIVE: 11時
  • TONE: 12時
  • LEVEL: 2時
  • 解説: 弦一本一本の振動が目に見えるような、生々しいサウンド。フロントピックアップでのソロは、涙を誘うような「泣き」のトーンへと昇華します。

ハードロック:モダン・ブースター

  • DRIVE: 8時
  • TONE: 1時
  • LEVEL: 3時
  • 解説: 真空管アンプの歪みをプッシュするためのセッティング。VOP9のミッドレンジが中音域を押し出し、ソロ時の音抜けを劇的に改善します。

シティポップ/フュージョン:煌めきのクリーンクランチ

  • DRIVE: 9時
  • TONE: 2時
  • LEVEL: 12時
  • 解説: 歪んでいるかいないかの絶妙なライン。18V駆動の恩恵で、高域の煌めきが損なわれず、カッティングの歯切れが格段に良くなります。

プロ・エンジニアとギタリストが語る「VOP9の真髄」

スタジオエンジニア K氏の視点

「ミックスの際、VOP9で録られたギターは本当に扱いやすい。不要な超低域や耳に刺さる超高域が自然にカットされており、美味しい中音域がしっかり残っているんです。EQをいじらなくても最初から『完成された音』がしていますね。」

ツアーギタリスト S氏の証言

「どんな現場でも、どんなレンタルアンプでも、VOP9さえあれば存在感のあるナイスサウンドが出せる。この安心感は計り知れない。特に18V駆動によるピッキングへの反応の速さは、速いパッセージを弾く際、自分の指と音が完全にリンクする感覚を与えてくれます。」

MAXON VOP9を愛用するギタリスト:妥協なき耳が選んだ「聖杯」

MAXON VOP9(Vintage Overdrive Pro)は、その圧倒的なダイナミックレンジと、ギター本来の帯域をフルに活かす音楽的な響きから、ジャンルを問わず世界中のトッププレイヤーたちに支持されています。

「TS系」という枠に収まらず、第一線で活躍するプロの足元を支え続けているアーティストを、その理由とともにご紹介します。

Scott Henderson(スコット・ヘンダーソン)

ジャズ・フュージョン界の巨匠であり、無類の機材通としても知られる彼は、かつてVOP9を「ディストーション・ペダルの聖杯(Holy Grail)」とまで称賛しました。

証言: 「VOP9は、シングルコイルで弾いた時でも低音を損なわず、ミッドレンジが完璧。私が長年愛用していたSD-9の良さを保ちつつ、高音域の音痩せを解消してくれた。」

Dave Weiner(デイヴ・ウェイナー)

スティーヴ・ヴァイのバンドのギタリストであり、卓越したテクニックを持つ彼は、自身のメインボードにVOP9を長年組み込んでいます。

証言: 「リードプレイに驚くほどの『肉厚さ』とソニカルな奥行きを加えてくれる。今まで弾いたオーバードライブの中でも間違いなくベストの一つだ。」

Jeff Loomis(ジェフ・ルーミス)

Arch EnemyやNevermoreでの活動で知られるテクニカル・メタルの旗手。激しい歪みの中でも芯を残し、ピッキングのニュアンスを殺さないVOP9の性能を高く評価しています。

Devin Bronson(デヴィン・ブロンソン)

アヴリル・ラヴィーンなどのサポートを務める彼は、スタジオワークにおいてVOP9を「必須のツール」として挙げています。

証言: 「単なるチューブスクリーマータイプではない。ヴィンテージからモダンまでカバーできる独自の歌声を持っていて、スタジオでの定番だ。」

その他の使用アーティスト

  • Doug Rappoport(ダグ・ラポポート): エドガー・ウィンター等のサポートで知られる実力派。
  • Gary Holt(ゲイリー・ホルト / Exodus, Slayer): スラッシュメタル界の重鎮も、その強固な中域とレスポンスを信頼し、ボードに採用。
  • Stuart Ziff(スチュアート・ジフ / WAR): 繊細なカッティングと豊かな表現力が求められるファンク・ロックの現場で愛用。

ライバル機との徹底比較分析

vs Ibanez TS9 Tube Screamer:正統な血統とのコントラスト

項目MAXON VOP9Ibanez TS9
駆動電圧内部昇圧18V(切替可)9V固定
解像度極めて高い(フルレンジ)中域に特化したナローレンジ
バイパス方式トゥルーバイパスバッファードバイパス
歪みの質感立体的で透明感がある粘り強くコンプレッションが強い

TS9が「特定の帯域(中域)を強調してアンサンブルに馴染ませる」道具であるのに対し、VOP9は「ギターの全帯域を解放した上で、艶やかな彩度を加える」設計です。TS9特有の「鼻詰まり感」が苦手な方にとって、18V駆動による広いヘッドルームを備えたVOP9は、正に熟成された理想形と言えます。

vs BOSS BD-2 Blues Driver:表現力の方向性の違い

項目MAXON VOP9BOSS BD-2
歪みのキャラクター温かみのあるアンプライクエッジの効いた鋭い歪み
中音域の密度濃密でガッツがあるスッキリとして開放的
追従性滑らかにゲインが変化荒々しくダイナミックに変化

BD-2はジャリッとした高域の輝きが魅力ですが、時に「耳に痛い」と感じる場面もあります。対するVOP9は、ギター本来の美味しい帯域をフルに活かしつつ、耳に痛い高域成分を音楽的な倍音へと変換します。より「エモーショナルで太いリードトーン」を求めるなら、VOP9の右に出るものはありません。

vs Fulltone OCD:モダン・オーバードライブとの対決

項目MAXON VOP9Fulltone OCD
歪みの深さミディアム(極上クランチ)ハイゲイン(ディストーション寄り)
トーンの色彩彩度が高く鮮やか重厚でダークなニュアンス
クリーンミックス常に芯が残る設計歪みの層が厚い設計

OCDは「アンプを丸ごと置き換える」ような強烈な個体感を持っていますが、VOP9はあくまで「ギターとアンプの良さを引き立てる」ことに特化しています。特にクリーンミックス回路の恩恵により、歪みを深くしても弦の振動が見えるような「解像度の高さ」において、VOP9は圧倒的な優位性を誇ります。

まとめ:ドライブトーンに「本物」の格調をまとう

MAXON VOP9を足元に置くということは、あなたの奏でる音色に、半世紀にわたって磨き上げられた「正統」という名の格調をまわせる儀式に似ています。

多くのペダルが「アンプの代わり」を演じようとする中で、VOP9はあえてギターという楽器のポテンシャルをフルに活かしきる道を選びました。18V昇圧がもたらす圧倒的なヘッドルームと、熟成を極めたTS系の色彩感が融合したとき、そこには借り物の音ではない、音楽的な色気とガッツが同居した「本物」のトーンが立ち上がります。

繊細なクランチから情熱的なリードまで。一音鳴らせば、その彩度の高さと立体的な密度に、誰もが耳を奪われるはずです。そろそろ、トレンドに左右されない不変のクオリティを、その手におさめてみてはいかがでしょうか。

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